記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴27年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。
2020年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となる。過去3年間で国公立大学合格85名。
高1から入会者は国公立大学合格率93%
高2から入会者は国公立大学合格率86%
高3の4月から入会者は国公立大学合格率73%。
スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
1. 男女共同参画社会とは何か?その理念と背景
男女共同参画社会とは、性別による役割分担や固定観念に縛られることなく、誰もが自らの能力や希望に応じて、社会のあらゆる分野で活躍できる状態を目指す理念を指します。日本では長らく、家庭内では女性が家事・育児を担い、男性は外で働くという伝統的な役割分担が浸透してきました。その結果、女性は結婚・出産後にキャリアを中断せざるを得ないケースが多く、また男性も長時間労働や会社への強い帰属意識を前提に生きていくことが当たり前とされてきました。
しかし、少子高齢化が進む社会においては、女性が労働市場で活躍することが欠かせず、また男性が育児や家庭生活に積極的に関わることは、子どもの健全な発達や家族関係の質的向 上、さらには社会全体の持続的発展にもつながります。こうした背景から、1999年には「男女共同参画社会基本法」が制定され、法的な枠組みと基本理念が定められました。この法律を礎として、国や自治体、企業、教育機関などが主体的に取り組みを進め、性別に基づく差別や固定観念を解消し、柔軟な働き方やライフスタイルを実現するための様々な施策や制度が整備されつつあります。
つまり、男女共同参画社会とは、個々人が性別に関わらず対等なパートナーとして共に生き、働き、支え合う社会を築く理念であり、その実現には男性が育児に参画できる制度的基盤の整備が欠かせないのです。
2. 日本における男性の育児休業制度の現状と概要
日本では、育児・介護休業法により男性も育児休業を取得できる制度が整えられています。具体的には、子が1歳になるまで(条件により最長2歳まで)育児休業を取得でき、さらに2022年には「産後パパ育休」と呼ばれる出生後8週以内の短期取得制度が整備されるなど、法的には男性がより積極的に休みを取得しやすい環境が整いつつあります。また、育児休業中には一定の条件下で給与の67%程度(一定期間後は50%)が雇用保険から支給されるため、経済的な不安を軽減した上で子育てに集中することも可能になっています。こうした法的・制度的枠組みは、男性が育児の初期段階から深く関わり、パートナーの身体的負担を軽減するとともに、家族全体としてバランスの取れた子育て環境を構築するために欠かせません。
しかし、法整備が進んでいるにもかかわらず、実際に男性が育児休業を取得する割合はまだまだ低水準にとどまっています。その背景には、企業文化の慣習的な問題や、休業後のキャリアへの懸念、周囲の目を気にする心理的ハードルなどが複合的に絡み合っています。こうした現状を踏まえると、男性が気兼ねなく育児休業を取得できるような職場文化や社会的理解の醸成が、これからより一層求められていくでしょう。
3. 男性の育児休業取得率が低い理由と根底にある社会的要因
男性が育児休業を取得しづらい背景には、長い歴史的経緯や慣習的な価値観が深く根付いています。まず、戦後の高度経済成長期から続く「企業戦士」的な男性像が根強く、男性は職場で長時間働くことが当たり前とされ、家庭での育児や家事は「女性の役割」とみなされてきました。このようなジェンダーロールは、家庭と仕事の両立を困難にし、育児休業を取得する男性が少数派である状況を固定化しています。
また、職場内の評価システムも問題の一因です。多くの企業では、長く働くこと、休まず仕事に専念することが「熱心さ」や「出世欲」と結びつけられ、育児休業による一時的な離脱はキャリア形成において不利に働くとの懸念が払拭されていません。
さらに、周囲の同僚や上司から「甘えている」と受け取られたり、自らも「男が育児で休むのはおかしいのでは」といった無意識のバイアスに縛られたりすることも少なくありません。これらの要因は、法律や制度による改善が進められてもなお根強く残り、実際の取得率を押し下げています。こうした社会的要因をクリアにするためには、メディアや教育現場を通じて新たな父親像を提示したり、職場文化自体を見直していく取り組みが求められます。
4. 男性が育児休業を取得することによるメリットと家族や社会への影響
