記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
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北九州市立大学 法学部 法律学科及び政策科学科の小論文対策
[令和5年度 学校推薦型選抜 90分]
問 以下の課題文を読み、問題1と問題2に答えなさい。
課題の要約文です。
2020年の春、新型コロナ感染拡大の影響でトイレットペーパーが品切れになる現象が起きた。これはネット上で広がった根拠のない情報によるもので、人々はデマに騙されてトイレットペーパーを買い占めた。これは予言の自己成就と呼ばれる現象で、デマが広まり、人々がそれを信じて行動することで実現した。デマの流布にはうわさの流布量が影響し、情報が曖昧で重要性が高いほど広がる。デマは情報行動とメディアリテラシーに関連しており、人々が情報を正しく判断できる能力が必要だ。
また、フェイクニュースとポスト・トゥルース社会についても議論されている。フェイクニュースは故意に広められる偽の情報で、報道メディアの形式を模倣して広まる。ポスト・トゥルース社会では感情や信念が情報選択に影響を与え、真実と誤りが混在する社会が生まれている。この状況でメディアリテラシーの向上が重要で、人々は情報の信頼性を判断し、感情に左右されないようにする必要がある。
出典:福田充『リスクコミュニケーション多様化する危機を乗り越える』による。ただし、出題に際して原文の一部を改めた。
問題1 課題文で述べられているニュース、デマ、フェイクニュースの違いとポスト・トゥルース社会の特徴に触れたうえで、下線を引いた 「もはやフェイクニュースでさえない「オルタナティブ・ファクト」」とはどのような情報を指すのか、答えなさい。(400字以内)
問題2 ポスト・トゥルース社会では人々の間で分断が生じやすいと言われる。課題文の内容を踏まえ、ポスト・トゥルース社会で分断が生じやすい原因とその対策についてのあなたの考えを述べなさい。(420字以内)
ポイント
出題意図
出典は、福田充『リスクコミュニケーション――多様化する危機を乗り越える――(平凡社新書996)』(平凡社、2022年1月)である。本書は、危機管理学を専門とする筆者が、新型コロナウイルス、自然災害、テロリズム、少子高齢化などの多様なリスクを抱える社会において、私たちが危機とどのように向き合い、どのようにリスクコミュニケーションに関わるべきかを考察したものである。本問では、筆者がリスクコミュニケーションの新たな問題と指摘するフェイクニュースとポスト・トゥルースについて論じた箇所を取り上げた。 課題文で筆者は次のように主張する。人は、ある情報を正しいと認識した場合はそれを「ニュース」として処理し、間違っていると認識した場合は「デマ」として処理するが、その情報が正しいかを自分自身では判断できない場合は、他者とのコミュニケーションを通じて真偽を判断しようとする。この過程でうわさ話や流言が発生するが、現在では、デマやうわさ話ではなく「フェイクニュース」という概念が使用されるようになった。インターネットやSNSが普及した社会でフェイクニュースが蔓延すると、ニュースとフェイクニュースの判断がつかなくなってしまう。これがポスト・トゥルース社会である。そこでは人は、ニュースとしての真偽よりも、自分がそれを好きかどうかという感情を優先するようになる。 2016年のアメリカ大統領選挙をきっかけに、フェイクニュースとポスト・トゥルースが注目されるようになった。その背景にはインターネットメディアの発達があるとされており、情報リテラシーの向上が強く求められている。こうした状況下で、筆者の主張を正確に読み取った上で、フェイクニュースとポスト・トゥルースの関係や分断社会の原因とその対策について受験生に考えてもらうことが、出題の狙いである。
受験生に何を望むか
まず、上述した筆者の主張を正確に理解し、適切にまとめる力が求められる(読解力)。次に、筆者の主張を踏まえて、これまで中学や高校で学んできた知識を総動員して、論理的・説得的に、ポスト・トゥルース社会における分断の原因とその対策について考え、かつ自分の言葉で表現することが求められる(自説展開力)。
<北九州市立大学の公開内容からの引用>
小論文過去問題解説
