【学校推薦型選抜入試】下関市立大学 令和6年度小論文過去問題と概要

小論文過去問題

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴27年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。

2020年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となる。過去3年間で国公立大学合格85名。

高1から入会者は国公立大学合格率93%

高2から入会者は国公立大学合格率86%

高3の4月から入会者は国公立大学合格率73%

スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします

小論文過去問題

R6年度 経済学部 学校推薦型選抜

問題1 次の文章を読んで、設問に答えなさい。

※本文省略

引用:『応援消費一社会を動かす力』水越康介著(岩波書店、2022年、pp.102~108)


設問1 「バイコット」とはどのような行為か。本文の内容を踏まえて200字以内で説明しなさい。

設問2 「バイコット」が持っている効果や可能性、および課題や限界について具体的な事例を挙げつつ600字以内で論じなさい。

問題2 図1~5は、本における食料品アクセス問題に関する図です。これらをもとに、以下の設問に答えなさい。

設問1 図1~2をもとに、食料品アクセス問題への対策を必要とする背景について概観し、300字以内で記述しなさい。

設問2 図3~5をもとに、行政および民間事業者による対策の実施状況を概観したうえで、それらの対策が食料品アクセス問題の解決に結びついていくのか否かについて、あなたの意見を500字以内で述べなさい。

※本文省略

【出典】農林水産政策研究所「食料品アクセス困難人口の推計結果」農林水産省「「食料品アクセス問題」に関する全国市町村アンケート調査結果」より作成

図1 食料品アクセス困難人口(地域別)

出典:農林水産政策研究所「食料品アクセス困難人口の推計結果」

図2 食料品アクセス問題への対策を必要とする背景(2021年度)

出典:農林水産省「「食料品アクセス問題」に関する全国市町村アンケート調査結果」

図3 対策が必要な市町村における民間事業者の参入と市町村による対策の実施状況

出典:農林水産省「「食料品アクセス問題」に関する全国市町村アンケート調査結果」

図4 行政による対策の実施状況

出典:農林水産省「「食料品アクセス問題」に関する全国市町村アンケート調査結果」

図5 民間事業者による対策の実施状況

出典:農林水産省「「食料品アクセス問題」に関する全国市町村アンケート調査結果」から作成

R6年度 データサイエンス学部 学校推薦型選抜

問題 近年、ChatGPTをはじめとする生成AI(注2)に対する関心が高まっています。下記図表1~7はChatGPT生成AIに関するデータです。これらを参照しながら以下の設問に答えなさい。

設問1 図表1.2はChatGPTを提供しているOpenAIへのアクセス数を示しています。図表3.4は日本におけるChatGPTの認知度、利用率に関するデータです。図表1~4をもとに日本でのChatGPTに関する利用状況について概観し、300字以内で述べなさい。

設問2 図表5~7はChatGPTを含む生成AIについて、ビジネス利用の意向と実態を調査したアンケートです。図表5~7をもとにビジネスでの生成AI利用について概観し、今後日本での生成AIのビジネス利用について、あなたの意見を500字以内で述べなさい(否定的でも肯定的でも良い)。

※本文・図表省略

図表1 Openai.comへの日本からのアクセス数推移

出典:野村総合研究所「日本のChatGPT利用動向(2023年4月時点)」similarwebより野村総合研究所作成

図表2 Openai.comの国別トラフィックシェア(2022年11月~2023年4月)

出典:野村総合研究所「日本のChatGPT利用動向(2023年4月時点)」similarwebより野村総合研究所作成

図表3 ChatGPTの性年代別認知・利用率

出典:野村総合研究所「日本のChatGPT利用動向(2023年4月時点)」

図表4 職業別に見たChatGPT利用率

出典:野村総合研究所「日本のChatGPT利用動向(2023年4月時点)」

図表5 AI(人工知能)のイメージ

出典:野村総合研究所「アンケート調査にみる「生成AI」のビジネス利用の実態と意向」2023年5月

図表6 生成AIの職場における導入検討状況(勤務先の業種別)