男性が育児休業を取得することには、様々な側面で大きなメリットがあります。まず、父親が出産直後から育児に積極的に関わることで、母親の身体的・精神的負担が軽減され、産後うつのリスクを低減することにつながります。
また、父親と子どもが早期から密接な触れ合いを重ねることで、子どもの情緒的な安定や愛着形成が強化され、長期的に見て親子関係が豊かになることが期待できます。さらに、父親が育児に関与することは、夫婦間の協力関係を深化させ、対等なパートナーシップを築く土壌となります。これにより、長期的には女性がキャリアを継続しやすくなり、労働市場における女性の活躍が促進され、結果的に経済成長や社会の活力向上にも寄与します。職場においては、男性の育児休業取得が当たり前になることで、各従業員がライフイベントや家庭環境に柔軟に対応できる働き方が定着し、離職率低下や生産性向上といった効果も期待できます。
このように、男性の育児休業取得は、家族内の役割分担を見直し、女性の負担軽減と社会的活躍を後押しするばかりでなく、子どもの健全な成長や経済的効率性の改善、職場環境の改革といった多方面にポジティブな影響をもたらすのです。
5. 海外における男性の育児休業制度の先進事例と学ぶべきポイント
海外に目を向けると、北欧諸国や一部のヨーロッパ諸国、カナダなどで男性の育児休業取得が当たり前とされ、また取得率も非常に高い事例が目立ちます。例えば、スウェーデンでは「パパ・クォータ」(父親割当制度)と呼ばれ、一定期間の育児休業を父親が取得しなければ家族全体の給付が減額される仕組みが導入されています。この制度は、単に「取得できる」環境を整えるだけではなく、「取得しないと損をする」という逆転の発想で父親の積極的な関与を促していること が特徴です。こうした政策により、スウェーデンの男性育休取得率は格段に向上し、結果として女性の就労継続や所得向上、子どもの生活環境改善が実現しています。また、アイスランドやノルウェーでも類似の取り組みが行われ、制度設計に加えて、社会全体で育児に対する意識改革が進行中です。海外の先進事例から学ぶべきは、単なる制度整備にとどまらず、給付金や奨励制度、法律上の義務付けといった「強制力」と「インセンティブ」を組み合わせることで、男性が育児休業を取得しやすい社会的インフラを整える点にあります。
また、海外ではメディアや教育、職場研修などを通じ、子育てが男女問わず重要な親としての義務であることを周知徹底しており、その価値観が自然に浸透していくことが、長期的な行動変容につながっているのです。日本がこうした先行事例から学び、適切な制度移転や独自の改善策を打ち出していくことで、より強固な男女共同参画社会への道筋が開けるでしょう。
6. 男性の育児休業普及に向けた政策、企業、個人レベルでの取り組みと今後の課題
男性の育児休業取得を促進するためには、政策面・企業面・個人面の総合的な取り組みが欠かせません。政策面では、育児休業給付のさらなる充実や取得要件の緩和、取得実績が低い企業へのインセンティブ・啓発など、積極的な法的整備や支援が求められます。企業側では、トップマネジメントによる明確な方針打ち出しや、男性が休みを取得することを前提とした人事制度の見直し、またロールモデルとなる先駆的な管理職男性の実例発信などが有効です。また、従業員同士が育休取得者を尊重し、サポートし合う風土づくりも重要な鍵となります。
一方、個人レベルでは、育児休業取得を当たり前と考え、自らのライフプランに組み込む意識が求められます。男性自身がキャリアや収入への不安にとらわれず、子どもとの時間や家族との関わりを深めることが、自分自身の人生の質を高める上でも重要な意味を持ちます。こうした取り 組みが広がる中、今後の課題として、根強いジェンダーバイアスを乗り越えること、業種や企業規模による制度利用の格差是正、非正規雇用者や自営業者が利用しやすい環境整備など、多面的な課題にも向き合わねばなりません。総じて、政策・企業・個人が一体となり、社会全体で「男性が育児を担う」ことを前提とした新たな価値観を共有していくことが、真の男女共同参画社会実現への道筋といえるでしょう。
★私はベンチャー企業を立ち上げて1年目ですが、現時点で家族がいなくても、ワーク・ライフ・バランスの重要性は痛感しています。例えば、仕事時間を柔軟に設定し、自分の生活リズムを整えます。必死で走り続けるより、余裕を持ち、自分をケアすることで、将来的に家庭ができた際にもスムーズに両立できる素地を築けると考えます。また、社内文化として、たとえ私自身が家庭を持たずとも、育児参加や家族との時間確保を尊重する風土を醸成することが、長期的な組織力強化につながると信じています。こうした「今からの一歩」が、将来に活きるはずです。