「英検を取ると高校受験に有利らしい」という話を耳にして、実際に検討している受験生や保護者は多いでしょう。ところが、結論だけを聞くと「各高校で扱いが異なり、制度や優遇措置の程度もバラバラ」というのが現状です。ここでは “影響は小さい” とされる理由と、それでも資格取得を活用する方法、そして学習計画の立て方まで深掘りします。結果として、この記事を読めば「受ける/受けない」の判断材料が整理でき、次の行動に移りやすくなるはずです。

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
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そもそも英検とは?中3レベルは英検3級

英検こと「実用英語技能検定」は、日本英語検定協会が主催する団体試験で、年に3回(時期は「第1回=6月 / 第2回=10月 / 第3回=1月」)実施されます。一次試験の筆記とリスニング、二次試験の面接で構成され、技能ごとのバランスを測るのが特徴です。受験料・会場・日程などの詳細は公式サイトのスケジュールページをチェックしましょう。英語能力評価テストとして有名です。高校受験を迎える中学生が取るべきレベルは、中学3年生のレベルにあたる英検3級です。
英検の公式サイトによると英検3級は「使える英語の登竜門」という位置づけで中学卒業段階の英語力の達成目標とされており英語の基礎力定着、高校入試レベルとなっています。英検公式は3級を「中級への入口」と定義し、基準単語数を約1,250〜2,100語に設定しています。リーディング30問、リスニング30問、ライティング1問という別々のセクションで“読む・聞く・書く”の技能を測り、二次では“話す”力を確認。つまり 4技能が総合的に評価されるわけです。中学卒業段階で3級に合格しておくと、高校英語の授業をやすく理解でき、内申点数でも「英語が得意な生徒」というプラス評価につながることが多いです。
3級の目安は「身近な英語を理解し、また使用することができる」となっており、以下のようなレベルが目安で、試験内容は以下の通りです。
一次試験:筆記
- リーディング:4択 30問
- ライティング:記述式(英作文) 1問
- リスニング:3択または4択 30問
二次試験:面接
- 音読:1問
- 音読についての質問に答える:1問
- イラストについての質問に答える:2問
- 受験者自身の質問に答える:2問
(参考サイト:英検 試験内容|日本英語検定協会)
英検3級を取得するには、英単語約1,250~2,100語、英文法・語法の基礎などが必要とされ、二次試験のスピーキングテストは「英語で考えを伝える」が目標となっています。
級 | 想定レベル | 主な出題内容 | 合格ライン(目安) |
---|---|---|---|
5級 | 小学生〜中1 | 基礎語彙・会話表現 | 正答率65% |
4級 | 中1〜中2 | 日常表現+短文読解 | 正答率65% |
3級 | 中3 | 読解+作文+面接 | 正答率70% |
準2級 | 高1〜高2 | 長文読解+自由英作文 | 正答率70% |
2級 | 高2〜高3 | 論説文読解+時事テーマ | 正答率70% |
英検は全ての高校で優遇されるわけではない

英検を取得しても、一部の高校では英検の取得が入試での評価に影響を与える場合がありますが、そこまで多くはありません。
英検が有利に働く高校もある
一方、英検が有利に働く高校もあります。公立高校でも内申点において有利なほか、特に推薦入試の場合一部の高校では英検の取得した級に応じた加点が行われ、入試で有利になる場合もあります。また、英語の授業に力を入れている高校や、留学プログラムがある高校では英検の取得が有利に働く場合があります。
英検がプラス評価になる高校は主に3タイプです。
- 私立高校:独自の優遇措置を設け、3級=内申+1点、準2級=+2点のように加点。
- グローバル系専門学科(東京都の都立国際など):面接で「2級以上で英語面接免除」という制度がある。
- 校内留学プログラムのある公立:一定級合格で「入試本番の英語50点満点中10点を保証」などの基準を公表。
こうした学校は公式サイトマップや募集要項に具体的な級と加点数を明示しているので、志望校リストを見比べて「どの級まで目指すか」を逆算するのがコツです。
多くの場合、英検は高校入試に影響しない
しかし英検は、全ての高校で同じように優遇されるわけではなく、加点や優遇があったとしても合否に与える影響はそこまで大きくありません。多くの場合英検の取得有無は高校入試に直接影響しないことが多いです。
それでも英検を取得するべき4つのメリット

