神戸市立外国語大学 外国語学部第2部(夜間) 英米学科【学校推薦型選抜(神戸市内枠)】 推薦入試の出題傾向と合格戦略
「本文の内容は分かったのに、答案に何を書けばよいか決められない」。推薦入試の小論文で、こうした悩みを持つ受験生は少なくありません。とくに、設問が本文に書かれていない理由まで尋ねていると、どこまで自分の考えを述べてよいのか迷いやすくなります。 神戸市立外国語大学・外国語学部第2部(夜間)英米学科を学校推薦型選抜の神戸市内枠で目指す人にとって、公開されている2026年度の問題は、読解から考察へ進む練習材料になります。扱われたのは、感染症が広がった時期に求められた「正しさ」と、対策が実施される現場の関係です。 この問題では、本文を要約するだけでも、感染対策の賛否を述べるだけでも設問に届きません。ある対策が採られた理由を本文から推論し、科学的な知識が社会の中でどのように判断へ結び付くのかを、限られた字数で説明する必要があります。 以下では、2026年度の出題を手がかりに、何を読み取り、どの順序で考え、どう書けば伝わるかを整理します。初めて過去問に取り組む人も、すでに答案を書いて行き詰まった人も、自分の答案を見直す基準として使ってください。
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2026年度の小論文分析――科学的知識と現場の「正しさ」を考える
2026年度の問題は、感染症が広がった時期の情報発信と感染対策を論じた文章を読み、科学的な知識が社会の中でどう使われるかを考えるものです。文章では、専門的な知見そのものの価値を否定するのではなく、会場の運営、人間関係、発言する人の立場などによって、その知見に基づく意見が採用されない場面が描かれます。設問は、会場にアクリル板が置かれた理由を考察したうえで、科学的事実と社会で求められる「正しさ」の関係を600〜800字で論じるよう求めています。理由は本文中で明示されていないため、書かれた事実と自分の推論を分けることが重要です。また、感染対策の有効性を一つだけ判定する問題として扱うと、本文の核心から離れます。具体的な場面を読み取り、なぜその対応が選ばれ、どのような条件で適切さを判断すべきかまで考える力が試されています。
- 出題分野は、感染症下の情報・対策、科学と社会、集団の意思決定にまたがる。
- アクリル板の設置理由は本文に明示されず、状況に基づいた考察が求められた。
- 設問には「理由の考察」と「科学的事実と正しさの関係」という二つの課題がある。
- 科学的知識の価値と、知識を現場に適用する際の難しさを両方捉える必要がある。
- 指定は600〜800字、配点は100点。限られた字数で論点を統合する構成力が重要になる。
出題テーマ――知識は現場でどう使われるのか
本文の舞台となるのは、感染症に関する専門的な情報が求められる一方、対策を取る人々が不安や社会的な圧力にもさらされていた時期です。知識があれば適切な行動が自然に選ばれるとは限らず、その場の空気や発言しやすさが判断に影響するという問題が浮かび上がります。
小論文で注目したいのは、科学的な知識と実際の行動との間にある段階です。知識を得る、場面に当てはめる、関係者に説明する、実施を決めるという過程のどこでも、条件や立場によって選択が変わり得ます。この過程を示せると、単なる感染対策論から一歩進んだ答案になります。
対策の評価も、設置された物だけを見て決められません。場所の広さ、参加者の距離、会話の仕方、換気、実施時点で得られた知見など、判断に関係する条件を確かめる必要があります。問題の具体例は、こうした条件を考える入口として読むとよいでしょう。
設問の構成と採点ポイント
設問の前半では、アクリル板が置かれた理由を考えます。たとえば、飛沫を防ぐ対策として期待された可能性、参加者に安心感を示したかった可能性、会場として説明しやすい形を整えたかった可能性が考えられます。ただし、どれが実際の決定理由だったかは断定できません。「考えられる」「可能性がある」と示し、本文中の場面と結び付けます。
後半では、科学的な事実と「正しさ」の関係を論じます。科学的知見は対応を考える重要な基礎ですが、特定の場で何をすべきかは、状況、目的、実行可能性、周囲への影響を検討して決めることになります。この関係を説明せずに「科学が大事」「空気に流されてはいけない」とだけ述べても、問いへの答えは浅くなります。
