記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
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【推薦入試】鹿屋体育大学 体育学部(小論文過去問題解説)
鹿屋体育大学 体育学部の入試傾向と特徴
鹿屋体育大学は、国内唯一の体育・スポーツ系国立大学として、鹿児島県鹿屋市に位置しています。その入試には、他の一般的な国公立大学と大きく異なる独自の特徴があります。
共通テストの科目構成
鹿屋体育大学の一般選抜における共通テストは、英語・数学・国語の3科目構成となっており、科目数が他の国公立大学と比較して少ない点が特徴です。そのぶん、各科目で高得点を取ることへの要求水準が高く、苦手科目をつくらない盤石な基礎力が求められます。
実技試験・運動能力検査
スポーツ総合課程の学生には、運動能力検査が課されます。具体的には、自転車エルゴメータ(有酸素性作業能力)・垂直跳び・リバウンドジャンプ・敏捷性テストの4要素から構成されており、受験生の身体的能力を多角的に評価します。スポーツ競技の実績だけでなく、科学的に測定された運動能力が合否に影響するため、日頃からのフィジカルトレーニングが欠かせません。
学校推薦型選抜における小論文
学校推薦型選抜では小論文が課されます。スポーツ科学・健康・身体に関するテーマが出題される傾向にあり、単なる意見論述だけでなく、具体的な知識や科学的根拠に基づいた論理的な記述が求められます。体育・スポーツ・健康科学に関する幅広い知識を事前にインプットしておくことが合格への近道です。
面接・プレゼンテーション
一部の課程・系では、プレゼンテーションや口頭試問が入試に含まれます。自分の考えをわかりやすく伝えるコミュニケーション能力と表現力が問われるため、論文対策と並行して面接練習も行うことが重要です。スポーツへの熱意や将来のビジョンを具体的に語れるよう準備しておきましょう。
募集コースについて
体育学部(定員数:170人)では、体育・スポーツ・レクリエーション・武道に関する科学的な基礎知識と幅広い応用力、実技の指導能力を持つ体育指導者の養成を目指しています。スポーツ総合課程(アスリート・コーチング系、生涯スポーツ系)と武道課程(武道系)の2課程・3系が設置されており、所定の科目を履修することで中学・高校教諭一種(保健体育)の免許の取得も可能です。
- スポーツ総合課程(定員数:120人):体育・健康づくりに関する基礎知識や応用能力を備えたトップレベルのアスリートの育成を目指す。アスリート・コーチング系では競技力向上と一貫した指導(コーチング)を、生涯スポーツ系では生涯にわたるスポーツ・健康づくりのコーディネートを学ぶ。
- 武道課程(武道系):武道の実技・理論・指導法を体系的に学び、武道文化の継承と発展を担う人材を養成する。
所在地:鹿児島県鹿屋市白水町1 / アクセス:「鹿児島中央」駅から大隅半島直行バス(垂水フェリー経由)100分、「鹿屋体育大学前・白水」下車徒歩3分
小論文過去問題(令和5年度 学校推薦型選抜)
問題文
競技スポーツにけがはつきものです。けがの具体例を二つ挙げ、それぞれのけがが起こる原因、予防するために必要な取り組みについて述べなさい。
540字以上かつ660字以内で解答してください。(試験時間:60分)
出題意図の分析
この問題は、競技スポーツにおけるけがのリスクに関する知識と、それを予防するための対策についての理解を試すものです。体育学部の学生として、以下の3点を論文の中で示すことが求められています。
- けがの具体例の理解:競技スポーツ中に実際に起こりうる具体的なけが(捻挫・前十字靭帯損傷など)を挙げ、そのメカニズムを説明できること。
- 原因の説明:各けががなぜ・どのような状況で起こりやすいのかを論理的に説明できること。
- 予防策の提案:ウォーミングアップ・筋力トレーニング・プロテクティブギアの使用など、科学的根拠に基づく予防策を具体的に述べられること。
スポーツ医科学的な観点からの知識があるかどうかを問うとともに、体育学部生としての健康・安全への意識の高さも評価されます。単なる体験談ではなく、科学的・論理的に記述することが高得点のポイントです。
