【推薦入試】横浜市立大学 国際教養学部(小論文過去問題解説)

大学受験

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

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横浜市立大学 国際教養学部の小論文対策

[令和5年 特別選抜 90分]

【Ⅰ】次の文章は『ペアレントクラシー~「親格差時代」の衝撃』という書籍の抜粋である。この文章を読んで、以下の設問に答えなさい。

課題の要約文です

「ペアレントクラシー」は、英国の教育社会学者フィリップ・ブラウンが1990年に提唱した概念で、「親による支配」を指し、親の富や願望が子どもの将来に強い影響を与える社会を表現している。ブラウンは歴史的な視点から、教育の進化を「第一の波」(19世紀の大衆教育の勃興)、「第二の波」(個人の能力に基づく教育への変化)、「第三の波」(親の富と願望が子どもの教育を規定する社会への移行)と分類し、「ペアレントクラシー」はこの最後の波を指す。

この概念によれば、親の経済的状況や教育への願望が子どもの将来に与える影響が増大しており、特にサッチャー首相主導の教育改革により、学校の評価や学力に対する親の関心が高まり、学校選択をする保護者が増加したことが挙げられる。この結果、教育格差が拡大しているとされており、親の文化的要因や積極的な教育支援が子どもの教育達成度に大きく影響している。

ペアレントクラシーは、メリトクラシーからの変化を示唆しており、親の経済的・文化的要因が子どもの教育において大きな役割を果たす社会となっている。これにより、社会全体での教育へのアクセスや機会均等が求められる状況となっている。メリトクラシーの原理を追求すれば、最終的にはペアレントクラシーとなり、社会に不平等と差別が生じる可能性があると警告されている。

出典 志水宏吉『ペアレントクラシー~「親格差時代」の衝撃』朝日新聞出版 2022年。問題作成にあたり本文を一部改変

(1) 下線部(A)について、なぜ著者は「大きな疑問符がつくと言わざるをえない」と考えるのか、本文に即して100字以内で説明しなさい。

(2) 下線部(B)について、「究極の形としてのペアレントクラシーが立ち現れる」と著者が述べた理由を本文に即して説明した上で、具体例を挙げてあなたの考えを250字~300字で論じなさい。


【Ⅱ】

課題文は非公開です。

出典 ステファノ・マンクーゾ,アレッサンドラ・ヴィオラ,マイケル・ポーラン(序文)著
『植物は〈知性〉をもっている~20の感覚で思考する生命システム~』久保耕司訳 NHK 出版2015 年。

(1) 下線部(A)について、著者がこのように述べる理由を100字以内で説明しなさい。

(2) 本文の著者の主張を踏まえ、下線部(B)の著者の定義についてのあなたの考えを250字~300
字で論じなさい。

小論文過去問題解説

【1】

(1) 著者は「親ガチャ」という言葉が学生たちの中で広がり、親の選択が子どもの将来に大きな影響を与える現象が起きていることに注目しています。この現象が示唆するのは、親の経済的な要因や教育に対する積極的な支援が、子どもたちの未来において極めて重要であるということです。著者はこれに疑問符をつけると同時に、メリトクラシーの理念と実際の社会の状況が乖離している可能性を示唆しています。社会的な不平等や格差が存在する中で、個々の家庭の事情が子どもたちの人生に与える影響が大きいことが問題視されています。

(2)著者が「究極の形としてのペアレントクラシーが立ち現れる」と述べる理由は、メリトクラシーの原理を追求した結果、親の富や願望が子どもの教育において決定的な要因となる社会が生まれる可能性があるからです。具体的には、学校選択や教育支援において親の力が強く影響することが挙げられています。この状況が進行すると、親の経済的な背景や文化的な環境によって子どもたちの未来に大きな差が生まれ、社会において公平な機会が提供されなくなる懸念があります。具体例として、サッチャー首相時代の教育改革や学校の選択が親の意向に左右される傾向を挙げ、これがペアレントクラシーの現れとして警鐘を鳴らしています。

【2】

(1)下線部(A)の理由を考える際には、文脈から著者の主張や本書のテーマを理解することが重要です。文中には「植物は〈知性〉をもっている」という主張があります。この主張に基づいて、植物が持つ感覚や思考に焦点を当てていることが推測できます。下線部(A)で述べられている理由は、おそらく植物の知性や感覚を示すエビデンスや事例を紹介して、それによって読者に納得感を与えたり、議論をサポートしたりするためのものである可能性があります。100字以内で簡潔に述べるならば、「植物の知性や感覚を裏付ける事例やデータを提示することで、主張を補強している。」といった表現が考えられます。

(2)下線部(B)では、著者が植物の感覚や思考を「生命システム」として位置付けているようです。この定義について考えるには、本文の主張や著者の視点を踏まえる必要があります。植物を生命システムと見なす理由や、それがどのように理解されるべきかを考えます。また、植物が感覚や思考を持つことが生命システムとしてどのような意味を持つのかにも注目します。250字~300字で述べるならば、「著者が植物を生命システムと位置付けるのは、植物の感覚や思考が生態系や地球全体の一部として機能し、他の生命と相互に影響を与えているからでしょう。これにより、我々は植物を単なる生き物ではなく、複雑な生態系における重要な要素として理解すべきだと示唆されています。」といったアプローチが考えられます。

