【推薦入試】下関市立大学 全学科共通(小論文過去問題解説)

推薦入試

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

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下関市立大学 全学科共通の小論文対策

【令和5年  学校推薦型選抜】

問題 次の文章を読んで、設問に答えなさい。

課題の要約文です。

SDGs(持続可能な開発目標)は、個人や組織が2030年までに向けて取るべき行動の指針です。行動の単位は個人、会社、組織、あるいはリーダーとしての行動に及びます。大切なのは、個性を生かして行動することで、SDGsへの貢献が始まることです。筆者自身の経験から、SDGsを実践する機会が家づくりプロジェクトに結びついたことを説明しています。SDGハウスプロジェクトを通じて、SDGsが自分の身近な課題として意識され、行動に移され、他人ごとでなく自分ごととなったことが強調されています。また、コストと環境の関係に触れ、経済の持続可能性が環境の持続可能性に密接に関連していることを指摘しています。経済の合理性と環境への負荷のバランスを取ることが重要であることを示唆しています。SDGsは個別目標を達成する際に、個別合理性と社会的合理性の調和を保つためのチェックポイントとして役立つと述べられています。SDGsを通じて、個別の目標を追求しながら、社会的合理性と整合性を持たせることが可能であると強調されています。最終的に、SDGsは21世紀を生き抜くための最低限の目標であり、個々の目標実現のために通過点としての役割を果たすものであると結論されています。SDGsの多様性が新たなイノベーションを生み出す力として機能し、未来に向けた方向を示す重要な指針であると強調されています。

設問1 筆者は、「SDGハウス」づくりを通じて行動を起こすことで、いろいろな発見があることが、なぜ非常に重要なことのように思えたのか。本文の主張に即して250字以内で説明しなさい。

設問2 傍線部について、筆者が述べている「個別合理性と社会的合理性の調和」を踏まえて、SDGsに対するあなたの考えを具体例を挙げながら550字以内で述べなさい。

出典:蟹江憲史『SDGs(持続可能な開発目標)』(中公新書 2020年)

ポイント

【出題意図】

蟹江憲史氏『SDGs(持続可能な開発目標)』(中公新書、2020年)から、SDGsを巡る個別合理性と社会合理性の関係性を議論した部分を引用して、SDGsに対する考えについて問いかけた。
設問1は、筆者が「SDGハウス」づくりを通じて行動を起こすことで、いろいろな発見があることが、なぜ非常に重要なことのように思えたのかを、本文の主張に即して、字数制限の中で的確かつ簡潔に表現する力が試されている。
設問2は、筆者が述べている「個別合理性と社会的合理性の調和」を踏まえて、SDGsに対する考えについて、具体的かつ理論的に表現する思考力や文章力があるかが問われている。


【解答の傾向】
<設問1>
課題文を要約すればよく、概ね、解答は良好であったが、「自分ごと」のみに言及し、経済的持続性が環境の持続性を確保する重要な要素であることに触れていないものが散見された。
また、「なぜ」と問われているにもかかわらず、本文の主張を説明しただけ、若しくは自分の考えだけを盛り込んだ答案が散見された。
<設問2>
概ね、解答は良好であった。地球温暖化問題に関連するレジ袋の有料化など脱炭素の取り組みやESG投資に言及した解答が多く見られた。その他、SDGsの17の目標のうち、貧困、飢餓などの具体的な目標について、フェアトレードやフードロス対策の重要性を指摘する解答もあった。
筆者が述べている「個別合理性と社会的合理性の調和を踏まえて」考えを書くべきだが、そもそも筆者の考えを踏まえずに意見だけを述べている答案がみられた。
また、SDGsの体験談のみの答案や、問題文の「SDGハウス」を具体例としてあげた答案があった。

