英検、TOEFL、TOEIC、TEAPなど、日本国内では英語の能力を測る様々な検定試験が行われています。受験した経験があるという人も多いでしょう。
これらの検定試験は、外部検定と呼ばれています。大学入試の英語の試験は、大学入学共通テストでは大学入試センターが作成し、大学の個別試験ではそれぞれの大学が作成しています。一方、英検などの検定試験を運営しているのは「外部」の民間企業です。そうしたわけで、英検などの検定試験は外部検定と総称されているのです。
いま、英検2級などの外部検定資格を持っていると、大学受験で有利になるということを知っていますか。大学入試改革に伴い、全国の国公私立大の入試で、英語外部検定利用入試(外検入試)を実施する大学が増えているのです。
今回は、たくさんある外部検定の中でも最も採用率が高い英検について、どのように大学入試に活用していったら良いのか詳しく解説していきます。
記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
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英検について
誰もが一度は聞いたことのある英検。正式名称は「実用英語技能検定」と言います。年間の総志願者数が250万人を超える、国内最大級の英語資格試験です。日常生活からビジネスまで、様々な分野にわたる英語力を測定できるよう設計されており、小学生から社会人まで幅広い層が受験しています。
英検では、「読む」「聴く」「書く」「話す」の4技能を測れることが特徴です。グローバル化が進む日本社会において、これらの4技能を備えた人材の重要性は一層高まっています。そのため、大学入試だけでなく多くの企業においても、英語力の評価基準として採用されている資格なのです。先に触れた外検入試で言えば、2020年度の入試で全国400以上の大学・短大が英検を利用しています。
試験概要
英検には「従来型英検」と「英検S-CBT」の2種類があります。問題形式と難易度は共通です。では違いはどのような点にあるのでしょうか。
試験日数
従来型英検は一次試験・二次試験と2日間の試験であるのに対し、英検S-CBTは4技能の試験を1日で終えることができます。実施回数も従来型は年3回であるのに対し、英検S-CBTでは原則毎週土日となっているなど、試験の受けやすさに違いがあります。
試験方式
従来型英検は、紙の問題冊子を使用し、マークシートの解答用紙を鉛筆で塗りつぶして解答します。 英検S-CBTは、パソコンを使用し、画面上に映し出された問題を見て、選択肢をクリックすることで解答していきます。 ライティング試験に限り、パソコンのキーボードを使ったタイピングか手書きのどちらかを選ぶことができます。
受験できる級
従来型英検では全ての級が受験できますが、英検S-CBTでは準1級から3級までとなっています。
受験できる回数
従来型英検は、1回の検定期間中に同じ級を一度しか受験できません。例えば、第1回英語検定期間に2級を受験する場合、その期間中にもう一度2級を受験することはできないのです。2級をもう一度受験したい場合は、第2回など別の回の検定期間に受験することになります。
一方、英検S-CBTは、1回の検定期間中に同じ級を2回受験できます。さらに、同じ検定期間中に従来型英検でも同じ級を受験することができるため、同一検定期間中に最大3回同じ級を受験することができるのです。
個人受験で検定料を比較すると、英検S-CBTの方が若干割高となります。受験のしやすさ、パソコンの使用など、自分のニーズに合った方を選択すると良いでしょう。
それぞれの級のレベルについて
英検には1級から5級まであります。それぞれのレベルについて見ていきましょう。
5級
中学初級程度。家族のこと、趣味やスポーツなど身近な話題が出題されます。筆記・リスニングがあり、スピーキングは録音形式で受験できます。
4級
中学中級程度。出題形式や内容が、より実用的になり、身近なトピックを題材とした読解問題が加わります。筆記・リスニングがあり、スピーキングは録音形式で受験できます。
3級
中学卒業程度。一次試験は筆記とリスニングです。筆記試験の題材は、海外の文化など少し視野が広がります。二次試験は面接でスピーキングを行います。
準2級
高校中級程度。一次試験は筆記とリスニングです。教育や科学などを題材とした長文の穴埋め問題が加わります。二次試験は面接でスピーキングを行います。
2級
高校卒業程度。一次試験は筆記とリスニングで、記述式のライティングも加わります。二次試験は面接でスピーキングのテストです。医療やテクノロジーなど社会性のある英文読解も出題されます。
2級以上では、海外留学、国内での入試優遇や単位認定など、コミュニケーション能力が高く評価されます。ビジネスシーンでも採用試験の履歴書などで英語力が評価されます。
準1級
大学中級程度。一次試験は筆記とリスニングで、エッセイ形式の実践的な英作文の問題が出題されます。二次試験は面接でスピーキングのテストです。「実際に使える英語力」の証明として高く評価されています。
