2024年度福井県立高校入試をポイント解説!

高校入試

2024年度福井県立高校入試では、論理的文章・漢字の読み書き+書の知識・文学的文章・古文・作文の5題構成になっています。

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴27年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。

2020年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となる。過去3年間で国公立大学合格85名。

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スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします

大問1(論理的文章)

戸谷洋志『未来倫理』からの出題です。

〈解答〉

問(一)春に種を播いて、秋に作物を収穫する(という技術。)

問(二)イ

問(三)

自然を観察し、その結果を技術へと落とし込むのではなく、自然を理解するために、自然に対して技術によって働きかけてもよい(という考え方)。(58字)

問(四)

時間の基準が日の出や日没から分刻みのスケジュールに変わり、遅刻を社会的に許されない悪徳として考えるようになった。(56字)

問(五)エ

問(六)①模倣  ②ウ

〈解説〉

問(一)内容読解(抜き出し)

「具体的に」という設問の指示を見落とさないようにする。

「伝統的な農業では、春に種を~収穫する」と述べられ、「これは自然界における植物のあり方を模倣した技術」だと説明されている。

問(二)内容読解(選択肢)

「ガリレオは、そのように自然には存在しない人工的な環境を技術的に構築することで、むしろ自然の本質に迫ろうとした」と説明されている。

ウは「森を観察し」が誤り。正しくは、「人工的な環境」である。  エは、「自然の本質に迫ろうとした」という内容がないので誤り。

正解は、傍線2の直後で述べられている、「重たいものほど早く落下する~自然哲学を反芻するため」を踏まえたイである。

問(三)内容読解(60字記述)

ベーコン以前の考え方では、まず「自然を観察し、そのあとにそれを技術へと落とし込んでい」た。それをベーコンは「自然を理解するために、自然に対して技術によって働きかけること」を提唱したのである。

問(四)内容読解(60字記述)

変化を問う問題。字数次第ではあるが、変化前と変化後の両方を書こう。

「鉄道が普及する前、人々は日が昇ってから活動を始め、暗くなったら家に帰っていた」が、鉄道普及後は、「分刻みのスケジュールを立て」るようになり、「『遅刻』が社会における許されない悪徳として浸透するようになった」と説明している。

問(五)表現効果(選択肢)

「余儀なくされた」は「そうせざるをえない様子」を表す。前半が合っているのはウとエ。ウは「意図していたよりも良い結果を得た」が誤り。

問(六)

①内容読解(抜き出し)

「たとえば、十五世紀の発明家である~」の段落に着目する。最後に「すなわち彼は、空を飛んでいるものを観察し、それを模倣しようとした」と述べられている。

②内容読解(選択肢)

ウは、「社会のあり方の変化によって技術革新が進んだ」が誤り。「技術革新が進んだ」結果、 「社会のあり方の変化」が生じたのである。

大問2(漢字の読み書き+書の知識)

〈解答〉

問(一)

①わざわ ②あ ③くったく ④きてき ⑤燃 ⑥祝 ⑦豆乳 ⑧満潮問

問(二)

福・統

〈解説〉

問(一)

「災(い)」・「編(む)」・「屈託」・「汽笛」の読みが出題。

問(二)

「礻(しめすへん)」と「糸(いとへん)」の筆順が変化している。

大問3(文学的文章)

青山文平『本売る日々』からの出題です。

〈解答〉

問(一)エ

問(二)門外不出の、秘伝(の本。)

問(三)口訣集を返さなかった自分を貶める必要はないということ。問(四)ウ

問(五)しかし、そ

問(六)口訣集を本にして広めることで、医が進歩し患者が救われると考えているから。

〈解説〉

問(一)慣用句(選択肢)

「世の中に、こんな人物が存在しているのが信じられ」ず、「唖然とし」ながら「先生の横顔を見つめ」ていることから、「じっと見つめる」という意味を表す「穴の開く」が答え。

