2024年度兵庫県公立高校入試問題では、俳句に関する会話文・漢文・古文・文学的文章・論理的文章の5題構成になっています。
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記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
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大問1(俳句に関する会話文)
〈解説〉
問一、俳句の知識(記述)
【会話文】中の「眼前に広がる夏草を眺めながら、昔その地で戦った武士の姿に思いをはせている」がヒントにはなるが、句自体を知っていないと難しい。「武士」を表す「つわもの」が入る。
問二、表現技法(選択肢)
「句に『間』」を作る「や」は切れ字である。
問三、俳句の表現(選択肢)
傍線部③の直後に「季語がきわ立つ」とあるので、季語に焦点を当てている選択肢のアかウが答え。
「春雨や降るとも知らず」は、「春雨が降っているとも知らない」という意味。
問四、内容読解(選択肢)
Ⅲの句では、「友人と長く語り合い、別れぎわに友人があくびをし」という描写ができていないことになる。
問五、
(1)内容読解(選択肢)
アについて、「季語には『や』を付けるという俳句の原則」があることは本文からは読み取れない。ウについて、「春風」が吹けば必ず「ゆれる」という描写になるとは限らないので誤り。
エについて、「事の経緯を全部書いた」とまでは言えないので誤り。
(2)内容読解(選択肢)
ありきたりの情景になっていない句を選べばよい。ア・イ・ウはいずれもよくある春の情景を詠んだものになっている。
問六、内容読解(選択肢) 生徒Cは、「『冬の雨』を『春近し』にするのはどうかな」という「具体的なことばを用いた改善案を助言し」ている。また、その直後で、生徒A・B・D全員が納得している。
大問2(漢文)
邯鄲淳『笑林』からの出題です。
〈解説〉
問一、熟語の意味(選択肢)
傍線部①は「にわかに」と読んでいるので、「急に」という意味である。
アの「暴風」は「激しい」、イの「暴食」は「度を越している」、ウの「暴露」は「さらす」という意味。
問二、書き下し文(記述)
下から上に二字以上返って読む場合は一二点、下から直前の字に返って読む場合はレ点を用いる。
問三、動作主理解(選択肢)
a、門人に火をつけるよう催促しているのは「某甲」である。
b、文頭に「我」とあるので、発話者の「門人」が動作主だとわかる。
問四、内容読解(選択肢) 門人は、怒って「暗くて火種が探せないから火をつけてくれ」と言ったが、当然その火種がないので火をつけることはできない。そこにこの話の面白みがあるのである。
大問3(古文)
『古本説話集』からの出題です。
〈解説〉
問一、内容読解(選択肢)
「五月」は旧暦では夏。春は一月~三月、夏は四月~六月、秋は七月~九月、冬は十月~十二月である。
問二、語句の意味(選択肢)
「をかし」が「趣深い、すぐれている」という意味であることから考える。ここでの「手」は「筆跡」を表す。
問三、内容読解(2字記述)
1つの言葉に同音の2つの意味を持たせる掛詞が問われている。
「ます鏡」の「ます」には、「増す」と「真澄」の2つの意味がある。
問四、理由説明(選択肢)
「今日までと見るに涙のます鏡馴れにし影を人に語るな」の現代語訳ができれば難なく解けるが、なかなか難しい。
まずは、「いみじくあはれに覚えて、うち泣きて」という表現から、アの「恐ろしく感じた」とイの「感服した」が誤りだと判断しよう。
あとは、エの「言葉にできない」に注目するとよい。「言葉にできない」のは詠み手だが、和歌では 「人に語るな」となっているので誤りだとわかる。
大問4(文学的文章)
髙森美由紀『藍色ちくちく』からの出題です。
〈解説〉
問一、漢字の読み(記述)
「透けて」・「粗い」・「施し」の読みが出題。
問二、付属語(記述)
「間違えたところの糸を引き抜いている」の付属語の数を答える。付属語は、単独では意味を表せない語のこと。
「た」・「の」・「を」・「て」の4つが答え。
問三、語句の意味(選択肢)
「ろくに」と「寸法」の言葉の意味が出題。
問四、心情説明(選択肢)
