総合型選抜とは、学力だけを選考基準にせず、大学・学部が求める学生像(アドミッション・ポリシー)に合った人物を選抜する試験方式です。ほとんどの私立大学で導入されている方式であり、近年では国公立大学でも導入する学校が増えています。受験生にとっては、選択肢として検討してみる価値がある方式と言えるでしょう。
この記事では、総合型選抜の選抜方法、総合型選抜に受かる人の特徴、総合型選抜に落ちる人の特徴、総合型選抜で受かりやすい大学について、解説していきます。
記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
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総合型選抜の選考方法とは?
総合型選抜の選考方法は、書類選考、小論文、面接・プレゼンテーション・ディスカッション、セミナー・模擬講義、資格・検定試験の成績、学力試験などです。
書類選考
調査書、志望理由書、活動報告書、学修計画書などの書類によって審査されます。
小論文
与えられたテーマについて意見を述べる、資料や課題図書を読んで論じる、志望理由を述べるなど、さまざまな形があります。
面接・プレゼンテーション・ディスカッション
志望理由書などあらかじめ提出した書類をもとに、入学への意思や適性があるかどうかが質問によって確認されます。
特定のテーマについてのプレゼンテーションや複数の受験生とのグループディスカッションが課されることもあります。
セミナー・模擬講義
セミナーや模擬講義を受講し、終了後に筆記試験や面談・ディスカッションなどが行われる選考方法です。
学力試験
大学入学共通テストの結果を活用する場合や、大学独自の学力試験を課す場合があります。
文部科学省が「多面的・総合的に評価・判定する」という方針を打ち出していることから、選考方法は大学によってさまざま。
志望校の選抜方法を確認しておきましょう。旧AO試験ですね。
総合型選抜(旧AO入試)に受かる人の特徴とは?
総合型選抜入試(旧AO入試試験)では、小論文、グループディスカッションなど、自分の志望校の選抜方法に合った対策をしていくことが合格へのカギとなります。
では、そうやって対策をしてきた受験生の中で特に、総合型選抜に受かる人というのはどんな人でしょう。それはズバリ次のような人です。
大学のアドミッションポリシーにマッチした人
アドミッションポリシーとは、各大学や学部・学科が教育理念や特色を反映して、どのような学生を求めているのかを記載したものです。総合型選抜のためだけに存在するものではなく、各大学、場合によっては各学部・学科が一般選抜も含めた全入学者に対して求めている内容となります。
総合型選抜は、アドミッションポリシーに合致した学生を、多様な選考方法によって見つけ出し、入学してもらおうという入試制度です。
したがって、志望先のアドミッションポリシーをよく理解し、自分の意欲や熱意をアドミッションポリシーに沿った形で上手にアピールできる人が、総合型選抜に受かる人となります。
各大学のホームページでアドミッションポリシーを見ることができますので、調べてみましょう。
アドミッションポリシーは大学側からの数少ないメッセージです。しっかりと熟読しましょう。
特に私立大学が第1希望の生徒は、大学のHPをしっかり読み、理解をしておこう。
課外活動や資格取得の実績がある人
総合型選抜は、学力以外の特質でも受験生を評価しようという制度であるため、課外活動や資格取得はアピールの材料となります。
ボランティア活動や英検取得などの実績がある人は評価が高まり、総合型選抜に受かりやすくなります。
実績をアピールする際は、客観的な第三者からの評価が示せるものがあると、説得力が増します。
コンテストの賞状や資格証明書、ボランティア活動であれば関係者からの推薦状や感謝状などを提出して、活動の成果を客観的に証明しましょう。
しかし、これらがなくとも書くことを見つける方法はあります。その方法を知りたい人は、個別にご連絡ください。LINE登録後、「活動報告に書くことがないので、アドバイスお願いします」と書いてくださいね。
総合型選抜に落ちる人の特徴とは?
