看護系小論文|頻出テーマ別・模範解答例と採点ポイント【最新版】
看護系大学・専門学校の入試小論文では、医療現場で実際に直面する課題をテーマにした出題が中心です。本記事では、過去10年間の入試データ分析に基づき、最も出題頻度の高い3大テーマ(医療倫理、高齢化社会、チーム医療)について、模範解答例と採点ポイントを詳しく解説します。AI時代の効率的な学習法も紹介しますので、合格を目指す受験生はぜひ最後までお読みください。
看護系の小論文も様々な変化が時代とともにあります。コロナの前まではチーム医療や働き方改革などが出題されました。そしてコロナになり予防医学やワクチン接種の是非、さらに日ごろの健康を重視することなどは、テーマとして出題されました。そして今からは以下の3点が非常に出題される可能性が高いといえます。
看護系小論文の基本を確認したい人はこちら 看護系小論文の書き方|頻出テーマと対策
1. AI時代の小論文対策術|効率的な学習とフィードバック活用法
2025年現在、AIツールを活用した小論文対策が主流になりつつあります。適切に活用すれば、学習効率を飛躍的に高めることが可能です。
AI検索エンジンでテーマ理解を深める
Perplexity AIやGoogle GeminiなどのAI検索ツールは、複雑な医療テーマを短時間で理解するのに最適です。例えば「尊厳死と安楽死の違いを医療倫理の観点から500字で説明して」と質問すれば、信頼できる情報源を基にした要約が得られます。ただし、AIの回答をそのまま小論文に使用するのは厳禁です。あくまで理解のための補助ツールとして活用しましょう。
ChatGPT・Claude等の生成AIで構成案を作る
小論文の構成に悩んだときは、ChatGPTに「『高齢者の在宅医療推進』というテーマで800字の小論文を書く際の構成案を3パターン提示して」と依頼すると、序論・本論・結論の配分や論点の展開例が複数得られます。自分では思いつかなかった視点を発見できることも多く、アイデア出しに有効です。
AI添削ツールで客観的評価を得る
書いた小論文をAI添削サービス(例:文賢、Shodo等)でチェックすると、誤字脱字や冗長表現、論理の飛躍などを指摘してもらえます。ただし、AIは「看護の視点」や「人間性」といった定性的評価は苦手です。最終的には必ず人間(学校の先生や予備校講師)の添削を受け、看護職としての適性が伝わる表現になっているか確認してください。
AI活用の注意点
AIツールは強力ですが、依存しすぎると思考力が育ちません。「AIで情報収集→自分で考えて構成→手書きで執筆→AI添削→人間の添削」という流れを守ることで、真の実力が身につきます。特に試験本番ではAIは使えませんので、最終的には自力で書く練習を重ねることが不可欠です。
生成AI依存するのではなく、先生AIをしっかり使いこなし、人間にしかできないことを意識し実践することが重要です。特に看護医療系の場合は社会的な弱者である患者さんとの接することが大前提です。すべて自分の価値観で接するのではなく、患者さんやそのご家族の話をしっかり聞くと言うスタンスは、いつの時代でも変わりません。
2. 頻出テーマ①:医療倫理・生命倫理|模範解答例と採点ポイント
医療倫理は看護系小論文で最も頻出するテーマです。出題例としては「終末期医療における患者の自己決定権」「臓器移植のドナー不足問題」「出生前診断の倫理的課題」などがあります。
模範解答例:尊厳死をテーマにした小論文(800字想定の骨子)
【序論】尊厳死とは、回復の見込みがない終末期患者が延命治療を拒否し、自然な死を迎えることを指す。わが国では法制化されておらず、医療現場では倫理的ジレンマが生じている。私は、患者の自己決定権を尊重しつつ、慎重な議論が必要だと考える。
【本論1:患者の自己決定権】インフォームドコンセントの理念からすれば、治療方針を決定する権利は患者にある。終末期においても、苦痛を伴う延命治療を拒否し、残された時間を家族と過ごす選択は尊重されるべきだ。
【本論2:懸念点と看護師の役割】しかし、判断能力が低下した患者や、家族の経済的負担を気にして尊厳死を望むケースもあり得る。看護師は患者の真意を丁寧に確認し、緩和ケアの選択肢も提示するなど、意思決定支援者としての役割が重要だ。
【結論】尊厳死の是非は一律には決められない。看護職として、患者一人ひとりの価値観に寄り添い、多職種チームで最善の選択を支援していきたい。