小論文対策ポイント(鹿屋体育大学 体育学部)
①字数設定の意図を理解する
「540字以上660字以内」という字数設定は、漠然とした意見ではなく、具体性と論理性を持った記述を求めているサインです。2つのけが例についてそれぞれ「原因」と「予防策」を記述するという構成上、1つあたり約200〜250字程度の分量を確保することになります。字数を均等に配分しながら、情報の抜け漏れがないよう構成を事前に設計することが重要です。
②「具体例→原因→予防策」の論理構成を徹底する
設問では「①けがの具体例を2つ挙げる」「②それぞれの原因を説明する」「③予防策を述べる」という3ステップが明示されています。この構成を崩すと、採点上マイナスになります。答案を書く前に必ずメモや構成表を作成し、論理の流れが途切れないよう整理してから書き始めましょう。
③スポーツ科学の知識をインプットしておく
鹿屋体育大学の小論文では、スポーツ医学・スポーツ科学・健康科学に関する専門的な知識が問われます。代表的なスポーツ障害(捻挫、肉離れ、疲労骨折、前十字靭帯損傷、野球肘など)の原因・症状・予防策については事前に整理しておきましょう。また、オーバートレーニング症候群やバーンアウト(燃え尽き症候群)など、精神的なけがに関する知識も押さえておくと差別化できます。
④自身のスポーツ経験を根拠として活用する
体育学部の推薦入試の小論文では、受験生自身のスポーツ体験を論拠として用いることが効果的です。「自分が〇〇競技で捻挫を経験した際、その原因はウォーミングアップ不足にあった」など、実体験に基づいた記述は説得力を高めます。ただし、体験談に終始せず、科学的な観点や普遍的な予防策の提案へとつなげる構成が必要です。
⑤予防策は「具体的な行動」として記述する
「ウォーミングアップが大切」「適切なトレーニングが必要」といった抽象的な表現では評価が上がりません。「試合前に10分間の動的ストレッチを行い、関節可動域を広げる」「大腿四頭筋とハムストリングスのバランストレーニングを週3回実施する」など、具体的かつ実践可能な内容で記述することを心がけましょう。
小論文過去問題 解説・解答例
解答のポイント整理
けが例①:捻挫(足関節捻挫)
原因:捻挫は、スポーツ中に足首や関節を急激にねじることで、靭帯が過度に引き伸ばされたり断裂したりすることで発生します。バスケットボールやバレーボールなど、ジャンプ後の着地時や急激な方向転換が多いスポーツで特に多く見られます。グラウンドや床の状態、シューズの適合性なども誘因となります。
予防策:適切な動的ウォーミングアップとストレッチによる関節可動域の確保、足首周囲の筋力強化トレーニング(バランスボードを用いたトレーニングなど)、テーピングやアンクルサポーターの使用、さらにスポーツに適した靴の選択が重要です。
けが例②:膝の前十字靭帯(ACL)損傷
原因:膝の前十字靭帯損傷は、サッカーやアメリカンフットボールなど接触の多いスポーツで多く見られます。急激な方向転換・急停止・ジャンプ後の不適切な着地などの際に、膝関節に大きな剪断力がかかることで発生します。特に女性アスリートは男性と比較してACL損傷リスクが高いことも科学的に示されています。
予防策:大腿四頭筋・ハムストリングスのバランス強化、正しい着地フォームの習得(膝を内側に入れない「ニーイン」を避ける)、コーチや専門家による動作分析と指導、ACL予防プログラム(例:FIFA11+)の導入などが有効です。
解答例(約580字)
競技スポーツにはけがのリスクが常に伴う。以下に、代表的なけがを二つ取り上げ、それぞれの原因と予防策について述べる。
一つ目は、足関節捻挫である。捻挫とは、スポーツ中に足首を急激にねじることで、靭帯が過伸展または断裂する外傷である。バスケットボールやバレーボールでは、ジャンプ後の着地時や急な方向転換の際に足首が内側に折れやすく、捻挫が生じやすい。原因としては、着地フォームの乱れ、ウォーミングアップ不足による関節の硬直、グラウンドや床面の凹凸なども挙げられる。予防策としては、試合や練習前に動的ストレッチを十分に行い、関節可動域を確保することが重要である。また、バランスボードを使った足首周囲筋の強化訓練や、テーピング・アンクルサポーターの着用、スポーツ種目に適したシューズの選択も効果的な予防につながる。
