志望動機の答え方|面接官に響く回答例と構成法

大学入試の面接において、「なぜ本学を志望したのですか?」という質問は、ほぼ間違いなく最初に問われる最重要項目です。しかし、多くの受験生が陥る罠があります。それは、提出した「志望理由書」の内容をそのまま暗記して読み上げてしまうこと、あるいは、「教育理念に共感しました」といった誰にでも言える表面的な回答に終始してしまうことです。

面接官が求めているのは、暗記した文章の再生ではなく、あなたの肉声による「熱意の証明」と「論理の補強」です。本記事では、志望理由書(書き言葉)と面接(話し言葉)の決定的な違いを理解し、面接官の記憶に強く残る「志望動機の伝え方」を、具体的なフレームワークと回答例を用いて徹底解説します。

五十嵐校長
五十嵐校長

ここは要注意!

面接ではかなり深く深掘りをされることが重要です。深掘りされると答えに困るため、深掘りは避けたいと感じる受験生もいると思います。しかし、それは逆で、「深掘りされる」と言う事はあなたに興味があると言う事、つまり合格に近づいていると言うことです。。

また圧迫面接等と言うものも同様に、合格に近づいていると考えた方が良いでょう。

1. 志望動機で面接官が見ている3つのポイント

敵を知り己を知れば百戦危うからず。まずは、面接官が受験生の志望動機を聞く際に、脳内でどのような評価軸を持っているかを知る必要があります。彼らがチェックしているのは主に以下の3点です。

(1) 大学適合性(アドミッション・ポリシーとの合致)

これが最も基本的かつ重要な視点です。大学側は「優秀な学生」以前に、「自学の教育環境にマッチする学生」を求めています。例えば、地域密着型の課題解決を重視する大学に対して、「最先端の理論研究に没頭したい」とアピールしても、ミスマッチと判断されます。志望動機の中に、大学が掲げる「求める学生像(アドミッション・ポリシー)」と共通するキーワードや価値観が含まれているかどうかが厳しく見られます。

(2) 論理性(「なぜ」の深さと一貫性)

「将来○○になりたい」→「だから貴学を志望する」という論理のジャンプがないかを確認しています。「○○になりたいなら、他大学でもいいのでは?」「専門学校の方が早いのでは?」といった疑問に対し、論理的に筋の通った説明ができるかが問われます。夢(ゴール)と志望校(手段)が一本の線で繋がっていることが不可欠です。

(3) 熱意の真実性(情報の具体度)

「パンフレットを見て魅力を感じた」程度の薄い情報ではなく、オープンキャンパスでの実体験、特定の教授の研究論文、独自のカリキュラム詳細など、自ら足を使い、時間をかけて調べた形跡があるか。情報の具体度は、そのまま熱意の深さと解釈されます。

2. 志望動機の基本構造と型

面接での回答時間は限られています。ダラダラと話すのではなく、相手の頭にスッと入る構造で話す必要があります。ここでは推奨される「Why型構造」と「具体→抽象→具体の流れ」を紹介します。

推奨される「三層Why型構造」

説得力のある志望動機は、以下の3つの「Why」が層になっています。

  • Why Field(なぜその分野か):将来の夢や社会課題への関心。
  • Why Study(なぜ大学での学びが必要か):実務経験ではなく、アカデミックなアプローチが必要な理由。
  • Why This University(なぜこの大学か):他大学にはない独自の環境。

面接では、これらを「結論ファースト」で組み立てます。
「私は将来○○を実現したいと考えており、そのために貴学の○○学部を志望します(結論)。きっかけは○○という経験です(過去)。貴学独自の○○というカリキュラムで学ぶことで、○○な課題を解決できる人材になりたいからです(未来)。」

「具体」で挟むサンドイッチ話法

抽象的な話ばかりでは印象に残りません。「具体的なエピソード(きっかけ)」から始まり、「抽象的な志(学びの目的)」を語り、最後に「具体的なアクション(入学後の計画)」で締める。この「具体→抽象→具体」のリズムが、聞き手を飽きさせないコツです。

3. 面接官に響く回答例とNG例

では、実際にどのような回答が評価され、何が評価を下げるのでしょうか。学部別の傾向も踏まえて解説します。

【NG例:抽象的で誰にでも言える内容】

「私は将来、国際的なビジネスで活躍したいと考えています。貴学の『グローバル人材の育成』という教育理念に深く共感しました。また、オープンキャンパスに参加した際、先輩方の雰囲気がとても良く、私もこのような環境で学びたいと強く思い、志望しました。」