その他の選択肢は、「血眼になる」、「指をくわえる」、「息をのむ」。

問(二)内容読解(抜き出し)

先生は、「西島晴順が持っていたほうが、世の中の役に立つ」と言って、口訣集を受け取らなかった。さらに「写経のように、何回も写す者も少なく」ないと述べる。それに対して私は、「門外不出の、秘伝ではないのか」と驚愕している。

問(三)内容読解(30字記述)

「この口訣集を西島晴順に戻すのは、もう、このことで自分を貶める必要はないという徴」だと先生は述べている。「このこと」とは西島が自分は口訣集を返さずに盗んでしまったと感じていることを指す。

問(四)心情理解(選択肢)

「それだけ正しく伝えようとしつづけるには、並大抵ではない根気が要ります」という「先生の労い」からもわかるように、「私」は「西島晴順から聞いた話」を先生に伝えることに心を砕き、疲労感を覚えた。しかし、先生が本を受け取ってくれないことがわかり、事が上手く運ばなかったことで「疲れが、またじわっと広がった」のである。

問(五)内容読解(抜き出し)

「この国のありのまま」とは、具体的に「一子相伝とか、なんとか伝授とか、なになにの奥義とか、そういう仕組み」のことを指す。さらにその直後でそうした仕組みがもたらす害を指摘している。

問(六)理由説明(40字記述)

先生は口訣集を秘伝としてしまうと、「医は進歩」せず、「患者は救われ」ないと考えている。そうした意味で、「口訣集を私が本にして、広め」るという案は先生の考えと一致している。

大問4(古文)

王安石『仲永を傷む』からの出題です。

〈解答〉

問(一)不レ如レ愚

問(二)ウ

問(三)人から受ける教育が不十分だったから。

問(四)

①才能のある人でなくなる

②b努力 c教育

③ア

〈解説〉

問(一)返り点(記述)

不は打消を表し、「ず」と平仮名で書き下す。下から直前の字に返って読む場合は、「レ点」を用いる。

問(二)指示内容(選択肢)

ア・イ・エは「通悟」を指す。ウのみ「人に受くるもの」を指す。

問(三)理由説明(記述)

「これ衆人となるは、すなはちその人に受くるもの至らざればなり」から考える。あるいは、「かつ衆人となる」の直前部分「これを人に受けざれば」に注目してもよい。

問(四)

①内容読解(15字記述)

文章Ⅰでは、「才子は才子でなくなり」と述べ、文章Ⅱでは「つひに衆人となる」と述べている。

②内容読解(2字記述)

b文章Ⅰは才子と愚者における努力の差に焦点を当てている。 c文章Ⅱは「人に受くるもの」を重視している。

③内容読解(選択肢)

文章Ⅰでは、「少年時代に才子であった者は、何もしなければ愚者にかなわなくなる」と述べていることから考える。

大問5(作文)

〈解答例〉(240字以内)

資料Aから、今後日本の総人口に対する65歳以上の人口割合が増加していくことがわかる。  そうした状況において、理想とする未来の社会は、誰もが暮らしやすい、助け合う社会だと考え

る。先日のニュースで、ヤングケアラーや老老介護の問題が取り上げられていた。少子高齢化が進み、平均寿命が延びていくなかで、個人や家族が社会から孤立しないようなサポートが重要になってくる。町内会による相互の見守りなど、地域社会の協力体制を再構築するべき時がきているのではないだろうか。

〈解説〉

資料Aからは、少子高齢化が今後も進行していくことが読み取れる。アを選ぶなら解答例のような切り口が書きやすい。イの「新しい技術に支えられた、便利な社会」を選ぶなら、高齢者をサポートする技術について述べるとよいだろう。

資料Bからは、シチュエーションの違いはあれど、話すことに対して苦手意識を抱えている人が多いことがわかる。コミュニケーションが社会生活の根底にあることを前提に、コミュニケーションの場をどのように形作っていくかなどについて述べるとよい。

資料Cは、AIを題材にしている。イを選んで書くのが無難である。

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