採点基準が示されているわけではありませんが、設問への対応から見直すなら、前半と後半の両方に答えているか、推論に根拠があるか、具体例から一般的な論点へ進めているかが重要です。字数内で二つの課題をつなぐため、設置理由を独立した話で終わらせず、社会で「正しい対策」と見なされる仕組みの説明に利用しましょう。
答案構成――具体例から関係性へ進む
冒頭では、結論を一文で示します。たとえば、科学的な知識は判断の基礎になるが、現場の対応は状況や人々の受け止め方を踏まえて検討する必要がある、という方向です。最初から感染対策全般を論じ始めると、設問で求められた具体例が置き去りになりやすくなります。
次に、アクリル板が設置された理由を複数の観点から考察します。その際、対策として期待された働きと、目に見える対策を置くことが周囲に与える安心感を区別すると論が明確になります。本文の状況に照らして説明し、当時の関係者の意図を知っているかのようには書かないことが大切です。
中盤から後半では、この具体例を使って一般論を導きます。科学的事実が対策の必要性や限界を考える材料になること、人々の不安や組織の判断が対策の形を左右することを述べ、両者をどうすり合わせるべきかを提案します。最後は、場面ごとの条件を公開して検討し、必要に応じて対応を改める、というように自分の判断基準で締めるとまとまります。
スカイ予備校の分析:評価された答案の共通点
この設問に即して質の高い答案を考えると、第一の共通点は、本文の事実と自分の推論を混同しないことです。本文に書かれない設置理由を問われている以上、もっともらしい説明であっても事実として言い切ることは避けます。推論の根拠を添える書き方が、読み手に思考の道筋を示します。
第二の共通点は、科学的知識と現場の判断を対立する二者として単純化しないことです。科学的根拠が必要な理由を認め、その根拠がどの条件で役立つかを考えます。同時に、集団の不安や発言しにくい立場が判断を動かすことにも目を向けると、本文への理解が深まります。
第三の共通点は、結論に至るまで設問の二つの要求を一つの論旨でつなぐことです。アクリル板についての考察が、科学的事実と社会的な「正しさ」の関係を説明する具体例になっているかを確認してください。段落ごとの役割が明確で、最後に判断の基準まで述べられれば、600〜800字でも内容を十分に展開できます。
この小論文の特徴――読解の先にある推論を求める
2026年度の問題では、本文の主張を読み取るだけで作業は終わりません。設問は、ある対策の理由が具体的には説明されていないことを踏まえ、受験生に考察を求めています。書かれたことを正確に押さえたうえで、書かれていない部分にどのような説明が成り立つかを考える形式です。
この推論は自由な想像とは違います。本文に示された会場の状況、対策に関する発言、発言が取り下げられるまでの経緯を手掛かりにします。自分が知っている感染症対策の知識を持ち込む場合も、本文が示す論点とどう関係するかを説明する必要があります。
外国語学部第2部(夜間)英米学科を志望する人も、分野名から語学の話題だけを想定せず、社会の出来事を読み解く力を磨きましょう。公開された2026年度の問題は、人の言葉や判断が置かれた状況を丁寧に読むことの大切さを示しています。
公開された2026年度問題から見える学習課題
確認できるのは2026年度の1年分です。この一題から、毎年同じテーマが出ると考えることはできません。一方で、この問題を解く過程から、自分の読解と論述の弱点を具体的に見つけることはできます。
答案を書いた後、まず「アクリル板の設置理由」と「科学的事実と正しさの関係」の双方が文章に含まれているか確認してください。前者だけなら事例説明で止まり、後者だけなら本文から離れた一般論になりがちです。両方を書いていても、間をつなぐ説明がなければ、二つの短文を並べただけになります。
次に、どこで自分の判断を示したかを探します。本文の内容を多く紹介しても、自分がその関係をどう考えるかが見えなければ、小論文としての説得力は上がりません。設問を満たす最小限の本文理解を土台に、考察へ字数を配分しましょう。