「頑張って英検を取っても高校入試にそこまで有利にならないなら、時間を割いて受験しない方がいいの?」と思うかもしれません。
しかし、高校受験を少しでも有利にするため以外にも、英検を取得することには以下のようなメリットがあります。
メリット | 活用シーン | 具体例 |
---|---|---|
① 受験英語の先行学習 | 定期テスト・模試 | 英検向け多読教材→長文読解で高スコア |
② 大学入試で得をする | 総合型選抜・外部検定利用入試 | 2級で80点換算、準1級で満点扱いなど |
③ 「使える英語」を証明 | 海外留学・国際コース編入 | 出願時に面接・エッセイの英語力証拠になる |
④ サービス業・観光業での就職 | 接客現場での英語対応 | 体験談を履歴書コラムに記載 |
英検の勉強が受験勉強につながる
英検の勉強は、高校受験の英語勉強にも役立ちます。英検は、英語の基礎的な知識や応用力を問う問題が多く含まれており、高校受験でも必要とされる英語力を身につけることができます。
それだけでなく、英検の受験により、英語の勉強が正しく行えているかの確認にもなります。
大学受験に有利
3級合格のあと勉強を続け、英検2級や準1級を取得することで大学入試の面接などで有利になる可能性があります。大学入試においても英検は英語力を証明する資格として認知されており、英検などの語学の資格が出願の要件な場合があります。
また、英検の取得によって、海外留学への意欲といった面接におけるアピールポイントになるメリットもあります。
「使える英語」力を測れる
英検は、「使える英語」の力を測定する試験であり、筆記だけでなく面接もあるため日常生活で必要とされる実用的な英語力を測ることができます。英検の取得により自信を持って英語を使えるようになり、英語力を客観的に示せます。
留学時の英語力証明になる
海外留学をする際には、出願条件として一定の英語力を証明する必要があります。英検は、留学時に英語力を証明するための資格の一つとして認知されており、海外留学での選考で有利に働く場合があります。
また、英検自体が出願要件でなかったとしても、英検で培った英語力は出願に必要なIELTSなどの英語の資格取得の際にも役立ちます。
合格までの準備と学習計画
1. ステップ表(3級合格モデル)
- 前年度11月〜12月:参考書で文法総整理、単語帳700語
- 1月〜3月:過去問5年分×行って傾向分析、弱点抽出
- 4月〜5月:面接練習(オンラインレッスン/模擬質問を使って録音)
- 6月:一次試験本番→合格結果待ち
- 7月:二次面接→合格
2. ツールと資料
- 単語アプリ(ターゲット1900):高い頻出度順で効率的に暗記
- 音読用YouTube:字幕ONで範囲をしっかりチェック
よくある質問 — 何を目指し、いつ受けるべき?
- Q1 : 何級から始める?
始めて受験するなら 5級→4級→3級の順が無難ですが、英語塾で先取りしている高校生は3級からでもOK。 - Q2 : 学校の勉強と両立できる?
週2コマの英語授業+塾or家庭学習90分をスケジュールしておけば十分。ポイントは「定期テスト範囲と重なる単元を活用し、過去問は休日にまとめて解く」こと。 - Q3 : 面接はどこで実施される?
主要都市の会場ごとに定員があり、早期満席になることも。公式申込サイトで東京都や地元県の“空き状況”を確認しよう。
まとめ

本記事のまとめは以下の通りです。
- 英検3級は中学卒業段階の英語力の達成目標とされており、必要な英単語は約1,250~2,100語
- 高校受験において英検の取得が全ての高校で有利になるわけではないが、公立高校で内申に有利になったり推薦入試で加点が行われたりする場合もある
- 英検が有利に働く高校はあるが合否に与える影響はそこまで大きくない
- 英検を取得することには「英語力の向上」「大学入試や就職試験で有利」「留学や海外就職への道を開く」といったメリットがある
英検の取得が高校受験にものすごく有利になるというわけではないですが、英検が受験に有利でなかったとしても、英検の勉強が損になることはありません。
高校入学後の進路に役立てるためにも、ぜひ英検を受験してみてはどうでしょうか。