2024年度茨城県立高校入試では、手紙文+知識問題・文学的文章・的文章・古文の4題構成になっています。
↓問題と解答はコチラ
https://www.sankei.com/article/20240228-B7OTSC375RJUVFAAZH3ES7HFAE/
記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
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大問1(手紙文+知識問題)
(一)
(1)手紙の知識(選択肢)
あらたまった内容の手紙の冒頭には「拝啓」、結びには「敬具」を用います。
冒頭に「前略」、結びに「草々」を使用するのは、急ぎで用件を伝えたい時(お見舞いなど)です。
(2)時候の挨拶(選択肢)
十月二十日に合う時候の挨拶を選ぶ。
アは六月、イは十二月、ウは八月下旬~九月上旬に主に使用します。
(3)手紙の表現(15~25字記述)
定型表現である。「山本様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。」などでもよい。
(4)敬語(選択肢)
「行く」のは光太郎さんのグループなので、謙譲語に直す。
(二)漢字の画数(選択肢)
アは「滋」で十二画、イは「棒」で十二画、ウは「福」で十三画、エは「揮」で十二画。
(三)漢字の読み書き(記述)
「真偽(しんぎ)」・「背ける(そむける)」の読みと、「救急」と「易(しい)」の書き取りとが出題。
(四)接続語挿入(選択肢)
A:「(うまくできるか)不安があった」のに予想に反して「うまくできた」となっているので逆接の「しかし」が入る。
B:「電車で行くか」と「バスで行くか」とが並列関係にあるので「あるいは」が入る。
C:「外国語から日本語に取り入れられた語」を「外来語」と言い換えているので、「つまり」が入る。
(五)語句の意味(選択肢)
「骨だ」・「見通しは明るい」・「筆が立つ」の語句の意味が出題された。
「骨だ」は「骨が折れる」という言葉を思い浮かべればわかりやすい。
また、「筆が立つ」は文脈から正解を選べる。「記事を書く際には、読み手に試合の流れを分かりやすく伝える表現力が必要」だと述べられていることに着目する。「表現力」と似た内容になっているのは、ウのみである。
大問2(文学的文章)
濱野京子「シタマチ・レイクサイド・ロード」+書き下ろしの感想文からの出題です。
(一)内容読解(選択肢)
【Ⅰ】の前半に、「ほかの部員たちが、物語を生み出そうとしている中で、わたしだけがちがう」や
「自分の中からわきあがる豊かな物語があったら!」と書かれている。
また、傍線部②の直後の「小説を書けるわけではないし、俳句も短歌も詩も作れない」に注目しよう。
希和子は、「物語る」を「小説や俳句、短歌や詩などを自分で1から創作すること」だと考えていることがわかる。
ウは、「他の部員と協力し」が不適。
(二)内容読解(選択肢)
真沙美や菜月は、自分に才能がないことを自覚している。
しかしそれでも「好き」だから陸上やバレーボールを続けている。そして、「好き」だからこそ才能がないことをくやしく思っているのである。
希和子は、自分に才能がないことを分かってはいるが、そのことに対してくやしいとさえ思えていない。それは、「ただ一筋に打ちこめるもの……。わたしにはない」という表現によく表れている。
(三)内容読解(抜き出し)
【Ⅱ】の傍線部の位置より、【Ⅰ】の傍線部②の後ろから該当箇所を探す。
「閉じ込めてきた」と「封印していた」が対応することに気づく。
(四)発言の役割(選択肢)
波線部以前が、希和子の悩みを「人間関係」から考えようとしていたのに対し、花子は「自分自身」に悩みがあるという新たな視点を提供している。
(五)内容読解(選択肢)
希和子視点で心情を掘り下げる形で描写されている。文章の最終段落が「文芸部での自分のあり方について考える」に合致する。
