戦略的学習力とは?2030年に必要とされるスキル1位!

大学受験
  • 戦略的学習力とは
  • なぜ戦略的学習力が必要とされるのか
  • 学校現場でも重要となってくる力
  • 戦略的学習力の身につけ方

この記事を読んでくれている高校生の皆さんが大学を卒業して仕事につくのは、およそ5年から7年後、つまり2030年前後となります。

2030年には、テクノロジーの進展はますます加速し、人々の考え方もより多様になって、先を見通すことが難しい世の中になっていることでしょう。

そんな時代への分析から「2030年に仕事で必要なスキル第1位」として選ばれたのが、今日お話ししていく「戦略的学習力」です。

戦略的学習力とは何なのか、なぜ戦略的学習力が必要とされるのか、学校でも重要な戦略的学習力、どうしたら戦略的学習力が身につくのか、といった内容を解説していきます。

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

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戦略的学習力とは

急速に技術が進化し、社会が変化していく中で、私たちはどのようなスキルや知識を身につけるべきなのか。

このような観点から、2017年にイギリスオックスフォード大学のマイケル・オズボーン教授は、2030年に必要となるスキルを分析し、「スキルの未来(THE FUTURE OF SKILLS, EMPLOYMENT IN 2030)」という論文を発表しました。

その内容は、AI やロボット技術の進歩に加えて、グローバル化・高齢化・都市化・環境問題などが職業や雇用に与える影響を総合的に分析し、2030年に必要とされるスキルや知識を順位づけしたものです。

下図が、アメリカで2030年に必要とされるスキルの上位20位です。

図表出典:先端教育オンライン
原出典:「THE FUTURE OF SKILLS, EMPLOYMENT IN 2030」Hasan Bakhshi,
Jonathan M. Downing, Michael A. Osborne, Philippe Schneider

前置きが長くなりましたが、ではこの第1位に選ばれた「戦略的学習力」とは、いったいどのようなスキルなのでしょうか。

戦略的学習力(Learning Strategies)とは、自分に必要な新しい知識やスキルは何かを戦略的に考え、効率的に学習し、習得する力のことを言います。

少し言い方を変えると、「状況の変化を読み取り、自分に最適な学習内容や学習方法を選択し、実行し続けていく力」ということです。

グローバル化がますます進行する中で、アメリカにおいて必要なスキルは日本人にとっても必要であろうことは想像に難くないでしょう。

では、なぜ2030年を生きる私たちに戦略的学習力が必要なのか、次章で考えていきましょう。

なぜ戦略的学習力が必要とされるのか

戦略的学習力とは、状況の変化を読み取り、自分に必要かつ最適な学習内容や学習方法を選択し、実行し続けていく力であるということはおわかりいただけたと思います。

ではなぜ、そのような力が必要なのでしょうか。

効率よく学ぶ時代へ突入している

2030年を待つまでもなく、すでに社会やテクノロジーは目まぐるしく変化しています。それに応じて、自分にとって必要な学習内容や最適な学習方法も次々と変わっていきます。

このような中で、深く考えず、その場しのぎに曖昧に学習内容や方法を決めたり、見通しを持たずに学習をし続けるというのは、あまりにも無駄が多い。時間も労力ももったいないのです。

個人が持つ時間や能力・労力には限りがあります。したがって、さまざまな技術・情報・知識・方法の中から何を選ぶべきなのか自分で考えて、効率的に学ぶ必要があるのです。

AIを使う側として戦略的学習力が必要とされる

2015年、オズボーン教授と野村総合研究所は、10〜20年後の日本の労働人口の約49%が就いている職業が機械で代替可能となる可能性が高いという研究結果を発表しました。

現在は複雑で高度とされる会計士や弁理士などの業務でさえも、80%以上の確率で機械化が可能と予測されています。

野村総合研究所は、AIやロボットに代替されない職業には「創造性的思考」「ソーシャル・インテリジェンス(社会的知性)」「非定型」という3つのスキルや知識が必要だと結論づけました。

これらのスキルはソフトスキルと呼ばれるものです。ソフトスキルは、AIやロボットに代替されにくく、むしろAIを使う側にとって必要なスキルとされています。

戦略的学習力には、学び続けていく力という定義が含まれていますが、学び続けていく力には、やり抜く力や困難に直面しても適応する力などのソフトスキルの要素が含まれます。

