【推薦入試】福知山公立大学 情報学部 情報学科(小論文過去問題解説)

推薦入試

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

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福知山公立大学 情報学部 情報学科の小論文対策

【令和5年度 学校推薦型選抜 90分

問題1 次の文章は『日本経済新聞』(2022年5月3日付、関西経済面)からの引用(一部抜粋・改変)である。この文章を読んで、以下の問いに答えよ。

課題の要約文です。

シノプスは、小売店向けの自動発注システムを提供する企業で、新たにAIを活用した日配品の値引き判断システムを導入しました。このシステムは、過去の販売データや当日の来客数予想などを考慮して、日配品の適切な値引き率やタイミングをAIが提案するものです。これにより、スーパーは人手不足の解消と食品ロスの削減に貢献します。従来、値引き対応は店舗ごとに担当社員が行っており、特に総菜の値引きは経験が必要で、新人やパート社員には難しい課題でした。しかし、AI値引きシステムの導入により、総菜の売上損失率が改善し、食品ロスが削減されたと報告されています。現時点では総菜と日配品を中心に活用されていますが、将来的にはAIの精度向上を図り、精肉への適用も検討されています。

問1 あるスーパーが扱うある商品は、これまでの経験により、定価であれば毎時10個、20%引きであれば毎時12個、50%引きであれば毎時20個の売り上げがあることがわかっている。また、この商品の販売時間は12時間で、在庫数が150個であるとする。この商品について、以下のような販売計画A、B、Cがある。

A:販売時間の間、常に定価で販売する。
B:販売開始から6時間は定価で販売し、以降は20%値引きして販売する。
C:販売開始から8時間は定価で販売し、その後2時間は20%値引き、以降は50%値引きし販売する。

A、B、Cのうち、あなたがもっとも良いと思う計画を選び、その理由を具体的な値を用いて説明しなさい。

問2 実際の小売店においては様々な条件のもとでの販売計画を立てなければならない。文中で述べられている「AI値引き」システムによって得られる販売計画が、問1のような人の手で立てられた計画に比べて優位なことは何か。文中の言葉を用いながら200文字以内で述べよ。

問題2 次の文章は、『日本経済新聞』(2019年9月28日付、電子版)からの引用(一部抜粋)である。この文章を読んで、以下の設問に答えなさい。

課題の要約文です。

京都府の国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の研究者、西尾修一氏が開発したロボットアームは、利用者の脳波を読み取って動作します。例えば、ボトルを手に差し出されると、ユーザーが「持ちたい」と思った瞬間にアームがそれを取ります。これは脳波を活用するブレイン・マシン・インターフェース(BMI)技術の一例で、通常は手や腕の機能を失った人々のために研究が進められてきました。しかし、西尾氏は健常者向けに「お手伝いアーム」を開発しました。被験者15人に9箇所の頭に電極を設置し、異なる脳波を測定しました。彼らは両手で箱を持ち、同時にボトルを「持ちたい」と思うように指示されました。驚くほどの結果となり、被験者が両手での作業とアームの動きを同時に思い描くことが成功率を高める一方、それを分離して考える人々もいました。なぜ一部の人々が成功するのか、それを制御するために用いられた電極や脳波との関連性はまだ不明確です。この技術は、人々に新しい可能性を提供し、将来的に様々なアプリケーションに応用される可能性があります。

設問 この文章の波線が示す分布および、2重線が示す分布の例をそれぞれ棒グラフで示しなさい(たて軸とよこ軸それぞれの軸ラベルと対応する目盛りの値を記載すること)。また、2重線で述べられている現象が生じたのは何故か、あなたの考えを200字以内で述べなさい。

ポイント

【出題意図】

令和5年度の小論文試験は、情報学部のアドミッションポリシーに示されている「幅広い教養と基礎学力を身に付けていること」と「情報技術のあり方について自ら思考し表現共有する力を有すること」の評価を主たる⽬的として出題されています。社会で利活用されている広い意味での情報技術に関する文章を題材とし、主にその文章で述べられていることの理解および、理解に基づいた思考力を問い、適切な表現で解答できる力を評価するための問題で構成されています。解答するための思考を「ていねい」に記述できること、すなわち指定の文字数を活用し、読み手を意識した過不足のない論述を構成する表現力も問われています。

【採点・評価のポイント】

問題1は2つの設問から構成されています。
設問1では、題材の内容の理解力が主に問われ、理解したことがらを過不足なく述べることが期待されます。一部の選抜区分では、数的根拠を示すことを通じて、解答する必要がありました。その問題においても、題材が述べている状況を理解し、問われていることがらについて適切に考察ができることおよび、考察した内容が簡潔に記述できるかがポイントです。
設問2でも、設問文の内容の理解が問われ、理解した内容に基づいて考察したこと、もしくは題材から読み取れることがらに基づいて解答文を構成する表現力が評価のポイントです。

問題2は、情報技術や情報活用などに関する文章を理解し、理解に基づいて考察を行い、その内容を適切に述べることを求めています。
考察のもとになった仮定、その仮定から導かれる結論への論理的な思考過程を適切に述べることや、題材に立脚しつつ、問いに対して、なぜそのように考察したのかを述べることが必要です。本設問において、唯一明らかな正解はなく、評価のポイントは、議論の明快さと展開の適切さです。題材に含まれない内容や、題材において否定されている事実に立脚することは適切ではありません。また、設問に指定されていることがらから逸脱した例示、議論あるいは、論理的でない表現も適切ではありません。
一部の選抜区分では、考えを述べるために、数的なデータの把握が必要でした。また、設問文が取り上げている専門用語の意味を読み取ることが必要でした。ここでも、設問文の適切な理解と理解した内容やデータに基づいて考察した内容について記述する表現力が評価のポイントです。

