東京都立高等学校に入学するための選抜方法の一つに、推薦入試があります。例年一般入試よりも倍率が高く、受験生にとっては狭き門となっていますが、都立推薦に向いている子にとっては、挑戦するメリットは大いにある選抜方法と言えるでしょう。
この記事では、都立推薦に受かる子の特徴は?都立推薦の仕組みって?どんな問題が出題される?対策はどうしたらいいの?都立推薦に受かる子の3つの共通点といったテーマでお話ししていきます。
記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
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都立推薦の仕組みとは?
まずは都立推薦の仕組みについて見ていきましょう。
都立推薦の3つの制度
都立推薦には、「一般推薦」、「文化・スポーツ等特別推薦」、「理数等特別推薦」の3種類があります。
「一般推薦」は、一般推薦を志願する意志があって在学する中学校長の推薦を受けた生徒を募集する制度であり、世間的にイメージされているいわゆる推薦入試です。
「文化・スポーツ等特別推薦」は、特定の科目・文化活動・スポーツ活動において高い実績を持つ生徒や、高校入学後もその活動を積極的に継続する意志を持った生徒を募集する制度です。令和4年度は92校が実施しました。
「理数等特別推薦」は令和4年度では1校のみの実施となっており、理数および科学分野における取り組みや実績が求められる推薦制度です。
都立推薦の選抜方法は?
続いて、都立推薦の選抜方法について見ていきましょう。
一般推薦では、面接、小論文または作文が課されます。工業科などでは作図などの実技試験も行われます。
文化・スポーツ等特別推薦では、面接、小論文または作文に加えて実技試験が課され、理数等特別推薦では、面接、小論文または作文に加えて口頭試問が行われます。
これらの入試当日の結果と調査書の評定をすべて点数化し、合計した点数(総合成績)の高かった順に合格者が決まります。学力検査は行われません。
総合成績に占める調査書の配点割合は50%までと制限されているため、面接・小論文・実技試験の配点割合が高くなっています。
なお、調査書点は「観点別学習状況の評価」か「5段階の評定」のどちらかを点数化することになっていますが、令和4年度入試ではほとんどの高校が5段階の評定を採用しました。調査書点とは評定のことであると考えてよいでしょう。
一般推薦の面接は個人面接、文化・スポーツ等特別推薦の面接は集団面接あるいは個人面接です。面接では、事前に提出した「自己PRカード」を参考に質問されます。理数等特別推薦では個人面接が行われ、口頭試問ではあらかじめ提出した研究実績報告書に関する内容が問われます。
都立推薦の出題問題と対策は?
小論文・作文、実技試験では、どのような内容が出題されているのでしょうか。
東京都教育委員会のホームページには、平成25年度から令和3年度までの都立推薦入試における小論文・作文、実技検査のテーマが公表されています。今回は令和3年度の出題内容を見ていきましょう。
小論文・作文の頻出テーマ
作文
中学生にとって比較的書きやすいテーマである中学校生活や高校生活についてのことが、よく出題されています。例えば、中学校での経験をもとに高校ではどのようなことに取り組みたいかといった問いや、社会で貢献できる人物になるために何に取り組むか、といったような問いです。
いずれも、中学校での経験を踏まえたうえで、高校やその先の自分に目を向けて、学びに生かしたいことや力を入れたいことを書くよう求められる内容となっています。
志望校の教育目標、農業科や工業科では専門分野を踏まえての抱負を書かせる問題もありました。一般的な作文対策だけでなく、志望校の研究もしておいた方が良いでしょう。
小論文
与えられた文章、表、グラフなどの資料を読み取って、資料の内容を説明したり、自分の意見を述べたりすることが求められる問題が多いです。
令和3年度に出題されたテーマは次のようなものでした。
- レジ袋有料化、プラスチックごみ問題
- 飢餓や食料ロスなどの食料問題
- 気候変動や地球温暖化
- 少数者に対する社会的差別などの人権問題、共生社会、多様性
- 国際性・国際感覚とは何か
- 新型コロナウイルスの流行が社会に与えた影響
- 日本の人口問題
- 男女共同参画社会、男性の育児休業
- AIなどの科学技術の進展について
- グローバル化
- 貧困問題
- シェアリングエコノミー
- 地域の文化継承について
ざっくりと出題の多かった順に並べました。中でもプラスチックごみ問題と食料問題は、何校もの学校で取り上げられた頻出テーマでした。
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、SDGsで掲げられた目標についての出題が多い傾向です。SDGsについては、一通りどのようなことが問題となっているのか、どのような解決方法が考えられるかを調べ、自分なりの意見を述べられるようにしておくと安心です。
実技試験
志望学科に関する内容が課されます。美術学科ではデッサン、音楽科では聴音やピアノ演奏、工業高校では作図や立体模型の作成などです。
小論文は、頻出テーマを中心に実際に書いて添削してもらうという対策をしていくことが必要です。
志望校の情報や採点者の視点を持ったプロの指導者から、一人一人に合った指導を受けることが、早く実力を上げる方法であると言えるでしょう。
都立推薦に受かる子の3つの共通点とは?