問題2
【出題の意図】
「日本人の国民性調査」に関する資料から出題した。この調査は文部科学省所管の統計数理研究所が行っている統計調査の一つで、日本人のものの見方や考え方とその変化を社会調査によってとらえようとしたものである。調査が始まったのは戦後間もない1953年で、その後5年ごとに調査が繰り返されており、2018年には第14次調査が行われた。このような調査があるということを知ってもらうとともに、経済学部の受験生として、日ごろから経済やそれに関連する社会問題について興味・関心を抱き、日本経済について学習をしているかを見る問題であった。


<設問1>
【解答のポイント】
図1の日本の「経済力」日本の「生活水準」の項目で、日本経済への評価は近年で持ち直し傾向を見せ、それを維持している様子がうかがわれる。これらと連関するかのように、図3の「社会に満足か」についても、2013年で顕著になった「不満」の低下が、2018年も堅調に維持されたようである。
図2の「あなたの生活水準は、この10年間でどう変りましたか?」と尋ねた場合、1993年以前の結果には戻らないものの、近年は「わるくなる」方向の回答は減少傾向にあり、「変らない」が伸びる傾向にある。
バブル崩壊後の平成30年(1993~2018年)ほどの動きを見ると、この間の最も劇的な変化は1993年~1998年にかけて日本人が社会全般に対する自信を失い、自己評価を大きく下げたことであった。この点は特に経済面の評価にも顕著であったが、近年でこの自信喪失から回復の兆しが見られる。


【解答の傾向】
グラフの読み取り問題であるが、単にグラフの上がり下がりの指摘を行っただけの答案が多くを占めた。この設問では、「日本の社会経済情勢を踏まえて」なぜそのようなグラフの動きとなったのか、その理由や背景を問うている。
図1の日本の「経済力」は、「非常によい」が1988年から1998年に急落し、逆に「ややわるい」が急増してそれが多くを占めているのは、「バブル経済の崩壊」があって「平成大不況」となり、「金融危機」を挟んで、かなり長引いたことが影響している。しかし、「ややよい」が2013年以降、やや持ち直していることもグラフから読み取って欲しかった。
一方の図2の「生活水準10年の変化」は「変らない」が多くを占めている。これは、バブル崩壊後はデフレ(物価水準が継続的に下がり続けること)となり、(名目)賃金がほとんど変わらなかったことが影響している。従って多くの人にとって生活水準はほとんど変わらなかったわけであるが、図3における「社会に満足か」の問いに対しては、「やや不満」が多くを占めている。これは賃金が上がらないのに、消費税や社会保障費の負担などが増大していることが関係しているといえよう。
受験生の答案では、「バブル崩壊」や「リーマンショック」などの経済用語は多少見られ、グラフの動きを説明している答案もあったが、ごく少数にとどまった。経済学部を受験するわけであるから、日ごろから経済について興味・関心を抱き、日本経済について勉強をして欲しかった。
なお、物価高やコロナの指摘が数多く見られたが、データは2018年までであり、最近のインフレやコロナとはまったく関係がない。いつのデータであるかをよく確認をして欲しい。
<設問2>
【解答のポイント】
図4の「もう一度生まれかわるとしたら、あなたは男と女のどちらに生まれてきたいと思いますか?」の項目で、男性回答者は1958年以降、一貫して「男に生まれかわりたい」という回答が大多数を占めるが、女性は当初は男性に生まれ変わりたいが多かったものの、女性に生まれ変わりたいという回答が一転して伸びてきている。このことは、図5の「男女でどちらの方が楽しみが多いと思いますか?」という質問で、男女とも自分の側の性の楽しみが多いと答えるが、女性は近年「女性の方が楽しみが多い」と答える回答が増加傾向を示している点とも、女性が自分の性をより肯定的に捉える傾向という点で共通している。
しかし、図6の「今の日本では、ひとくちでいうと、男と女ではどちらの方が苦労が多いと思いますか?」と聞くと、男性の回答者も女性の回答者も「苦労は女が多い」という回答が増加傾向で、減少傾向である「男が多い」という回答を逆転している。男女雇用機会均等法の成立などにより、女性の社会進出が進むにつれて、日本社会は女性がより「楽しめる」社会になってきたと認識される一方で、なぜか苦労も多く、女性がまだまだ「生きにくい」側面を残しているのかも知れない。