<福知山公立大学の公開内容からの引用>

小論文過去問題解説

問題1

問1: 商品の販売計画A、B、Cの選択と理由

A、B、Cの販売計画から、もっとも適切な選択はBです。理由は以下の通りです。商品の定価販売では毎時10個の売り上げがありますが、一方で20%引きでは毎時12個、50%引きでは毎時20個の売り上げがあることが分かっています。Bの計画では、販売開始から6時間間は20%引きで販売し、それ以降は50%引きに切り替えています。この計画において、売り上げは初めの6時間で毎時12個(20%引き)で最も高く、その後も50%引きに変更することで毎時20個の売り上げをキープします。また、在庫数が150個であるため、6時間間の間に72個(12個×6時間)が販売されても在庫は充分です。したがって、Bの計画が最も売り上げを最大化し、在庫効率も良い選択と言えます。

問2: “AI値引き” システムの優位性

“AI値引き” システムによる販売計画は、人の手で立てられた計画に比べていくつかの優位性があります。具体的には、以下の点が挙げられます。まず、AIは大量の過去の販売データを学習し、各商品ごとに適切な値引き率やタイミングを指示できます。これにより、経験に頼る人の手に比べてより効果的な値引き戦略を提供します。AIはリアルタイム情報をもとにして最適な値引き判断を行うため、変動する状況に適応しやすく、急な需要変化にも迅速に対応できます。AIは膨大なデータを処理し、複雑な計算を高速で実行できるため、多くの商品や条件を同時に考慮することができます。AIによる計画は効率を向上させ、食品ロスの削減に貢献します。経験に頼る人の手に比べ、より的確な値引きを行うことで在庫の無駄を減少させます。したがって、”AI値引き” システムは小売業において人の手に比べて優れた販売計画を提供し、業務効率の向上と食品ロスの削減に寄与します。

問題2 課題文では、被験者がロボットアームの制御に対して成功率に関する実験が行われました。結果、成功率について予想外の2つの分布が示されています。1つは両手での作業をせずにアームの動きを念じたときの分布で、成功率は約7割前後です。もう1つは両手での作業を加えた場合で、成功率が約8割と5割で2つの山に分かれました。この現象の原因については、文中では明確に説明されていません。設問では、この2つの分布を棒グラフで示すこと、そしてなぜこのような現象が生じたのかについてあなたの考えを述べることが求められています。したがって、まずは実験結果から2つの分布を可視化し、棒グラフを作成する必要があります。そして、成功率が異なる背後にある理由について考察し、可能な説明を提供することが求められます。考えられる要因について述べ、それに基づいて成功率が異なる理由を200文字以内でまとめることが必要です。

福知山公立大学の所在地・アクセス

所在地アクセス
京都府福知山市字堀3370JR福知山線・山陰本線「福知山」駅北口から
京都交通バス堀循環線で約10分、「平和公園下」下車徒歩5分

福知山公立大学のHPはこちら

福知山公立大学の入試傾向

福知山公立大学の入試傾向については、以下のような特徴があります。

  1. 福知山公立大学は、平成28年4月に開学した新しい公立大学です。私立大学であった成美大学が公立大学へと移行した大学です。
  2. 学部と学科:地域経営学部:この学部では、地域経済や地域社会の課題に対処するための専門知識を学びます。情報学部:情報学部では、情報技術やデジタル領域におけるスキルと知識を習得します。
  3. 収容定員:福知山公立大学は学生の規模を限定しており、収容定員は200名です。この制限により、クラスサイズは比較的小さく、個別の指導や学習環境へのアクセスが向上するでしょう。
  4. 2次試験形式: 入試の2次試験では、小論文のみが必要とされます。

福知山公立大学の募集コース

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地域経営学部(定員数:100人)

地域経営学科(定員数:75人)

地域経営学科は、地域社会の再生と企業活動の活性化を目指し、実践的なスキルを持つ人材を育成します。このため、異なる地域の事業体に関する基本的な知識を習得し、それを実際の現場で活かす能力や実践力を養います。具体的には、「公共経営」、「企業経営」、「交流観光」の3つの分野に焦点を当て、経営の概念を中心に専門的で高度な知識を獲得し、同時に「地域協働型教育研究」を通じて地域の課題に対する理解を深めます。

医療福祉経営学科(定員数:25人)

医療福祉経営学科では、「診療情報管理士」といった日本病院会などの認定資格の取得を目指しながら、法学、経済学、心理学など幅広い知識を習得します。また、組織経営や地域経営に関する基本的な理解と、課題解決のためのデータ収集、加工、分析の技術も磨きます。将来的には、医療機関や福祉施設の経営に参加できる人材や、医療福祉を通じて地域に貢献できる人材を育成することを目指しています。

情報学部 情報学科(定員数:100人)


情報学科では、帰納的な学習を重要視しています。帰納的な学習は、具体的な事例から出発し、段階的に原理に近づくことで専門性を高めていくアプローチです。具体的な体験事例を元にして原理に向かって学んでいくことで、幅広い場面で応用できるスキル、知識、洞察を体系的に獲得します。1・2年次では事例学習に焦点を当て、具体的に「何ができるか」を学びます。2・3年次では方式学習に進み、「どうすればできるか」を研究し、3・4年次には根拠学習に取り組み、「なぜできるか」について段階的に理解を深めていきます。

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