「英単語を三分やるつもりが、通知一発で二十分消えた」──受験生なら誰でも覚えがあるのではないでしょうか。
スマホは便利な学習ツールである一方、集中力や睡眠をじわじわと奪う存在でもあります。特に受験期は「スマホとうまく付き合えるかどうか」が学習効率を左右します。
ここでは科学的知見と実際の工夫をもとに、スマホ依存と受験勉強の関係を整理し、すぐに使える対策を紹介します。

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴27年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。
2020年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となる。過去3年間で国公立大学合格85名。
高1から入会者は国公立大学合格率93%
高2から入会者は国公立大学合格率86%
高3の4月から入会者は国公立大学合格率73%。
スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
スマホは「視界にあるだけ」で邪魔をする
ある実験では、スマホを机の上・ポケット・別室に置いた場合を比較したところ、離すほど記憶や推論の成績が良くなることが報告されています。これは 「Brain Drain(脳のしずく抜け)」仮説 と呼ばれる現象です。
最近の研究では「再現が難しい」「領域によって差がある」とも指摘されていますが、少なくともワーキングメモリに関しては小〜中程度の悪化が確認されています。つまり、まずは 「視界から外す」ことが集中の第一歩 なのです。
「通知一発」で崩れる集中
着信音やバイブレーションは、反応しなくても注意を乱します。
数式の途中で通知バナーが2回出ただけで計算が狂ったり、読解中に段落の筋を見失ったり──これはまさに受験生の日常に起こり得ること。
ただし、通知を完全にゼロにすると「取り残され不安(フォモ)」で逆に気になり、チェック頻度が増える人もいます。そこで効果的なのが 「まとめ受信(バッチ配信)」。一日数回に通知を集約する実験では、ストレス低下や注意の改善が報告されています。
学校でのスマホ禁止は効果があるのか?
イギリスでは、学校での携帯禁止ルール導入後にテスト成績が改善し、特に下位層の生徒で伸びが大きかったという研究があります。ただし、「禁止すれば解決」という単純な話ではなく、授業設計やルールづくりと組み合わせてこそ効果が出やすいようです。
夜スマホが眠りを奪う
10代は8〜10時間の睡眠が推奨されていますが、就寝前の強い光や端末使用はメラトニン分泌を抑えて入眠を遅らせます。タブレット読書でも「体内時計が遅れ、翌朝の眠気が強まる」ことが確認されています。
受験期こそ 「寝る前1時間はスマホから離れる」 を習慣にしたいですね。
マルチタスクは成績を落とす
SNSや動画と勉強を同時並行する「マルチタスク」は、多くの研究で成績や記憶と負の関連があると示されています。特に「関連性が低い並行作業」ほどダメージが大きく、学習効率を下げるのです。
まとめ
スマホは便利で、時には心を支える存在にもなります。けれど「近くにあるだけで集中が削られる」「通知一発で思考が乱れる」という側面も無視できません。
受験生にできる現実的な工夫は──
- 勉強中は視界から外す
- 通知は「まとめ受信」に設定する
- 夜は早めにオフにする
- マルチタスクは避ける
この4つ。
“スマホに振り回されない環境”を作ることこそ、受験勉強における最強の集中対策なのです。