面接の入退室マナー|基本の流れと注意点大学入試の面接において、入退室のマナーは「面接の一部」として評価されています。面接室に入る瞬間から退室するまで、すべてが観察対象です。どれだけ優れた回答を準備していても、入退室のマナーが不適切であれば、面接官に悪い印象を与えてしまいます。本記事では、面接の入退室における正しい手順と注意点を、ステップごとに詳しく解説します。初めての面接でも自信を持って臨めるよう、具体的な動作とタイミングを完全マスターしましょう。
1. 入退室マナーが重要な理由
面接における入退室は、単なる移動動作ではありません。面接官は、受験生の入退室の様子から、基本的なマナーが身についているか、緊張をコントロールできているか、そして他者への配慮があるかを観察しています。
心理学の研究によれば、人間が他者に対して抱く第一印象は、最初の7秒で決まるとされています。面接室に入る瞬間は、まさにこの「最初の7秒」に該当します。ノックの仕方、ドアの開け方、お辞儀の角度、歩き方、声のトーンなど、すべてが第一印象を形成する要素です。適切な入室マナーを実践することで、面接官に「この学生はしっかりしている」という好印象を与えることができます。
また、退室のマナーも同様に重要です。心理学には「親近効果」という概念があり、最後に見聞きした情報が記憶に強く残るとされています。面接が終わった後の退室の様子が丁寧であれば、面接全体の印象が良くなり、逆に退室時に気を抜いてしまうと、それまでの良い印象が損なわれる可能性があります。
さらに、正しい入退室マナーを身につけることは、自分自身の心理的な安定にもつながります。何をすべきか明確に理解していれば、緊張していても自動的に体が動き、落ち着いて面接に臨むことができます。逆に、マナーに不安があると、面接中も「入室の仕方は正しかっただろうか」と気になってしまい、集中力が低下してしまいます。
ポイント: 入退室は「面接の序章と終章」です。この部分を完璧にこなすことで、面接全体の印象が格段に向上します。
2. 入室前の準備と心構え
【控室での過ごし方】
面接は控室に入った時点から始まっていると考えましょう。控室では、静かに座って待機し、スマートフォンの電源は必ず切っておきます。マナーモードではなく、完全に電源を切ることが重要です。他の受験生と大声で話したり、笑ったりすることは避け、落ち着いた態度を保ちましょう。
控室では、最終確認を行う時間として有効活用します。志望理由や想定質問への回答を頭の中で整理し、深呼吸をして心を落ち着けます。ただし、資料を広げて勉強するような行為は避け、静かに座って心の準備をすることに専念しましょう。
【呼ばれたときの対応】
係員から名前を呼ばれたら、「はい」とはっきりと返事をします。小さな声やあいまいな返事は避け、明るく元気な声で応答しましょう。立ち上がる際は、椅子を引きずったり、大きな音を立てたりしないよう注意します。荷物は忘れ物がないよう確認し、コートや傘は指定された場所に置いてから面接室に向かいます。
【面接室の前で】
面接室のドアの前に到着したら、一度深呼吸をして心を落ち着けます。服装の最終チェックを行い、ネクタイやスカートの乱れがないか確認しましょう。携帯電話の電源が切れているか、再度確認します。姿勢を正し、自信を持った表情を作り、準備が整ったらノックをします。
注意: 面接室の前で長時間立ち止まったり、ドアに耳を近づけて中の様子を探ったりすることは厳禁です。準備が整ったら速やかにノックしましょう。
3. 入室の正しい手順
ステップ1: ノックを3回する
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ステップ2: 「どうぞ」の返事を待つ
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ステップ3: 「失礼します」と言ってドアを開ける
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ステップ4: 入室してドアを静かに閉める
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ステップ5: ドアの前で一礼する
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ステップ6: 椅子の横まで歩く
