【推薦入試】奈良県立大学 地域創造学部(小論文過去問題解説)

公立大学

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

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【推薦入試】奈良県立大学 地域創造学部(小論文過去問題解説)

奈良県立大学 地域創造学部の入試傾向と特徴

奈良県立大学 地域創造学部の推薦入試(学校推薦型選抜)における小論文試験は、他の大学にはなかなか見られない独自の構成が特徴です。最大の特徴は、英文の課題文を読解したうえで設問に答える形式が出題される点です。英語力だけでなく、その内容を日本語で論理的に説明・考察する力が問われます。英文読解+論述という複合的なスキルが求められるため、英語の長文読解の練習と小論文の記述練習を並行して進めることが合格への近道です。

また、日本語の課題文についても、哲学・社会学的なテーマが出題される傾向があります。令和5年度は古田徹也氏の著作からの出題があり、「社会」「自立」「依存」といった概念について深く考察する力が必要でした。単なる知識の暗記ではなく、テーマに対して自分なりの視点を持ち、論理的に展開する力が評価されます。

試験時間は90分で、第1問・第2問の2問構成が基本パターンです。設問ごとに字数制限が設けられており、150字~600字と幅があります。短文から長文まで字数をコントロールしながら論述する練習が欠かせません。地域創造学部という学部名が示すとおり、地域社会・コミュニティ・幸福度・多様性といったテーマへの関心と知識も問われます。日ごろから社会問題に関するニュースや論説文に触れ、自分の意見をまとめる習慣をつけておきましょう。

奈良県立大学 地域創造学部の小論文対策ポイント

①英文読解力を高める

英語の課題文を読んで日本語で論述する問題は、英語の語彙力・読解速度が直接点数に影響します。大学入試レベルの英文長文を毎日読む習慣をつけ、内容を要約する練習をしましょう。英文を「日本語でどう説明するか」を常に意識することが重要です。

②課題文の要点を正確に把握する

日本語・英語問わず、課題文の主張・根拠・具体例を素早く整理するスキルが必要です。読みながらメモを取り、「筆者が最も言いたいこと」を一文で言い表せるように訓練しましょう。設問が「課題文の内容をふまえて」と指示している場合、課題文の記述を根拠として論述することが高得点のカギです。

③社会・哲学的テーマへの知識を蓄える

幸福度・地域社会・自立と依存・多様性・ジェンダー格差・少子高齢化・地方創生など、地域創造学部に関連するテーマを事前に整理しておきましょう。新聞のコラムや論説文を読み、自分の意見をノートにまとめる習慣が対策に直結します。

④字数に応じた論述構成を使い分ける

150字~200字の短文では「結論+根拠」をシンプルにまとめる構成、400字~600字の長文では「問題提起→根拠→具体例→結論」という四段構成が有効です。字数に応じた答案設計を練習しておきましょう。

過去問題(令和5年度)

[令和5年度 地域創造学部 学校推薦型選抜 90分]

第1問

次の英文を読み、以下の問1と問2に答えなさい。

問1 課題文で述べられている、日本の誇れる点について述べなさい。

問2 日本の幸福度ランキングが低い理由について述べなさい。

課題文(英文)の要約

日本の幸福度についての最新のWorld Happiness Reportによれば、日本は146ヶ国と地域の中で54位にランクされており、開発途上国の中でも最も低い部類に入るとされています。これにもかかわらず、日本は犯罪率が低く、平均余命が高く、国内総生産(GDP)で世界第三位の経済大国です。しかし、自殺率の高さ、男女の給与格差、長時間労働など、幾つかの社会的および構造的な課題が存在します。

この低い幸福度の背後には、文化、宗教、地理的な要因が影響しており、日本人の幸福感に対する個人的な視点に影響を与えています。アメリカでは幸福は個人の達成、独立性、自己充足から測定される一方、日本では共同体内で他の人と調和をとることが重要視されています。実際、自身の幸福を公然と誇示することは、自己中心的で忌避されることがあるとされています。この文化的な違いは、調査への回答においても影響を与えており、人々の行動に反映されています。