総合型選抜で落ちないためにはどうしたらよいのでしょうか。落ちる人の特徴は、ズバリ次のようなものです。
もし少しでも自分に当てはまるところがあれば、すぐに改めましょう。
明確な目標がなく、志望大学の特色を理解していない人
先ほどご説明した通り、総合型選抜では大学のアドミッションポリシーにマッチした学生を選抜しようとしています。大学はアドミッションポリシーの中で、学生にどのように学んでいってほしいかという姿を示しており、その姿とは各大学の特色を反映したものとなっています。
したがって、大学での学びに対して明確な目標がないと思われてしまったり、志望大学の特色を理解していないと思われてしまったりすると、合格は難しくなるでしょう。
面接・小論文対策が不十分な人
面接の形式や質問内容は大学によってさまざまとは言うものの、実は面接の形式もよく聞かれる質問もおおむね共通しています。
つまり、面接でのマナーや何を話すかという内容は、出たとこ勝負というわけではなく、十分に準備することが可能なものなのです。準備を怠り、実力が発揮できなかった人は、残念ながら不合格となってしまうでしょう。
同様に、小論文も対策が可能なものです。どんなテーマが出題されるのかと不安になるかもしれませんが、志望先と関係のないテーマが出題されることはほとんどありません。
したがって出題内容はある程度予測がつきます。これに加えて、広く社会で問題となっていたり話題となっていたりする題材について勉強しておけば、どのようなテーマが出題されても応用がきくのです。
小論文は、適切な指導を受けて練習を重ねれば、知識が身についたり自分なりの鋭い意見を書けるようになったりと、確実に力がつきます。だからこそ、対策が不十分であれば合格は厳しいものとなってしまうのです。
面接も小論文も、採点者の視点をもった指導者から、志望校の傾向を踏まえた内容で直接指導を受けるのがおすすめです。
将来のやりたい仕事やビジョンがないのに、総合型を受験しても、面接でかなりつっこまれて、答えられずに終わります。しっかりと自分の強みややりたいことを明確しよう。
受かりやすい大学は?
総合型選抜のメリットの一つとして、一般選抜では合格することが難しい大学でも狙えるということが挙げられます。総合型選抜で受かりやすい大学をいくつか見ていきましょう。
国立大学
東北大学 AO入試Ⅱ期
- 文学部・教育学部・法学部・理学部・医学部・歯学部・工学部・農学部
- 東北大学は総合型選抜に力を入れてきた大学です。2021年度の合格者1830人のうち646人は総合型選抜で選抜されています。総合型選抜を行なっている学部の数が多いのも魅力です。
九州大学 総合型選抜Ⅱ
- 文学部・法学部・経済学部・芸術工学部
- 2021年度の文学部・法学部・経済学部・芸術工学部では、総合型選抜は一般選抜よりも低い倍率でした。
私立大学
早稲田大学 総合型選抜
- 社会科学部
- 2021年度入試では、一般選抜の倍率が8.8倍であったのに対して、総合型選抜は5.8倍でした。
法政大学 総合型選抜
- 文学部・経済学部・経営学部・国際文化学部・人間環境学部・現代福祉学部・キャリアデザイン学部・グローバル教養学部・スポーツ健康学部・情報科学部・デザイン工学部・理工学部・生命科学部
- これらの学部で、2021年度の総合型選抜は一般選抜よりも低い倍率でした。評定平均の出願基準が厳しめではありますが、評定の良い人にとっては総合型選抜で狙いやすい大学と言えるでしょう。
関西大学 AO入試
- 法学部・文学部・経済学部・商学部・政策創造学部・外国語学部・総合情報学部・社会安全学部・システム理工学部・化学生命工学部
- これらの学部で、2021年度の総合型選抜は一般選抜よりも低い倍率でした。評定平均、資格取得、課外活動などで出願基準が設けられていますが、それを満たすことができる人にとっては、一般選抜で受験するよりも受かりやすいと言えます。
同志社大学 AO入試
- 社会学部・法学部・商学部・生命医科学部・グローバル地域文化学部
- これらの学部で、2021年度の総合型選抜は一般選抜よりも低い倍率でした。学部によって、英語の資格取得や高い評定平均が出願条件とされていますが、それを満たしている人にとっては、狙い目の大学と言えるでしょう。
これらはごく一部です。志望校や志望学部の総合型選抜入試について調べてみましょう。
有名難関大学でも、チャンスはあります。調べて自分のやりたいことと一致していたら、チャレンジしてみよう。
まとめ
今回の記事では、総合型選抜の選考方法、総合型選抜に受かる人・落ちる人の特徴、受かりやすい大学について、説明してきました。
大学のアドミッションポリシーを理解して、自分に合った大学を選ぶことは、受験生にとってもその後の学びにおいて有益なことです。偏差値だけにとらわれず、各大学のアドミッションポリシーや特色をよく吟味した上で、受験する大学を決めましょう。
総合型選抜入試に挑戦する場合は、面接や小論文、事前に提出する書類などでしっかりと自分をアピールすることで合格に近づきます。当塾では、総合型選抜に挑戦する受験生を経験豊富な講師が全力でサポートさせていただきます!