大学入試や高校入試で頻繁に出題される小論文。一見、作文と似ているように思えますが、実
は大きな違いがあります。この記事では、小論文と作文の違いを詳しく解説し、特に大学入試で
求められる力について焦点を当てて説明します。
記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴25年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。
スカイ予備校を高崎市内に開校し、2021年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となり1年目から、国公立大学に27名の合格者を輩出。スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
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1. はじめに:小論文と作文の基本的な違い
小論文と作文は、どちらも自分の考えを文章で表現するという点では共通していますが、その目的や評価基準には大きな違いがあります。
- 小論文:与えられたテーマについて、論理的に自分の意見を述べる
- 作文:自由なテーマで、自分の感想や経験を表現する
この基本的な違いを理解することが、小論文と作文を区別する第一歩となります。
2. 目的の違い:意見 vs 感想
1 小論文の目的
小論文の主な目的は、与えられたテーマや問題に対して、自分の意見を論理的に展開することです。ここでいう「意見」とは、単なる思いつきではなく、理由や根拠に基づいた主張を指します。
例えば、「環境問題への取り組みについて」というテーマが与えられた場合、小論文では以下のような展開が求められます:
- 環境問題の現状分析
- 具体的な解決策の提案
- その解決策を支持する理由や根拠の提示
2 作文の目的
一方、作文の目的は主に自分の感想や経験、心情を自由に表現することです。テーマが与えられる場合もありますが、小論文ほど厳密ではなく、より個人的な内容が許容されます。
例えば、「私の夢」というテーマの作文では:
- 自分の夢の描写
- その夢を持つに至った経緯や思い出
- 夢の実現に向けての決意
といった、より主観的な内容が中心となります。
3. 評価のポイント:客観性 vs 主観性
1 小論文の評価ポイント
小論文では、以下のような点が重視されます:
- 論理性:主張とその根拠が明確で筋道立っているか
- 客観性:感情に偏らず、事実や統計に基づいた議論ができているか
- 思考力:与えられた情報を適切に分析し、自分なりの考えを導き出せているか
- 表現力:適切な語彙や文章構成を用いて、自分の考えを明確に伝えられているか
2 作文の評価ポイント
作文の評価は、より主観的な要素が重視されます:
- 独創性:ユニークな視点や表現があるか
- 感性:豊かな感情表現ができているか
- 描写力:経験や心情を生き生きと描写できているか
- 文章力:読み手を引き込む文章構成や表現ができているか
4. 構成の重要性:論理的思考 vs 自由な表現
1 小論文の構成
小論文では、論理的な構成が非常に重要です。一般的に、以下のような三部構成が基本となります:
- 序論:テーマの提示と自分の立場の表明
- 本論:主張とその根拠の展開
- 結論:議論のまとめと最終的な意見の提示
この構成を守ることで、読み手に自分の主張をより明確に伝えることができます。
2 作文の構成
作文の場合、小論文ほど厳密な構成は求められません。ただし、読み手を意識した文章の流れは意識する必要があります:
- 導入:テーマや話題の提示
- 展開:経験や感想の詳細な描写
- まとめ:全体を通しての感想や決意
作文では、時系列順や印象の強さなど、様々な観点から自由に構成を組み立てることができます。
5. 文体と表現方法の違い
1 小論文の文体
小論文では、客観的で論理的な文体が求められます:
- 常体(〜である調)の使用
- 専門用語や抽象的な概念の適切な使用
- 感情的な表現の抑制
例:「この問題の解決には、社会全体での取り組みが不可欠である。」
2 作文の文体
作文では、より自由な文体が許容されます:
- 敬体(〜です・ます調)の使用も可
- 比喩や擬人法などの修辞技法の活用
- 感情表現の豊かな使用
例:「青い空を見上げると、胸がいっぱいになりました。」
6. 大学入試における小論文の重要性
大学入試、特に総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜では、小論文が重要な評価対象となっています。その理由として:
- 論理的思考力の評価:与えられた情報を分析し、自分の考えを論理的に組み立てる力を見ることができる
- 表現力の評価:自分の考えを適切に言語化し、相手に伝える力を測ることができる
- 専門分野への適性:志望学部・学科に関連するテーマで小論文を課すことで、その分野への理解度や関心を評価できる
大学側は、これらの能力を持つ学生を求めているため、小論文は重要な選考材料となっています。
7. 小論文対策のポイントと上達法
小論文力を向上させるためには、以下のような対策が効果的です:
- 読解力の強化:
○ 新聞や専門書を読み、社会問題や専門的な話題に触れる
○ 文章の要約練習を行い、핵심を素早く把握する力を養う - 論理的思考力の訓練:
○ 日常生活で「なぜ」を意識し、物事の理由を考える習慣をつける
○ ディベートや討論に参加し、多角的な視点を持つ - 表現力の向上:
○ 語彙力を増やす(類語辞典の活用など)
○ 文章を書く機会を増やし、添削を受ける - 時事問題への関心:
○ ニュースを日常的にチェックし、自分なりの意見を持つ
○ 社会問題について家族や友人と議論する - 過去問題の分析:
○ 志望大学の過去の小論文問題を解き、傾向を把握する
○ 模範解答と自分の解答を比較し、改善点を見つける - 時間管理の練習:
○ 制限時間内で書く練習を重ね、時間配分を体得する
これらの対策を継続的に行うことで、小論文力は確実に向上していきます。
8. まとめ:小論文と作文、それぞれの特徴を活かして
小論文と作文は、どちらも自己表現の重要な手段です。その違いを理解し、それぞれの特徴を活かすことで、より効果的な文章表現が可能になります。
- 小論文:論理的思考力と客観的な表現力を磨く機会
- 作文:感性と創造性を育む機会
大学入試では小論文が重視されますが、作文で培った豊かな表現力も、小論文作成に活かすことができます。両者のスキルをバランスよく向上させることで、より説得力のある文章が書けるようになるでしょう。 日々の学習や生活の中で、「考える」「表現する」機会を意識的に増やしていくことが、小論文力向上の鍵となります。自分の考えを論理的に組み立て、それを適切に表現する力は、大学入試だけでなく、将来の社会生活においても非常に重要なスキルとなります。小論文と作文、それぞれの特徴を理解し、両方のスキルを磨いていくことで、豊かな表現力と論理的思考力を身につけていきましょう。