出典:野村総合研究所「アンケート調査にみる「生成AI」のビジネス利用の実態と意向」2023年5月

図表7 生成AIの利用用途と今後の活用可能性

出典:野村総合研究所「アンケート調査にみる「生成AI」のビジネス利用の実態と意向」2023年5月

出題意図・解答の傾向

R6年度 経済学部 学校推薦型選抜

【出題の意図】
問題1は、水越康介『応援消費-社会を動かす力』(岩波書店 2022年)から出題した。
本書は、日常的に目に触れるようになった「応援消費」という言葉を取り上げ、その誕生からの経緯や応援消費が内包する矛盾を多角的に論じている。今回取り上げた第4章の部分は、応援消費を内包する政治的消費行動、いわゆるパイコット(buycott)について論じた部分となる。
購買活動を通じて、特定の企業や組織を応援する現象に、近年研究者の注目も集まりつつあることが指摘されている。
いわゆる「失われた30年」を経て、「コスパコストパフォーマンス)」という単語が市民権を得ている。しかし、エシカル消費など個々人の消費が持つ力に着目する動きも世界的に広がりを見せつつある。本学経済学部の推薦入試受験生に、経済学の基本的な要素である消費のあるべき姿を一度は考えてほしいと考え、本書を取り上げることとした。
<設問1>
課題文の内容を適切に読み取り、「パイコット」の意味を説明する能力を問うている。比較的平易な文章であり、バイコットとは何かを真正面から取り扱っているため、受験生にとっても取り組みやすい問題ではないかと考えた。消費者個人の効用を最大化させることを重視する一般的な消費とは異なり、バイコットは利他性に基づき、現状を改善するために消費を利用する点が読み取れていることが必要となる。それ以外には、ボイコットとの違いや近年の研究の高まりなどに言及されていれば、高い評価を与えることとする。
【解答の傾向】
利他性、好ましい慣行に報いるために消費することといった内容は、多くの受験者が概ねキーワードを捉えて解答できていた。ただ、それらを過不足なくつなぎ合わせて論理的文章とする能力には差が見られ、文意がわかりにくい記述や冗長な記述が散見された。また、ボイコットとバイコットの対比的な記述を誤って解釈した解答も一部見られた。「購入・買う」という単語が含まれていないものもあり、それらは減点した。
また、課題文を切り貼りして解答したために、主語と述語の関係がおかしいものや1文が数行に及んで意味をなさなくなった文章も散見された。解答用紙に書き込む前にまとめたい内容を整理したり、残り時間を利用して文章の読み直しをしたりするなどの対応を求めたい。少数ではあるが、漢字の間違いもあった。

【解答例】
通常の消費は自身の利己的な効用の最大化を重視し購買する行為であるが、バイコットは利他性に基づき社会や他者の問題を重視して購買する行為である。バイコットやボイコットは政治的消費主義と位置付けられ、倫理的、環境的、政治的に問題があると思われる制度や市場の慣行を改善するために、市場を政治の場として利用する。問題のある企業に対してはボイコットを行うが、好ましい慣行に報いて購入することはパイコットとなる。
<設問2>
課題文を利用しながら、バイコットの長短を論じることで、受験生が日々の社会経済問題にどの程度関心を持っているかを判定する内容となっている。課題文の中にも、現在・過去のバイコットの事例が数多く挙げられており、受験生が日々の社会経済ニュースに一定の関心を有していれば、経済学の専門的な知識がなくても説得力ある解答が可能であろう。
設問1において、バイコットは、一般の消費と異なり、利他性に基づくことに触れている。この著者の見解を踏まえて、利他的な性格が記述されていれば、問いの前半部の効果可能性については問題なく論じているといえるだろう。他方、課題文の中には課題や限界についての言及はそれほど多くはない。受験生がこれまでの学びの中で触れた知識を利用して解答することを期待したい。
【解答の傾向】
解答の傾向については、「解答の内容」「文章」「その他」3点から説明する。
○解答の内容
・フェアトレードやエシカル消費などの具体的な事例を挙げつつ、その可能性と課題について的確に論じた答案には高い評価を与えた。
・昨今の芸能事務所のニュースを踏まえたテーマを論じているものもあった。
・設問では、効果および課題の両面について具体的事例を挙げることが求められているが、課題文に挙げられた事例の要約に過ぎない記述や、効果課題のうち片方のみに言及した記述が多く見られた。
・募金や寄付と誤解している答案も少なからず存在した。
・バイコットの課題を説明すべきところ、LGBT問題やふるさと納税の抱える問題の解決策を論じていたり、日本の労働力不足の解決策を論じたりしている答案も散見された。
以上のことからは、受験者が設問1で自身が答えた内容を踏まえずに、設問2を答えている様子がうかがえる。設問1で触れている「利他性」や購買を通じた社会の改革といった点を設問2で適切に利用していれば、高い評価となったはずであり、残念な点だった。
受験者自身も消費者であり、日常生活における消費のあり方を見直すことを論じた答案が出てくるものと考えていたが、その種の解答は極めて少なかった。近年、消費のあり方をめぐる話題はニュースなどでも多数見られる。社会や経済に関する問題への感度を高めておく必要もあるものと思われる。

