教育学部の小論文の書き方って?教育小論文のテーマや過去問、回答例も!

大学受験
  • 教育学部の小論文で出題されるテーマや傾向はあるの?
  • 教育学部の小論文の書き方は?
  • 教育学部の小論文の過去問と回答例が知りたい!
  • 教育学部の小論文対策におすすめの参考書は?

学校推薦型選抜や総合型選抜(AO入試)、そして一部の一般入試でも課される小論文。受験生としては、一体どんなテーマが出題されるのか不安になりますよね。

ですが、小論文で出題されるテーマは、実は受験生が心配するほどバラエティーに富んでいるわけではありません。志望する学部によって、テーマはある程度予想できるのです。なぜなら、その学部で学ぶことと全く関係のないテーマで小論文を書かせても意味がないからです。

では、教育学部の小論文とはどのようなものでしょうか。この記事では、教育学部にまとを絞って、出題されるテーマや傾向、書き方、過去問と回答例、おすすめの参考書をわかりやすく解説していきます。

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

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教育学部の小論文で出題されるテーマや傾向

教育学部の小論文で出題されるテーマや傾向は、当然のことながら教育問題に関係したものが多くなります。教育のあり方を根本的に問うような内容が出題されています。

教育および子どもの成長に関して問題提起した文やグラフや表を提示し、それを踏まえて「どのような教育者を目指すのか」「どのような授業・指導を行いたいのか」といった将来の展望を問うテーマが多い傾向です。

また、教育に関連するテーマではあるものの、学校現場だけにとどまらず、広く社会一般で話題となっている問題についても出題されることがあります。

教員養成系では、専門とする教科にかかわる学問系統のテーマが出題されることもあります。

教育学部の頻出テーマとして、また小論文を書く上で必要となる基礎知識としても、最低限以下のようなキーワードは押さえておきたいところです。

  • 読解力低下
  • 学力低下
  • 創造性
  • 教員の働きすぎ
  • 指導力不足教員
  • 学級崩壊
  • 小1プロブレム
  • いじめ
  • 不登校
  • モンスターペアレント
  • 教育格差
  • 習熟度別学習
  • 小学校での英語の必修化
  • アクティブ・ラーニング
  • ICT教育
  • AI(人工知能)
  • PISA型学力
  • ゆとり教育
  • 9月入学制度

また、これから数年間は新型コロナウイルス関連の問題も必ず狙われるでしょう。

  • コロナウイルスが社会・学校教育・子どもに与えた影響
  • コロナ後の社会のあり方 など
五十嵐塾長
五十嵐塾長

2〜3冊で良いので、志望学部・学科に関係する本を読み込んでおきましょう。知識が問われるような設問が出た場合に役立つだけでなく、小論文に使えるネタを探すことができます。

ただし、知識偏重は差別化できません。信頼のおける指導者に添削チェックを受けて、良質なフィードバックをもらいましょう。

教育学部の小論文の書き方

ここからは、実際に小論文をどのように書いたらよいのかについて見ていきましょう。書き方については、教育学部の小論文に限った特別な方法があるわけではありません。自分の「型」を決めておけば、どの学部のどのようなテーマであっても使えます。

書き出し 〜序論〜 問題提起、意見表明

書き出しは、いわゆる「序論」と呼ばれる部分です。ここでは問題を提起し、それに対する自分の意見(賛成なのか反対なのか、正しいと思うのか正しくないと思うのか、など)を簡潔に述べましょう。

本題部分 〜本論〜 事例を挙げて意見の根拠を展開

本題部分すなわち「本論」は、自分の意見の理由や根拠を述べていく部分です。

逆の意見も認める

本論の冒頭部分では、自分とは逆の意見もあり、それにも一理あることは認めるという文章を簡潔に書いておきましょう。一方的に自分の意見を主張するだけではない、柔軟な考え方と広い視野を持っているのだということを採点者に知らせておきたいからです。そして逆の意見にも一理あると認めた上で、自分はこの立場をとっているのだと改めて主張しましょう。

自分の意見の理由や根拠を展開する

根拠となる事例を挙げ、自分なりの考察を説明していきましょう。ここでは回答者独自の視点やアイディアが求められます。また、自分の考察や根拠を社会一般に広げて大きな問題と絡めて考えることができるのが理想です。

気をつけたいのは、理由や根拠をいくつも並べず一つに絞るということです。あれこれ並べ立てると、何が一番言いたかったのかがぼやけてしまうからです。理由や根拠は一つに絞り、それについての具体的な事例を挙げることで、説得力を出しましょう。

