
記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
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スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
医師のボーナスの現状
「医者は高収入」と言われるように、医師の給与水準は他の職業と比較して高いことで知られています。しかし、ボーナス(賞与)に関しては、月給ほどには高額でない傾向があります。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、医師のボーナスの全国平均は年間で117.8万円とされています。月給が平均105万円程度であることを考えると、ボーナスはそれほど高額ではないことがわかります。
ただし、医師のボーナスは勤務先の種類、規模、年齢、性別、役職などによって大きく異なります。また、年俸制で働いている場合はそもそもボーナスがない場合もあるのです。
医師のボーナス平均額
男女別の平均額
厚生労働省の資料によると、医師のボーナスの男女別平均額は以下のようになっています:
- 男性医師:年間124.1万円(平均年齢47.2歳、平均勤続年数7.9年)
- 女性医師:年間97.4万円(平均年齢40.6歳、平均勤続年数5.0年)
女性医師のボーナス平均額が男性医師より低い理由としては、平均年齢が若く、勤続年数が短いことが影響していると考えられます。
年代別の平均額
年代別に見ると、医師のボーナスは30代から急激に増加する傾向があります。これは研修期間を終えて本格的に医師として働き始める時期と一致しています。
20代医師(25〜29歳)のボーナス平均額は約30万円ですが、30代になると50万円〜100万円以上に増加します。40代では150万円以上、50代では200万円を超えることもあります。
特に大規模病院(従業員1,000人以上)では、50代〜60代前半の医師のボーナス平均額が年間240万円以上になるケースもあります。
医療機関の規模別比較
医療機関の規模によってもボーナスの額は変わります:
- 従業員5〜9人規模:約23万円
- 従業員10〜99人規模:約39万円
- 従業員100〜999人規模:約111万円
- 従業員1,000人以上規模:約146万円
大規模な病院ほどボーナスが高額になる傾向がありますが、必ずしも規模が大きいほど高額になるわけではありません。例えば従業員100〜999人規模の病院が最も年収が高くなるという結果も出ています。
ボーナスがない場合もある?
年俸制の病院
医師の給与体系として「年俸制」を採用している病院では、ボーナスが設定されていないケースが一般的です。年俸制では、あらかじめ決まった年間報酬額を12で割った金額が毎月支給されるため、ボーナスという考え方がありません。
医師の転職調査によると、勤務先にボーナス制度がないと答えた医師は約半数(49.2%)に上ります。特に、クリニックなどの小規模医療機関や、年俸制を採用している病院では、ボーナスがないケースが多いようです。
支給条件による違い
ボーナスの支給には、一定の条件が設けられていることも少なくありません。例えば:
- 勤続1年以上のスタッフが対象
- 勤続半年以上で規定の1/2を支給
- 支給日に在籍していることが条件
また、病院の業績によってボーナスの支給額が変動したり、経営悪化によって減額されたりすることもあります。2020年には新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの医療機関がボーナスを引き下げました。
医療機関によるボーナスの違い
国公立病院
国公立病院で働く医師は公務員の扱いになり、給与やボーナスは公務員法で定められています。そのため、民間病院に比べると若干抑えられる傾向があります。
30代半ばの国公立病院医師のボーナスは、80万円から100万円程度と言われています。ただし、公務員としての安定性や充実した福利厚生を考えると、総合的な待遇は悪くないと言えるでしょう。
民間病院
民間の大規模総合病院では、基本的に若手医師の年収は低めですが、30代半ば以降に給与が大きく上昇する傾向があります。
これに伴いボーナスも増加し、多くの場合100万円を超え、役職が付くとさらに増額します。ただし、総合病院では医師数も多く、役職を得るための競争も激しくなります。
クリニック
クリニックでのボーナスは医療機関ごとに大きく異なります。一般的な目安としては、基本給の2〜3ヶ月分程度と言われています。
例えば、基本給が20万円のクリニックで、ボーナスの基準が「基本給の3ヶ月分」の場合、60万円のボーナスとなります。ただし、クリニックの業績や医師の貢献度などによって調整されることも多いです。
医師がボーナスを増やす効果的な3つの方法
同じ勤務先で長く働く
データから明らかなように、医師のボーナスは勤続年数に比例して増加する傾向があります。キャリア形成のために転職をすることは珍しくありませんが、ボーナスの増額を目指すなら、ある程度落ち着いて働ける病院が見つかったら、そこで長く勤務することが効果的です。
勤続年数が長くなれば評価も上がり、ボーナスだけでなく退職金なども増えていきます。
役職に就く
長く勤務することで役職に就くチャンスも増えます。診療部長や副院長、院長などの役職に就任することで、ボーナスの支給額は大きく増加します。
役職者のボーナスは一般の医師と比べて1.5〜2倍になることもあるため、昇進を目指すことはボーナスアップの有効な手段と言えるでしょう。
実績がボーナスに反映される病院への転職
病院によっては、担当した患者数や手術件数、保有する資格などの実績がボーナスに反映される仕組みを持っているところもあります。そうした病院への転職を検討するのも一つの方法です。
転職を考える際は、転職エージェントに相談して、ボーナスの支給条件や実績が大きい病院を紹介してもらうと良いでしょう。ボーナスに関する条件交渉も依頼できます。
ボーナスに関するよくある質問
Q1: 派遣やパートの医師にもボーナスはありますか?
A: 病院によって異なりますが、派遣やパートには賞与を支給しないのが一般的です。特に扶養範囲内で働いている場合、ボーナスを支給すると扶養から外れる可能性があるため、支給されないことが多いです。ただし、少額の寸志として支給されることもあります。
Q2: 新卒医師にもボーナスは支給されますか?
A: 雇用契約書にボーナスの記載があれば支給されますが、新卒の場合は支給対象外か、支給されても0.3ヶ月分程度であることが多いです。医師としての経験が浅いうちはボーナスも少なめになる傾向があります。
Q3: ボーナスは確定した権利ですか?
A: ボーナスは労働契約や就業規則で明確に定められていない限り、法的な支給義務はありません。病院の業績悪化などによって減額やカットされる可能性もあります。ただし、年俸制で「年俸額の3/15をボーナスとして支給する」などと規定されている場合は、支払い義務が生じます。
まとめ:医師のボーナス事情
医師のボーナスは平均して年間117.8万円程度ですが、勤務先の種類や規模、医師の年齢、性別、役職などによって大きく異なります。
ボーナスを増やすためには、同じ勤務先で長く働くこと、役職に就くこと、実績がボーナスに反映される病院に転職することなどが効果的です。
ただし、医師の仕事はハードで責任も重大です。ボーナスだけでなく、働きやすさやワークライフバランス、キャリア形成の可能性なども含めて総合的に職場を選ぶことが大切でしょう。
近年は医療機関の経営環境も変化しており、ボーナスも影響を受けています。転職を考える際には、給与体系やボーナスの支給条件をしっかり確認することをおすすめします。