「高校受験」での志望校合格のためにはもちろん学科試験の勉強が大切ですが、ほかにも気になる受験科目、「作文」があるのではないでしょうか。答えが決まっている学科試験と違って、「作文」と聞くと「何を書いたらいいのかわからない…」と不安になるかもしれません。
本記事では、高校受験の作文でよく出題されるテーマや作文の書き方のコツ、さらには「PREP法」という、作文を書くのが楽になる「作文の型」について紹介します。
最後まで読んで、高校受験で作文力を発揮して合格を勝ち取りましょう!
記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
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高校受験の作文とは?
高校受験で行われることが多い作文試験は、受験生の以下のような能力を評価する目的で出題されます。
- 思考力
- 表現力
- 文章力
- 論理的思考力
推薦入試で課されることが多い
小論文や作文は主に推薦入試で行われます。その理由は、推薦入試では成績だけでなく人間性を特に重視するためです。小論文や作文を課すことで、受験生の自己表現力や思考力・文章力・論理的思考力が一度にわかります。
推薦入試では、学校が指定したテーマに沿った小論文や作文を書くことが多いです。あくまで「受験科目」であるため、「書きたいことを自由に書く」というより「入学する生徒としてふさわしい」文章が必要です。
作文と小論文の違いは自由度
作文と小論文は両方文章を書く試験ですが、その目的や書き方に違いがあります。
作文は、与えられたテーマの範囲で自由に書く場合が多く、受験生の自己表現力を試すことが目的とされます。作文では、自分自身の経験や思いを素直に表現し、それについて感じたことや考えたことを相手に伝わるようにまとめるのが重要です。
一方、小論文はあるテーマに対して主張や論理的な考えをまとめたもので、根拠を元に自分の意見や考えを相手が納得するように説明する力が求められます。そのため小論文では、テーマに対する自分なりの考え方を整理し、論理的な構成を持った文章を書くことが重要です。
つまり作文と小論文の違いは、自由度にあります。作文では自分自身の考えや感想を自由に表現できる一方、小論文は、与えられたテーマに沿って論理的にまとめることが求められます。
高校受験の作文のテーマとは
高校入試で出される小論文や作文のテーマは学校や試験によって異なりますが、一例として以下のようなものがあります。
【小論文のテーマ】
- 最近話題になっている社会ニュース(増税・AIなど)について
- 社会問題(少子高齢化・災害・物価値上がりなど)について
- 教育問題(いじめ・ICTの活用など)について
- 国際的な問題(地球温暖化・SDGsなど)について
【作文のテーマ】
- 将来なりたい職業・夢
- 入学後にやりたいこと
- 中学校で一番印象に残ったこと・頑張ったこと
- 今までで一番上手くいったこと・失敗したこと
これらのテーマでは自分自身の経験や知識を活用して、独自の視点や意見を述べることが重要です。
高校入試の作文の書き方の3つのコツ
それでは次に実際に作文を書く時のコツについて見ていきましょう。
コツは以下の3つです。
- 原稿用紙の使い方を覚える
- 制限文字数の少なくとも8割、できれば9割書く
- 書き出す前に構成を考える
原稿用紙の使い方を覚える
入試で評価されるのは、文章の内容だけではありません。原稿用紙が正しく使えているかも点数に影響する場合があります。まずは原稿用紙の使い方を知ってあいまいなところをなくし、自信をもって文章を書けるようにしましょう。原稿用紙は以下のようなルールで使います。
- タイトル:読者の興味を引き、内容をひとことで表したものにする(タイトルを書く指示がある場合)。タイトルの前は1マス空ける。
- かぎ括弧:会話を示す場合に「 」で囲んで表記する。
- 改行:原則として、段落の最後にきた場合に改行を入れる。段落とは、文章をまとまりに区切るもので、話題が変わるときには段落を変える。
- 字下げ:「書き始め」と「段落の最初」は1文字マスを空けて書く。
- 誤字脱字などに注意:誤字や脱字、漢字の間違いが多いと採点に影響するため、最後に読み直してチェックしておく。
- 句読点やかぎ括弧は一マス使用:句読点(、。)やかぎ括弧は1マス使う。ただし行の先頭になる場合は前の行の最後の文字と一緒に1マスにする。
制限文字数の少なくとも8割、できれば9割
作文課題には「○○〇字以内」や「○○〇~○○〇字の間で」など、文字数制限が設けられていることがほとんどです。文字数に指示があった場合その文字数以内に収めるのが当然ですが、少なすぎてもいけません。
そのため、少なくとも制限文字数の8割は書くことを心がけ、できれば9割以上にまとめるように努めましょう。もし指定文字数をオーバーしそうな場合は、不要な部分や似たようなことを言っている部分がないか見直し、簡潔にまとめるとよいでしょう。
書き出す前に構成を考える
「文字数が足りなさ過ぎて言いたいことが書ききれなかった」「結論まで書いたのに文字数が全然足りない、どうしよう」こんなことが本番で起きないように必要なのが作文を書き始める前の「構成作り」です。
小論文であれば序論・本論・結論の3つに分けてそれぞれの部分でどんな内容を書くか・指定文字数に対してどのくらいの文字数を書いたらいいかをざっくりと考えることで伝えたいことが過不足なく書ける、バランスの良い文章が作れます。
覚えておきたい構成方法「PREP法」とは
とはいえ作文に慣れていないと文章の流れを考えるのが難しいですよね。そんな時におすすめなのが、「文章のテンプレート(型)」を使って書く方法です。今回はその型の一つ、「PREP法」について紹介します。
PREP法は作文において、論理的な文章を書くための手法の一つです。PREPとは、Point(ポイント)、Reason(理由)、Example(例)、Point(ポイント)の頭文字を取ったものです。この手法では、最初に「ポイント(主張)」を明確にし、次に「理由」を述べます。その後、「例」を用いて説明を補足し、最後に再度「ポイント」をまとめます。こうすると論理的な文章を簡潔にまとめられ、自分の意見を明確に述べることができます。
例えば、「環境問題についてどう思うか」という小論文が課題に出された場合、PREP法を用いると、以下のように書くことができます。
Point(ポイント):環境問題には取り組む必要がある。
Reason(理由):人間活動による環境破壊が進行している。
Example(例):温暖化や森林伐採、海洋汚染など。
Point(ポイント):我々には環境保護への責任があるため○○のような取り組みを行うべきである。
ほかにも、作文のテーマが「自分が目指す将来の職業や夢」だとしたら、以下のようになります。
Point(ポイント):私は将来の職業として〇〇になりたい。
Reason(理由):〇〇の仕事には私が持っている能力や興味が合っているから。/○○という経験があり、自分が好きな分野だから。/○○という経験から○○という問題を解決したい。そのためにその分野で働きたいと考えたから。
Example(例):〇〇になるために必要なスキルや知識を身につけるために、〇〇について学んでいる。/〇〇に取り組んでいる。/○○を頑張り、○○の成果を出している。
Point(ポイント):私は○○になりたく、それに向かって努力している。
このようにPREP法を始めとする文章の「型」を使うと、論理的かつ簡潔な文章が簡単にできますよ。
まとめ
本記事では高校受験の作文のテーマや書き方のコツとPREP法について解説しました。
作文・小論文どちらでも、慌てて書くのではなく、書く前にテーマに合わせたアウトライン(内容の流れ)を元に構成を作成してから書き始めた方が結果的に相手に伝わる文章を早く書けます。さらにPREP法を使うと、説得力のある文章でポイントを効果的に伝えられます。
高校受験の作文問題にもPREP法を活用して、合格につながる「伝わる」文章を書いてみましょう!