問題2
【出題の意図】
日本における「食料品アクセス問題」について、農林水産省および農林水産政策研究所の調査・分析資料を用いて出題した。これらは、全国各地で深刻な課題となっている食料品アクセス問題(いわゆる「買い物困難者」の増加)について、広く現状を把握するための情報である。
本問題では、農林水産政策研究所「食料品アクセス困難人口の推計結果」(図1)および農林水産省「「食料品アクセス問題」に関する全国市町村アンケート調査結果」(図2~図5)のデータを読み解き、「食料品アクセス問題への対策を必要とする背景」と「行政および民間事業者による対策の実施状況」を把握した上で、「それらの対策が食料品アクセス問題の解決に結びついていくのか否か」について、自分の意見を論理的に説明できるかをみた。
<設問1>
【解答のポイント】

本設問では、図から読み取れる客観的な事実、すなわち図1と図2の関係性および各図から読み取れる数的特徴を、300字という限られた字数でいかに正確に記述できるかという点が重要である。
図1は、2005年から2015年の地域別食料品アクセス困難人口(推計値)の推移を表したグラフである。2015年における食料品アクセス困難人口は、2005年と比較して、三大都市圏では44.1%、地方圏では7.4%とそれぞれ増加している。このことから、地方の過疎地域のみならず、都市部においても、高齢者を中心に食料品アクセス困難者が増加していることが読み取れる。
図2は、「食料品アクセス問題への対策を必要とする背景」について、全国の市町村を対象に調査した結果を都市規模別に示している。都市規模に関わらず「住民の高齢化」が最も多く、次いで「地元小売業の廃業」、「中心市街地、既存商店街の衰退」となっている。さらに、「助け合いなど地域の支援機能の低下」を挙げた市町村は大都市ほど多く、「公共交通機関の廃止等のアクセス条件の低下」は小都市、中都市ほど多いことが読み取れる。
【解答の傾向】
本設問では、「食料品アクセス問題への対策を必要とする背景について概観」することが求められており、図2にはまさに「対策を必要とする背景」が示されている。したがって、本設問では、まず図1から「食料品アクセス困難人口」の地域別推移の特徴を述べた上で、図2から読み取れる各種背景の特徴を都市規模別の特徴にふれながら解答することを期待した。
図1については、大半の受験者が適切に読み取れていた。2005年から2015年の地域別食料品アクセス困難人口の絶対数は三大都市圏より地方圏が多いが、増加率でみると三大都市圏が大きいことに言及することを期待した。その点は大半の受験者が言及できていた。
次に、図2については、本設問で求められていない、すなわち、図からは読み取れない受験者自身の考察を、比較的長く記述している答案が散見された。例えば、図2の項目にある「地元小売業の廃業」や「中心市街地、既存商店街の衰退」の理由について、受験者自身の考察を加えるというものである。設問で何を問われているのか、それぞれの図が何を示しているのか、提示されている複数の図の関係性を適切に読み取ることが重要である。

