2024年度福岡県立高校入試では、論理的文章+知識問題・文学的文章・古文・作文の4題構成になっています。
↓問題と解答はコチラ
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記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
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スカイ予備校を高崎市内に開校し、2021年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となり1年目から、国公立大学に27名の合格者を輩出。スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
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大問1(論理的文章+知識問題)
小林康夫『何のために「学ぶ」のか〈中学生からの大学講義〉1』「学ぶことの根拠」と、朝日新聞
出版『いのちの不思議を考えよう③ 脳の神秘を探ってみよう 生命科学者21人の特別授業』か
らの出題です。
(1)
問一 接続語挿入(選択肢)
「人間が行っている世界のつくり替えは、あまりにも高度で複雑」であり、数学や物理学、工学など、「いくつものことを積み重ねて」はじめて、「ジェット機が一機、空を飛べる」と述べられている。
「長い間待ち望んでいたことがやっと実現される」という意味の「ようやく」が正解。
問二 理由説明(抜き出し)
傍線部①直前の「このこと」の指示内容が答え。
「鳥や魚と同じような意味では『自然(=世界)』の中に生きていない」となるが、これよりも明確な説明をしているのが、「世界と自分をはっきりと分けて認識している」という部分である。
問三 内容読解(選択肢)
傍線部の「その自由」の指示内容を考える。
「これこそ人間だけが持っている自由」の「これ」に着目すると、「人間はほかの動物のように自足することができず、自分が生きる世界を絶えずつくり替えていかなければならないということ」のことだとわかる。
問四 内容読解(抜き出し)
「第二段階」とは、「自然を学んだ人間がつくり出したものを学ぶこと」である。同じ段落の冒頭で、
「数学や物理学、工学は、自然そのものではなく、人間が自然を学びながらつくり出した体系である」と述べられている。
問五 内容読解(抜き出し+20~25字記述)文章の最終段落に注目する。
A:「膨大な知識の体系に分け入った若者は、それを骨肉化しようとするとき、誤った理解をすることもしばしばある」と述べられている。「突然変異というエラー」も十字だが、「『突然変異というエ ラー』をする」でないと、空欄の前後の文脈に合わない。
B:空欄Bの直後に「力」とあるので、「何かを成し遂げる力」を解答の中心にすればよい。字数が余るので、それがエラーの中でなされる新発見によるものであることを説明しよう。
(2)
問一 内容読解(抜き出し)
文章の破線部は、世界に同じ研究をしているチームが多く存在することを述べている。
言い換えとしては言葉足らずの感は否めないが、【資料】のⅠの「世界中の脳科学者が~」の一文が該当する。
問二 文節の関係(選択肢)
「身体と心を」は、並列の関係である。2の「優しくて親切だった」と3の「夢や希望が」が答え。文節の中身を入れ替えても成立するものを選ぶ。
1の「調べている」は、「いる」が補助動詞なので補助の関係。
4は「意外と」が「簡単な」を修飾しているので、修飾・被修飾の関係。
問三 漢字の読み(記述)
「謎(なぞ)」の読みが出題。
問四 否定語(選択肢)
「未(踏)」が出題。
問五 品詞(選択肢)
「好きな」は形容動詞。同じく形容動詞の「急に」が答え。
2の「大きな」は連体詞なので引っかからないようにしたい。また、1の「新しい」は形容詞。4の
「考え」は名詞。
問六 行書の特徴(選択肢)
ア:速く整えて書くために、点画を変化させるのが「点画の変化」である。
イ:うかんむりの2画目からそのまま3画目を書いているので、「点画の連続」が答え。
大問2(文学的文章)
天沢夏月『ヨシケイ!!』からの出題です。問一 内容読解(抜き出し)
「おまえ、最近、調子どうだ」と朝月先輩に尋ねられた「俺」は、自分の走りのことではなく、「朝月先輩から渚台高校陸上部の部長を引き継いだこと」について尋ねられたのだと予想したうえで、「普通」だと答えている。
問二 内容読解(5字記述+抜き出し)
ア:「リレーのときだけはどことなく不安そうな、迷っているような……」とある。
イ:「それは実は、瞳の奥に秘めた強い光に、陽炎のように揺らいで見えるだけ」とある。
問三 表現把握(記述+抜き出し)
(1)「みたいな」とあるので、「直喩(明喩)」が答え。
(2)一つ目の空欄Bの直前にある、「『俺』が、覚悟を決めて先輩に思いを伝えている」というのは、文章の「……確かに、受け取りました」と発言している箇所に該当する。
問四 内容読解(選択肢)
「伝統とか、責任みたいな、そんな大仰なものでもなくて……」とあるので、1の「走り出さなければ許されない」、3の「伝統を守ろうと」は不適。また、4の「先輩に追いつきたいと焦りながら」も文章からは読み取れない。
大問3(古文)
『貞観政要』からの出題です。 問一 現代かなづかいに(記述)
「をりて」を「おりて」に直す。
問二 発言の箇所(抜き出し)
「曰く」がある場合は、発言の終わりを「と」で結ぶことが一般的である。
問三 内容読解(選択肢)
太宗の考えが問われているので、太宗の発言に注目する。「賢能に任じ諫諍を受くれば則ち可ならん」が解答の中心。
問四 書き下し(記述)
「レ点」と「一二点」が出題。
問五 内容読解(選択肢+抜き出し+10~15字記述)
(1)魏徴の2つめの発言に注目する。魏徴は最初に「古よりの帝王を観るに」と述べている。
(2)
イ:【B】の「君主が安楽な状態に寄りかかって、緩み怠りたいと思っているときには~忠告しなくさせてしまいます」を参照する。【A】のなかで「緩み怠る心」を表す言葉を探せばよい。
ウ:【B】の「古来からの帝王を観察しまするに~諫めを受けいれます」を参照する。
(3)
【B】の、「いつも危難のときを思って緊張していた」と「安らかでありながら大いに警戒しなければなりません」が解答の中心。
大問4(作文)
例えば、以下のように考えると書きやすい。
読書量を増やす取り組みなので、「1、2冊」読んでいるグループを「3冊以上」読んでいるグループに押し上げるか、「全く読まない」グループを「1、2冊」グループに押し上げるかである。
グラフC~Eを見ると、「全く読まない」グループは読書を好きだと思っていない人が多いので、対策を立てやすい。
一方で「1、2冊グループ」は75%の人が好きだと答えているので、読書量が3冊以上にならない原因は、読書が好きか嫌いかではなさそうであり、与えられているグラフだけでは書きにくい。したがって、目標は「『全く読まない』グループを『1、2冊』グループに押し上げる」こととする。 書評を書く・ビブリオバトルを開催するなど、読書を絡めた実践を提案するなどしよう。
【解答構成】
①「A→3割以上の人が読書をしていないこと」・「E→読書をしていない人の大半は読書を好きでない」ことを書く。「C・D→本を1冊以上読んでいる人は、読書が好きな人が多い」
②読書を好きになってもらえるような取り組みをするべきだ
③例えば、「書評を書く」・「ビブリオバトル」など。
④「読書に興味を持ち、好きになる人が増えれば、自然と読書量は増えていく」という結論の再提示