2024年度愛知県公立高校の入試では、論理的文章・漢字の書き取り+語句の意味・文学的文章・論理的文章・漢文(書き下し文)の4題構成になっています。
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記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴27年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。
2020年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となる。過去3年間で国公立大学合格85名。
高1から入会者は国公立大学合格率93%
高2から入会者は国公立大学合格率86%
高3の4月から入会者は国公立大学合格率73%。
スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
大問1(論理的文章)
若林幹夫『社会学入門一歩前』からの出題です。
〈解説〉
(一)内容読解(選択肢)
「仮説と検証によって確かめられた法則性によって世界を理解することが、科学という知の特徴」だと説明されている。
作られた仮説は、「それらと合致する事実があり、そしてそれらを否定する事実が見いだされないかぎりで、さしあたり真なる理論として認められる」のである。
イは、「確実に正しい」が誤り。
ウは、「その仮説と合致する事実が否定する事実よりも多いことを確認する」が誤り。エは、「世界中の科学者によって支持されるようになる」が誤り。
(二)内容読解(選択肢)
「科学的な知は、実証的な手続きによって真であるととりあえず認められる仮説以外は、『(まだ)わからない』として判断を保留しなくてはならない」と述べられている。
「どんな理論も仮説である以上、つねに『とりあえず』で『今のところ』のものにすぎないのである。アは、「実証可能な」が誤り。実証的な手続きによって真と認められることは可能である。
(三)理由説明(選択肢)
筆者は、「合理的であるとは、文字どおりには『理に合っている』ということだ」と述べたうえで、
「『理』」が「いろいろある」ことを指摘している。「ある行為や状態が合理的であるかどうかは、どのような理を基準とするかで違ってくる」のである。
(四)脱文挿入(選択肢)
脱文に「このとき」とあるので、挿入箇所の直前には、「科学とその合理性を自らの判断において信じているのではない」ことが書かれているはずである。
(五)会話文の順序(選択肢)
アには「そのように」、イには「そのような」、エには「要するに」、オには「確かに」、カには「しかし」とあるので、これらは前の発言を受けたものだとわかる。したがって、会話の最初はCである。
ここから先はすぐに論理展開が確定しきれないため、試行錯誤する必要が出てくる。難。
次に、Fを考える。冒頭に「しかし」とあることから、Fの直前には「合理性」を肯定する発言がくるはずである。よって、A→Fの順。
次に、BとEが「不透明さ」について述べている点に注目しよう。「そのような」とあるBがEの内容を受けているとわかる。よって、E→Bの順。
次に、Dの発言を考える。Dの発言を受けて発言している者がおらず、Dさんが「要するに」と述べていることから、Dは最後の発言者だとわかる。
あとは、A→FとE→Bのどちらが先かを考えればよい。最初のCの発言を「そのように」で受けているAが先に来るのが自然であるので、C→A→F→E→B→Dとなる。
F→Eの接続が分かりにくいために難度が上がっているように思われる。
(六)文章の構成(選択肢)
アは、「欠点を明らかにし」が誤り。 イは、「共通点を取り出して」が誤り。
ウは、「個人的な体験談をくわしく紹介しながら」が誤り。 オは、「繰り返している」が誤り。また、そもそも「想定される反論に答え」てはいない。
大問2(漢字の書き取り+語句の意味)
〈解説〉
(一)漢字の書き取り(選択肢)
「事態を収拾する」の「収拾」が出題。
(二)漢字の意味(選択肢)
「著しい」という意味で使われている「顕著」を選ぶ。
ア・イ・エはすべて「あらわす」という意味で用いられている。
(三)語句の意味(選択肢)
「泰然自若」が出題。
大問3(文学的文章)
辻村深月『この夏の星を見る』からの出題です。
〈解説〉
(一)心情理解(選択肢)
アは、「なんで、何も言ってくれなかったんだろう。悔しい」に合致する。冒頭に「凜久の転校や家庭の事情を、綿引先生は~自分は話してもらえなかった」とあるように、「何も言ってくれなかった」とは、凜久が自らの転校や家庭の事情を明かさなかったことだとわかる。
イは、「うそをつかれた」が誤り。
ウは、本文からは読み取れない。「泣くなんて、凜久にもきっと失礼だ」と亜紗が思っていることから、二人の関係が悪化しているとは考えにくい。
エは、「情けないけど」に合致する。
オは、「これ以上話すと涙が出てきそう」なところに先生に謝られ、「いよいよ気持ちのやり場がなくなって」いる亜紗の様子に合致する。
(二)心情理解(選択肢)
「後輩が訪ねて」きたことに亜紗は驚き、さらに「スターキャッチ」についての提案を持ちかけられ、さらに驚いている。
(三)慣用句(選択肢)
亜紗は一年生が「スターキャッチ」について進めていたことを知って「絶句」し、「一年生たちのたくましさがあまりにまぶし」いと感じている。一年生たちのたくましさに驚いていることがわかる。
(四)内容読解(選択肢)
ウは、「凜久が転校することを聞いて動揺し混乱している亜紗の気持ちには、気付くことができていない」が誤り。「亜紗ちゃん」と呼んで気遣っている様子が描かれている。
オは、「望遠鏡作りを完全に一年生に任せ」が誤り。上級生も「お手伝い」をしたと述べられている。
(五)表現の特徴(選択肢)
イは、「回想場面を挿入して」が誤り。
ウは、「各登場人物が稟久との思い出を語ることで」が誤り。 エは、三人の会話中に「――」や「……」が多用されていないので誤り。また、「もどかしい気持ちが表現されている」わけでもない。
大問4(漢文[書き下し文])
『貞観政要』からの出題です。
〈解説〉
(一)内容読解(選択肢)
「忠正」と「公清」の意味を、漢字から推測する。
アは「忠正」のみ、ウは「公清」のみの説明となっている。イは的外れ。
(二)内容読解(選択肢)
「『禍福』は人が招くにすぎない」という内容になっている選択肢を選べばよい。
(三)理由説明(選択肢)
「人の獲る所と為る者(=人に捕らえられた鳥や魚)は、皆、餌を貪るに由るが故なり(=餌に貪欲であったのが理由である)」と述べている。人も同様に、「身を陥るる者は、皆、財利を貪冒するが為め」なのである。
(四)内容読解(選択肢)
アは、「鳥と魚を対比させながら」が誤り。鳥や魚と人とを対比させたのである。
イは、「理想の主従関係」が誤り。
エは、「昔の失敗談」が誤り。