<設問2>
【解答のポイント】

図3から図5は、いずれも食料品アクセス問題解決に向けた行政および民間事業者による対策の実施状況を示している。これらの取組が課題解決につながるか否かについて、設問1で解答した問題の背景 (課題)を踏まえつつ、考察を加えることを本設問は求めている。図3から図5により読み取れる主な事項は以下のとおりである。
図3:対策を必要とする市町村において、9割以上が行政または民間事業者のいずれかで対策が実施されており、2014年度から増加傾向にある。
図4:行政による対策としては、「コミュニティバス、乗り合タクシーの運行等に対する支援」が中心で、2014年度から10ポイント以上増加しており、小都市ほど実施率が高い。
図5:民間事業者による対策としては、都市規模にかかわらず「移動販売車の導入・運営」と「宅配、御用聞き買い物代行サービス等」が中心で、前者は2014年度から20ポイン
ト以上増加、後者は減少傾向にあるが、いずれも実施率は60%を超えている。
一方、図2から、食料品アクセス問題が発生する背景としては、身体機能の低下やバス路線等の廃止により家から外出しにくいこと、小売業の廃業などにより家の近くに買い物する場がないこと、単身世帯の増加等による買い物を手助けしてくれる人の不在などが挙げられる。これらが要因となり生活者と買い物できる場との間に距離が生じたため、食料品アクセス問題が発生していると考えられる。
これらのことから、買い物する場を生活者に近づけるか生活者を買い物する場に近づける、コミュニティ形成などによる地域の支援機能の強化が課題解決につながると考えられる。以上の点を踏まえ考察することがポイントとなる。その際、都市規模ごとに問題の背景に違いがあること、対策の実施状況についても、都市規模ごとに注力する取組に差があることに留意する必要がある。
【解答の傾向】
図3から図5それぞれの図の読み取りについては、大半の受験者が解答できていた。一方で、提示されている複数の図を全体として捉え、考察を加えられていた答案は少なかった。
上述のとおり、本設問では設問1で解答した問題の背景を踏まえつつ、行政および民間事業者による取組(図3・図5)が、課題解決につながるか否かについて受験者自身の考察を加えることを期待した。しかしながら、複数の図を全体として捉えることができず、一部の側面からのみ議論しようとする解答が散見された。例えば、個別の対策の有効性の議論に終始する、行政と民間の対策の内容を比較しその違いを指摘する、大都市と中小都市の対策の内容を比較し、その違いを指摘するなどである。さらに、提示された図から読み取れる情報に基づかず、もしくは根拠を何ら示さないまま意見を述べる答案も散見された。例えば、受験者自身の経験や自身の身近な人の経験を根拠とするというものである。また、図の概観に終始し、自分の意見が示されていない、逆にほぼ意見のみが述べられている答案も見受けられた。
本問題は「図表理解」の問題であるため、すべての図を読み込んだ上で、設問で求められたことに図から読み取れる情報を基に解答することが大前提となる

R6年度 データサイエンス学部 学校推薦型選抜

【出題の意図】

野村総合研究所が行っているデジタルエコノミーに関する調査報告書から出題した。この報告書は、世の中で話題となっているテーマや、社会的に意義があると考えられるテーマについて、野村総合研究所が調査提言を行うレポートである。今回出題に使用したレポートは、2023年に最も話題となったテーマの1つである「生成AI」「ChatGPT」について、調査を行った結果をまとめたものである。データサイエンス学部の受験生として、今話題となっている情報系技術・人工知能の問題などについて興味や関心を持っているか、提示された図表から具体的理論的な考察や意見を述べることができるのかを見る問題となっている。
<設問1>
【解答のポイント】

図表1では、特定の時期(2023年2月頃)から急激にOpenAIへの日本からのアクセス数が増えたことが判り、ChatGPTへの注目が急激に高まったことが読み取れる。
図表2より各国の中でも日本の利用者・利用率が高いことが判る。また、日本の国別トラフィックシェアは3位となっているが、人口を考慮するとアメリカやインドより人口あたりの利用者数は多いことが推察できる。
図表3から認知率に対して利用率がかなり低いことが判る。また、性別による認知・利用率の差があり、男子の方が女子よりも認知・利用率ともに高い。また、年代別でも性別による差があり、男子は10代・20代の認知率が高い。利用率も若者ほど高い傾向にある。女子の認知率については、年齢による差があまりない。利用率については、20代のみ10%を超えており、それ以外は全て10%以下となっているなど、かなり異なる傾向となっていることが読み取れる。
図表4では、学生・教職員など、学校関係者の利用率が高いことが判る。授業での有効活用や、学生が利用することで授業課題に与える影響など、学校関係者に与えた影響が大きかったことが推察される。次いで会社役員、会社員などのビジネス関係者の利用率が高く、ビジネス分野においても、様々な利用方法の検討などが行われていたことが読み取れる。
【解答の傾向】
図表1~4について、概ねデータは適切に読み取れていたと考える。ただし、一部にはデータの読み取りを殆ど行わず、受験者自身の考察が解答の大部分を占めている答案もあった。図表から読み取れるデータに関しての考察を行うことは問題ないが、問題文では問われていない自身の意見が記述の大部分を占めている解答では、評価を与えることはできない。
図表2は、国別のトラフィックシェアを示している。国別の順位については、多くの受験者が言及していたが、国の人口差を考慮した解答は殆どなかった。トラフィックを生み出すのはその国の人間であり、人口に差があれば利用率に差があることに思い至らなかった、もしくは国別人ロの知識を持っていなかったと考えられる。