ここまで都立推薦の仕組みや試験内容について説明してきましたが、そもそも都立推薦にはどのような子が向いているの?受かるの?と気になりますよね。
東京都教育委員会のホームページでは、「本校の期待する生徒の姿」として、各校が求める生徒像が公表されています。
そこからは、都立推薦に受かる子には3つの共通点があることが浮かび上がってきます。
- コミュニケーション能力の高い子
- リーダーシップと協調性を兼ね備えた子
- 失敗を恐れないチャレンジ精神旺盛な子
コミュニケーション能力の高い子
コミュニケーション能力の高い子は都立推薦に受かりやすいと言えます。
都立高校では、学習活動だけでなく、部活動やさまざまな校内行事でも幅広く活躍できる生徒を求めています。集団での活動を良い方向に導くためには、互いに話しやすい雰囲気を作ることができたり、他者の意見を尊重しつつも上手に自分の意見を主張することができたりするような力が必要です。そのため、都立高校ではコミュニケーション能力の高い生徒を求めているのです。
また、入試の面接や集団討論の場においても、面接官や他の生徒とスムーズにコミュニケーションをとって明るく外交的に振る舞えることは、強みとなるでしょう。
リーダーシップと協調性を兼ね備えた子
リーダーシップと協調性を兼ね備えているということも都立推薦に受かる子の特長です。
多くの都立高校が、教育目標として、地域社会や国際社会でリーダーとして活躍できる生徒の育成を掲げています。先ほどご紹介した「本校の期待する生徒の姿」の中でも、いくつもの都立高校がリーダーシップのとれる生徒を求めると明記しています。
学校行事や部活動、委員会活動などで活躍できる生徒が望まれているため、リーダーシップはもちろんのこと、他者と協働しながら目標に向かって活動していけるような協調性も重視されています。
失敗を恐れないチャレンジ精神旺盛な子
都立推薦受かる子の特長、3つ目は失敗を恐れないチャレンジ精神旺盛な子です。
都立高校では、学習活動やその他の校内活動だけでなく、ボランティアなど校外での活動においても、さまざまなことに興味関心をもち、探究心・向上心をもって、粘り強く挑戦し続けることのできる生徒を求めています。
中学校でこれらの3つの特性を発揮してきた実績があれば、「自己PRカード」に記入して、積極的にアピールしていきましょう。
まとめ
今回の記事では、都立推薦の仕組みって?都立推薦ではどんな問題が出題されるの?対策方法は?都立推薦に受かる子の3つの共通点とは?というテーマでお話ししてきました。
都立推薦の試験項目である面接や小論文は、対策に難しさを感じる方も多いと思います。しかし、面接や小論文は適切なトレーニングを行えば確実に合格できる力がつきます!
勉強だけでなく部活動やさまざまな校内活動に取り組む多忙な中学生には、無駄を排除して最短で合格力を身につけられるスカイ予備校がおすすめです。ぜひ一緒にがんばりましょう!