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ステップ7: 挨拶と自己紹介をする
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ステップ8: 着席の指示を待って座る
ステップ1
ノックの正しい方法
ノックは3回が国際的なマナーです。日本では2回のノック(トイレノック)が習慣化していることもありますが、面接では必ず3回ノックします。ノックの強さは、はっきりと聞こえる程度で、強すぎず弱すぎない適度な音量を心がけます。リズムは「コン・コン・コン」と均等な間隔で行いましょう。
ステップ2
返事を待つ
ノックをした後は、必ず面接官からの「どうぞ」「お入りください」などの返事を待ちます。返事を聞かずに勝手にドアを開けることは重大なマナー違反です。もし返事が聞こえない場合は、もう一度軽くノックして確認しましょう。
ステップ3
「失礼します」と言う
返事を聞いたら、ドアを開ける前に「失礼します」と明瞭な声で言います。この声は面接官にしっかり届くよう、はっきりと発声しましょう。その後、ドアノブを静かに回してドアを開けます。
ステップ4
ドアの開閉
ドアを開ける際は、体を半分入れた状態で、ドアの方を向いてドアノブを持ちます。ドアを後ろ手で閉めたり、大きな音を立てて閉めたりすることは避けましょう。ドアは静かに、丁寧に閉めることが重要です。完全に閉まったことを確認してから、面接官の方を向きます。
ステップ5
ドアの前で一礼
ドアを閉めた後、その場で面接官の方を向き、「失礼します」と言いながら一礼します。お辞儀の角度は30度程度の敬礼が適切です。お辞儀の際は、背筋を伸ばし、腰から折るように丁寧にお辞儀をしましょう。
ステップ6
椅子の横まで歩く
お辞儀を終えたら、椅子の横(左側が一般的)まで歩きます。歩く速度は普通の速さで、急ぎすぎず、遅すぎないよう注意します。背筋を伸ばし、視線は面接官の顔の辺りに向けて、自信を持って歩きましょう。
ステップ7
挨拶と自己紹介
椅子の横に立ち、面接官と目を合わせながら、「〇〇高等学校の〇〇です。本日はよろしくお願いいたします」と挨拶をします。このとき、再度一礼をします。声は明るく、はっきりと、そして丁寧に話すことを心がけましょう。
ステップ8
着席
面接官から「どうぞお座りください」と指示があってから着席します。勝手に座ることは厳禁です。「失礼します」と言ってから、椅子の前に移動し、浅く腰掛けます。背もたれにもたれかからず、背筋を伸ばして座りましょう。男性は足を軽く開き、女性は膝を揃えて座ります。手は膝の上に軽く置き、バッグは椅子の横(足元)に置きます。
よくある失敗: ノックが2回だった、ドアを後ろ手で閉めた、お辞儀が浅すぎた、挨拶の声が小さかった、着席の指示を待たずに座った―これらは減点対象となる典型的なミスです。
4. 面接中の姿勢と態度
入室後、面接が始まってからの姿勢と態度も重要です。正しい入室マナーを実践した後も、気を抜かずに面接に臨みましょう。
【座っているときの姿勢】
椅子に座っている間は、常に背筋を伸ばし、背もたれにもたれかからないようにします。猫背になったり、体を左右に揺らしたりすることは避けましょう。手は膝の上に軽く重ねて置き、手を組んだり、机に肘をついたりしないよう注意します。足は男性の場合は肩幅程度に開き、女性の場合は膝を揃えます。足を組んだり、貧乏ゆすりをしたりすることは厳禁です。
【視線と表情】
面接官の目を見て話すことが基本ですが、じっと見つめすぎるのも不自然です。面接官の目から鼻の辺りを見るようにすると、自然な視線になります。複数の面接官がいる場合は、質問をした面接官を中心に見ながら、時々他の面接官にも視線を向けましょう。表情は柔らかく、適度な笑顔を心がけます。緊張で顔がこわばらないよう、時々口角を上げることを意識しましょう。
【話し方と声のトーン】
声は明るく、はっきりと、そして適度な大きさで話します。小声でぼそぼそと話すのは印象が悪いですが、大声で話すのも不自然です。面接官が聞き取りやすい音量を心がけましょう。話す速度は少しゆっくり目が適切です。緊張すると早口になりがちなので、意識的にゆっくり話すようにします。