図表3については、認知率・利用率、男性・女性、年代と多くの側面から比較検討ができるグラフとなっているにも関わらず、1つの側面だけに着目した解答が多かった。字数の制限があるため、全ての項目を比較検討して記述することは困難であるが、データの読み取りを問う問題で、データの大部分を捨ててしまうような解答では、高い評価を与えることはできない。

<設問2>
【解答のポイント】

図表5からは、AIのイメージについて「業務効率・生産性を高める」「暮らしを豊かにする」などプラスのイメージがあるが、「人間の仕事を奪う」「なんとなく怖い」などマイナスのイメージもあることが読み取れる。
図表6からは、AIのビジネス導入の実態について、トライアルを含めて約10%程度、使用を検討しているのも約10%程度であり、まだ導入検討とも数が少ないことが読み取れる。業種別で見ると、トライアルを含めて使用率が高いのは「IT・通信」「教育・学習支援」であり、使用を検討している率も高い。それ以外の業種については、概ね全体平均よりも低く、殆ど導入・検討が進んでいないことが判る。
図表7より生成AIの利用用途に関して、現在利用・今後の活用可能性が高いのはテキスト・プログラムメール等のテキスト生成系AIであり、画像音楽動画生成系AIについては現在利用・今後の活用可能性ともに低く、ビジネスでの利用が進んでいないことが判る。
否定的な意見を述べる場合、生成系AIの問題を指摘し、導入を慎重に進める必要性を主張する形となる。問題点としては、生成AIが作成したテキスト・画像・動画などの創作物に関する著作権問題、生成AIが作成した情報の虚偽性の問題、教育現場における学生・生徒によるAIで生成した成果物を自分で作成したと偽って提出する可能性、などである。これらの問題点を指摘し、生成AIのビジネス導入を慎重に進める主張を述べる形となる。
肯定的な意見を述べる場合、ビジネス利用における利点を積極的に主張する必要がある。AIのビジネス利用については海外でも進められているため、慎重になりすぎると日本の産業競争力を損なう可能性などを述べる。積極的に利用を進める前提として、生成AIの利用に関する法制度やガイドラインの作成を検討する必要性などを記述する。原稿作成プログラム作成の補助など、ビジネスの効率化に役に立つことを主張し、生成AIのビジネス利用を積極的に進めるべきとの意見を述べる形となる。
【解答の傾向】
問題文には「図表5~7をもとに」との記載があるにも関わらず、図表に言及せずに自身の意見のみを記述している答案が見受けられた。本問題は「図表理解」の問題であり、図表からの考察を行った上で、自身の見解自身の知識を述べるのであれば問題ないが、図表と関係ない事柄が大部分を占める解答では、評価を与えることはできない。意見が「否定的」でも「肯定的」でも問題はないが、自分自身の立場を主張することなく、様々な意見だけを羅列する形の答案も見受けられた。どのような立場主義から意見が述べられているのかがはっきりしないと評価を与えることは難しい。また、図表には生成系AIに対する否定的・肯定的なデータが両方含まれているにも関わらず、自身の意見と異なるデータには一切言及せず、自分の主張にとって都合が良いデータのみに言及するのも好ましいとは言えない。様々な主張があるなかで、自身はこのような意見を持っていると述べるべきである。

