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順天堂大学の小論文は、「医療系小論文の最高峰」と呼んでも過言ではありません。私はスカイ予備校で27年間、小論文指導に携わり、1万人を超える受験生を見てきましたが、順天堂大学の小論文ほど「医療者としての思考力」と「論理的な文章力」の両方を同時に問う試験は、国内でもほとんど存在しないと感じています。
毎年この時期になると、順天堂大学を志望する受験生から「何をどう勉強すればいいかわからない」「医療倫理のテーマが難しすぎて手が止まる」という相談が殺到します。その気持ちは十分に理解できます。しかし、正しい準備の方法を知り、出題傾向を把握したうえで練習を重ねれば、必ず対応できるようになります。この記事では、27年間の指導経験で培った知見をもとに、順天堂大学の小論文対策を徹底的に解説します。受験生の皆さんは、ぜひ最後まで読んでください。
順天堂大学の概要と小論文の位置づけ
順天堂大学は1838年に創立された緒方洪庵の「適塾」の流れを汲む、日本最古の私立医科大学の一つです。現在は医学部・スポーツ健康科学部・医療看護学部・保健看護学部・国際教養学部・保健医療学部・医療科学部・健康データサイエンス学部・薬学部の9学部を擁する総合大学へと発展しています。特に医学部・医療看護学部・保健看護学部は全国トップクラスの評価を受けており、順天堂医院をはじめとする附属病院群との連携による臨床教育の充実度は他大学の追随を許しません。
入試方式は学部によって異なりますが、医学部では一般選抜・センター利用・推薦入試など複数の方式が設けられています。そのいずれにおいても、小論文は合否を大きく左右する科目として位置づけられています。特に推薦入試・AO入試においては、小論文の配点比率が非常に高く、「小論文で合否が決まる」と言っても差し支えないほどです。
なぜ順天堂大学がこれほど小論文を重視するのか。それは、同大学の教育理念である「仁」の精神と深く結びついています。医療者として患者に寄り添い、倫理的な判断を下せる人材を育てるという観点から、論理的思考力・倫理観・表現力を総合的に測る小論文は、最も適した選抜手段の一つと言えます。受験生はこの点を理解したうえで、試験に臨む必要があります。
出題傾向と特徴
順天堂大学の小論文の出題傾向を一言で表すなら、「現代医療が抱えるリアルな問題を、自分の言葉で論じる力を問う」試験です。過去問を分析すると、大きく以下のテーマ群に分類できます。
①医療倫理・生命倫理
インフォームドコンセント、終末期医療、安楽死・尊厳死、臓器移植、生殖補助医療、遺伝子操作など、現代医学が直面する倫理的問題が頻出です。単に知識を問うのではなく、「あなたはどう考えるか」という当事者意識のある論述が求められます。
②看護・医療の在り方
チーム医療、看護師の役割変化、患者中心の医療、地域医療の課題など、医療現場の実情に即したテーマが出題されます。医療系学部らしく、現場感覚を持った論述が高く評価されます。
③生命科学・医学の最前線
AI診断・ロボット手術・ゲノム医療・再生医療など、最新の医療技術に関するテーマも登場します。技術の進歩がもたらす恩恵と課題の両面を論じる力が必要です。
④社会・公衆衛生・健康政策
超高齢社会、医療費の増大、感染症対策、メンタルヘルス、健康格差など、社会全体の医療問題を扱うテーマも出題されます。
字数については、学部・入試方式によって異なりますが、600字〜1200字程度が一般的です。試験時間は60〜90分が多く、課題文(英文または日本語文)を読んで論述する「課題文型」と、テーマだけが与えられる「テーマ型」の両方が出題されます。特に医学部では英語の課題文が出題されることもあり、英語読解力も問われる点が他大学との大きな違いです。
形式面では、序論・本論・結論の三段構成が基本ですが、順天堂大学では「問題提起→自分の立場の明示→根拠の提示→反論への対応→結論」という五段構成が高得点につながりやすいことを、私は指導の中で確認しています。
令和5〜6年度 過去問テーマと解答のポイント
ここでは、近年の出題テーマと、それぞれの攻略法を具体的に解説します。
【令和6年度】医療におけるAI活用の可能性と課題
AI診断システムの普及を題材にした課題文をもとに、医療へのAI導入についての自分の見解を論じる問題です。このテーマで受験生が陥りがちなのは、「AIは便利だが人間の温かみが大切」という表面的な結論に終始してしまうことです。高得点を取るためには、AI導入によって医師や看護師の役割がどう変化するか、医療倫理の観点から具体的に論じることが必要です。また、AI活用が進む先進国の事例と日本の現状を対比させながら論じると、論述に深みが増します。
【令和6年度】終末期医療における患者の自己決定権
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)を題材にしたテーマです。「患者が自分の死に方を決める権利」をどこまで尊重すべきか、家族・医療者・社会との関係の中で論じることが求められます。このテーマでは、自己決定権の重要性を認めつつも、「意思決定能力が低下した場合」「家族と意見が対立した場合」などの具体的な状況を想定して論じることで、現実的な医療観を示すことができます。単なる倫理の教科書的な記述ではなく、医療現場を意識した視点が評価されます。