二つ目は、膝の前十字靭帯(ACL)損傷である。これは、サッカーやバスケットボールなど急激な動作変換が多い競技で頻繁に起こる重篤な外傷であり、復帰まで長期間を要することが多い。急な方向転換・急停止・不適切な着地動作によって膝関節に大きな負荷がかかることが主な原因である。特に、着地時に膝が内側に入る「ニーイン」と呼ばれる誤った動作パターンは損傷リスクを高める。予防策としては、大腿四頭筋とハムストリングスのバランスを整える筋力トレーニング、正しい着地フォームの習得と反復練習、そしてコーチや専門トレーナーによる動作分析・指導が重要である。FIFA11+などの科学的根拠に基づく予防プログラムの導入も有効である。
以上のように、競技スポーツにおけるけがを予防するためには、科学的な知識に基づいたトレーニングと適切な準備が不可欠である。選手自身が予防意識を持ち、専門家と連携しながら安全なスポーツ環境を整えることが、長期的な競技活動の継続につながると考える。
2026年度 鹿屋体育大学 体育学部 予想問題
予想問題①
課題文
近年、アスリートのメンタルヘルスへの関心が高まっている。2021年の東京オリンピックでは、一部のトップアスリートが大会直前にメンタルヘルス上の理由から棄権・辞退を表明し、世界的な議論を呼んだ。スポーツにおける精神的健康の問題は、かつては「根性が足りない」「弱い」と否定的に捉えられることもあったが、現在ではスポーツ医学・心理学の観点から、メンタルヘルスはフィジカルヘルスと同様に重要なものと位置付けられている。オーバートレーニング症候群やバーンアウト(燃え尽き症候群)など、精神的負荷から生じる問題はアスリートのキャリアに深刻な影響を与える。指導者・コーチ・チームスタッフが選手のメンタルヘルスを適切にサポートするためには、科学的な知識と環境づくりの両面からのアプローチが求められる。(約350字)
設問
- アスリートのメンタルヘルスに影響を与える要因を具体的に二つ挙げ、それぞれの要因について説明しなさい。
- 指導者やチームスタッフがアスリートのメンタルヘルスをサポートするために必要な取り組みについて、あなたの考えを述べなさい。
(540字以上660字以内・60分)
予想問題②
課題文
スポーツにおけるテクノロジーの活用は近年急速に進んでいる。ウェアラブルデバイスによる心拍数・睡眠・運動量のリアルタイムモニタリング、映像解析によるフォーム改善、AIを活用した戦術分析など、データサイエンスがスポーツの現場に浸透しつつある。これらのテクノロジーは選手の競技力向上やけが予防に大きく貢献している一方で、データへの過度な依存による選手の自律性の喪失、プライバシーの問題、テクノロジーを活用できる環境にある選手とそうでない選手の格差拡大など、新たな課題も指摘されている。スポーツ指導者や体育の専門家として、テクノロジーとどのように向き合うべきかが問われている時代と言える。(約340字)
設問
- スポーツにおけるテクノロジー活用のメリットとデメリットをそれぞれ一つずつ挙げ、説明しなさい。
- テクノロジーを活用しながらも選手の主体性や人間的成長を損なわないためには、指導者としてどのような姿勢が必要か、あなたの考えを述べなさい。
(540字以上660字以内・60分)
予想問題①解答例(約560字)
アスリートのメンタルヘルスに影響を与える要因として、以下の二つを挙げる。
一つ目は、オーバートレーニングによる心身の疲弊である。オーバートレーニング症候群とは、過度なトレーニング負荷が継続することで、身体的な疲労だけでなく精神的な消耗も引き起こす状態を指す。競技成績の停滞・意欲の低下・睡眠障害などが現れ、最悪の場合はバーンアウトへとつながる。特に結果を強く求められるエリートアスリートほど、自らのコンディション悪化を訴えにくい環境に置かれやすく、問題が深刻化しやすい傾向がある。
二つ目は、SNSや外部からの過度なプレッシャー



