2024年度東京都立立川高校入試では、漢字の読み・漢字の書き取り・文学的文章・論理的文章
(漢文含む)の5題構成になっています。
↓問題と解答はコチラ
記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴25年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。
スカイ予備校を高崎市内に開校し、2021年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となり1年目から、国公立大学に27名の合格者を輩出。スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
☆知らないと損する「小論文やっていはいけないNG動画」を無料プレゼント中!
大問1(漢字の読み)
〈解説〉
「秘匿」・「潤(む)」・「才媛」・「曖昧」・「多岐亡羊」の読みが出題。
大問2(漢字の書き取り)
〈解説〉
「腹話術」・「迷宮」・「苦(い)」・「梅肉」・「下馬評」の書き取りが出題。
大問3(文学的文章)
逸木裕『風を彩る怪物』からの出題です。
〈解説〉
〔問1〕理由説明(選択肢)
「朋子さん」の所作は、「数え切れないほど繰り返しやってきている」からこそ、「一切の無駄が削ぎ落とされた、機能美すら感じさせる」ものである。
「ワイワイと作業している人たち」とは対照的に、材木に静かに向き合っている様子が読み取れる。
〔問2〕理由説明(選択肢)
「敬語、やめて。なんか、痒い。」や「コンクールは、たまたま~ごめん。」など、朋子さんは「私」に対して「棘のある口調」で「突き放すように言」う。そうした朋子さんの態度に、「私」は気まずさを感じているのである。
アは、「無視し続ける」が誤り。
イは、「反発し合っている」が誤り。
ウは、「朋子を非難する『私』」が誤り。
〔問3〕理由説明(選択肢)
傍線部の直後に着目する。答えは、「楽器は改良に改良を重ねられて~切り落としてしまっているように思え」たから、である。
消去法に頼らずとも解ける問題。
〔問4〕人物理解(選択肢)
アは、「絶対に許さない」が誤り。最後の場面で、芦原に言われて渋々作業を中断している。「絶対に」や「必ず」といったパワーワードには注意しよう。
イは、全体不適。本文からは読み取れない。
エは、「自分の信じた方法で」が誤り。芦原に方法を変えるように言われたわけではない。また、
「困惑している」も誤り。「こういうことに慣れているのか、朋子はため息をつき」とある。
〔問5〕表現理解(選択肢)
適切でないものはエ。「高さ五メートル程度の、小さいオルガンです」は、単に紹介しているだけにすぎない。
大問4(論理的文章)
池上嘉彦『記号論への招待』と石黒圭『日本語は「空気」が決める 社会言語学入門』からの出題です。
〈解説〉
〔問1〕内容読解(選択肢)
「記号内容」が存在しなければ、「記号表現」は成立しない。表現する内容がそもそも存在しないからである。
また、「記号表現」が存在しなければ、「記号内容」も意味をなさなくなる。表現されていないのなら、それを認知することはできないからである。
イは、「主体的な判断が担保される」という部分が本文では述べられていないので誤り。また、「記号表現」→「記号内容」の話しかできていない。
ウは、「主体的な解釈の対象として機能するようになる」が誤り。本文では述べられていない。エは、「記号内容」→「記号表現」の話しかできていないので誤り。
〔問2〕理由説明(選択肢)
解答の中心は傍線部直後。「〈感覚〉されるものは〈意味〉をもつ」から、となる。傍線部直前の「記号表現の方はすぐ~記号内容の存在を暗示する」もヒント。
アは、「記号表現」について述べているので誤り。「〈意味〉をもつ」に合わせて「記号内容」について述べる必要がある。
イは、「記号表現」と「記号内容」とを並列してしまっているので誤り。エは、「記号表現」について述べているので誤り。
〔問3〕内容読解(45字以上60字以内)
「記号表現」が不確定の場合、「『記号』でも『記号内容』でもない」と本文で説明されている。
また、「記号内容」が不確定の場合、記号が表す意味が正しく伝わらない恐れがある。
〔問4〕理由説明(選択肢)
答えは、「なぜ人間は、言葉の違いを超えて正しい文を作れるのか、という問いを考えるにあたり、運用上の誤りや個人差は、考察を進めるうえで雑音になる(から。)」くらいであろうか。
〔問5〕
X(選択肢)
二重傍線部の直後に、「理論言語学とはその点で対照的です」とあるので、Xには社会言語学のカテゴリのものが入ることがわかる。したがって、イかエが答え。
X直後の「~に注目する」に続くのはエ。
Y(35~50字記述)
解答の中心は、文章Bの「社会言語学は社会のなかの言葉を問題にし~個別的な側面に注目する」である。「現実の物理現象」が「社会のなかの言葉」に該当する。
加えて、会話文における先生の最後の発言に着目する。「『現実の物理現象』『法則』が~どちらに当たるかに着目して書いた」とあるので、「記号」や「記号機能」といった語は用いたい。
〔問6〕文章構成(選択肢)アは、全体が誤り。
イは、「文章Aで説明されている事項を前提として話を進める」が誤り。
エは、「具体例を最初に提示したところから抽象的な内容を提示することで」が誤り。
大問5(論理的文章+漢文)
齋藤希史『漢文ノート――文学のありかを探る』からの出題です。
〈解説〉
〔問1〕内容読解(抜き出し)
「情愛と道義」が「恩義」、「ぐずぐずしがちな~励ますことにしよう」が「作詩勧躊躇」であることに気づけば簡単に解ける。
〔問2〕理由説明(選択肢)
「『燈火稍可親』→秋は読書にふさわしい季節→『読書の秋』のように、間に一つはさまっている 感じ」がするために、筆者は違和感を覚えている。この「秋は読書にふさわしい季節」というのは、後に登場する「佐々木」が唱えたものである。
〔問3〕理由説明(選択肢)
傍線部直後に注目すると、「『古文真宝』の前集巻頭に並べられている『勧学文』に収められているからだ」と説明されている。
アは、「由緒正しい」が誤り。
イは、「中国で広く読まれていた漢詩文の入門書を模して刊行された」が誤り。ウは、「暗誦教材として」が誤り。
〔問4〕文法(選択肢)
助動詞「られ」が出題。尊敬の「られ」を選ぶ。
〔問5〕漢詩の読解(選択肢)
「こうした『勧学文』に比べれば、『符読書城南』(=韓愈の詩)は格調をそなえた古詩で~これらの作は録されていない」と述べている。
また、韓愈の詩については冒頭で「心穏やかに読める」と述べているのに対し、Bは「平俗」、Cは
「身につまされる」「気が滅入りそう」と表現している。
イは、「印象深い短い語」で切るとよい。Bの表現は「平俗」なのである。ウは、「将来の功績」が誤り。 エは、「読書にふさわしい季節を挙げる」・「その態度を賞賛」・「学問の意義だけ」(Cに合わない)が誤り。