【令和5年度】感染症対策と個人の自由の両立
コロナ禍を経た現在、感染症対策における公衆衛生上の強制力と個人の自由・プライバシーの保護をどう両立するかを論じる問題です。このテーマでは、「集団の利益」と「個人の権利」という価値の対立を明確に示したうえで、どちらか一方を絶対視するのではなく、状況に応じた判断基準を提示することが高評価につながります。日本の感染症法の変遷や、海外の強制的隔離政策との比較を盛り込むと論述の説得力が増します。
【令和5年度】チーム医療における看護師の役割
医療看護学部・保健看護学部での頻出テーマです。特定行為研修制度の拡充や、ナースプラクティショナー制度の議論を踏まえ、看護師の専門性と役割の拡大について論じることが求められます。ここで重要なのは、「看護師は医師を補助する存在」という旧来のイメージを脱し、チーム医療の中で独自の専門性を発揮する主体として論じることです。患者に最も近い存在としての看護師の強みを、具体的なケア場面と結びつけて論述すると説得力が高まります。
順天堂大学の小論文で高得点を取る3つのコツ
コツ①「医療者の視点」を常に意識する
順天堂大学の小論文で最も重要なのは、「将来の医療者として論じる」という姿勢です。一般的な社会問題として論じるのではなく、「自分が医師・看護師・医療技術者として現場に立ったとき、どう判断するか」という当事者意識を持った論述が求められます。27年間の指導経験から断言できますが、この視点の有無が、合格答案と不合格答案を分ける最大の要因です。論述の随所に「医療者としての責任」「患者との信頼関係」「チームとしての判断」といったキーワードを自然に組み込む練習をしてください。
コツ②「対立軸」を設定して論じる
高得点答案に共通しているのは、テーマに関する「対立する価値観や立場」を明確に提示していることです。例えば、「個人の自由vs集団の利益」「技術の進歩vs人間的なケア」「患者の自己決定vs医療者の専門的判断」といった対立軸を設定し、その緊張関係の中で自分の立場を論じることで、思考の深さが伝わります。単純に一つの立場を主張するだけでは、論述が平板になります。反論を想定し、それに対して丁寧に応答する「譲歩構文」(「確かに〜という意見もある。しかし〜」)を積極的に使いましょう。
コツ③具体的な事例・データで論拠を強化する
「医療倫理が大切だと思います」「患者中心の医療が重要です」という抽象的な主張だけでは、採点者の心は動きません。具体的な医療事例、統計データ、法律・制度の内容、海外の事例などを根拠として盛り込むことで、論述の信頼性が飛躍的に高まります。例えば、「日本では2025年問題により、2025年以降に団塊の世代が75歳以上となり、医療・介護需要が急増する」「厚生労働省の調査によれば、看護師の離職率は約10〜11%で推移している」といった具体的な情報を論述に織り込む習慣をつけてください。日頃から医療系のニュース・白書・学術記事に触れることが、この力を養う最短ルートです。
よくある失敗パターンと対策
失敗①:「感想文」になってしまう
「〜だと思います」「〜が大切だと感じます」という主観的な感想の羅列は、小論文ではなく感想文です。小論文は「論拠に基づいた主張」を展開するものであり、感情的な共感や印象論は評価されません。対策としては、「なぜそう考えるのか」という根拠を必ず3つ以上用意する習慣をつけてください。根拠を考えるプロセスで自然と論理的な文章が生まれます。
失敗②:テーマの表面をなぞるだけで終わる
以前、私が指導した医学部志望の生徒が、「AI医療」というテーマに対して「AIは便利だが、医師の温かみも必要。バランスが大切」という結論を書いてきました。この答案は、テーマを深く掘り下げられていない典型例です。私は彼女に「AIが診断を誤った場合、誰が法的責任を負うのか」「AIの学習データに人種・性別のバイアスがあった場合、診断の公平性はどう担保されるのか」という問いを投げかけました。こうした「一歩踏み込んだ問い」を自分に課す習慣が、論述の深みを生みます。最終的に彼女は、医療AIの倫理的課題を法的責任・データ公平性・患者同意の三つの観点から論じた答案を書き上げ、見事合格を果たしました。
失敗③:課題文の要約に字数を使いすぎる
課題文型の問題では、課題文の内容を丁寧に要約することに多くの字数を費やしてしまう受験生が多くいます。しかし採点者が見たいのは「あなた自身の主張と論拠」です。課題文の要約は全体の20〜25%程度に留め、残りの字数を自分の論述に充てるよう意識してください。
失敗④:結論が冒頭の主張と矛盾する
論述の途中で立場がブレてしまい、冒頭では「賛成」と書いたのに結論では「どちらとも言えない」と締めてしまうケースがあります。これは論理的一貫性の欠如として大きく減点されます。書き始める前に「自分はどの立場で論じるか」を明確に決め、メモに書き出してから本文を書き始める習慣をつけてください。
失敗⑤:医療知識の不足を「熱意」でごまかそうとする