合格を目指す答案に必要な三つの力
一つ目は、文章の論理を追う力です。本文では、専門知識を持つ人が発言できるとは限らないという場面を通して、知識と行動の間にある社会的な条件が示されます。個々の出来事を時系列で追うだけでなく、それが筆者の問題提起をどう支えているかをつかみます。
二つ目は、推論を節度をもって書く力です。設置理由を一つに決めつけず、場面から支持できる説明を選んで提示します。可能性をいくつも羅列するより、二つ程度の観点を選び、それぞれが大きな論点にどう関係するかを掘り下げる方が読みやすくなります。
三つ目は、複数の価値を整理して結論を出す力です。科学的な根拠、感染への不安、会場を運営する責任、参加者への説明は、どれも判断に関わります。何を優先するかを理由とともに示し、条件が変われば対策も見直すという柔軟性を持たせると、単純な賛否を超えた論述になります。
本文を読むときは「事実・解釈・推論」を分ける
過去問を読む際は、余白やメモに三種類の印を付けてみてください。まず、会場で何が起きたかという本文上の事実を拾います。次に、筆者がその出来事をどう解釈しているかを確認します。最後に、設問へ答えるために自分が補う推論を別に書きます。
たとえば、アクリル板が置かれたという出来事と、それが置かれた理由とは同じではありません。理由を考えるには、当時の社会で対策がどのように見られていたか、会場がどのような説明を求められたか、といった背景を推測する必要があります。ただし、推測であることを文章上でも明確にします。
この区別ができると、本文を都合よく読み替える危険が減ります。自分の主張に合う一場面だけを取り出さず、筆者が科学的知識の役割も認めている点を含め、全体の流れに沿って論じられるようになります。
対策ステップ1――書く前に設問の要求を分解する
いきなり600字を書き始めると、考えやすい話題に字数を使い切り、もう一方の問いに十分答えられなくなります。最初に設問の動詞を確認し、「理由を考察する」「関係を論じる」という二つの仕事を短く書き出しましょう。どちらも答案に必要な役割です。
次に、それぞれに対応する材料をメモします。理由の考察には本文の場面と複数の可能性、関係を論じる部分には科学的知識の役割と、知識だけでは決まらない条件を置きます。この段階で、根拠のない医学的な断言や、本文にない人物の意図を事実として書いていないかを確かめます。
最後に、二つの仕事をつなぐ一文を作ります。たとえば、ある対策が選ばれた背景を考えることは、科学的な根拠が社会でどのように「正しい対応」として受け止められるかを考えることにつながる、という関係です。この橋渡しが答案全体の軸になります。
対策ステップ2――600〜800字を段落に配分する
字数制限がある場合、各段落の仕事を決めてから書くと論点が収まりやすくなります。導入で主張を示し、次の段落で設置理由を考察し、その後に科学的事実と社会的な判断の関係を論じ、結論で判断の基準を示す流れが考えられます。配分は固定せず、自分の根拠が十分に伝わる形に調整してください。
設置理由の説明に多くの字数を使いすぎると、後半の論述が結論だけになります。逆に、一般論を長く書きすぎると、設問が指定した具体例に答えていない印象を与えます。下書きの時点で各段落の主題を一行で書き、同じ説明を繰り返していないかを確認しましょう。
清書前には、主張に対する理由が一段飛ばしになっていないかを点検します。「不安があったから設置した」と書くなら、何に対する不安で、なぜ目に見える対策が選ばれ得るのかまで説明します。短い答案ほど、理由を補う一文の効果が大きくなります。
対策ステップ3――書き直しで論証を強くする
一度書いた答案は、まず設問に照らして読み直します。自分の意見が鮮やかでも、指定された二つの課題への答えが見つからなければ修正が必要です。各段落の横に「設置理由」「関係の説明」「結論」と役割を書き、役割のない段落を削るか書き換えます。
次に、断定の強さを調整します。本文にない動機を言い切っていたら、理由を示したうえで可能性として述べ直します。一方、自分の結論まで「かもしれない」ばかりにすると立場が見えません。資料から推測する部分と、自分が主張する部分とで表現を使い分けます。
