小論文の実例から学ぶ効果的な文章の書き方と対策法

大学入試

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴25年
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スカイ予備校を高崎市内に開校し、2021年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となり1年目から、国公立大学に27名の合格者を輩出。スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
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1.  はじめに:小論文とは何か

小論文は、大学入試や就職試験で頻繁に出題される重要な課題です。与えられたテーマについて、自分の意見や主張を論理的に展開し、説得力のある文章にまとめる能力が問われます。小論文は単なる感想文ではなく、客観的な根拠に基づいた論理的な文章であることが求められます。

2.  小論文と作文の違い

小論文と作文は、しばしば混同されがちですが、その性質は大きく異なります。作文が個人的な体験や感想を自由に表現するのに対し、小論文は客観的な事実や根拠に基づいて論理的に自分の意見を展開することが求められます。また、小論文では「です・ます」調ではなく、「だ・である」調を用いるのが一般的です。

3.  小論文の基本構成

1 序論の書き方

序論では、テーマの提示と自分の立場を明確に示します。例えば、「現代社会におけるSNSの影響について」というテーマであれば、「SNSは現代社会に大きな影響を与えているが、その功罪については慎重に検討する必要がある」といった形で、問題提起と自分の立場を簡潔に述べます。

2 本論の展開方法

本論では、序論で示した立場を裏付ける根拠や具体例を提示します。SNSの例であれば、「SNSによる情報拡散の迅速さ」や「コミュニケーションの活性化」といったメリットと、「個人情報流出のリスク」や「フェイクニュースの拡散」といったデメリットを、具体的なデータや事例を交えて論じます。

3 結論のまとめ方

結論では、本論で展開した議論を踏まえて、自分の最終的な見解をまとめます。「SNSは適切に利用すれば有益なツールとなりうるが、その使用には慎重さと批判的思考が不可欠である」といった形で、バランスの取れた結論を導き出します。

4.  小論文の書き方のコツ

1 論理的な展開

小論文では、主張とその根拠を明確に関連付けて論理的に展開することが重要です。「なぜなら」「したがって」といった接続詞を効果的に使用し、読み手が論理の流れを追いやすくすることが大切です。

2 根拠の提示

主張を裏付ける具体的な根拠や事例を提示することで、説得力が増します。統計データや専門家の見解、歴史的事実などを適切に引用し、自分の意見に説得力を持たせましょう。

3 客観的な表現

小論文では、個人的な感情や主観的な表現は避け、客観的な表現を心がけます。「私は~と思う」といった表現よりも、「~と考えられる」「~という見方ができる」といった客観的な表現を用いることで、説得力が増します。

5.  小論文の例文集

1 社会問題に関する例文

テーマ:「少子高齢化社会における労働力確保の問題について」

序論:日本社会は急速な少子高齢化に直面しており、労働力の確保が喫緊の課題となっている。この問題に対しては、多角的なアプローチが必要であると考える。

本論:労働力確保の方策として、まず女性の社会進出の促進が挙げられる。厚生労働省の統計によれば、日本の女性就業率は先進国の中でも低い水準にあり、ここに大きな潜在的労働力が存在する。育児支援や職場環境の改善により、この潜在力を活かすことが可能である。

次に、高齢者の就労促進も重要な施策となる。健康寿命の延伸に伴い、65歳以上でも働く意欲と能力を持つ人々が増加している。企業側の柔軟な雇用体制と、高齢者のスキルアップ支援を組み合わせることで、豊富な経験を持つ高齢者の労働力を活用できる。

さらに、外国人労働者の受け入れも検討すべき選択肢である。しかし、言語や文化の違いによる摩擦を最小限に抑えるための教育支援や、労働環境の整備が不可欠となる。

結論:少子高齢化社会における労働力確保には、女性の活躍推進、高齢者の就労支援、外国人労働者の受け入れなど、多面的なアプローチが必要である。同時に、これらの施策を効果的に実施するためには、社会全体の意識改革と制度の整備が求められる。

2 学部別の例文 医学部志望者向けの例文

テーマ:「医療技術の進歩と倫理的問題について」

序論:医療技術の飛躍的な進歩は、多くの命を救う一方で、新たな倫理的問題を提起している。本稿では、特に遺伝子治療と人工知能(AI)の医療応用に焦点を当て、その倫理的課題について考察する。

本論:遺伝子治療は、従来治療が困難だった遺伝性疾患に新たな希望をもたらしている。例えば、2017年にFDAが承認した白血病治療用のCAR-T細胞療法は、画期的な成果を上げている。しかし同時に、胚の遺伝子編集技術は、「デザイナーベビー」の可能性を示唆し、人間の尊厳や平等性に関する深刻な倫理的問題を提起している。

AIの医療応用も急速に進んでいる。画像診断や薬剤開発におけるAIの活用は、診断の精度向上や新薬開発の効率化に貢献している。一方で、AIによる診断結果の責任の所在や、患者データの取り扱いに関するプライバシーの問題など、新たな倫理的課題も浮上している。

これらの問題に対処するためには、医療従事者、研究者、倫理学者、法律家など、多様な専門家による議論と、社会全体での合意形成が不可欠である。また、医療技術の進歩に合わせて、倫理指針や法規制を柔軟に更新していく必要がある。

結論:医療技術の進歩がもたらす恩恵は計り知れないが、同時に複雑な倫理的問題を提起している。これらの課題に対しては、幅広い視点からの議論と、社会全体での合意形成が重要である。将来の医療従事者には、高度な専門知識とともに、こうした倫理的問題に対する深い洞察力が求められる。

6.  小論文対策の具体的方法

1 日頃の準備

日々のニュースや新聞に目を通し、社会問題に対する関心と知識を深めることが重要です。また、興味のあるテーマについて、自分の意見をまとめる習慣をつけることも効果的です。

2 過去問分析

志望校の過去の小論文問題を分析し、どのようなテーマが出題されやすいか、どのような論述が求められているかを把握します。これにより、効率的な対策が可能になります。

3 添削指導の活用

自分で書いた小論文を、先生や専門家に添削してもらうことで、自分の弱点や改善点を明確に把握できます。添削を受けた後は、指摘された点を意識して練習を重ねることが大切です。

7.  まとめ:小論文力向上のために

小論文の作成能力を向上させるには、継続的な練習と幅広い知識の習得が欠かせません。日頃から社会問題に関心を持ち、自分の意見を論理的に組み立てる習慣をつけることが重要です。また、例文を参考にしながら、自分なりの表現力を磨いていくことで、説得力のある小論文を書く力が身につきます。

小論文は、単に入試や就職試験のためだけでなく、論理的思考力や表現力を養うツールとしても有効です。これらのスキルは、大学での学びや将来の職業生活においても大いに役立つでしょう。小論文対策を通じて培った能力は、皆さんの人生における貴重な財産となるはずです。

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