27年間の指導経験から断言できますが、「医療が好きです」「患者さんの役に立ちたいです」という熱意の言葉だけでは、順天堂大学の小論文で高得点は取れません。熱意は大前提として、その熱意を裏付ける医療知識・社会的背景の理解・倫理的思考力が伴って初めて評価されます。日々の学習の中で医療系の時事問題を積極的にインプットし、それを自分の言葉でアウトプットする練習を繰り返してください。
順天堂大学の小論文対策は、スカイ予備校にお任せください
ここまで読んでいただいた皆さんは、順天堂大学の小論文がいかに高度な思考力と表現力を求める試験であるかを理解していただけたと思います。医療倫理・生命科学・看護の専門知識を踏まえながら、論理的かつ説得力のある文章を時間内に書き上げる力は、一朝一夕には身につきません。しかし、正しい方法で継続的に練習すれば、必ず合格レベルに到達できます。
スカイ予備校では、私・五十嵐をはじめとする小論文専門の講師陣が、順天堂大学の出題傾向に特化した個別指導を行っています。過去問を徹底分析した独自のカリキュラムと、一人ひとりの答案に対する丁寧なフィードバックで、確実に実力を伸ばします。医学部・看護学部・保健医療学部など、志望学部ごとの対策も万全です。
順天堂大学への合格を本気で目指す皆さん、ぜひスカイ予備校の小論文講座をご活用ください。皆さんの「医療者になる」という夢を、私たちが全力でサポートします。
📝 2026年度 順天堂大学 小論文 予想問題
※令和5・6年度の出題傾向をもとにスカイ予備校が作成した予想問題です。実際の入試問題とは異なります。
2026年度 順天堂大学(医療系・看護・保健医療学部)小論文 予想問題
試験時間:90分
次の文章を読んで、後の設問に答えなさい。
近年、医療現場において「患者中心のケア(Patient-Centered Care)」という概念が広く普及しつつある。これは、患者を単なる疾患の担い手としてではなく、固有の価値観・生活背景・感情を持つ一人の人間として尊重し、医療者と患者が対等なパートナーシップのもとで治療方針を決定していくという考え方である。しかし、実際の臨床現場では、この理念と現実との間に大きな乖離が生じていることも少なくない。
ある調査によれば、入院患者の約六割が「医師や看護師に質問したいことがあっても遠慮してしまった」と回答している。その理由として最も多く挙げられたのは「忙しそうで声をかけにくかった」「専門用語が多くてよく理解できなかった」「自分の意見を言うと治療に悪影響があるのではないかと不安だった」などであった。このような状況は、患者が自らの治療に主体的に関わる機会を奪うだけでなく、インフォームドコンセントの形骸化をも招きかねない深刻な問題である。
看護師は、医師と患者の間に立つ存在として、患者の言葉にならない不安や疑問を引き出し、医療チーム全体に橋渡しする重要な役割を担っている。いわゆる「アドボカシー(advocacy)」の機能であり、患者の権利や意思を守るための代弁者としての役割である。しかし、慢性的な人手不足や業務の多忙化が進む現代の医療環境では、看護師が患者一人ひとりとゆっくり向き合う時間を確保することが困難になりつつある。ある病棟看護師へのインタビューでは、「本当は患者さんの話をもっと聞きたいが、記録業務や処置に追われて、ベッドサイドに座る時間がほとんど取れない」という声が多く聞かれた。
こうした構造的な問題に対処するためには、個々の看護師のコミュニケーション能力を高めるだけでは不十分であり、組織全体として患者との対話を支える環境を整備することが不可欠である。たとえば、一部の医療機関では「患者・家族相談窓口」の充実や、ラウンド時に患者の不安や希望を系統的に聴取する「コンフォートラウンド」の導入が試みられており、一定の成果を上げている。
しかし、制度や環境の整備は必要条件ではあっても十分条件ではない。患者中心のケアを真に実現するためには、医療者一人ひとりが「相手の立場に立つ」という姿勢、すなわち共感的理解(empathic understanding)を日常の実践の中で意識的に培い続けることが求められる。患者が「この人になら話せる」と感じる関係性は、高度な技術や知識だけで築けるものではなく、日々の小さな言葉がけや態度の積み重ねによって生まれるものである。医療の高度化・効率化が進む時代だからこそ、人と人との間に生まれる信頼という、数値化されない価値の重みを改めて問い直す必要があるのではないだろうか。
設問1
本文の要旨を200字以内でまとめなさい。
設問2
本文の内容を踏まえたうえで、看護師をめざすあなた自身は、患者との信頼関係を築くためにどのような姿勢や実践が重要だと考えるか。あなたの意見を600字以内で述べなさい。
※設問2では、本文の主張を踏まえつつ、自分自身の経験や具体的な考えを交えて論じることが望ましい。
📌 スカイ予備校からのアドバイス
設問1は「要旨」ですので、課題文の主張を客観的にまとめることが求められます。自分の意見は入れないよう注意してください。設問2では課題文の内容を踏まえた上で、医療・看護現場の具体例を交えながら自分の見解を述べることで高得点につながります。