解説:「国際的」「グローバル」「雰囲気が良い」といった言葉は、どの大学のどの学部でも使えるフレーズです。これでは「なぜこの大学か」の証明になりません。

【OK例:経済・経営学部(具体性への転換)】

「私は将来、日本の伝統工芸品を海外市場に展開するビジネスモデルを構築したいと考えています。そのためには、単なる語学力だけでなく、現地の消費者行動を分析するマーケティング能力が不可欠です。貴学の経営学部では、特に『データサイエンスを活用したマーケティング』に力を入れており、○○教授の『消費者心理と行動経済学』のゼミで、数値に基づいた市場分析手法を専門的に学びたいと考え、志望しました。」

【OK例:看護・医療系(経験と大学の特色の結合)】

「高校時代の入院経験から、患者の心のケアまでできる看護師を目指しています。しかし、現代の医療現場ではチーム医療が主流であり、他職種との連携が重要であることを知りました。貴学は医学部や薬学部と同じキャンパスにあり、1年次から『多職種連携教育(IPE)』が必修となっています。学生のうちから医師や薬剤師を目指す仲間と共に学ぶことで、真のチーム医療を実践できる看護師になりたいと考え、貴学を第一志望としました。」

OK例に共通するのは、「固有名詞(科目名、制度名)」「自分のビジョンとのリンク」です。「貴学には○○があります」という事実の指摘だけでなく、「だから私にとって必要なのです」という必然性を語ることがポイントです。

4. 志望理由書との違いと口頭表現のコツ

「志望理由書に書いたことと同じことを言っていいのですか?」という質問をよく受けますが、答えは「同じ軸で、違う表現で話す」です。

書き言葉(要約) vs 話し言葉(詳細)

志望理由書は文字数制限があるため、どうしても内容は要約され、論理的になります。一方、面接ではその行間にある「感情」や「詳細なエピソード」を補足するチャンスです。

  • 書類:「ボランティア活動を通じて、貧困問題の深刻さを痛感しました。」
  • 面接:「書類にも書かせていただきましたが、ボランティア活動で出会ったある小学生の言葉が忘れられません。彼が『勉強したいけど鉛筆がない』と言った時、私は……」

このように、書類の内容をフックにして、そこから具体的な情景が浮かぶようなエピソードを展開することで、面接官を話に引き込むことができます。

適切な長さは「1分〜1分半」

志望動機を問われた際の回答時間は、1分から1分30秒程度(文字数にして300〜450文字)が目安です。短すぎると熱意が伝わらず、3分以上話し続けると「話が長い」とマイナス評価になります。結論を最初に述べ、理由を簡潔に展開し、最後に意欲で締める。このパッケージを体感で覚えるまで練習しましょう。

5. 深掘り質問への完璧な対応

志望動機を語り終えた直後、面接官はわざと意地悪な質問や、論理の穴を突く質問を投げかけてきます。これはいじめではなく、「ストレス耐性」と「志望度の強固さ」を試す試練です。

「それ、他大学でもできませんか?」への切り返し

これが最も頻出かつ最難関の質問です。心理学を学びたいなら心理学部のある大学は無数にあります。この質問に対しては、「カリキュラム」「環境」「人」の掛け算で対抗します。

「確かに心理学の基礎は他大学でも学べるかもしれません。しかし、私が学びたい『犯罪心理学』において、警察組織との共同研究を行っているのは貴学の○○研究室だけです。実社会のデータに基づいた研究ができる環境は、貴学以外には考えられません。」

このように、「他でもできること(類似性)」を認めた上で、「ここでしかできないこと(独自性)」を一点突破で強調するのが有効です。

「併願校はどこですか?」「もし落ちたらどうしますか?」

正直に答えて構いませんが、軸がブレていないことを示す必要があります。
「○○大学も受験予定ですが、○○という分野の実践的な実習に関しては貴学が最も充実しているため、貴学が第一志望です」
「もしご縁がなかった場合でも、一般入試で再度貴学に挑戦したいと考えています」

ここでの迷いは禁物です。面接の場では「この大学に入りたい」という揺るぎない意思表示こそが、評価を勝ち取る最大の武器となります。

志望動機の構築は、自分自身の過去・現在・未来を一本の線で繋ぐ高度な知的作業です。大学ごとの特徴を深く分析し、自分の夢とどう結びつけるか。この「戦略的マッチング」の精度が合否を分けます。特に国公立大学や難関私大の推薦入試では、プロフェッショナルな視点での添削指導が劇的な改善をもたらすケースが多々あります。

五十嵐校長
五十嵐校長

ここは要注意!

特に全く違う学部を受ける場合は、しっかりとしたロジックの上で面接官が納得できる答えを出しましょう。特に医学部と歯学部、医学部と薬学部等の併願は注意が必要です。

志望動機や面接対策で不安を感じている方は、数多くの逆転合格を生み出してきた専門指導を検討してみてはいかがでしょうか。
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