夜になると不安が押し寄せて眠れなくなる――。
これは受験期によくある悩みであり、あなたが弱いから起こるわけではありません。
昼間は集中できていても、布団に入った瞬間、
「本当に合格できるのか」「今日の勉強は意味があったのか」と考えが止まらなくなる。
そのまま眠れず、翌日の集中力まで低下してしまう……。
実は、夜になると不安が強まるのは“脳の仕組み”による自然な反応です。
この記事では、眠れない原因を脳科学・心理学の観点からわかりやすく解説し、
今日からできる「夜の不安を静める習慣」を紹介します。
眠れない夜に悩んでいる人こそ、ぜひ最後まで読んでみてください。

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴27年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。
2020年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となる。過去3年間で国公立大学合格125名。
高1から入会者は国公立大学合格率93%
高2から入会者は国公立大学合格率86%
高3の4月から入会者は国公立大学合格率73%。
スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
■ なぜ夜になると不安は強くなるのか?
昼間は授業・会話・スマホなど外部刺激が多く、脳は「処理作業」で手一杯。
ところが夜になると刺激が減り、脳が“内側の感情”へと注意を向け始めます。
そのとき浮かび上がるのが、未解決の悩みや将来への不安です。
また、副交感神経が働く夜は身体がリラックス状態になる一方で、
“抑えていた感情が出やすくなる”という側面もあります。
そこへメラトニンが分泌され、記憶整理が始まることで、
ネガティブ記憶まで再生されやすくなるのです。
つまり、夜に不安が強まるのは自然であり、あなたのせいではありません。
■ 睡眠不足が生む「負のスパイラル」
夜の不安が続く最大の問題は、睡眠不足による学習効率の低下です。
- 睡眠中は「記憶の定着」が行われる
- 深いノンレム睡眠が浅くなると学んだ内容が定着しない
- 睡眠不足は翌日の集中力・判断力・記憶力を大きく落とす
その結果、
不安 → 睡眠不足 → 効果が出ない → さらに不安
という悪循環に陥ります。
受験において睡眠は“勉強以上に重要な戦略要素”なのです。
■ 考えすぎが眠りを奪う「反芻思考」の罠
眠れない夜に共通するのは、頭の中で同じ不安を繰り返す「反芻思考」。
夜中に考えても解決しない話題ばかりを脳が勝手に再生してしまいます。
反芻思考は脳を休ませないため、体は布団に入っていても“戦闘モード”のまま。
これが長引くと、「今日も眠れないかもしれない」という新たな不安まで増えてしまいます。
ポイントは、夜は“思考の整理に向かない時間帯”だと知ること。
悩みを処理するのは、夜ではなく日中に行うのが効果的です。
■ 夜の不安を軽くする「ルーティン」
夜専用のリセット習慣をつくるだけで、不安は大きく軽減できます。
1. 不安を書き出す(5分)
頭の中の不安を紙に移すことで、脳が“処理済み”と認識しやすくなります。
2. リラックス儀式をつくる
- 照明を暗くする
- 温かい飲み物
- ゆっくり深呼吸
- ストレッチや瞑想
これらを毎晩同じ順番で行うと、脳が“睡眠モード”に切り替わりやすくなります。
■ 「考える時間」を昼間に移す
夜の暴走思考を止める最も効果的な方法が、「日中に思考タイムを作る」こと。
- 夕方15分だけ“悩みを考える時間”をつくる
- それ以外の時間は考えないと決める
- 3行日記でポジティブな感情へ上書きする
これだけで、脳は夜に不安を再生しにくくなります。
■ 眠りを誘う環境設計
すぐできて効果が大きいポイントは次の通り。
- 就寝1時間前にスマホを見ない
- ベッドにスマホを持ち込まない
- 机と寝る場所を区別する
- 室温・湿度・寝具を整える
特にスマホは覚醒を促し、不安を増幅させる最大要因です。
■ 不安は「ゼロにするもの」ではなく「扱うもの」
心理学では、不安は“未来への準備反応”。
あなたが本気で挑んでいるからこそ生まれる自然な感情です。
大切なのは、不安を敵にせず、「不安があっても大丈夫」というマインドに切り替えること。
眠れない夜があっても、あなたが弱いわけではありません。
不安と共存しながら、少しずつ眠れる夜を取り戻していくことが、合格への確かな一歩になります。



