書類審査とは、大学入試における選考方法の一つで、受験生が提出した各種書類の内容が評価の対象となるものです。
今回は、書類審査が行われる試験、書類審査で見られるポイント、書類審査に落ちる人の特徴といった、書類審査にまつわる基本を解説していきます。
記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
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書類審査が行われる試験は?
書類審査はどのような試験で行われるのでしょうか。そしてそもそも「書類」とは何を指すものなのでしょう。
ここでは、書類って何? 書類審査はどのような試験で行われるの?という疑問について、解説していきます。
そもそも「書類」って何?
まずは簡単に、書類審査の「書類」が何を指すものなのか説明していきます。
大学入試において評価対象となる書類としては、調査書、志望理由書、自己推薦書、活動報告書、学修計画書などが挙げられます。
調査書
高校が高校入学時から願書提出時までの期間の受験生の学習態度や学校生活について記述した書類です。一般選抜や学校推薦など入試の方式にかかわらず提出することが基本となっています。
内容は、評定平均、欠席日数、課外活動、保有資格などです。
志望理由書
文字通り、志望理由を記載する書類です。大学は志望理由書を通して、受験生が大学の求めている人物像(アドミッション・ポリシー)に合致しているかどうかを判断します。
自己推薦書
大学に自分を推薦する内容を記載した書類です。志望理由書を提出しない場合は、志望理由も含めて記載することができます。
活動報告書
受験生がこれまでに取り組んできた学習内容、課外活動、部活動、大会やコンクールでの成績、海外留学経験などを記載する書類です。
学修計画書
学修計画書とは、大学卒業後の将来の展望を踏まえて、大学で何をどのように学んでいきたいかの計画を記載する書類です。
調査書以外は全て受験生が自分で記載する書類です。大学によって何を提出するかは異なりますが、複数求められることが多いです。時間に余裕を持って準備しましょう。
書類審査はどの選抜方式で行われるのか
書類審査は、学校推薦型選抜と総合型選抜では重要な選考要素とされています。
学校推薦型選抜の選考は、書類審査、面接、小論文の組み合わせで行われることが多いですが、書類審査と面接はほぼ必須となっています。
総合型選抜の選考は、書類審査、面接、小論文、学力試験、体験授業などの組み合わせで行われますが、こちらも書類審査と面接はどの大学においてもほぼ必須です。
一方、一般選抜でも書類の提出を求められることはありますが、選考は学力試験を中心に行われ、書類審査が合否に与える影響はあまり高くありません。
書類審査で見られるポイントは?
先ほど説明した通り、学校推薦型選抜と総合型選抜では、書類審査は合否に大きな影響を与えます。
ではそれぞれの書類をどのように書いたら合格できるのでしょうか。ここからは、大学が見ているポイントを書類別に解説していきます。
志望理由書で見られる3つのポイント
志望理由書には、必ず見られる3つのポイントがあります。
それは、将来就きたい職業、その分野についての問題意識、そのために大学で学びたいこと、の3つです。
これらを、自分の言葉で具体的なエピソードとともに説明することができているかが見られています。
将来どのようなことがしたいかを具体的にイメージできれば、そのために大学では何を学ぶ必要があるのかということや、他の大学ではなくその大学を選ぶ理由も明確になるはずです。すると、必然的にアドミッションポリシーとマッチすることにもなります。
なお、なぜその職業につきたいかを考えるときは、社会貢献の視点を入れて考えるようにしましょう。
活動報告書で見られる3つのポイント
活動内容は大会やコンクールでの成績を記載するなど、どんな活動をしたのかがはっきりわかるように書きます。
そして重要なのは、ただ事実としての実績を書くだけでなく、その活動においてどのような成果や失敗があったのか、自分はそれらから何を学びどのように変化したのかを書くことです。なぜなら、そのようなエピソードにこそ、活動に対して主体的・積極的に取り組んだかどうかが現れるからです。
活動報告書では、受験生が大学の学部や学科が求めている学生像と合致しているかどうかも見られています。真面目な学生、元気な学生、チャレンジスピリッツのある学生など、大学側が求めている要素をアピールすることが必要です。
大学が知りたいのは、実績だけではないそこで得た学びについてです。
誇れるような実績がないと悩んでしまう人も、この点にポイントを置いて考えてみましょう。
学修計画書で見られる3つのポイント
学修計画書では、将来の展望が明確に述べられているか、学修の目的を達成するための詳細な計画を立てることができているかが見られますが、ここにもアドミッションポリシーがかかわってきます。先ほどの志望理由書と重複しますが、なぜその大学を選んだのかという理由を自分の中で明確にして、記載する必要があります。
書類審査に落ちる人の特徴は?
各提出書類について、合格するために必ず記載すべきポイントはお分かりいただけたでしょうか。
では逆に、書類審査に落ちる人にはどのような特徴があるのでしょうか。反面教師として知っておきたいですね。
ズバリ書類審査に落ちる人とは、「明確な目標・目的がない人」「志望する大学の特色を理解していない人」です。
学校推薦型選抜や総合型選抜は、学力だけではなく人物面も重視して学生を選抜しようという入試方式です。それなのに、将来どのようなことがしたいのか、大学で何を学びたいのかという目標や目的が定まっておらずアピールできないとしたら、合格は難しくなりますよね。
志望する大学の特色を理解していない人というのも同じです。他の大学ではなくなぜその大学を志望するのかという理由が重要な評価項目であるのに、大学の特色を理解できていなかったら入学に対する熱意がないと思われても仕方がありません。特に総合型選抜の場合は、アドミッションポリシーに合致した人物を求める入試方式であるため、致命的となるでしょう。
まだ将来の展望や大学で学ぶことを明確にイメージできていないという人は、一つずつ順を追って考えることから始めましょう。学校や塾で内容を見てもらい、何度も書き直すことで練り上げてください。
大学の特色がわからないという人は、オープンキャンパスに参加したり大学のホームページを調べるなどして、自分で研究しましょう。
まとめ
今回は、書類審査が行われる試験は? 書類審査で見られるポイントは? 書類審査に落ちる人の特徴は?というテーマで解説してきました。
書類の作成は、将来のことまで考えて進めなければいけないので、受験生にとっては頭の痛い手のかかる作業になると思います。よく書けているのか否か、自分では分かりにくいという点も悩ましいことと思います。一人で悩まず、学校や塾の先生に添削をしてもらいながら、書き上げてくださいね。