横浜市立大学の所在地・アクセス

所在地アクセス
金沢八景キャンパス
神奈川県横浜市金沢区瀬戸22-2  
京浜急行「金沢八景(京急線)」駅下車、徒歩5分
シーサイドライン「金沢八景(シーサイドライン)」駅下車、  徒歩5分
福浦キャンパス
神奈川県横浜市金沢区福浦3-9
シーサイドライン「市大医学部」駅下車、徒歩1分

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横浜市立大学の入試傾向

横浜市立大学の入試は英語、数学、物理、化学、生物の科目に焦点を当てます。英語の試験は90分間で、長文3題の構成であり、記述式と記号選択問題が組み合わさっています。語彙や構文に慣れ、文脈から意味を推測する能力が求められます。数学の入試は医学、理学、データサイエンス学部ごとに異なる傾向があり、計算力と理論力が問われます。物理、化学、生物もそれぞれ3題構成で、記述説明問題や論述量が多い特徴があります。科目ごとに対策を講じる必要があり、基本から応用まで幅広く対応することが重要です。

英語では語彙力や速読力、数学では計算力や理論力、物理・化学・生物では広範な知識と論述能力が必要です。科目ごとに問題の特徴が異なるため、過去問や関連する分野の問題集を解くことで傾向をつかみ、対策を練ることが重要です。また、医学部の面接や小論文対策も必要で、典型的な質問に備え、テーマに即した構成で論述できるように準備することが求められます。総じて、科目ごとに充実した対策と十分な練習が入試成功の鍵となります。

横浜市立大学の募集コース

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国際教養学部 国際教養学科 (定員数:270人)

豊かな教養と高い思考力、さらに、高い外国語運用能力と課題解決に向けた実践的な力を養う教育を展開し、多文化共生社会の実現や世界規模の課題、現代のさまざまな都市における諸課題の解決に貢献できる人材を育成する。2年次からは、「国際社会」「国際文化」「人間科学」「都市政策・まちづくり」の4つのクラスター(科目群)のなかから1つを選択し、少人数で行われるゼミを中心としながら「専門的な知見」を修得する。

国際商学部 国際商学科 (定員数:260人)

経営学・経済学を中心とする学問的専門性に基づき、社会経済活動を学ぶとともに、既成概念にとらわれない課題発見力と企画立案力を培うことで、実業界や公的組織で活躍する幅広い職業人を育成する。また、さまざまな企業や自治体と連携した「企画提案型実習」のほか、医学部やデータサイエンス学部とも連携した「文理融合型実習」を設け、アクティブラーニングによる学びで実践的なテーマに挑戦する。全学開放科目やPractical English Centerを活用し、幅広い知識と実業界で役立つ英語力の修得も目指す。

理学部 理学科 (定員数:120人)

自然科学の基礎を全般的に学ぶことで、物質科学の概念を踏まえて細胞・個体スケールの生命現象をとらえることができる人材、生命現象を原子・分子スケールで起こる物質科学としてとらえることができる人材の育成を目指す。物理、化学、生物学の基礎実験を必修で学ぶことにより、理学全般の基礎的な知識や、必要とされる実験技術をしっかりと修得し、専門教育にスムーズに移行できる基礎力を養う。
3年次後期からは全員が研究室に配属され、専門領域を追究していく。4年次には大学院科目の早期履修が可能となり、大学院との一貫性のある教育・研究を展開する。

データサイエンス学部 データサイエンス学科 (定員数:60人)

医療・ビジネス・社会など、さまざまな分野でイノベーションを起こすことができるデータサイエンスのスペシャリストを育成する。統計学、計算機科学をベースとしたデータサイエンスの専門教育に加え、文理融合型の広範なカリキュラムで「未来の芽」を見つけ出す底力を培うとともに、企業や医療機関との連携を通じたPBL(Project Based Learning〈課題解決型学習〉)によって、データが発生する「現場」で必要となる知識を身につける。
さらに、データサイエンス領域で活躍するためのコミュニケーション力や国際水準の英語力を身につけるための演習を豊富に用意している。

医学部(定員数:190人)

医学科 (定員数:90人)

医学科では、新しい医学・医療を担う医療人を育成する。大学院医学研究科、附属2病院と連携して医学教育を行う。医学・医療分野における課題を解決するための創造的研究を推進し、最新の医療技術を臨床現場に導入して、全人的医療を実践できる人材の育成を目指す。
教育カリキュラムを通じて、地域医療の担い手たるプライマリ・ケア医をはじめとする医師に加え、生命科学、医学、医療の分野をリードする臨床医、医学研究者、医学教育者、医療行政官など、医学・医療の分野における指導的医師・研究者を育成する。
基礎科学から先端医療まで、幅広い分野で活躍するための基本となる医学・医療倫理と知識・技術の修得にも大きな力点を置いている。

看護学科 (定員数:100人)

看護学科では、高度教養教育として求められる国際性、創造性、倫理観はもとより、他者の苦しみや痛み、喜びも理解することができる豊かな人間力を持った人材の育成に取り組む。看護学の専門教育機関として関係職種や地域住民とも連携して人びとの健康や生活の質の向上に貢献し、高度先端医療をも担い、さらには新しい時代の実践の場を改革できる基盤を有した、誇り高い人材の育成を目指す。

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