「勉強に声をかけたいけれど、口出ししすぎが怖い」
「スマホ時間が長くて集中が続かない」
「睡眠不足で朝がつらそう」
「塾や教材、どれを選べばいいの?」
受験期の保護者の悩みは尽きません。日々の小さな不安が積み重なると、親として心細くなるものです。ですが、悩みを“行動”に変えていけば、状況は少しずつ整っていきます。この記事では、エビデンスに基づいた「保護者の関わり方」と「家庭でできる支援法」を整理していきます。

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴27年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。
2020年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となる。過去3年間で国公立大学合格85名。
高1から入会者は国公立大学合格率93%
高2から入会者は国公立大学合格率86%
高3の4月から入会者は国公立大学合格率73%。
スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
保護者の関わり方が成績にどう影響する?
- 効果的な関わり
- 子どもと一緒に科目や進路の価値を言語化する(学業への意味づけ)
- 穏やかな期待や声かけで「やる意味」を伝える
- 逆効果になりやすい関わり
- 宿題に直接介入しすぎること
- 子どもより親が主導してしまうこと
国内外の研究で一貫して示されているのは、「励ます・意味づける・見守る」が基本線ということ。強制するより「任せつつ支える」姿勢が、子どもの自律性と達成を育みます。
自律性を尊重する育て方の効果
レビュー研究によれば、自律性支援的な関わりは学業達成や自己調整、心理的健康に良い影響を与えるとされています。
- 両親が一貫して「任せる・尊重する」態度をとるほど効果は安定
- 「やらせる」より「本人が自分で選んでやる」感覚を大切に
ただし、流行のスローガン(例:グロースマインドセット)だけで動くのは危険。平均効果は小さいと報告されており、日々の具体的な支援の積み重ねが鍵です。
生活リズムを整える ― 睡眠・光・スマホ対策
睡眠
- 思春期には 8〜10時間の睡眠 が推奨
- 夜の強い照明・スマホ画面はメラトニンを抑制し入眠を遅らせる
- 「就寝前1時間は照明を落とす・画面オフ」 だけでも翌朝の集中に差が出る
スマホ
- SNSや動画を 1日3時間以上 使う群は学力が低い傾向(全国学力調査)
- 全面禁止よりも
- 勉強中は機内モード
- 学習アプリ専用のホーム画面
- 夜は廊下で充電
といった「使い方の設計」で味方につけるのが現実的です。
家庭でできる学びの支援
1. 時間管理
- 実行意図(If–Thenプラン) を使う
- 「19:30になったらリビングで英語音読10分」
- 「お風呂後は漢字5分」
- 机に貼っておくだけで、行動開始のハードルが下がる
2. 学習法
- 分散学習 × 想起練習 が鉄則
- 復習は一度にまとめるより短時間×複数回
- 最後は必ず“思い出す”テストで締める
3. 感情調整
- 心配の書き出し:試験前に不安をメモに書き出す → 成績UP効果あり
- 価値づけの自己記述:自分にとって大切な価値を短く書く → 成績低下を防ぐ効果
保護者ができる実践サポート
- 週末に「翌週の勉強ブロック」を一緒に決める
- テスト後48時間以内に「間違いの原因」を口頭で共有
- 夜の照明ルールやスマホの扱いを“家族ルール”にして共通化
こうした支援は 「手出ししすぎない伴走」 として、子どもの自己調整を助けます。
本番期の支え方
- 模試後は48時間以内にミスを分類し、同型3題だけ解き直す
- 入試当日は「不安の書き出し」を儀式化 → 緊張を緩和
- 2週間前からは毎日同じ時間に 本番形式の45〜60分演習 を実施
最後に、受験制度や出願要項は必ず大学公式サイトで確認し、SNSの体験談は補助情報に留めましょう。
まとめ
保護者の役割は「勉強させること」ではなく、子どもが自分で走り続けられる環境を整えることです。
- 意味づけ・自律性尊重・見守りを基本に
- 分散学習・想起練習・実行意図で学習を設計
- 睡眠・光・スマホのルールを家庭で共有
- 不安の書き出しや短期指導で学習を補強
不安は尽きませんが、小さな支援を積み重ねれば、家庭は強力な学習基地に変わります。