「共通テストの古文で高得点をとるためにやるべきこと」(全10回)の第4回は、助詞を押さえるについて書きたいと思います。
記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
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第4回 助詞を押さえる
今回は、いよいよ「助詞」を押さえたいと思います。古典単語と同時並行で学んでいきましょう。
まずは、助詞の種類の確認です。助詞には、「格助詞」・「接続助詞」・「副助詞」・「係助詞」・「終助詞」・「間投助詞」の6種類があります。1つずつ押さえていきましょう。 「係助詞」からです。「ぞ」「なむ」「や」「か」「こそ」「は」「も」の7つがあります。係助詞は、強意や疑問、反語などの意味を加え、文末を特定の活用形にするという働きがあります。下表を参照してください。
このなかで、特に訳出に気をつけなければならないのが、「や」「か」です。疑問なのか反語なのかを、慎重に判断する必要があります。ただし、「や」と「か」が係助詞「は」とくっついて、「やは」「かは」になることがあります。このときは、ほぼ反語の意で訳してもらってかまいません(ここで「ほぼ」と書いたのは、例外があるからです。たとえば、和歌で五・七・五・七・七のリズムを守るために、あと一字分稼ぎたくて「は」を添えるケースがあります)。あと2つほど、覚えておくべきことを追記しておきます。
①「こそ~已然形。」は強意だが、「こそ~已然形、」は逆接で訳す。
中垣こそあれ、一つ家のやうなれば、
②係助詞の組み合わせ「もぞ」「もこそ」は、「~したら大変だ」「~するといけない」と訳す。
雨もぞ降る。
次に、「格助詞」と「接続助詞」の違いを押さえましょう。簡単に説明すると、助詞の直前に何かしらの名詞(「時」「ところ」「もの」など)が補えるのが格助詞で、そうではなく、文を接続しているだけなのが接続助詞です。一つ一つを解説すると膨大な量になりますので、押さえるべきものを列挙しておきます。
格助詞は、「が・の」「に」「にて」「と」「より」「して」を押さえましょう。
接続助詞は、「が・を・に」「で」「ば」「と・とも」「ど・ども」「つつ」「ものの・ものを・ものから・ものゆゑ」を押さえましょう。
さて、お次は副助詞です。傍線和訳問題でしれっと入っていて、意外と選択肢で差別化されていたりすることもあるので、しっかり暗記しておきたいところです。副助詞には、「だに」「すら」「さへ」「まで」「のみ」「ばかり」「など」「し」(「しも」)があります。「だに」と「すら」は「~さえ」と訳し、「さへ」と「まで」は「~まで」と訳すので、「だに」「すら」「さへ」「まで」については、この順番で覚えるのがオススメです。一番問われるのは、「だに」の「せめて~だけでも」と訳す用法です。押さえておいてください。
散りぬとも香をだに残せ梅の花恋しき時の思ひ出にせむ
次に、覚えておくべき終助詞を紹介します。「な(禁止)」「(な)…そ(禁止)」「ばや(自己の希望)」「なむ(他に対する願望)」「もが・もがな(願望)」「てしが・てしがな・にしが・にしがな」(自己の希望)「な(詠嘆)」「か・かな(詠嘆)」「かし(強意・念押し)」があります。希望・願望を表す終助詞は複数ありますが、その使い分けを理解しておくことが大切です。
いよいよ最後に、間投助詞の登場です。主に「や」「を」「よ」の3つがあり、語調を整えるときに使われます。和歌で五七五のリズムをとるためにも用いられます。 さて、いかがでしたでしょうか。助詞を覚えるのは助動詞と同様、とても大変な作業です。「副助詞『すら』は『類推』で……」と機械的に暗記するのもよいですが、やはり古文の本文のなかで覚えていくのが一番です。助詞にまで留意をして品詞分解をするようにしましょう。古文の文章と文法のテキストとを行ったり来たりのにらめっこ……、泥臭い作業が古典文法習得の一番の近道です。