数学こそ“戦略”で伸ばせる科目である──。
共通テストの数学(数学IA・IIB)は、単なる計算力や公式暗記だけでは9割に到達できません。なぜなら、近年の問題は「思考力・判断力・処理スピード」のすべてを問う実践型へとシフトしているからです。
実生活に即した設定や、グラフの読み取り、選択肢の途中式選択など、“読解力と数学力”の両方が求められる問題が増加。問題文の理解不足や、焦りによるケアレスミスが、高得点を阻む大きな壁になっています。
しかし裏を返せば、正しい戦略と日々の練習の積み重ねがあれば、「本番で9割を安定して取る」ことは十分可能。
この記事では、共通テスト数学における出題傾向、基礎力の鍛え方、大問別攻略法、時間配分のコツ、そして本番で実力を出し切る戦略まで、徹底的に解説します。
計算スピードに不安がある人も、応用問題に苦手意識がある人も、この記事を通して“得点戦略”を構築してください。

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴27年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。
2020年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となる。過去3年間で国公立大学合格85名。
高1から入会者は国公立大学合格率93%
高2から入会者は国公立大学合格率86%
高3の4月から入会者は国公立大学合格率73%。
スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
第1章:共通テスト数学の出題傾向と攻略方針
共通テストの数学は、センター試験時代と比べて「読ませる問題」「判断を伴う選択式」「複雑な情報処理」が大幅に増えました。公式暗記に頼った従来の対策だけでは太刀打ちできません。
【出題形式の特徴】
- 問題文が長く、図や表、会話文形式を含む
- 複数選択肢から途中式を選ばせる問題が頻出
- “情報整理+計算”を素早く行う総合力が求められる
【具体的な出題傾向】
●数学I・A
- 小問集合(数と式、二次関数など)
- データの分析(図表・統計的推測)
- 場合の数・確率(会話文形式が多い)
- 整数・論理(選択肢を読み比べる問題が増加)
●数学II・B
- 二次関数・指数対数・微分積分の融合問題
- 図形と方程式・三角関数(グラフ付きの設問)
- 数列(漸化式・一般項の判断力を問う)
- ベクトル(図形読み取りや選択肢処理の精度が求められる)
【攻略の基本方針】
①「正確に読む力」を鍛える
②「スピードより優先すべきは手順の再現性」
③「得点源と捨て問の明確な区別」
第2章:基礎力の鍛え方と日々の演習戦略
共通テストで9割を目指すなら、「計算力」「パターン認識力」「論理的思考力」を三本柱に鍛える必要があります。
【1. 計算ミス撲滅のための“型の徹底”】
展開・因数分解、分数・√の処理、図形の公式など、頻出パターンは自動化。1日1ページの計算ドリルで地力がつきます。
【2. 教科書レベルの問題は“完璧に”】
いきなり応用には行かず、教科書+基本問題集を3周。
解法のポイントを1行でメモし、「なんとなく」ではなく「再現できる」まで落とし込む。
【3. 「典型パターン」のストックを増やす】
「これは確率の順序整理パターン」「これはベクトルの内積問題」とタグをつけながら演習し、本番でも類題に即対応できるように。
【4. 時間制限つき演習で“実戦感覚”を育てる】
60分・80分通しで模試を解く練習を週1で。演習後は必ず原因分析まで行い、ミスの再発防止を徹底。
第3章:大問別の攻略法と時間配分の工夫
数学で9割を狙うには、「各大問でどれだけ得点できるか」「どれだけ時間を使いすぎないか」が命です。
【1. 小問集合】
取りこぼし厳禁のゾーン。10分以内でテンポよく、でも正確に。迷ったら後回しの判断も早めに。
【2. データの分析】
平均・標準偏差・箱ひげ図など、統計用語を正確に理解。設問文を素直に読み取り、目標時間は8〜10分。
【3. 場合の数・確率】
文章量が多く、複雑な設定に注意。図や表で整理し、場合分けを明確に。12〜15分を目安に。
【4. 図形・整数・論理】
難問化しやすいので、図や条件整理を丁寧に。ハマりそうなら15分で撤退判断を。
【5. 数学IIB(数列・ベクトル・微積分)】
各分野に特徴あり。
- 数列:初項と一般項をつなぐ流れを意識
- ベクトル:図形的意味の読み取りがカギ
- 微積分:誘導に素直に従い、完答より部分点も意識
各15〜18分以内を目安に解く。
【6. 時間配分の全体戦略】
- 小問集合・データ分析で20分以内の貯金
- 後半は1問15分ペース
- 見直し用に5分キープ
第4章:直前期の仕上げ方と本番で実力を出し切る戦略
直前期こそ、“量より質”を意識し、確実に得点を積む力を仕上げましょう。
【1. 直前1〜2週間は“再現性”重視】
過去問や模試の解き直し、弱点ノートの再確認がカギ。
「なぜこの式になるのか?」を言語化できるように。
【2. 時間付き演習を日課に】
毎日1セットずつIAとIIBを交互に解き、ミスは分類・記録して改善サイクルを確立。
【3. 前日の過ごし方】
新しい問題には手を出さず、軽く復習。睡眠と当日の動線準備を優先する。
【4. 本番の行動ルール】
緊張は味方。手を動かすことで集中を引き寄せましょう。
詰まったら潔く飛ばし、見直し時間で取り返す。
マークミス・符号ミスに注意!
■まとめ:共通テスト数学で9割を取るための全体戦略
共通テスト数学で9割を目指すには、「読解」「思考」「戦略」を融合させた実戦力が問われます。
そのために必要なのは:
- 出題傾向を正確に分析し、パターン対応力を養う
- 正確な計算力と処理スピードを両立させる
- 得意・不得意を見極めて戦略的に問題へ挑む
- 本番を想定した時間・メンタル管理まで整える
地道な努力と冷静な判断がカギとなる共通テスト。派手さはなくても、“正しく積み上げた人”が最後に笑える試験です。
一問一問に真摯に向き合い、あなたの「戦える解法」を磨き続けてください。
落ち着いて、焦らず、自分の力を信じて。
数学で9割、きっと取れます。