【解答の傾向】
この問題は、女性の生活環境をめぐる意識の変化を問う問題である。時系列でみた場合、女性の回答において明らかな逆転現象(女性意識の変化)が起きている。図4では「生まれかわるとしたらどちらに生まれたいか」の質問に対して、1968年以降は「女に生まれたい」が多数となり、図5において「どちらの方が楽しみが多いか」に対しても、1978年以前と1998年以降では逆転が起きて、「女の方が楽しみが多い」となっている。そして図6においては「どちらの方が苦労が多いか」に対しては、男女ともに2013年を境に「女の方が苦労が多い」と逆
転をしている。

設問1と同様、こうした逆転現象(女性意識の変化)が起きた理由や背景を尋ねている。「男女雇用機会均等法」や「男女共同参画社会基本法」などの法律によって女性の意識が大きく変わってきたことは事実であるが、それと同時に女性教育の高学歴化(4大卒の急増)などによって、女性の社会進出が目覚ましく急成長をしたこともあるだろう。さらなる経済成長のためには女性の潜在能力の活用が必要なわけである。
しかしそれによって、女性の楽しみも苦労も同時に増えたわけである。特に女性は今でも育児負担をかなり強いられており、それを少しでも軽減・緩和するために「保育所の増設」や「男性の育児休業制度」の充実が図られてきたが、制度の活用はまだこれからであろう。
受験生の答案では、こちらの狙い通りに書けていた答案が見られた。「男女雇用機会均等法」や「男女共同参画社会基本法」「保育所の増設」「男性の育児休業制度」などの用語は比較的多くの答案で見られ、これらに基づいて女性意識の変化を説明していた。
ただ逆にグラフの説明がほとんどなく、一方的に「男女平等社会」を主張している答案も同時に散見された。「図をもとにあなたの考えを述べなさい」と設問しているわけであるから、このような問題では、グラフの分析に基づいて考えを述べるようにすべきである。

<下関市立大学の公開内容からの引用>

小論文過去問題解説

設問1 筆者は「SDGハウス」のプロジェクトを通じて、行動を起こすことの重要性を強調しています。この点について、彼が非常に重要だと感じる理由は、以下のように説明できます。

「SDGハウス」プロジェクトを通じて、筆者はSDGsを身近な課題として実感しました。従来、SDGsは抽象的で遠い目標として捉えられがちでしたが、このプロジェクトを通じて、自身の生活に直結し、具体的な行動を通じてSDGsに貢献できることを実感しました。このように、個人や組織がSDGsに向けて具体的な行動を起こすことは、目標達成に寄与するだけでなく、SDGsを抽象的な理念から現実的な行動に結びつけ、関心を持たせる助けになります。さらに、個性や特性に合わせたアプローチを取ることで、人々は自分らしい方法でSDGsに貢献でき、長期的な関与が可能になります。つまり、SDGsに対する参加と行動は、個人や組織が変革を促し、世界の持続可能な未来に向けて前進する重要なステップです。

設問2 傍線部にある「個別合理性と社会的合理性の調和」について、SDGsに関する考えと具体例を交えて説明します。

SDGsは、各目標が異なる要求事項を持つ多くの個別目標から成り立っています。これらの目標を達成するためには、各個人や組織は自身の個別合理性(例:利益追求や効率性)を確保する必要があります。しかし、同時に、SDGsは社会的合理性(例:環境保護、社会的公平性)をも要求しています。これらの合理性を調和させることがSDGsへの貢献の鍵です。

例えば、エネルギー業界で、再生可能エネルギーへの転換は環境への貢献であり、SDGsに適合します。しかしながら、エネルギー企業は個別合理性に従い、収益を最大化することが期待されます。ここでの調和点は、再生可能エネルギーの開発やエネルギー効率の向上によって、個別合理性と社会的合理性を調和させることです。新しい技術を採用し、環境への負荷を減少させつつ、経済的にも持続可能な成長を達成できるのです。