イは、「他者の悩みに共感することで精神的に成長していく」が不適。希和子にくやしさはないので、共感はできていない。また、「精神的に成長」まではしていない。
ウは、「友人に支えられ次なる目標に向けて新たな出発をしようとする」が不適。「友人に支えられ」てはおらず、「次なる目標」が明確に定まっているわけでもない。
エは、「あらためて自分にしか書けない物語を書こうと試みる」が不適。文芸部を退部することを
「押しとどめるものはなんなのだろう」という自問で文章は終わっている。
大問3(論理的文章)
光嶋裕介『ここちよさの建築』からの出題です。
(一)内容読解(選択肢)
空欄①:直前に「さきほど空間という言葉を定義する際に」とあるのに注目する。〈ア〉の後ろで、
「『空間』は簡単に言うと、主体である人間のまわりを包み込むようにあるもので、それを人間が知覚することで成立」すると述べられている。ウの「住む人」かエの「人間」に絞れる。
空欄②:空欄②の段落の冒頭で「建築の美において中心的な役割を果たしているのは、自然の光の存在で」あると述べられている。答えはエ。
(二)内容読解(選択肢)
「感性的」とは対照的な言葉が入る。あるいは、「反復して同じことを確認する」行為を表現するのにふさわしい言葉を選べばよい。
(三)脱文挿入(選択肢)
脱文の「だから」に注目する。補った箇所の直前に、「何かをつくるとき」に「自然をお手本」にする理由が書かれているかどうかで判断する。
(四)内容読解(抜き出し)
建物と建築の定義の説明が入る。第五段落を参照しよう。
(五)内容読解(選択肢) 美についての説明が入る。
イは、〈エ〉がある段落の内容に合致する。
アは、そもそも「グローバル化」について述べられていないので不適。
ウは、「変わらない反復性や再現性が重要である」が不適。それは科学の話である。エは、「建築」の説明になっているので不適。
(六)(60字記述)
第一段落で「建築は具体的に~設計をおこなっているのか」という問題提起を示している。さらに後ろで、「では、人間を主役とした器である建築とは、どのような要素から成り立っているのでしょうか」や「建築をつくるにあたっては~いかに編み込んでいくのか」といった形で再び提示されている。
誤答選択肢のなかで、オのみが初めに問題提起をしているという内容になっているが、「古典の引用」に関して、「予想される反論」については言及されていないので不適。なお、「たしかに」や
「もちろん」がある場合、予想される反論が述べられている可能性が高い。
大問4(古文)
『平家物語』と『韓非子』からの出題です。
(一)現代かなづかいに(選択肢)
「やさしう」を「やさしゅう」に直す。
(二)内容読解(選択肢)
嵐に吹かれたときに梅の花と見まがうものを選ぶ。梅の花が白色であることから、答えは「雪」である。
雪を梅に見立てる趣向は散見されるので、頭の片隅にいれておこう。
(三)内容読解(選択肢)
「深山にまよひたらん時」に「老馬に手綱をうちかけて、さきにおつたててゆ」くと、どこへ「いづる」かを読み取る。
実際に実践した「御曹司」の行き先を押さえればよい。最終的に「山路」に出ていることから、「道」が答えだと分かる。「陣」は「山路」に無事出てから構えたものである。引っかからないように注意しよう。
(四)返り点(選択肢)
下の字から真上の字にかえる時はレ点、下の字から二字以上かえる時は一二点を使う。
(五)
(1)古典知識と表現技法
1:「平曲」は語り物のひとつで、平家物語を伴奏をつけて語るもののことを指す。なお、「連歌」は和歌の上の句と下の句とを交互に詠み合っていく詩歌の形態のこと、「狂言」は古典芸能のひとつで滑稽なせりふ劇のことを指す。
2:「句切れ」は和歌における意味や調子の切れ目のこと。平曲とは無関係。 3:「~て、…所もあり」といったように、形が対応している。これを「対句」という。
(2)内容読解(抜き出し) 【Ⅰ】から教訓を探す。「御曹司」は教訓に従ったので、無事に「山路」に出られたのである。