○文章について
・600字の字数制限の中、1文が4行(100字)を超えるものがあるなど、難読な文章があった。
.「素材、だったり、リサイクルが出来る。などは消費者自身・・」という句読点の使い方に問題のある解答があった。
できるだけ簡潔な文章で議論を展開していく方が良いと思われる。簡潔な文章を書くことは一朝一夕にできることではないため、学校での普段の学びの際にも意識しておくことをお勧めしたい。
その他、誤字は多数見られた。

【解答例】
バイコットの一例としてフェアトレードがある。現在の貿易システムが生産国の生産者の犠
牲の上に成り立っているという問題意識から出発した活動である。先進国の消費者がフェアト
レードに認定された商品を購入することで、途上国の生産者に適正な価格を長期間にわたって
支払うという仕組みである。近年、大手の小売業でも取り扱われるようになり、一般の消費者が
公正な貿易を支援する仕組みとして注目を集めている。また地域ぐるみで促進しようとするフェアトレードタウン運動も高まりを見せている。
しかし、フェアトレードに認定されるには複雑な手続きが必要であることはよく知られており、途上国の生産者が簡単に認定される仕組みとはなっていない。途上国の生産者に対する入りロを広くし、同時に先進国の消費者が欲する品質を維持することを求めるには、まだ多くの課題がある。また消費者は、フェアトレードの商品さえ買っておけば、どれほど消費をしても許されるという風に誤解する点も問題がある。近年、消費主義そのものも問題視されているが、フェアトレードは安易に消費する行為そのものを反省する仕組みとはなっていない。その意味で、フェアトレードは既存の消費主義の枠組みの中で、公正な貿易を求める運動といえるだろう。大手の小売業がフェアトレード産品を取り扱い始めた背景には、このような消費主義が肯定されている点がある。消費者はその限界も理解する必要がある。

学部学科、コース

経済学部

経済学科では、伝統的な理論から最新の手法分析まで、幅広い経済学のアプローチを学び、グローバル経済から地域社会に至る多様なスケールの空間をフィールドとして、実証的な研究分析にも取り組んでいく。社会が抱える問題に実際に触れることで、制度や政策の理解を深めるとともに、問題解決に向けた実践的な手法も学ぶ。
国際商学科では、商学や経営学をベースに国際的な取引の仕組みや方法、組織(企業等)の国際活動ならびに行動原理を学ぶと同時に、東アジアを主とした地域の理解や企業経営についての知識を深める。
また、東アジア市場の実績や現代の企業が抱える諸問題を、金融、マーケティング、会計などを通じて解決できる能力を涵養する。
公共マネジメント学科では、現在、政府に限らずさまざまな人・組織に、公共の担い手としての役割が期待されている。同学科では、経済学や経営学・商学に加え、法・政治・行政などの公共に関連する多様な分野を学ぶ。これにより、幅広い視野・立場から、社会の問題や解決策を考える能力を身につける。

データサイエンス学部

2024年新設の学部。
国内外を問わず、ビジネス、保健医療福祉、行政等の幅広い分野で、データを分析することによって、常に新しい戦略を立てることが常識となっている。それを実行するためには普段から「課題を見つけ」「情報を集め」「分析し」「新たな知見を見出す」力を養うことが重要だ。体系立った理論をもつ「情報科学」でありながら、ビジネスなどにも欠かせない「実学」でもある、それがデータサイエンス。データに基づく統計的な思考によって課題を解決するデータサイエンスを身につけた人材を育成する。

看護学部

変化が著しく将来を予測できない時代だからこそ、人びとの健康課題の発見・改善に向けて行動できる看護人材が必要だ。医療機関や療養施設に限らず人が生活する場において、特に下関・関門地域に暮らす人びとがその人らしく生活し、健康で幸せに生きることを支えることができる看護専門職者を養成する。
1年次では幅広い教養を身につけ、さまざまな人びとや生活、社会、文化を学び、2年次から看護学の基礎を身につける。3年次では、臨地実習を通して、病院や施設など、さまざまな場所・状況にある人への看護を実践。4年次は、専門分野や看護研究を通して、看護学を探究し続ける姿勢を身につける。

所在地・アクセス

下関市立大学のHPこちら

      入試情報こちら

山口県下関市大学町2-1-1JR「下関」駅からバスで約20~25分、
山の田または大学町二丁目バス停下車、徒歩4分
JR「幡生」駅から徒歩約20分ら徒歩10分
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