SDGsを具体的なアクションに結びつけると、各人や組織は自身の個別合理性を追求しつつ、社会的合理性を尊重する方法を見つけます。この調和を実珸化することによって、SDGsの目標達成が可能となり、持続可能な未来の構築に寄与します。

下関市立大学の所在地・アクセス

所在地アクセス
山口県下関市大学町2-1-1JR「下関」駅からバスで約20~25分、山の田
または大学町二丁目バス停下車、徒歩4分
JR「幡生」駅から徒歩約20分

下関市立大学のHPはこちら

下関市立大学の入試傾向

下関市立大学の入試傾向は、以下のような特徴があります。

  1. 入試試験の種類:大学入学共通テスト:共通テストのリーディングやリスニングのスキルを向上させましょう。英語力を高めるために英語の本やリスニング教材を利用し、過去の試験問題を解いて慣れておくことが重要です。また、記述式問題にも対策を行うことが必要です。
  2. 個別学力検査:個別学力検査に関する詳細な情報を入手し、それに基づいて対策を立てましょう。適切な参考書や学習資料を使用して、必要な知識やスキルを磨きましょう。
  3. 英語力の向上:英語は多くの入試科目で重要です。英語のリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングのスキルをバランスよく向上させるための勉強計画を立てましょう。英会話クラスや英語の会話パートナーを見つけることも役立つでしょう。
  4. 数学力の向上:数学の易化が見られる場合でも、基本的な数学力は必要です。数学の基本から応用まで幅広く学び、数学の問題解決能力を高めるために練習しましょう。
  5. 学問への深い理解:下関市立大学の学部に応じて、関連する学問分野について深い理解を持つことが重要です。学部や学科のカリキュラムや特色を調べ、志望動機を明確にしましょう。

下関市立大学の募集コース

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経済学部(定員数:370人)

経済学科(定員数:155人)

経済学科では、現代社会が当面する経済的・社会的諸問題に関わる理論・政策・歴史を体系的に学習する科目を配置しており、これらの問題を自ら分析し論理的に表現する能力を養う。1・2年次にミクロ経済学・マクロ経済学・経済原論等の専攻基礎科目を確実に習得し、2年次から4科目群(A金融・経済分析、B財政・社会政策、Cグローバル経済、D地域経済・社会)の専攻基本科目を幅広く学習する。3年次からは4科目群のなかから1群を選択し、同群の専攻応用科目を学ぶことを通じて専門性を高める。

国際商学科(定員数:155人)

国際商学科では、経済学に加え商学・経営学の理論と実践を学ぶ。その上で、東アジアを中心としたグローバル・ビジネスやITを用いた経営管理、会計などのビジネス上の実務的課題に適応できる能力を養う。1・2年次に商学総論、経営学入門、国際経済学入門、簿記原理I、情報システム論などの専攻基礎科目を修得し、2年次から4科目群(A国際・東アジア、B流通・マーケティング、C経営・経営情報、D会計・簿記)の専攻基本科目を幅広く学習する。3年次からは4科目群のなかから1群を選択し、同群の専攻応用科目を学ぶことを通じて専門性を高める。

公共マネジメント学科(定員数:60人)

公共マネジメント学科は、経済学に加えマネジメントの理論と実践を学び、地域活性化などのコミュニティが抱える公共的課題の対策を企画・調整するための、調査・分析・発表・コミュニケーション能力を養う。1・2年次にミクロ経済学、マクロ経済学、経営学入門などの専攻基礎科目を修得し、2年次から3科目群(A公共政策、Bマネジメント、C地域社会)の専攻基本科目を幅広く学習する。また1年次から2年次の公共マネジメント特講を通じて、地域社会で公共的課題の現場を学び、3年次からは各群の専攻応用科目を学ぶことで専門性を高める。

データサイエンス学部 データサイエンス学科(定員数:80人)※2024年4月設置予定

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