問題1: 課題文で述べられているニュース、デマ、フェイクニュースの違いは、ニュースは事実に基づく情報であり、デマは意図的に誤った情報を広めるもので、フェイクニュースはニュースの形式を模倣しながら、偽の情報を広めるものです。また、ポスト・トゥルース社会の特徴は、情報が真偽よりも感情の共感性や好ましさに影響され、人々が自分に合致する情報を優先的に受け入れる傾向があることです。「もはやフェイクニュースでさえない『オルタナティブ・ファクト』」は、ポスト・トゥルース社会において、情報の真実性よりも、自分にとって都合のいい「事実」や「真実」と感じる情報を指しています。これは、個人の信念や感情に合致する情報が、その人のエコーチェンバー内で共有され、フィルターバブルの中で増幅されることで、社会に広まる「事実」であると考えられています。
問題2: ポスト・トゥルース社会では分断が生じやすい原因の一つは、人々が自分の信念や価値観に合致する情報に接する傾向があることです。これがエコーチェンバーやフィルターバブル現象を強化し、異なる意見や情報に接する機会が減少することで分断が生じます。また、政治的な利用や情報操作によるフェイクニュースも分断を助長します。対策として、教育が重要です。情報リテラシーを高め、情報の信頼性を評価し、異なる意見に対する批判的思考を養うプログラムが必要です。また、SNSプラットフォームやメディアも責任を持って、真実の報道と異なる情報を制限し、透明性を高めるべきです。さらに、対話と協力を奨励し、異なる立場や価値観を尊重する文化を促進することも重要です。
北九州市立大学の所在地・アクセス
所在地 | アクセス |
北方キャンパス 福岡県北九州市小倉南区北方4-2-1 | 北九州モノレール「競馬場前(北九州市立大学前)」駅下車、徒歩約3分 |
ひびきのキャンパス 福岡県北九州市若松区ひびきの1-1 | JR「折尾」駅からバス(約20分)、 「学研都市ひびきの」下車、徒歩2分 |
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北九州市立大学の入試傾向
北九州市立大学の入試傾向は、以下のような特徴があります。
- 学力試験: 北九州市立大学では、学力試験として記述式の問題を出題しています。一般教養や基礎学問、論理的思考能力などが評価されます。
- 適性試験: 北九州市立大学では、学部や学科によって異なる適性試験が実施されます。例えば、外国語、数学、英語、理科、社会科学などの試験があります。試験内容や重視される科目は学部ごとに異なる場合があります。
- 英語力の重視: 北九州市立大学では、多くの学部・学科で英語力の重要性が強調されています。英語の適性試験や面接によって、英語の理解力やコミュニケーション能力が評価されることがあります。
学校成績と推薦入試: 学校の成績や推薦入試によって入学を希望する場合、成績優秀者や学校の推薦を受けた個別の入試方法が用意されています。推薦入試では、学校の成績や推薦状に加えて、面接やエッセイなどが行われることがあります
北九州市立大学の募集コース
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外国語学部(定員数:265人)
英米学科 (定員数:135人)
英米学科では、1・2年次に英語集中プログラムを設け、留学に必要な語学力の育成を目指す。2年次からの専門教育では、Language and Education Program、Society and Culture Program、Global Business Programの3つのコアプログラムが導入される。専門科目の多くを英語で学ぶことによって、英語の実践力を高めると同時に、専門知識を身につける。加えて、留学などの単位化を充実させ、実践力を備えた人材を養成する。
中国学科 (定員数:50人)
中国学科では、少人数クラスと段階的・集中的な教育システムによって、中国語の修得を目指す。また、中国の文化や社会についても理解を深め、語学力、幅広い見識、そして行動力を備えた人材を育成する。3・4年次はゼミで専門について深める。
国際関係学科 (定員数:80人)
国際関係学科では、国際問題、とりわけ東アジア・北米地域の政治・外交問題に強く、英語を駆使できて、さらに中国語・朝鮮語に優れた国際人の養成を目指す。