リラックスのコツ: 面接中に緊張してきたら、深呼吸をしたり、肩の力を抜いたりすることを意識しましょう。適度にリラックスすることで、自然な表情と話し方ができます。
5. 退室の正しい手順
面接が終了したら、退室のマナーも入室と同様に丁寧に行います。「終わった」という安心感から気を抜きがちですが、最後まで気を引き締めて退室しましょう。
ステップ1: 面接終了の合図を受ける
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ステップ2: 座ったまま一礼してお礼を言う
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ステップ3: 立ち上がって荷物を持つ
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ステップ4: 椅子の横で再度お礼と一礼
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ステップ5: ドアまで歩く
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ステップ6: ドアの前で振り返り一礼
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ステップ7: ドアを静かに開閉して退室
【面接終了の合図】
面接官から「以上で面接を終わります」「これで終了です」などの言葉があったら、面接終了の合図です。このとき、座ったままの姿勢で「ありがとうございました」と言いながら一礼します。お辞儀の角度は30度程度が適切です。
【立ち上がり】
お礼を言った後、静かに立ち上がり、椅子は引かずにそのままにしておきます。荷物を持ち、椅子の横に立ちます。このとき、慌てて荷物を落としたりしないよう、落ち着いて動作しましょう。
【椅子の横で再度お礼】
椅子の横に立ち、面接官の方を向いて、再度「本日はお時間をいただき、ありがとうございました」と丁寧にお礼を述べます。そして、深く一礼します。この一礼は、入室時よりもやや深めの45度程度のお辞儀が望ましいです。
【ドアまで歩く】
お礼と一礼を終えたら、ドアまで歩きます。歩く速度は普通の速さで、急ぎすぎないよう注意します。背筋を伸ばし、最後まで良い姿勢を保ちましょう。
【ドアの前で振り返り】
ドアの前に到着したら、面接官の方を振り返り、「失礼します」と言いながら最後の一礼をします。このお辞儀も丁寧に、心を込めて行いましょう。
【ドアの開閉と退室】
一礼を終えたら、ドアを静かに開けます。入室時と同様、ドアの方を向いてドアノブを持ち、静かにドアを閉めます。最後まで丁寧な動作を心がけ、ドアを勢いよく閉めたり、後ろ手で閉めたりしないよう注意しましょう。ドアが完全に閉まったことを確認してから、退出します。
最後の注意: 退室後、廊下を歩くときも気を抜かないこと。面接官や他の教職員に会った場合は、軽く会釈をしましょう。建物を出るまでが面接です。
まとめ
面接の入退室マナーは、面接全体の印象を大きく左右する重要な要素です。本記事で紹介した5つのポイント―入退室の重要性の理解、入室前の準備、正しい入室手順、面接中の姿勢、そして丁寧な退室―をマスターすることで、自信を持って面接に臨むことができます。
入退室マナーの習得には、練習が不可欠です。家族や友人に協力してもらい、実際に入退室の動作を何度も練習しましょう。最初はぎこちなく感じるかもしれませんが、繰り返し練習することで、自然に体が動くようになります。本番では緊張していても、練習で身につけた動作が自動的に出るようになるのです。
また、入退室マナーは「形式的な儀礼」ではなく、「相手への敬意の表現」であることを忘れないでください。面接官や大学への感謝の気持ち、そして真剣に学びたいという熱意を、入退室の動作を通じて示すのです。心を込めた丁寧な動作は、必ず面接官に伝わります。
面接は緊張するものですが、正しい入退室マナーを身につけていれば、最初と最後の印象を良くすることができます。「最初が良ければ半分成功」「終わり良ければすべて良し」という言葉があるように、入退室を完璧にこなすことで、面接全体の成功につながります。本記事で学んだマナーを実践し、自信を持って面接に臨んでください。あなたの真摯な態度が、必ず面接官の心に届くはずです。



