「一般入試ではなかなか勝負できないかもしれない。でも、自分には強みがある。」
そんな受験生にとって、有力な選択肢となるのが AO入試・総合型選抜入試 です。
近年は受験生の約4割以上が利用するようになり、推薦入試の中でも特に注目度が高まっています。しかし、制度が複雑なうえに大学ごとに選抜方法が異なるため、具体的にどんな準備が必要なのか分からない、という声も多く聞かれます。
AO入試・総合型選抜は、単に“学力以外で勝負できる入試”ではありません。
もっと本質的には、「あなたの興味・関心が、大学の求める人物像とどれだけ一致しているか」を示す入試 です。
この記事では、入試の仕組みから大学側の狙い、他の受験生と差別化する方法、そして想いが伝わる書類作成のポイントまで、順を追って詳しく解説します。
自分らしい進路を切り開きたい人は、まずここで全体像をつかんでください。

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴27年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。
2020年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となる。過去3年間で国公立大学合格85名。
高1から入会者は国公立大学合格率93%
高2から入会者は国公立大学合格率86%
高3の4月から入会者は国公立大学合格率73%。
スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
AO入試・総合型選抜とはどんな入試?
① AO入試とは
「AO」とは “Admissions Office(アドミッション・オフィス)” の略で、大学の入学業務を担う部署が中心となって実施する入試方式です。
AO入試では、
- 書類審査
- 面接
を軸に、大学が求める人物像(アドミッション・ポリシー)と受験生の特性が一致しているかを総合的に判断します。
最大のポイントは、「この大学の、この学部で学びたい」という強い意志をどれだけ示せるかです。学力試験の比重は比較的軽く、人物評価が中心となります。
② 総合型選抜とは
2021年度から名称が変わり、AO入試ときわめて近い性質を持ちます。
ただし、総合型選抜は 学力も含めた多面的評価 が原則とされています。
選抜方法としては、
- 書類審査
- 面接
- 小論文
- 共通テスト(大学によっては必須)
などが組み合わされるケースが増えています。
“人物+学力” をバランスよく評価する入試と考えてください。
大学がAO入試・総合型選抜を実施する理由
AO・総合型選抜と一般入試の最大の違いは、学力の比重です。
一般入試は、
- 英語
- 数学
- 国語
- 理科
- 社会
- 情報
といった教科試験で合否が決まります。
一方で、AOや総合型選抜は、「受験生と大学の相性(マッチング)」 を重視します。
大学が求めているのは、
- 学力試験だけでは測れない才能を持つ受験生
- 特定の分野に秀でた人材
- 学びたいテーマに主体性を持つ学生
です。
たとえば、暗記は苦手だけど数学の発想力が突出している、地域課題に取り組んできた経験がある、
独自の研究や活動歴がある……など、“尖り” を持つ学生に入学してほしいという大学側の願いが背景にあります。
他の受験生と差別化する方法
① 志望大学・学部の特色を徹底的に調べる
AO・総合型選抜では、「大学と自分がどれだけマッチしているか」をアピールする必要があります。
そのために、最低限すべきことは次の通りです。
- 大学の公式サイトでアドミッション・ポリシーを熟読する
- 学部・学科で学べる内容を正確に理解する
- 大学院進学の流れも確認する(特に理系)
- 教授陣の専門分野・研究テーマを調べる
- 気になる教授の論文もチェックしてみる
自分が学びたい分野を研究している教授が在籍していれば、その大学に進む理由は格段に強まります。
② 受験方式を正確に把握する
志望校とのマッチングを確認したうえで、志望校の選抜方法を調べましょう。
- 書類審査
- 面接
- 小論文
- 共通テスト必須かどうか
- どの科目が合否対象か
- 実施日程
といった点を早めに確認してください。
注意点として、AO・総合型選抜に時間を割くと一般入試の勉強時間が減るという点があります。
高校3年生になってから急に対策を始めると、「どちらも中途半端になる」危険性もあります。
試験日程や共通テスト要否を見て、現実的に間に合うか判断しましょう。
③ 他の受験生との差別化 ― “自分を磨くこと” が本質
大学のホームページを調べるだけでは差がつきません。
教授リストや研究論文を読むのも大切ですが、それだけでは “横並び” です。
最も差がつくのは、あなた自身の知識・経験・思考を深めておくこと です。
たとえば、
- 学びたい分野の大学レベルの本を読んでおく
- 論文を読んで、自分なりの疑問・新しい視点をまとめておく
- 資格取得や研究、コンテスト挑戦などの活動歴を増やす
重要なのは、理解 → 思考(疑問・着想) → 自分の言葉で表現のサイクルを回しておくこと。
こうした蓄積が、そのまま書類や面接での“個性”につながります。
熱意が伝わる書類の書き方
①「無個性な文章」を書かない
書類審査で最も避けたいのは、誰が書いても同じに見える文章 です。
その大学でなければいけない理由、自分だけの経験・疑問・着想、学びたい具体的テーマ、学んだ後に実現したい未来、これらを具体的に組み込むことで、初めて“あなた自身の文章”になります。
もし書く材料(経験・学び)が少ないなら、それは準備不足のサインです。
その場合は、AO・総合選抜に時間をかけるべきかを再検討してください。
② プロにチェックしてもらう
書き上げた文章は、必ず第三者に読んでもらいましょう。
- 伝わりにくい部分
- 論理が飛んでいる部分
- 主張が弱い部分
は、自分では気づきにくいものです。
できれば、入試書類の添削経験が豊富な人に見てもらうのが理想です。
ただし、添削は書き直しが必要になることも多いため、時間に余裕をもって依頼してください。
③ 多すぎる添削は逆効果になることも
複数の大人に見てもらうと意見がバラバラになり、文章が迷走することがあります。
その場合は、どの指摘が最も本質的か、自分で判断する力が必要です。
すべてを取り入れようとして中途半端になるのは避けましょう。
まとめ
AO入試・総合型選抜は、“学力だけでは測れない力を持つ受験生” のための道です。
大切なのは、
- 志望校を深く理解し、
- 自分の強みを磨き、
- その強みを的確な文章と面接で伝えること
です。
自分の興味・関心を真剣に掘り下げた人ほど、AO・総合型選抜では強くなります。
あなたの“好き”と“強み”を武器に、合格へ向けて準備を進めていきましょう。