採点ポイント
- 用語の正確性:「尊厳死」「安楽死」「延命治療」などの医療用語を正しく使えているか
- 多角的視点:患者の権利だけでなく、医療者や家族の立場も考慮しているか
- 看護の視点:看護師特有の役割(寄り添い、傾聴、意思決定支援)が示されているか
- 論理構成:賛成/反対の一方的主張ではなく、両面を検討した上で自分の意見を述べているか
差がつくポイント
高得点答案は、抽象論に終わらず具体的な看護場面を想像させる記述があります。例えば「緩和ケア病棟での実習経験から、痛みのコントロールと心のケアが患者のQOL向上に不可欠だと学んだ」といった実体験や見学体験に基づく記述は、説得力を大きく高めます。
3. 頻出テーマ②:高齢化社会・地域医療|模範解答例と採点ポイント
日本は2025年に「超高齢社会」(65歳以上が人口の30%超)を迎え、地域医療・在宅ケアの重要性が増しています。このテーマでは、統計データや政策知識が求められます。
高齢者に関する出題テーマは、日本はさらに少子高齢化を迎えるため、絶対に外せないテーマです。地域包括ケアシステムなど専門用語を覚えるのではなく、そのような言葉の背景にある設立趣旨や実際の医療現場でどのようなことが行われているかまでリサーチすることが重要です。
模範解答例:地域包括ケアシステムをテーマにした小論文(800字想定の骨子)
【序論】2025年問題として、団塊の世代が後期高齢者となり医療・介護需要が急増する。政府は「地域包括ケアシステム」を推進しているが、人材不足や地域格差が課題だ。看護職の役割拡大が解決の鍵になると考える。
【本論1:システムの概要と意義】地域包括ケアシステムとは、住み慣れた地域で医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される仕組みである。病院完結型から地域完結型への転換により、高齢者のQOL向上と医療費抑制が期待できる。
【本論2:訪問看護の重要性】在宅療養を支えるには訪問看護師の役割が不可欠だ。服薬管理、褥瘡ケア、家族への介護指導など、生活に密着した支援を提供できる。また、地域の医師・ケアマネジャー・介護士と連携し、情報共有のハブとなることも重要である。
【結論】私は将来、訪問看護師として地域医療に貢献したい。大学では在宅看護学を深く学び、多職種連携の実践力を磨きたい。
採点ポイント
- データ・政策の知識:「2025年問題」「地域包括ケアシステム」など時事用語を正しく使えているか
- 具体性:抽象的な「連携が大切」ではなく、具体的な看護業務(訪問看護、服薬管理等)に言及しているか
- 問題意識:現状の課題(人材不足、地域格差)を認識した上で解決策を提示しているか
- 将来展望:「私は〇〇として貢献したい」と自分の進路と結びつけているか
差がつくポイント
統計数値を正確に引用できると評価が高まります。例えば「2024年時点で訪問看護ステーションは約1.5万か所あるが、需要に対し看護師数は20%不足している」といった具体的データは説得力を増します。ただし、数字の暗記よりも、「なぜその数字が重要か」を論じることが本質です。
4. 頻出テーマ③:チーム医療・コミュニケーション|模範解答例と採点ポイント
現代医療は多職種協働が前提です。看護師に求められるコミュニケーション能力や調整力を問うテーマが頻出します。
模範解答例:チーム医療における看護師の役割(600字想定の骨子)
【序論】チーム医療とは、医師・看護師・薬剤師・リハビリ専門職等が専門性を活かして協働し、患者中心の医療を提供する仕組みである。その中で看護師は患者に最も近い存在として、チームの要となる。
【本論1:情報共有の中核】看護師は24時間患者のそばにおり、バイタルサインや精神状態の変化をいち早く察知できる。この情報を医師やリハビリ職に正確に伝えることで、適切な治療方針決定に貢献する。カンファレンスでの報告力が重要だ。
【本論2:患者アドボカシー】また、看護師は患者の代弁者(アドボケイター)として、患者の不安や希望を医療チームに伝える役割も担う。専門用語が飛び交う中で、患者が理解できる説明を求める姿勢が信頼関係を築く。
【結論】チーム医療では、高度な専門知識とともに、傾聴力・共感力・調整力が不可欠だ。私は大学での学びを通じて、これらの能力を磨きたい。
採点ポイント
