MARCHは滑り止めにならない?地方国立大志望者が陥りやすい受験の落とし穴

大学入試

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

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1.  はじめに:地方受験生の「甘い」認識

近年、大学受験において興味深い傾向が見られています。特に地方の受験生の間で、MARCH

(明治、青山学院、立教、中央、法政大学)や関関同立(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)を、地方国立大学の「滑り止め」として安易に考える傾向が強まっているのです。

多くの教育関係者が、この認識に警鐘を鳴らしています。「地方の国公立志望の子たちがMARCHを滑り止めで結構受かると思いすぎている」という指摘があり、この考え方が受験戦略上、大きな落とし穴になる可能性が強調されています。

2.  MARCHと地方国立大:難易度の誤解を解く

例えば、金沢大学を志望する学生が明治大学を滑り止めとして考えるケースがあります。しかし、実際には「金沢大学の滑り止めに明治はならない」という現実があります。これらの大学は横並びか、場合によっては明治大学の方が難しい科目もあるのです。

偏差値で言えば55から60ぐらいの、金沢大学、岡山大学、熊本大学、広島大学などを目指している層の学生に、この誤解が特に多く見られるようです。これらの大学を目指す学生にとって、MARCHは必ずしも簡単な滑り止め先にはならないという認識が必要です。

3.  入試形式の違い:国立大vs私立大

この誤解の背景には、高校受験時の経験が影響している可能性があります。地方では多くの場合、公立高校が私立高校より難関とされ、私立高校が滑り止めの役割を果たすことが一般的です。しかし、大学受験ではこの構図が必ずしも当てはまらないのです。

国立大学と私立大学では、入試の形式や評価基準が大きく異なります。国立大学の二次試験は、より専門的で深い知識を問う傾向があるのに対し、私立大学の入試は幅広い知識と応用力を重視する傾向があります。このため、単純に「国立>私立」という図式で難易度を判断することはできません。

4.  科目別比較:英語と数学の難易度

具体的に科目別で見てみると、その差がより明確になります。英語に関しては、MARCHの方が地方国立大学よりも難しいケースが多いのです。多くの教育専門家が「英語とかは圧倒的に明治の方が難しい」と指摘しています。

一方、数学については状況が異なります。国立大学の数学の方が、より複雑な計算や深い理解を要求する傾向があります。ただし、これは文系と理系で若干異なり、理系の場合は私立大学の数学も十分に難しいレベルにあることが多いです。

5.  受験戦略の落とし穴:二次試験科目数の影響

特に注意が必要なのは、二次試験の科目数が少ない国立大学を志望している場合です。例えば、横浜国立大学や千葉大学の文系など、二次試験が1科目や2科目の大学を目指している学生にとって、MARCHの一般入試は想像以上に難しい壁となる可能性があります。

これらの学生は、共通テストレベルの学習だけでMARCHに合格できると考えがちですが、実際にはMARCHの入試問題はより高度で、幅広い知識を要求します。二次試験で使用しない科目の対策が不十分になりやすいため、MARCHの一般入試では苦戦する可能性が高いのです。

6.  理想的な戦略:共通テスト利用入試の活用

では、どのような戦略を取るべきでしょうか。多くの受験指導のプロフェッショナルは、共通テスト利用入試を活用することを推奨しています。「共通テストめっちゃ対策して共通テスト点数取れるようにして共通テスト利用で合格を取るっていうのが効率のいいベストな戦略」という意見が一般的です。

共通テスト利用入試であれば、国立大学の対策と私立大学の対策を効率的に両立させることができます。また、この戦略は本命の国立大学の対策にもなるため、一石二鳥の効果が期待できます。

7.  バランスの取れた受験計画:本命とMARCHの両立

しかし、共通テスト利用入試だけでなく、一般入試も視野に入れる場合は、慎重な計画が必要です。本命の国立大学の対策とMARCHの対策のバランスを取ることが重要です。

「両方ダメっていうのが最悪最悪のパターンです」という警告があります。つまり、中途半端に両方を対策して、結果的にどちらにも合格できないという最悪のシナリオを避けるべきだということです。

場合によっては、どちらかに絞って対策を行う勇気も必要です。「国立厳しいんだったらMARCH専願にした方がいいと思うし、国公立で攻め切るんだったら目下手にMARCHは手出さない方が作戦上はいい」というアドバイスは、受験生にとって重要な指針となるでしょう。

8.  理系受験生の特殊事情

理系の受験生については、状況が若干異なります。一般的に、私立大学の理系学部は文系学部よりも入学しやすい傾向があります。これは、多くの理系志望者が国立大学を第一志望とするため、私立大学の理系学部の競争率が相対的に低くなるためです。

例えば、岡山大学や兵庫県立大学の理系を目指す学生が、関西大学などの私立大学理系学部を抑えているケースが多く見られます。関東圏でも、横浜国立大学やお茶の水女子大学の理系志望者が、明治大学や青山学院大学の理系学部を押さえているというイメージがあります。

ただし、これは一般論であり、個々の大学や学部によって状況は異なります。また、私立大学の理系学部も年々難化傾向にあるため、安易に「簡単」と考えるのは危険です。

9.  MARCH内の難易度差:自己分析の重要性

MARCHと一口に言っても、大学間や学部間で難易度に差があることを忘れてはいけません。自分の実力と照らし合わせて、最も適切な大学・学部を選ぶことが重要です。

例えば、MARCHの中でも比較的難易度が低い大学や学部を狙うことで、合格の可能性を高めることができるかもしれません。ただし、これはあくまでも「相対的」な話であり、どの大学・学部も決して簡単ではないことを肝に銘じる必要があります。

10.  まとめ:安易な「滑り止め」思考からの脱却

この記事を通して明らかになったのは、MARCHや関関同立を安易に「滑り止め」と考えることの危険性です。これらの大学は、地方国立大学と比べても決して簡単ではなく、場合によってはより難しい面もあるのです。

受験生の皆さんには、以下の点を特に意識していただきたいと思います:

  1. 国立大学と私立大学の入試の違いを正しく理解する
  2. 自分の志望大学と「滑り止め」大学の難易度を客観的に分析する
  3. 共通テスト利用入試の活用を検討する
  4. 本命の大学とMARCHの対策のバランスを慎重に考える
  5. 自分の実力と各大学・学部の難易度を照らし合わせ、最適な選択をする

大学受験は、単に勉強を頑張るだけでなく、戦略的なアプローチが必要な挑戦です。MARCHや関関同立を「滑り止め」と安易に考えず、慎重に計画を立て、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることで、より確実に志望校合格への道を歩むことができるでしょう。

自分の実力を客観的に評価し、適切な目標設定と戦略立案を行うことが、成功への鍵となります。安易な判断を避け、十分な情報収集と分析に基づいた受験計画を立てることで、皆さんの夢の実現に一歩近づくことができるはずです。

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