最後に、抽象語を具体化します。「正しさは難しい」で終える代わりに、何を確かめ、誰に説明し、どの条件が変われば対応を見直すのかを書きます。読者が判断の手順を追える答案へ直すことが、添削や自己点検の目標です。
避けたい答案――知識の披露、感想、単純な賛否
一つ目の失敗は、感染症に関する知識を長く説明し、本文の論点が薄くなることです。知識は主張を支えるために使います。対策の有効性に触れるなら、その条件や限界を示し、なぜ会場での判断を考えるうえで必要なのかを説明してください。
二つ目は、登場する人々への批判だけで終わることです。発言を取り下げた人、対策を決めた人、周囲の人の誰かを責めても、設問が問う科学的事実と「正しさ」の関係は明らかになりません。異なる立場からどのような圧力や責任が生じたかを考えた方が、論述に厚みが出ます。
三つ目は、「科学的に正しい対策を選ぶべきだ」という結論だけを書くことです。その考えを出発点に、どの事実をどう確かめ、現場の条件へどう適用するのかまで述べましょう。科学の価値を認めることと、個別の対策を検討することの両方が必要です。
小論文の準備を面接での説明につなげる
小論文を書き終えたら、結論を一分程度で口頭説明する練習をしてみましょう。文章では整っていても、口にすると「なぜそう考えたのか」が抜けていることがあります。自分の主張、根拠、考慮した別の立場を順番に話せるか確認します。
今回の題材なら、科学的な情報を尊重しながら、現場で意思決定する際に何を確かめるかを説明できます。面接で同じ話題が出ると決めつける必要はありません。社会的な出来事について、資料を読み、複数の立場を考え、自分の判断を理由とともに伝える練習として役立ちます。
英米学科を志望する理由と結び付ける場合も、出題から無理に語学の話へ飛ばないことが大切です。異なる背景の人へ情報を正確に伝えることに関心があるなら、どの経験からそう考え、大学で何を学びたいのかを自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
受験生と保護者が取り組める準備
受験生は、完成した答案だけでなく、書く前のメモも残してください。設問の要求をどう分け、本文のどの場面から理由を考えたかが見えると、書き直すべき点を発見しやすくなります。同じ問題を時間を置いて再度書き、論点の抜けが減ったかを比べる方法も有効です。
日常の学習では、社会的な対策や情報発信について、事実と意見を分けて読む習慣をつけましょう。記事を読んだら「確認できる事実は何か」「判断が分かれる条件は何か」「自分なら何を追加で確かめるか」を短く記録します。話題を増やすことより、根拠を使って考える過程を重視してください。
保護者ができる支援は、答案の結論を代わりに決めることではありません。「その理由は本文のどこから考えたのか」「別の立場ならどう見えるか」と尋ね、受験生が説明を組み立てる相手になることです。口頭で説明できなかった箇所は、次の書き直しに使えます。
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まとめ:合格答案へ向けて今日から始めること
2026年度の小論文では、科学的な知識と、現実の場で適切だと受け止められる対応との関係が問われました。中心となるのは、アクリル板という具体例を出発点に、知識が人の不安や立場、会場の判断と交わる過程を説明することです。 答案では、本文に明示されない設置理由を可能性として丁寧に考察し、その理由が大きな論点とどう結び付くかを示しましょう。科学を軽視する主張にも、科学的根拠だけで対応が自動的に決まるという主張にも寄せず、条件を確かめながら判断する姿勢が大切です。 次の一歩として、まず設問の要求を二つに分けたメモを作り、600〜800字の答案を書いてみてください。書き終えたら、各段落がどちらの要求に答えているかを確認し、根拠のない断定と本文の言い換えだけで終わる箇所を直します。 最後に、自分の結論を口頭でも説明してみましょう。「なぜそう考えたのか」を短く伝えられるまで整理すると、小論文で培った思考を面接での応答にもつなげやすくなります。
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