また、国際関係領域(国際政治経済・国際機構・国際協力など)と、地域研究領域(東アジアやアメリカの政治・外交、経済など)の2科目群によって、国際人として必要な専門知識を身につけることができる。
経済学部(定員数:284人)
経済学科(定員数:142人)
経済学科では、経済理論と簿記・統計の修得を二本の柱に据え、経済学の高度な知識と応用能力を備えた、理論と実践を統合できる人材の育成を目指す。1年次には専門基本教育を徹底して行い、2年次以降は、応用経済学系と地域・産業系の2つの応用領域を設け、グローバル化・SDGsなど、時代や地域に対応したカリキュラムを設定している。
経営情報学科(定員数:142人)
経営情報学科では、経営学、会計学と情報科学とを統合した教育システムによる人材育成を図る。経営学の総合力と、会計学、情報科学の専門能力の両者を身につけることで、現実の組織や企業の戦略策定に関わることができる問題解決型の人材を養成する。
文学部(定員数:222人)
比較文化学科(定員数:142人)
比較文化学科では、文学、思想、歴史など、日本や欧米、アジアを中心とした国や地域における文化全般にわたって比較研究を行う。専門科目には、文学、芸術、メディアなどの生成や発展・変容を学ぶ文化資源領域科目と、文化の多様性を学び、異文化や他者への理解を深める文化共生領域科目がある。充実した語学教育とともに専門科目の修得を通して、国際人としての教養を身につけることができる。
人間関係学科(定員数:80人)
人間関係学科では、現代社会の諸問題を深く体系的に教育・研究し、人間と社会をトータルに理解する。心理学、社会学、社会福祉学、環境学、人類学、生涯教育学、生涯スポーツ学などの専門科目が開講されており、総合科学的な方面から学習することができる。2年次から実験、実習のほか、調査、フィールドワークなどの実践的教育が中心となる。
法学部(定員数:253人)
法律学科(定員数:177人)
法律学科では、現代社会における法律問題を解決し得る法知識と法理解(リーガルマインド)を持った人材を育成する。公務員・法曹資格者(裁判官・検察官・弁護士)など、学生のキャリアプランに応じて履修コースを選択できるので、それぞれが、必要な知識・理解を修得し得るような体系的なカリキュラムを設計している。
政策科学科(定員数:76人)
政策科学科では、地域・国家・国際レベルで生じている諸問題を発見・分析し、主体的に政策を構想・立案・実行できる「実践的能力」を養成する。そのため、4年間にわたり、コミュニケーション、ディスカッション能力など、政策能力を身につけるカリキュラムを幅広く提供している。また、少人数教育を重視し、ゼミナール(演習科目)でこれらの能力をさらに磨いていく。
地域創生学群地域創生学類(定員数:120人)
「地域の再生と創造」という時代の要請に応え、幅広い教養と地域に関する総合的な理解を身につける。カリキュラムは5つの科目群から構成されており、少人数演習のほか、福祉施設やスポーツイベントなどの現場実習がある。
地域活性化に活躍する人材を育成する地域マネジメントコース、社会福祉士やパラスポーツ指導員等の資格取得を目指すスポーツ・福祉コースの2コース制。
国際環境工学部(定員数:255人)
エネルギー循環化学科(定員数:45人)
エネルギー循環化学科では、環境問題の解決に向け、自然・環境と調和した化学技術とシステムの開発を学ぶ。
機械システム工学科(定員数:45人)
機械システム工学科では、環境・エネルギーの視点から機械工学の基礎、創造性、応用力を養い、「ものづくり」技術を通して「豊かな社会」と「持続可能な社会」を実現する方法を学ぶ。
情報システム工学科(定員数:70人)
情報システム工学科では、人間社会や環境におけるさまざまな課題について、電子・情報・通信技術の本質を捉えた解決法を提案するために、人工知能やロボット制御、画像処理、センサー技術など、最先端の情報技術を学ぶ。
建築デザイン学科(定員数:50人)
建築デザイン学科では、資源・エネルギーやエコロジー関連の研究分野と実践領域を統合し、建築学を基本に建築・地域システムと環境の共生を学ぶ。
環境生命工学科(定員数:45人)
環境生命工学科では、便利で環境にやさしい材料・製品の開発のためのバイオテクノロジー、またそれを環境・生態系に配慮し、社会で生かすためのマネジメント手法を学ぶ。