【推薦入試】金沢大学 融合学域/人間社会学域 経済学類 小論文過去問題と概要

推薦入試

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

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小論文過去問題

R6年度 総合型選抜Ⅱ

融合学域

問題

日本の少子高齢化は顕著となっており,地域においては若者の人口減少が大きな課題となっています。そこで、地方や地元への若者の定着を推進する際の課題をひとつあげ、将来の課題解決に向けたあなたのアイデアを、異分野融合的な観点から850字以内で述べなさい。

R6年度 推薦型選抜Ⅰ

人間社会学域 経済学類

次の文章は、松井彰彦・川島聡・長瀬修編著『障害を問い直す』(東洋経済新報社、二〇一一年、一一~一五ページ)からの引用である(一部省略、改変した)。
この文章を読んで、次の問に答えなさい。

【問1】本文の傍線部「効率性追求の学問」について、経済学はどのような意味で効率性追求の学問なのかを、本文に即して一〇〇字以内で説明しなさい。

【問2】「自立」についての編著者の見解を、二〇〇字以内で説明しなさい。

【問3】あなたが考える障害者の社会参加のあり方について、「効率性」と「公平性」という二つの言葉を用いて、五〇〇字以内で論じなさい。

出題のねらいと回答のポイントと解答例

融合学域

出題のねらい

出題されていることをあらかじめ整理するとよい。

回答のポイント

①「地方や地元への若者の定着を推進する際の課題をひとつ」、②「将来の課題解決に向けたあなたのアイデア」、③「異分野融合的な観点から」とあるので、それぞれ順に満たしていく。

最大のポイントは③で、いろいろな解釈が可能だが、解答例ではいわゆる「産官学」の連携に着目した。

解答例

地方や地元に若者が定着しづらいのは、通勤・通学や買い物などに時間や労力がかかることが大きい。コロナ対策で、リモートやデリバリーが急速に普及し、われわれは新しい生活スタイルでも十分に対応できることを実感した。しかしコロナがほぼ終息してしまうと、また元どおりの通勤・通学ラッシュにみんな悩まされている。

たしかに対面でなければならないケースも多いであろう。しかし緊急事態のおかげで、それまで気づかなかった「リモートで十分対応可能」、むしろ「リモートの方が望ましい」ケースも多々あることが周知されたのだから、それをまた旧弊に戻すのは得策ではない。

そこでアイデアとして、①若年者対象の財政的な支援をすること。そして②学校や官公庁・企業への連携の呼びかけ、さらに行政サービス、教育サービス、運輪・物販等の一般サービスとの異分野融合、以上が挙げられる。

特に②については以下のように考える。行政は公的な面、教育は公的な面と(特に私学は)功利的な面とを併せ持ち、一般サービスは公的な面ももちろんあるが、もっぱら利潤を追求する面が主である。そういった異なった立場のサービスがそれぞれの本質を維持しつつ、他との連携を図ることでより大きな成果を挙げることを目指す。もちろん課題も多い。まず主導となる自治体は、大きな財政的負担を強いられるわけであり、若い世代の人口が増えるといった、負担に見合った成果につながらなければ、すぐにそうした制度は立ち行かなくなるであろう。

また、具体的にどのような連携を図るか、現実にできることとできないことや、それによって学生や勤労者も、学校や官公庁・企業も、そして自治体も、それぞれが利益を得られるようにするのは難しい。どれかの立場が一定期間ある程度の負担を担うべきか、それならばどの立場がそれを担うのか、事前の入念な話し合いと長期的な取り組みが必要だ。当然、国からの支援も不可欠であろう。

人間社会学域 経済学類

出題のねらい

近代経済学が 「効率性」の追求だけではなく 「公平性」 も社会の要請としてとらえ、障害のある人びとの社会参加を実現させる理論的根拠を展開した論文を受験生に読ませ、部分的な要約や編著者見解をまとめさせ、さらに受験生の考察を求める段階を踏んだ小論文である。

回答のポイント

障害者の社会参加だけでなく、自己実現へと論を進めてもよい。

解答例

問1 近代経済学は近代社会のあり方を前提とし、肯定する形で進んできた。 従って社会に経済外的な要請、 たとえば一定の公平性などの主張があれば無視するのではなく、所与のものとして効率性を追求してきた学問である。

問2 編著者の「自立」についての見解は、ゲーム理論の立場からのものである。「自分のことは自分で決める」 という経済学の第一原則以外のことは、 「自立」を決めた個人個人の程度問題でしかないということになる。さらに「自立」という意志決定があって初めて、この世界の誰もが支え合うということが成立する。 お互いに人は支え合って 「自立」していかなくては生産活動、経済活動を展開することが不可能であるというものである。

問3 課題文に障害者は福祉の対象ではなく、自分で物事を決めていく主体であると書かれている。私はこうした見解に賛成する。 また障害者の存在が所与のものとして効率性を求めていくことが近代の経済学の考え方にあることを学んだ。こうした考え方のもとに現状の障害者の雇用や社会参加について
考察したい。 障害者の雇用は 「効率性」 が劣るものだとの概念が深く根付いているためであろう、十分な確保がなされていないのはテレビの報道番組や新聞記事でも現状は知ることができる。 欧米では前世紀から障害者の社会参加が当然で、私が家族旅行で行ったスペインでも駐車場の料金収受を片足に障害がある方が行っていた。私はこのような光景を感心して見ていたが、今後の障害者の方は単純労働だけでなく、能力を十分に発揮できる場も与えられるべきだと思う。 そこで「効率性」と「公平性」の問題に正面から取り組むべきだと考える。然るべきスキルを身につければ、企業の在宅勤務も可能となっていく。 作業の 「効率性」を考えても健常者と変わらないはずだ。 企業や行政がそのスキルを学ぶ機会を与えるのも「公平性」と「効率性」を追求する経済学の立場からも重要だと考える。

スケジュール

令和7(2025)年度入学者選抜日程はこちら

所在地・アクセス

所在地アクセス
角間キャンパス:石川県金沢市角間町「金沢」駅からバス『金沢大学自然研前』下車 約25分
「金沢」駅からバス『金沢大学中央』下車 約25分
「金沢」駅からバス『金沢大学』下車 約35分
宝町キャンパス:石川県金沢市宝町13-1「金沢」駅からバス『小立野』下車 約10分
鶴間キャンパス:石川県金沢市小立野5-11-80「金沢」駅からバス『小立野』下車 約10分

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