出典:「日本は幸せですか? 進化するこの国の健康観を探る」ジャパンタイムズ、5/28-29

第2問

次の文章を読み、以下の問1と問2に答えなさい。

問1 筆者が下線部のように主張するのはなぜか、その根拠を含め150字以上200字以内で述べなさい。

問2 本文で主張されている自立と依存の関係について、本文の例以外に具体例を挙げ、400字以上600字以内で説明しなさい。

課題文(日本語)の要約

学校の先生や大人たちが若者に向けてよく発する言葉やイメージについて考察しています。多くの場合、若者は「社会は厳しい」「社会に出たら通用しない」といったアドバイスに対して、大人自身が実際に社会に出た経験がないのではないかと反発します。また、大人たちも同様の表現を使い、教師は未熟で非常識な者だと感じられることがあります。

文章は、「社会に出る」とは単に職場に就くことを指すものではなく、社会の多様な場所や側面にかかわることを意味するべきだと主張します。社会は多様な人々が相互に関わりながら生きる場であり、子供たちも既にその一部であると指摘します。したがって、社会に出ることや社会人であることは、一つの場所に順応するのではなく、異なる視点を持ち、新たな可能性を想像することを意味するべきだと提案します。

最終的に、社会は一枚岩ではなく、特定の人々に厳しいことがあるが、社会人という用語を使うなら、社会の偏見を和らげ、相互依存の網から落ちる人々に手を差し伸べることを意味すると結論づけています。

出典:古田徹也『いつもの言葉を哲学する』より

過去問題の解説・模範解答例

第1問 解説と解答例

問1 解説

課題文から「日本の誇れる点」に関する情報を正確に抽出することが求められています。課題文には、低い犯罪率・高い平均余命・世界第三位のGDPという三点が明記されています。これらを漏れなく盛り込み、簡潔にまとめましょう。字数指定がない場合でも、2〜4文程度で完結にまとめるのが理想です。

問1 解答例

課題文によれば、日本の誇れる点として、第一に犯罪率の低さが挙げられる。安全で安心して生活できる環境は、他の多くの国と比較して際立った強みである。第二に、平均余命の高さがある。世界トップクラスの長寿国として、医療水準や食文化・生活習慣の充実が背景にある。第三に、日本はGDPで世界第三位の経済大国である。高い経済力は、インフラ整備や教育・福祉の充実にも寄与している。

問2 解説

日本の幸福度が低い理由を「数値的な問題」と「文化的・構造的な問題」の二軸で整理すると説得力が増します。自殺率・男女給与格差・長時間労働といった具体的な課題とともに、「幸福の定義が文化によって異なる」という視点を加えることで、深みのある論述になります。

問2 解答例

日本の幸福度ランキングが低い理由は、社会的・構造的な課題と文化的な要因の両面から説明できる。社会的には、高い自殺率、男女間の給与格差、そして長時間労働が深刻な問題として存在する。これらは生活の質や精神的な充足感を損なう要因となっている。一方、文化的な側面では、日本では自己の幸福を公然と表現することが自己中心的とみなされる傾向があり、アンケート調査において自らの幸福度を低く回答しやすい文化的背景がある。アメリカなど個人主義が強い国では、個人の達成や自己充足が幸福の基準となるが、日本では集団との調和が重視される。この幸福の「定義の違い」が、国際比較ランキングで日本を不利な立場に置いていると考えられる。

第2問 解説と解答例

問1 解説

150字以上200字以内という字数制限の中で、「筆者が下線部のように主張する理由+根拠」を盛り込む必要があります。課題文のポイントは「社会に出る=職場に就くことではない」「子供もすでに社会の一員」「相互依存が社会の本質」という三点です。これらを根拠として論述しましょう。

問1 解答例

筆者がそのように主張するのは、社会とは職場や特定の場所に限られるものではなく、多様な人々が互いに関わり合いながら生きる場全体を指すと考えているからである。子供もすでに社会の構成員であり、「社会に出る」という表現は社会の多様性を排除し、特定の価値観を押しつける危険性をはらんでいる。筆者は、社会の本質は相互依存にあるとし、その網から誰も落ちないよう連帯することが真の「社会人」の姿だと主張している。(196字)

問2 解説

400字以上600字以内で「自立と依存の関係」を、本文以外の具体例を用いて論述します。「自立=依存からの解放」ではなく、「自立とは多様な依存を選び取る力である」という視点が高得点につながります。医療・福祉・国際社会・日常生活などから具体例を選び、自立と依存が相互補完的であることを示しましょう。