1級
大学上級程度。一次試験は筆記試験とリスニング、二次試験では2分間のスピーチと、その内容への質問がなされます。英語の知識のみでなく、相手に伝える発信力と対応力が求められます。世界で活躍できる人材の英語力を証明します。
英検2級以上を取得しておけば、大学入試で有利になるだけでなく、入学後の学びにおいても大いに役立つでしょう。
外部検定利用入試の4つのパターン
一般的に英語力を評価されるには、英検2級以上というのが一つの基準となることがお分かりいただけたでしょうか。ここからは、大学入試における外部検定利用の4つのパターンを確認しておきます。
出願資格
大学が指定する外部検定の級やスコアを持っていないと出願ができないパターン。この場合、英語の試験は免除されることが多いです。
得点換算
持っている外部検定の級やスコアのレベルが、大学入学共通テストや各大学の個別試験の点数に換算されるパターン。資格レベルに応じて「満点」に換算されるケースもあり、その場合は実質的に英語の試験が免除となります。
加点
持っている外部検定の級やスコアに応じて、大学入学共通テストや各大学の個別試験の得点に点数がプラスされるパターンです。
判定優遇・合否参考
持っている外部検定の級やスコアに応じて、合否判定で優遇あるいは参考にされるパターンです。
一般選抜では得点換算パターン、学校推薦型選抜と総合型選抜(AO入試)では出願資格のパターンで利用されることが多いです。
英検2級が利用できる大学
では英検2級が入試に利用できる大学はどこなのでしょうか。学部・学科は割愛しますが、下記の大学が挙げられます。
国立大学
- 北海道大学
- 宇都宮大学
- 群馬大学
- 埼玉大学
- 東京海洋大学
- 新潟大学
- 静岡大学
- 豊橋技術科学大学
- 三重大学
- 京都大学
- 大阪教育大学
- 大阪大学
- 奈良教育大学
- 和歌山大学
- 鳥取大学
- 島根大学
- 広島大学
- 山口大学
- 九州工業大学
- 大分大学
- 宮崎大学
公立大学
- 青森公立大学
- 国際教養大学
- 高崎経済大学
- 東京都立大学
- 横浜市立大学
- 都留文科大学
- 長野県立大学
- 長野大学
- 静岡文化芸術大学
- 名古屋市立大学
- 京都府立大学
- 大阪公立大学
- 下関市立大学
- 周南公立大学
- 長崎県立大学
- 宮崎公立大学
私立大学
- 早稲田大学
- 上智大学
- 関西大学
- 立命館大学
- 明治大学
- 青山学院大学
- 立教大学
- 中央大学
- 法政大学 など多数の大学で利用されています!
私立大学については掲載しきれませんでしたが、数多くの大学が英検2級に何らかのアドバンテージを与える措置をとっています。
英検で英語の試験が免除になる?
英検で英語の試験が免除になることはあるのでしょうか。先ほど説明した「外部検定利用の4つのパターン」を振り返ってみましょう。
指定された英検の級を持っていないと出願できない「出願資格パターン」の場合、英語の試験が免除となることが多いです。
持っている英検の級が大学入学共通テストや個別試験の点数に換算される「得点換算パターン」の場合、資格レベルによっては「満点」に換算されるケースもあります。その場合は実質的に英語の試験が免除となります。
英語の試験が免除になったり加点されたりすれば、受験生にとって安心感は大きくなりますし、他の科目の学習時間を増やすこともできるなど、有利な点が多いですよね。
大学推薦のために英検何級が必要?
英検の公式ホームページでは、各大学が英検をどのように入試に活用しているか調べることができます。それによると、準2級でも学校推薦型選抜で加点や優遇などの措置を取る大学があることがわかります。
しかし、あと一歩頑張って2級を取得すると、大学の選択肢が増えるだけでなく、加点される点数も多くなり、より有利となります。英検2級の難易度は高校卒業程度、すなわち大学入学共通テスト試験程度の難しさとなります。よって、大学としてはやはり2級レベルの英語力を一つの評価基準としているのです。
英検と大学入学共通テストは問題形式が似ている部分もあります。英検の試験勉強は大学入試の英語対策にも役立ちます。
まとめ
今回は、英検は大学入試にどのように使えるの?というテーマから始まり、英検2級が大学入試において「使える」資格であることを説明してきました。英検2級に合格するのは簡単なことではありませんが、チャレンジしてみる価値は大いにあるということがお分かりいただけたでしょうか。
最後に、英検を大学入試に利用する際の注意点をお伝えしておきます!
- 大学入試における英検の利用では、出願からさかのぼって2年以内の成績しか使えないことが多いです。各大学の募集要項を確認しましょう。
- 英検にはいくつかの証明書類がありますが、大学によって提出を求められる書類は異なります。各大学の募集要項を確認しましょう。
- 証明書類の発行には1週間から10日ほどかかります。余裕を持って取り寄せましょう。
- 推薦で英検の資格を利用したい場合は、高3の2学期が始まる前に合格している必要があります。計画的に受検しましょう。