五十嵐塾長
五十嵐塾長

民主主義や広い意味での日本文化(日本人の気質、歴史など)といった大きなテーマについての知識も身につけておくと、持論と絡めてさらに深みのある小論文にすることができます。

構成の型は基本PREP法です。スカイ流PREP法では、第四段落を重視視しています。

まとめ 〜結論〜 自分の意見を再表明

「結論」では、改めて自分の立場を述べます。主張したいことは「本論」で全て書き終えていますから、結論はごく簡潔に締めくくりましょう。

小論文の書き方をもう一度整理すると、次のようになります。

  • 「序論」で問題を提起し、自分の意見を表明する
  • 「本論」で具体的な事例を挙げて、自分の意見の根拠を展開する
  • 第四段落で差別化の論点を入れる
  • 「結論」で改めて自分の意見を表明して締めくくる
五十嵐塾長
五十嵐塾長

構成を意識して、実際に小論文を書く練習を重ねましょう。

小論文では抽象的になると点数が下がります。本やニュースで言っていることを、あたかも自分の意見のように書くだけでは、高得点にはなりません。

教育学部の小論文の過去問と回答例

ここまで、教育学部で頻出されるテーマや小論文の書き方について説明してきましたが、過去に実際にどのような問題が出題されたのか、どのような回答であれば合格できるのか、ということが気になりますよね。実例を見ていきましょう。

2021年度の過去問

2021年度に国公立大学の教育学部(一般入試)で出題されたテーマの一部を挙げていきます。やはり、教育およびそれに関して社会一般で話題になっていることが多く問われています。

  • 北海道大学 教育学部 教育

「教育についての子どもの権利条約を説明する文より、関心を持つ問題についてテーマを設定し考えを述べる」

  • 岩手大学 教育学部 学校教育教員養成(小学校教育)学校教育教員養成(特別支援教育)

「気持ちを受け止める会話の重要性を述べた文より、教師による子どもの関係ない話への対処方法などを書く」

  • 秋田大学 教育文化学部 学校教育(教育実践)

「給食によって食が生きることの基本と学べるという文より、食を通じた学びについて小学校での学習例を書く」

  • 秋田大学 教育文化学部 学校教育(こども発達)

「スマートフォンが普及する前後の子どもの生活時間の変化を示す表より、読みとれることと考えを述べる」

  • 山形大学 地域教育文化学部 地域教育文化学科(児童教育)

「教育では自分の頭で考える力こそが重要だという文より、自分の頭で考えるということの説明などを行う」

  • 群馬大学 共同教育学部

「情報化社会は人の意見を固執させるという文より、自身が弱くならないための行動について考えなどを述べる」

  • 東京学芸大学 教育学部 初等教育教員養成(家庭)中等教育教員養成(家庭)

「コロナ禍で生活を下支えする家事も見直ししてはどうかという文を読み、家庭科の果たす役割について述べる」

  • 東京学芸大学 教育学部 教育支援(教育支援〈多文化共生教育〉)

「多文化共生社会の実現には質の高い教育や生涯学習の機会が必要だという文と図より、その理由などを書く」

  • 愛知教育大学 教育学部

「AI時代のビジネスパーソンに求められる能力を示す表より、AI時代の教員の姿や役割について考えを書く」

  • 大阪教育大学 教育学部 初等教育教員養成(小学校教育)

「年齢階層別人口などに関する文とグラフより、これからの社会を支えていくために行うべきことなどを述べる」

  • 奈良教育大学 教育学部 学校教育教員養成(教育発達〈教育学〉)

「遊びが子どもたちの成長・発達に与える影響について、具体例を挙げたうえで考えを述べる」

  • 島根大学 教育学部 学校教育Ⅰ類

「日本における外国籍児童の教育の現状を述べた記事や文・表より、これらの現状を支援する提案などを書く」

  • 山口大学 教育学部 学校教育教員養成(小学校教育〈小学校総合〉)

「学校に存在するきまりやルールについて、一般社会から疑問が生じるものとそうでないものの違いなどを書く」

  • 福岡教育大学 教育学部 初等教育教員養成(幼児教育)

「子どもに『どうして勉強しなければならないのか』と質問されたテーマで、答えと理由を論述する」

  • 宮崎大学 教育学部学校教育(小中一貫教育〈小学校主免〉) 学校教育(小中一貫教育〈中学校主免)

「生きるのに必要な問いを学ぶ機会が子どもには必要だという文より、知識の活用力が身につく工夫などを書く」

  • 琉球大学 教育学部 学校教育教員養成・小学校教育(学校教育)

