受験生にとって、一分一秒も惜しい勉強時間。
その中で「運動する時間を取るなんて無駄なのでは」と感じる人は少なくありません。
私自身、高校時代はサッカー部に所属し、部活から帰ってきたら疲れ切ってすぐに寝てしまう日々を送っていました。
引退後は「運動するくらいなら勉強しよう」と考え、運動は受験勉強にとって不要なものだと思っていました。
しかし、近年の脳科学研究や自身の経験を通して分かったのは、適度な運動は勉強の邪魔になるどころか、学習効率を大きく高めてくれる存在だということです。
この記事では、受験期における運動の本当の価値と、無理なく取り入れるための考え方を整理していきます。

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴27年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。
2020年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となる。過去3年間で国公立大学合格125名。
高1から入会者は国公立大学合格率93%
高2から入会者は国公立大学合格率86%
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スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
運動が学習効率を高めるメカニズム
運動が学習効率を高める理由は、主に三つの観点から説明できます。
まず一つ目は、脳内の血流増加です。
運動によって血流が良くなると、脳に酸素と栄養が行き渡り、脳細胞が活性化します。これにより、集中力や記憶力が向上し、学習効率が高まります。
二つ目は、脳由来神経栄養因子(BDNF)の分泌です。
BDNFは「脳の肥料」とも呼ばれ、神経細胞の成長や新しい神経回路の形成を助ける役割を担っています。この物質が増えることで、新しい知識が定着しやすくなります。
三つ目は、ストレス軽減効果です。
運動はストレスホルモンを減らし、気持ちを安定させる働きがあります。受験という強いプレッシャーの中では、この効果は特に重要です。
受験生におすすめの運動方法
受験勉強の合間に取り入れやすい運動として、まず挙げられるのがウォーキングです。
15〜30分程度の軽いウォーキングでも、脳の活性化には十分な効果が期待できます。
また、自宅でできるストレッチやヨガの基本的な動きもおすすめです。
体をほぐすだけでも血流が良くなり、勉強への切り替えがスムーズになります。
さらに効果的なのが、有酸素運動と軽いインターバルトレーニングの組み合わせです。
ウォーキングの途中で少しだけ速歩を入れるなど、無理のない範囲で刺激を与えると、より効率的に脳を活性化できます。
ただし、激しすぎる運動は逆効果になることもあるため、強度は軽度〜中程度に抑えることが大切です。
効果的な運動のタイミングと時間配分
運動は「いつやるか」も重要です。
朝の運動は、1日の学習を始めるスイッチとして最適です。
体温が上がり、脳が目覚めることで、午前中の集中力が高まりやすくなります。
また、長時間学習の合間に短時間の運動を挟むのも効果的です。
特に、午後2時〜4時頃の眠気が出やすい時間帯に軽い運動を行うと、集中力の低下を防ぐことができます。
私自身も、長時間デスクワークをするときは、途中で30〜60分ほど筋トレを挟むようにしています。
すると、休憩なしで続けるよりも、明らかに生産性が高まっていると実感しています。
運動習慣を継続するためのポイント
運動の効果を最大限に引き出すためには、習慣化が欠かせません。
最初から長時間を目指す必要はありません。
5分〜10分程度の短時間から始め、徐々に時間を延ばしていくことで、自然と生活の一部として定着していきます。
また、音楽を聴きながら運動するなど、「楽しい」と感じられる工夫を取り入れると、継続しやすくなります。
運動は義務ではなく、自分を整える時間として捉えることがポイントです。
よくある心配とその解決策
「運動する時間を取る余裕がない」と感じる受験生は多いでしょう。
しかし、研究では、運動によって向上する学習効率が、運動に使った時間を十分に補って余りあることが示されています。
また、「運動で疲れて勉強に支障が出るのでは」という不安もよく聞かれます。
これは、強度を上げすぎなければ防ぐことができます。適度な運動、十分な休憩、水分補給を意識しましょう。
日常的に「このくらい動くと少し疲れるな」とメモを取ることで、自分に合った運動量が見えてきます。
試行錯誤する過程も、意外と楽しいものです。
まとめ:継続的な運動で受験を乗り切ろう
受験期の運動は、単なる気分転換ではありません。
適度な運動は脳を活性化し、学習効率を高め、ストレス管理にも大きく貢献します。
大切なのは、運動を「勉強の敵」として避けるのではなく、
「学習効率を高めるパートナー」として捉えることです。
自分に合った運動方法とタイミングを見つけ、無理なく続けることで、受験生活はより安定したものになります。
勉強と運動をうまく組み合わせ、最後まで走り切りましょう。



