大学受験は、まさに情報と時間の戦いです。長時間にわたる勉強では、集中力の持続が合格へのカギを握ります。しかし、「勉強しようと机に向かったのはいいけど、気がついたらボーっとしてしまった」「なんだか疲れていて、頭が働かない」といった経験は、多くの受験生が抱える悩みではないでしょうか。
集中していない時の勉強ほど効率の悪いことはありません。その原因は、根性ややる気だけの問題ではなく、実は「栄養」が大きく関係している可能性があります。脳という、私たちの体の司令塔が最高のパフォーマンスを発揮するためには、適切なエネルギーと栄養が不可欠なのです。
この記事では、勉強の効率を高め、集中力をサポートしてくれる栄養素や食品について、科学的な根拠を交えながら詳しく解説します。コンビニで手軽に入手できるものもたくさん紹介しますので、ぜひ日々の生活に取り入れて、ライバルに差をつけましょう。

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴27年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。
2020年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となる。過去3年間で国公立大学合格85名。
高1から入会者は国公立大学合格率93%
高2から入会者は国公立大学合格率86%
高3の4月から入会者は国公立大学合格率73%。
スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
集中力が切れる原因とその予防は?

「勉強しなくちゃ!」と思っているのに集中できないのは、一体なぜなのでしょうか。その原因を知ることが、改善への第一歩です。
脳に必要な栄養素の欠乏が集中力切れの原因
最も大きく考えられる原因は、脳に必要な栄養素の欠乏です。脳は体重の約2%しかないにもかかわらず、体全体のエネルギーの約20%を消費する大食漢です。特に、脳の主要なエネルギー源であるブドウ糖が不足すると、思考力や集中力の低下に直結します。これは、やる気がないという精神的な問題だけでなく、明確な身体的な原因があるのです。
血糖値の乱高下による眠気
炭水化物や甘いものを一度にたくさん食べると、血糖値が急激に上昇します。すると、血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが大量に分泌され、今度は血糖値が急降下します。この血糖値の乱高下が、強い眠気やだるさを引き起こし、集中力を妨げる一因となります。特に食後に眠くなる感じが強い人は注意が必要です。
ストレスや睡眠不足の影響
受験勉強にはストレスがつきものです。過度なストレスは、自律神経のバランスを乱し、集中力を低下させます。また、睡眠中に脳はその日の情報を整理し、休息をとります。十分な睡眠がとれていないと、脳が疲れた状態のままになり、日中のパフォーマンスが著しく落ちてしまうのです。健康的な生活習慣全体を整えることが、集中力維持の土台となります。
集中力を高める栄養素とは?

では、具体的にどのような栄養素を摂ると良いのでしょうか。集中力に影響を及ぼす代表的な成分と、それが含まれる食品を一覧でご紹介します。
【ブドウ糖】脳の最重要エネルギー源
勉強中に甘いものが欲しくなるのは、脳がエネルギーを欲しているサインです。糖質は体内で分解されるとブドウ糖となり、脳を含む全身のエネルギーとして消費されます。ブドウ糖が不足すると、疲労感を感じたり集中力が低下したりします。
ただし、どんな糖質でも良いというわけではありません。砂糖(ショ糖)やご飯、パンなどもブドウ糖の供給源ですが、消化・吸収に時間がかかったり、血糖値を急激に上げやすかったりします。素早くエネルギーに変わるブドウ糖を、適切なタイミングで摂ることが大切です。
【チロシン】やる気を引き出すアミノ酸
チロシンはアミノ酸の一種で、意欲や集中力、記憶力に関係する神経伝達物質「ドーパミン」や「ノルアドレナリン」の原料となります。これらの神経伝達物質が十分に合成されることで、気持ちが前向きになり、勉強へのモチベーションを高める効果が期待できます。肉や魚、大豆製品、ナッツ類などに多く含まれています。
【テオブロミン】リラックスと集中を両立
テオブロミンは、主にカカオに含まれる成分で、カフェインと似た構造をしていますが、その作用はより穏やかです。大脳を刺激して集中力や記憶力を高める一方で、脳内物質のセロトニンに働きかけ、リラックス効果や疲労回復効果をもたらします。自律神経を整える働きもあり、興奮しすぎず、落ち着いて勉強に臨みたい時に役立ちます。
【EPA・DHA】記憶力と判断力をサポート
EPA(イコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)は、サバやイワシなどの青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸です。これらは体内でほとんど作られない必須脂肪酸ですが、脳にとって非常に重要な役割を果たします。
EPAやDHAは脳の細胞膜に入ってその柔軟性を高め、情報伝達をスムーズにします。これにより、記憶力や学習能力、判断力の向上が期待できると言われています。血流を改善する作用もあり、脳に十分な酸素と栄養を届ける助けにもなります。
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脳細胞が活性化することで学習機能が向上するので、受験生は毎日の食事で積極的に摂取したいですね♪ EPAやDHAは、脳の発達や機能維持に欠かせない成分です。
【レシチン】情報伝達をスムーズにする
レシチンはリン脂質と呼ばれる脂質の一種で、神経伝達物質「アセチルコリン」の材料になります。アセチルコリンは記憶や学習に深く関わっており、レシチンを摂ることで、脳内の情報伝達が円滑になり、記憶力や学習能力を高める効果が期待されます。レシチンが不足すると、イライラしたり記憶力の低下が起こる可能性があるため、こちらも脳に必要な栄養素といえます。大豆や卵黄に多く含まれています。
【ビタミン・ミネラル】脳の働きを縁の下で支える
糖質をエネルギーに変換するためにはビタミンB1が、神経伝達物質の合成にはビタミンB6が必要です。また、鉄分は脳に酸素を運ぶヘモグロビンの構成成分であり、マグネシウムは神経の興奮を抑えて精神を安定させる働きがあります。これらのビタミンやミネラルは、主役の栄養素たちがうまく機能するための潤滑油のような存在。豚肉やナッツ、緑黄色野菜などをバランス良く食べることが大切です。
コンビニで入手可能な集中力を高める食べ物はある?