「ある小学校教師が理想のクラスについて考察する文より、自身がめざすクラスづくりについて考えなどを書く」

回答例

これらの過去問を踏まえつつ、予想頻出テーマで小論文を書くとしたら、どのような構成・内容になるでしょうか。簡潔な骨子としての一例を挙げてみます。

「アクティブ・ラーニング」をテーマにした小論文の構成・骨子の例

序論

諸外国と比較して、日本の子どもたちの自己肯定感が低い。日本の子どもの自己肯定感が低い理由は、学校教育にも原因があるのではないか。 …問題提起

私は子どもの自己肯定感を高めていくために、アクティブ・ラーニングを用いることが有効だと考える。 …自分の意見の表明

本論

確かに、アクティブ・ラーニングは受験に活かすことができないとのデメリットも指摘されている。現行の入試制度を考えると、このデメリットはまだ解消されていない。 …逆の意見を認める

しかし、私はアクティブ・ラーニングによって子どもたちの自己肯定感を高めることのメリットの方が遥かに大きいと考える。 …改めて自分の意見を主張

「◯◯さんと同じ考え方の人は手をあげて下さい」と言われて、本当は賛成ではないのに手をあげてしまった経験がある。自分だけ違う意見を言ったら、周囲からどのような目で見られるのかという恐怖心があった。しかし葛藤も残った。みんなと同じにしなければならない、間違ってはいけないという空気を感じ、ありのままの自分や失敗が受け入れられる経験を積極的に積むことができなかった。 …具体的な事例

第四段落でライバルと差をつける論点を入れる。これは企業秘密です。
(スカイ予備校では、スカイメソッドの基礎編の24の論点で学習します。
しかし、一例をあげるならば・・・)

アクティブ・ラーニングでは、子どもたちが自分で問題を発見し、問題解決に向けて議論を重ね、間違いや失敗をしながら答えを創り上げていく。一人一人意見が違うことが出発点であり、失敗もする。たった一つの正解というものがない問題の場合、自分たちらしい最良の答えを出す。こうした行為で人は達成感を得る。それが自己肯定感の向上に結びつくと考える。 …自分の意見の根拠を展開

結論

従って、私はアクティブ・ラーニングを取り入れることによって、子どもの自己肯定感を高めていくことができると考える。 …自分の意見の再表明

五十嵐塾長
五十嵐塾長

序論から結論まで筋の通った構成を組み立て、実際には指定字数に応じて事例を簡潔にしたり、逆に厚く肉付けしたりと調整していきます。

そして第四段落でライバルを差をつける論点で8割をとりにいきます。

教育学部の小論文対策におすすめの参考書

ここまで、教育学部の小論文について、頻出テーマや書き方、回答例を見てきました。もっと深く詳しく勉強したいという場合、どのような参考書を使えばよいのでしょうか。

教育学部向けに限定した参考書には、次のようなものがあります。いずれも教育学部の小論文に頻出するテーマやキーワードについて解説したり、回答例が載っていたりします。

  • 「書き方のコツがよくわかる 人文・教育系小論文 頻出テーマ20」 高橋廣敏(KADOKAWA)
  • 「小論文の完全ネタ本改訂版 人文・教育系編」 神崎史彦(文英堂)

教育学部に限定しなければ、次のような参考書もおすすめです。今回の記事でも大変参考にさせていただきました。

  • 「大学受験 採点者はココを見る! 受かる小論文の絶対ルール」 樋口裕一(青春出版社)
  • 「大学受験 試験に出る小論文 10大テーマの受かる書き方」 樋口裕一(青春出版社)
五十嵐塾長
五十嵐塾長

小論文は基本的には、参考書を読むだけのインプットでは、レベルはあがりません。

しかし、何をやっていいかわからない人には、これらの本は1つの目安にはなります。

受験は情報戦です。ライバルと同じ内容を書いても、差がつかないので、これらの参考書の丸パクリはやめましょう。採点する先生は、同じ答案が何枚もあると、すぐに「これはマニュアルや本のコピペだな」とわかり、一気点数が下がります。

まとめ

今回は、教育学部の小論文の書き方について、頻出テーマや書き方、過去問、回答例、おすすめの参考書をお伝えしてきました。

まずは出題が予想されるテーマやキーワードについての基礎知識をしっかり頭に入れておくことが必要です。テーマやキーワードが理解できていれば自信を持って書くことができますし、予想外のテーマが問われた場合でも、持っている知識を網羅して応用を効かせることができるでしょう。

学校や塾で添削してもらうことで、知識不足や構成の甘さなどの改善点に気づくと思います。それらに対応しつつ、構成が自然と頭に浮かぶようになるまで、何本も書いてみてください!

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