より子さんは綾を見て初心を思い出し、「家族の着物っこさ刺してせ、喜んでもらえるのは嬉しかった」と「アッパは擦り切れるまで着てけだもんで、我は大満足だったし、友だちともおしゃべりしながら刺すのは本当に楽しかった」と言っている。
問五、内容読解(選択肢)
綾は、「家族や大切な人に温かな着物を着せたい。どうせなら色や柄を楽しみたい」という「想い」があって、「だから菱刺しをやっている間じゅう、満たされてい」た。
だがその一方で、「父がどう思うかなんて考え」ずに言葉で父を傷つけてしまったことについて悩んでいる。
問六、内容読解(選択肢)
「調査票の折り目を丁寧に伸ばす」動作からは、自身の進路に改めて真剣に向き合おうとしている様子が読み取れる。
アかイに絞れるが、イは「短時間で高度な技法を習得した」が誤りなので、正解はア。
問七、内容読解(抜き出し)
「素直に自分の気持ちを言えない」ことが表れている綾の発言を探す。
菱刺しには「家族や大切な人に温かな着物を着せたい」という想いがあるので、当然綾は「菱刺しを施したネクタイ」を父に締めてほしいはずである。
その想いとは逆のことを述べている、「気に入らなかったら、無理にしてかなくていいから。」が答え。
問八、心情説明(選択肢)
アは、「父親の過去の言動を許す気持ちを伝えられた」が誤り。ウは、「日頃の苦労をねぎらう気持ちを伝えられた」が誤り。 エは、全体が誤り。
大問5(論理的文章)
佐藤仁『争わない社会』からの出題です。
〈解説〉
問一、漢字の書き取り(選択肢)
A
「採用」の「採」を含むものを選ぶ。
アは「祝祭」、イは「俊才」、ウは「伐採」、エは「根菜」。
B
「有機」の「機」を含むものを選ぶ。
アは「喚起」、イは「機関」、ウは「発揮」、エは「危急」。
C
「普段」の「段」を含むものを選ぶ。
アは「階段」、イは「果断」、ウは「談笑」、エは「暖房」。
問二、修飾関係(抜き出し)
「やがて」→「成熟し」・「長い時間を経て」→「展開してきた」という構成になっている。
問三、語句の意味(選択肢)
「市民権を得た」の意味を選ぶ。
問四、内容読解(選択肢)
指示語の内容を答える問題。
「農村における伝統社会の息苦しさを打破しようとする内側からの動きと、国家と国民とを一対一でつなげようとする外側からの働きかけ」によって生まれた、「社会における個人の役割を大きくする一方、近隣住民の助け合いを基盤にした、社会の中の共同的な要素を抑制する傾向」のことを指す。
問五、理由説明(抜き出し)
江戸時代までの社会について述べている箇所を探す。
傍線部④の直前で、「家や村を生きる基盤にしてきた日本人」と述べられている。
問六、内容読解(選択肢)
「個人の存在が急激に前景化した」潮流は、2つある。
1つは、政府による働きかけである。「明治政府は、それまで全国各地の藩に任されていた統治を一元的に行う各種のシステムを導入した」。
もう1つは、『西国立志論』のような、「個人の成功を、外部に頼らずに、内なる努力と工夫による独立した精神で成し遂げる重要性を訴えた作品」が広く受け容れられたことである。
「個人を前面に出す傾向は国が一方的におしつけたものではな」かった。
問七、内容読解(選択肢)
アについて、「その利益は国家により個人に還元されるべきである」が本文にない内容なので誤り。
イについて、「国家の制度」が「個々人を尊重する」ものでなければならないという記述は本文にない。
エについて、「個人の努力によって社会の自由と権利は保障されるべき」だとは本文では述べられていない。
問八、内容読解(抜き出し)
「この疑問」とは、直前の「合理的な個人は、なぜ自分の利益を犠牲にしてまで互いに協力することがあるのだろうか」を指す。
「互いに協力すること」は、「集団の効用を優先する」と言い換えることができる。
問九、内容読解(選択肢)
「現代社会の諸集団の特徴」とは、直前の「対外的な競争と対内的な協力が重層的に織り込まれている」ことを指す。 この「重層的」という言葉を説明すればよい。本文でも例に挙げられているように、共同体のレベルが「社員」・「部署」・「会社」となるにつれ、競争相手も変容していく。「部署」レベルでは敵同士だったとしても、「会社」レベルでは協力相手になるように、外と内とが複雑に織り混ざっているというのである。