「今ある仕事の大半がAIによって将来消える」
こういった話を聞いたことがあるでしょう。
実際AIはどんどん発展しており、現在では簡単に素人がアプリのAIを使って文章や絵、プログラムを数秒~数分で作成できるところまで来ています。
実際にAIが社会に浸透するまでには時間がかかるでしょうが、それでもこれから社会に出る学生の皆さんにとっては重要な問題です。
「じゃあどんな仕事なら将来も安全なの?」
「AIに淘汰されないためにはどんなスキルを身につけたらいいの?」
その答えの一つとなるのが、オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン博士らが「スキルの未来」という論文で発表した、「2030年に必要とされるスキルや知識」のランキングで1位となった「戦略的学習力」です。
本記事ではその戦略的学習力の重要性と、実際に戦略的学習力を身に付ける方法について紹介しています。
記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴25年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。
スカイ予備校を高崎市内に開校し、2021年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となり1年目から、国公立大学に27名の合格者を輩出。スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
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戦略的学習力について
戦略的学習力とは、「新しい知識や技能を身に付ける力」のことです。
「『身に付ける力』って何?学ぶときに力とか要るの?」
こう思うかもしれませんが、学び方にもスキルがあります。
戦略的学習力では「メタ認知」を重視しており、自分を客観的に見ることで学習効率が良くなり新しい知識やスキルを早く身に付けることができると言われています。
「あの人はコツをつかむのが上手い」「なんでもすぐできるようになる」といった人、周りにいませんか?
ひょっとしたらその人は無意識に戦略的学習力を身に付けているのかもしれません。
どうやって戦略的学習力を身に付けるかについては後で解説していきますね。
戦略的学習力の重要性
学校教育でも就職でも、学歴などの知識の「量」より、「考える力」を重視する傾向が年々強まっています。
「知識」そのものではなく、「知識を得るために最適な学習方法を効率よく学ぶ力」を見るようになってきているため、論文の通り戦略的学習力の重要性はこれから高まっていくでしょう。
AIに代替されないスキルであること
「ルーティン化している作業はAIに置き換えることが可能」と言われています。
「決まった作業を」「正確に」行うのであれば、AIの方が間違いなく確実に、しかも高速に処理をこなせるでしょう。
ではAIに代替されないスキルにはどんなものがあるでしょうか。
先ほどの「2030年に必要とされるスキルや知識」のランキングの1位~3位は、次のようになっています。
1位:戦略的学習力
2位:心理学
3位:指導力
以下は洞察力や社会学、協調性・独創性・発想の豊かさなどがランクインしています。
AIに代替されないためには、AIが苦手とする「ヒューマンスキル」や「発想力」、「創造力」といったスキルを身に付ける必要があり、戦略的学習力もその一つとして位置づけられます。
限られた時間で効率的に学ぶ有用性
国際情勢や物価や税金が上がっても給料が上がらないなどの要因から、企業が利益を維持するのは難しくなってきました。
その結果社員を育成する余裕が減り、少ない人員で成果を上げるためスキルや知識を早期に身につける能力を求められる傾向にあります。
早期に知識やスキルを身に付けるためには、学ぶべき項目を取捨選択できる戦略的学習力が必要になってきます。
正しく有益な情報や方法論を獲得できる
現代はSNSを始めとするインターネットでも書籍でも、有料無料問わず情報やノウハウがあふれかえっています。
しかし情報が増えた分、発信者の偏った立場や利益のためにゆがめられている情報や、ソースを確認しないまま広がっている誤った情報も多数含まれています。
全ての情報をただ受け取っていてはキリがありません。
あふれる情報の中から必要な正しい情報を選択するためにも戦略的学習力が重要になってきます。
戦略的学習力を身につける方法
「戦略的学習力の重要性はなんとなくわかったけど、実際どうやって身につけるの?」
というところを一番知りたいですよね。
戦略的学習力を身につけるためのステップは、「何を学ぶか」「どう学ぶか」「選択した方法は合っているか」の3つです。
そのために自分を一段高い視点から客観的に見る「メタ認知」という概念が必要になってきます。
何を学ぶかを見極める
まず考えるべきなのは「何を学ぶか」です。
目的(受験なら合格、就職であれば希望企業への採用)を達成するために何を学べば効率が良いかを戦略的に考えます。
学ぶべきことを決める基準は「苦手を克服」「得意を伸ばす」といった他に、「現在のスキルと相性のいいスキル」といった考え方もあるでしょう。
ゲームでもスキルとスキルの掛け合わせで新しいスキルが現れたりしますよね(笑)
特別優れたスキルでなくても、人と違うスキルや経験の組み合わせを持つことで強みを作り出すのも戦略の一つです。
そのためには自分を客観的に見る「メタ認知」が必要になってきます。
自分が得意な部分と苦手な部分はどこなのか、学ぶべきことが本当に「今」「必要」なことなのかといった部分から問いかけていきます。
学び方を考える
勉強であれば、やみくもにできるだけ勉強しようとするのではなく、メタ認知により自分が
- どの科目がどのくらいできるのか
- どのくらい勉強できるのか
- どの勉強法が得意で続けやすいのか
を客観的に把握した上で現状より少しだけ難しい問題に取り組むのが戦略的学習です。
また、インプット(テキスト学習など)とアウトプット(テストやノートにまとめる、英会話であれば実際に会話するなど)を繰り返し、適切なフィードバックを受け自分の学習成果を振り返るといった方法が学習効率をアップさせます。
トライアンドエラーを繰り返す
「どう学ぶか」が決まったらその方法を実践して成果を振り返ることも重要です。
実践後も一度決めた方法にとらわれず、定期的に見直し修正を加えていくことで学習効率が更に上がっていきます。
まとめ
今回は戦略的学習について解説しました。
昔にスマートフォンが当たり前になりインターネットやIoTが普及する世界が予想もつかなかったように、今から将来の世界を予測するのは難しいでしょう。
それでもこれからの社会で有用な人材になれるように、AIに仕事が奪われないかを恐れるのではなく、戦略的学習力を身につけてAIを活用し利用する側に回れるようなスキルを手に入れたいですね。