問2 解答例

自立と依存は対立する概念ではなく、互いを支え合う関係にあると私は考える。以下に本文以外の具体例を挙げて説明する。

第一の例として、医療・福祉の現場を挙げる。身体的な障害を持つ人が車いすや介助者の助けを借りて社会参加することは、「依存」に見えるかもしれない。しかし、その人が地域のコミュニティ活動に参加し、他者に知恵や経験を提供することで、「自立した社会人」として機能している。依存によって自立が可能になるという逆説的な関係がここに存在する。

第二の例として、国際社会における国家間の関係を挙げる。どの国も食料・エネルギー・技術のすべてを自国だけで賄うことはできない。日本は食料の多くを輸入に依存し、エネルギー資源を海外に頼っているが、それによって経済的・社会的な自立を維持している。国家の「自立」は、他国への依存を前提として成り立っているのである。

このように、自立とは依存をゼロにすることではなく、依存する対象・範囲・形を自らが選択・管理できる状態を指すと考えられる。社会が健全に機能するためには、個人や組織が互いに依存し合うことを肯定し、その網から誰も取りこぼされないよう配慮する視点が不可欠である。自立と依存のバランスを意識することが、持続可能な社会の実現に直結するのだ。(498字)

2026年度予想問題

予想問題 第1問

次の英文を読み、以下の問1と問2に答えなさい。

課題文(英文・日本語訳)

近年、日本各地で「関係人口」という概念が注目を集めている。関係人口とは、特定の地域に定住するわけではないが、その地域に継続的に関わり続ける人々のことを指す。観光客のような一時的な訪問者でもなく、移住者でもない「第三の存在」として、地域活性化の新たな担い手として期待されている。

日本では少子高齢化と人口流出により、地方の過疎化が深刻な課題となっている。従来の「移住促進」政策だけでは地域の担い手不足を解消することは難しく、都市部に住みながら地方と関わる「関係人口」の存在が、地域コミュニティの維持と再生に重要な役割を果たすと考えられている。テレワークの普及やデジタル技術の発展により、物理的な移動を伴わずとも地域と深く関わることが可能になってきた。

一方で、関係人口の増加だけが地域課題の解決策ではないという批判もある。外部からの関与が地域の自律性を損なうリスクや、一過性のブームに終わる可能性も指摘されている。真の意味で地域と関わるためには、関わる側が地域の文化・歴史・課題を深く理解し、長期的な視点でコミットメントを継続することが不可欠である。

問1 課題文で述べられている「関係人口」の概念と、その地域社会における意義を150字以上200字以内で説明しなさい。

問2 関係人口の拡大が地域活性化に有効であるかどうか、あなた自身の考えを根拠とともに400字以上600字以内で述べなさい。

2026年度予想問題 解答例

問1 解答例

「関係人口」とは、特定の地域に定住するわけではないが、継続的にその地域に関わり続ける人々を指す。観光客のような一時的な存在でも移住者でもない「第三の存在」として位置づけられる。少子高齢化と人口流出が深刻化する日本の地方において、移住促進だけでは担い手不足を解消することが難しい現状において、関係人口は地域コミュニティの維持と活性化を支える新たな担い手として期待されている。(185字)

問2 解答例

私は、関係人口の拡大は地域活性化に一定の有効性を持つと考えるが、それだけで課題が解決するわけではなく、地域の自律性を尊重した関与のあり方が重要であると考える。

関係人口が有効である理由として、まずテレワークやデジタル技術の普及により、物理的な移住を伴わずとも地域経済や文化活動に貢献できる環境が整いつつある点が挙げられる。例えば、都市部に住むデザイナーやエンジニアが地方の伝統産業のブランディングや販路開拓をリモートで支援するケースがある。このような関与は、地域に新たな視点と人的ネットワークをもたらすという点で意義深い。

しかし、課題文が指摘するように、外部からの関与が地域の自律性を損なうリスクも存在する。地域住民の意向を無視した外部主導のプロジェクトは、一時的な活況をもたらしても、持続性を欠くことが多い。真に地域と関わるためには、地域の歴史・文化・人間関係を深く理解し、住民と対等なパートナーとして長期的に関わる姿勢が不可欠である。

したがって、関係人口の拡大は地域活性化の重要な手段の一つであるが、それを実効性あるものにするためには、関わる側の責任と継続性、そして地域側の受け入れ体制の整

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