ここまで脳に良い栄養素をご紹介してきましたが、「毎日料理するのは大変…」という受験生も多いでしょう。ご安心ください。私たちの身近なコンビニでも、集中力をサポートする食べ物はたくさんあります。
ラムネ|素早くブドウ糖を補給
脳のエネルギー源となるブドウ糖を最も効率よく摂取できるのが、お菓子のラムネです。ラムネの主成分はブドウ糖そのものであることが多く、体内で分解するプロセスが不要なため、素早く脳にエネルギーを届けます。勉強に疲れを感じた時や、もうひと頑張りしたい時の即効性のあるエネルギー補給として非常におすすめです。
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受験生は是非勉強する際のお供にラムネを準備しておくと良いかもしれませんね♪ 食べすぎは血糖値の乱高下につながるので、少しずつ摂るのがポイントです。
バナナ|持続的なエネルギー供給に最適
バナナは、ブドウ糖、果糖、ショ糖など、吸収速度の異なる数種類の糖質をバランス良く含むため、即効性と持続性を兼ね備えたエネルギー源となります。また、神経伝達物質の合成を助けるビタミンB6や、ストレスで失われがちなカリウムも豊富。おやつや朝食に最適な食品です。
チョコレート|リラックス効果も期待できる
テオブロミンを摂取するなら、チョコレートが一番です。特に、カカオの含有量が多いビターチョコレートをおすすめします。カカオポリフェノールにはストレスを和らげる効果も期待でき、テオブロミンとの相乗効果で、リラックスしながら集中できる状態を作られます。勉強前や合間に少しつまむのが良いでしょう。
ナッツ類|噛むことで脳を刺激
アーモンドやくるみなどのナッツ類は、チロシンやビタミンB群、ミネラル、良質な脂質が豊富で、まさに「脳の栄養の宝庫」です。さらに、硬いナッツをよく噛むという行為自体が、脳の血流を促進し、覚醒効果をもたらします。小腹が空いた時のおやつとして、素焼きのナッツを利用しましょう。
魚加工品(サバ缶など)|手軽にEPA・DHAを
EPAやDHAを摂るには青魚が一番ですが、調理が面倒な場合も。そんな時は、サバやイワシの缶詰、あるいは〆サバなどがコンビニでも手に入って便利です。骨まで食べられる缶詰なら、カルシウムも同時に摂取できます。
大豆製品・卵|レシチンとチロシンが豊富
レシチンやチロシンを補給するには、豆腐や納豆、豆乳、ゆで卵などが手軽です。特に朝食に納豆や卵を加えるだけで、1日の集中力のベースを作られます。
コーヒー・紅茶|カフェインで覚醒
眠気を感じた時に頼りになるのがカフェインです。コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれるカフェインには、脳を覚醒させる作用があります。ただし、過剰摂取は興奮や不眠につながるため、飲む量や時間には注意が必要です。夕方以降は避けるなど、自分の体に合った摂り方を心がけましょう。
こちらも是非積極的に食事に取り入れるようにしていくといいですね♪
勉強の効果を上げる!食事の摂り方のポイント
どんなに良い栄養素を摂っても、食べ方が悪ければ効果は半減してしまいます。集中力を最大限に発揮するための食事のポイントを3つご紹介します。
朝食は抜かない
睡眠中に失われたエネルギーを補給し、脳と体を目覚めさせるために、朝食は非常に重要です。特に、血糖値の上昇が緩やかな玄米や全粒粉のパンなどの炭水化物と、チロシンを含むタンパク質(卵、納豆など)を一緒に摂るのが理想的です。
食後の眠気を防ぐ食べ方
一度にドカ食いすると血糖値が急激に上昇し、眠気の原因になります。食事は腹八分目を心がけ、よく噛んでゆっくり食べましょう。食物繊維の多い野菜や海藻から食べる「ベジファースト」も、血糖値の上昇を緩やかにするのに効果的です。
十分な睡眠と適度な運動も大切
これまで食事の内容について述べてきましたが、集中力は栄養だけで決まるものではありません。毎日6〜8時間の十分な睡眠を確保し、脳を休ませることが不可欠です。また、散歩などの軽い運動は、脳の血流を良くし、気分転換にもなります。勉強の合間に取り入れることで、作業効率が大きく変わることもあります。勉強する環境を整えることも、上手に集中するための助けになります。
まとめ

今回は、勉強に集中できる食べ物や栄養素について、網羅的にご紹介しました。
「勉強しなくちゃいけないのになかなか集中できない…」と悩んでいる受験生は、脳が栄養不足やエネルギー不足に陥っているのかもしれません。今回ご紹介した栄養素や食品を、意識的に日々の食事に取り入れてみてください。
大切なのは、バランスです。一つの食品に偏るのではなく、さまざまな食品をうまく組み合わせ、自分に合った食べ方を見つけることが重要です。ラムネやチョコレートのような即効性のあるもの、バナナやナッツのような持続性のあるものを、状況に応じて使い分けるのも良いでしょう。
食事や生活習慣を整えることは、脳を最高の状態に保ち、受験という長期戦を戦い抜くための土台となります。
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