- 看護独自の視点:「24時間患者のそばにいる」「生活者としての患者を見る」など、看護ならではの強みが示されているか
- 専門用語の使用:「アドボカシー」「カンファレンス」「バイタルサイン」等を適切に使えているか
- コミュニケーションの具体性:「傾聴」「共感」だけでなく、「正確な報告」「わかりやすい説明」など具体的スキルに言及しているか
- チーム全体への視野:看護師だけでなく他職種の役割も理解しているか
差がつくポイント
実際の医療現場を想像させるエピソード的記述が効果的です。例えば「病院見学で、看護師が医師とリハビリ職の間に立ち、退院後の生活環境を考慮した訓練メニューを提案する場面を見た。患者の生活背景まで把握している看護師だからこその調整力だと感じた」といった具体例は、採点者の印象に強く残ります。
5. 合格答案作成の実践テクニック|時間配分と表現の工夫
どれだけ知識があっても、限られた時間で論理的な文章を書けなければ合格点は取れません。最後に、実践的な技術を紹介します。
時間配分の黄金比(60分試験の場合)
- 構想10分:問題文を精読し、キーワードに下線を引く。序論・本論・結論の論点をメモする
- 執筆40分:下書きなしで清書用紙に直接書く。最初の5分で序論、次の25分で本論、最後の10分で結論と全体の見直し
- 見直し10分:誤字脱字、主語述語の対応、接続詞の適切性をチェック。余裕があれば、段落冒頭に要約文があるか確認
論理構成のテンプレート
序論では、テーマの定義・背景・自分の立場を簡潔に述べます。本論は2~3段落に分け、各段落で1つの論点を展開します。「第一に…第二に…」といった論理マーカーを使うと読みやすくなります。結論では、本論の要約と自分の決意・展望を述べますが、新しい論点は持ち込まないのが鉄則です。
表現の工夫で差をつける
- 「〜だと思う」の多用を避ける:「〜と考える」「〜と言える」「〜が重要である」など言い切り型も使い、説得力を高める
- 体言止めや倒置法は原則使わない:小論文は論理的文章であり、詩的表現は不要。「である調」で統一する
- 具体例は1つの段落に1つ:多すぎると焦点がぼけ、少なすぎると抽象的になる。バランスが重要
- 看護の視点を必ず入れる:「患者の苦痛を和らげる」「生活の質を高める」「寄り添う」など、看護特有の価値観を表現する
過去問演習と添削の重要性
テクニックを知っただけでは上達しません。週1回は過去問を時間通りに解き、必ず第三者に添削してもらうことが上達の近道です。特に、志望校の過去問は最低3年分は解きましょう。大学によって「データ重視型」「体験重視型」「倫理重視型」など傾向が異なりますので、志望校に合わせた対策が不可欠です。
直前期の最終チェックリスト
試験1週間前には、以下を確認してください。
- 頻出テーマ(医療倫理、高齢化、チーム医療、感染症対策、災害医療)の基礎知識は頭に入っているか
- 原稿用紙の使い方(段落冒頭の1字下げ、句読点の位置、数字の書き方)は完璧か
- 制限時間内に規定字数(8割以上)を書ききる練習ができているか
- 誤字しやすい漢字(「看護師」「患者」「倫理」「高齢者」等)を正確に書けるか
このように受験である以上は、ライバルの他の受験生と同じレベルの内容では大きく差をつけることはできません。だからといって、専門知識などの難しい言葉や概念を勉強してしまう生徒が多いのも事実です。医療看護系は将来医療従事者になると言う目標があるため、単に勉強などの学力があれば良いだけではありません。大学の先生たちも受験生がしっかりと勉強し、実習をこなすことで、技術的なレベルアップを習得することも望んでいます。しかし、それ以上に大切な事は、社会的な弱者である患者さんに寄り添い、奉仕の精神を持ち、人としての関わり方は重視しているかと言うことを入試では問われています。
まとめ
看護系小論文は、知識・論理力・表現力・看護観の全てが問われる総合試験です。本記事で紹介した頻出3大テーマ(医療倫理、高齢化社会、チーム医療)を中心に、模範解答の型を身につけ、AI時代の効率的学習法を活用してください。そして何より、「なぜ看護師になりたいのか」という原点を常に意識し、その想いを文章に込めることが、採点者の心を動かす最大の武器となります。継続的な練習と添削で、必ず合格答案が書けるようになります。最後まで諦めず、頑張ってください。