五十嵐塾長
五十嵐塾長

つまり、戦略的学習力はAIを使う側として必要なソフトスキルであり、この先の社会にどのような新しい変化が訪れたとしても、必要とされるスキルであると言えるのです。

学校現場でも重要となってくる力

状況の変化を読み取り、自分に必要かつ最適な学習内容や学習方法を選択し、実行し続けていく力である戦略的学習力は、もとは未来の職業において必要となるスキルとして提唱されたものですが、実はビジネスに限定された話ではありません。

高校生にとって具体的な例に落とし込んで、考えてみましょう。

大学入試改革で変化する入試内容

現在大学入試においては、未知の社会で生きるために必要な力を育てるという目標のもと、入試改革が進んでいます。

今ある知識を使って自ら考え、判断し、行動する力を鍛えることが大事であるという考えから、思考力・判断力・表現力という3つの力や主体的に多様な人々と協働して学ぶ態度を測ることに重点を置いた試験内容に変化しているのです。

2024年度からは、新しい学習指導要領に基づいた大学入試が本格導入され、現在よりもさらに実社会を意識した内容になることは間違いないと言われています。

試験の性格としては、読み解く→知識を得る→状況を把握する→選択肢を比較する→判断する→表現する、という思考力・判断力・表現力の全ての過程が問われるようなものや、学びに対する態度を問うものとなっていくものと考えられます。

従来の知識重視型の試験であれば、試験対策はある意味単純でしたが、これからはそうはいきません。

先ほど挙げた過程のどの部分が足りないのか分析し、それを補うための学習内容を選択し、学習方法も選択して、学ばなければなりません。その繰り返しで学力を底上げしていくわけですから、学び続ける力も必要です。

これは戦略的学習力そのものですね。

五十嵐塾長
五十嵐塾長

つまり、大学受験を目指す高校生にとっても、戦略的学習力は不可欠なものなのです。

戦略的学習力の身につけ方

では、戦略的学習力はどのように鍛えたら良いのでしょうか。基本的なところを押さえて取り組んでみましょう。

  • 何を学ぶかを決める
  • どのように学ぶかを決める
  • メタ認知力を身につける

何を学ぶか決める

先ほど、思考力・判断力・表現力の要素と過程を挙げましたが、もう一度確認してみましょう。

思考力・判断力・表現力とは

読み解く →知識を得る →状況を把握する →選択肢を比較する →判断する →表現する

という一連の過程

例えば小論文だとしたら、課題文を読み解く力が不足していたら何をテーマに書いたら良いのかわかりませんし、知識がなければ書くべき内容は見つかりません。文を重ねて役割のある段落を構成していくという表現力がなければ、論理的な文章になりません。

自分に不足している力を見極め、何を学ぶか決めることが、戦略的学習力を鍛える第一歩です。

どのように学ぶか決める

続いては、学習方法を決めなければなりません。小論文の例で続けてみましょう。

読解力を高めたいとしたら、例えば現代国語の問題集を解くということが挙げられますし、知識を蓄えるためには小論文のタネ本を読んだり新聞やインターネットから知識を仕入れたりするなどの方法が考えられます。表現力を上げるには、添削を受けて小論文の構成を身につけるということが挙げられるかもしれません。

自分で最適な方法を決めることが、戦略的学習力を鍛えることにつながります。

一般的な学習方法としては、次のようなものも挙げられます。

  • 講義を受ける
  • 教科書や参考書を読む
  • 解説動画などを視聴する
  • 実演を見る
  • グループで討論する
  • 自ら体験する
  • 他の人に教える
五十嵐塾長
五十嵐塾長

ちなみに、「グループで討論をする」以降の方法は、アクティブラーニングと呼ばれ、学習後の定着率が高いとされています。

まとめ

私たちは、生きていく上で予想外のさまざまな事態や出来事に遭遇します。皆さんもこれからの長い人生の中で、これまで学んできたことが通用しなくなったり、自分の力不足を感じたりすることもあるかもしれません。

しかし、戦略的学習力のような学び続ける知性さえ持っていれば、何があっても自分で進路を選択していくことができるはずです。

AIやロボット技術の進展、社会構造の変化など、ネガティブなイメージを持って受け止められることもある未来の世界ですが、過度に怖がる必要はありません。

大学受験を目指す高校生の皆さんは、今はまず入試で求められている力をしっかりと身につけ、大学で自分のやりたいことを思いっきりがんばってください。

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