2024年度岡山県公立高校入試問題では、文学的文章・漢文+論理的文章・論理的文章・実用的文章の4題構成になっています。
記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴27年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。
2020年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となる。過去3年間で国公立大学合格85名。
高1から入会者は国公立大学合格率93%
高2から入会者は国公立大学合格率86%
高3の4月から入会者は国公立大学合格率73%。
スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
大問1(文学的文章)
角田光代『ゆうべの食卓』からの出題です。
〈解答〉
(1)d包 e囲
(2)X感謝 Y手伝いもせず話すのも避けてきた
(3)ウ
(4)イ
(5)X、親友と三人で自作弁当を見せ合って食べる
Y、友だちが作ってきた斬新な自作弁当の中身
(6)ウ
〈解説〉
(1)漢字の書き取り(記述)
「包んだ」と「囲み」の書き取りが出題。
(2)理由説明(抜き出し+15字記述)
X、理名は「母に感謝している」が、「なかなか感謝の言葉は言え」ていない。
Y、理名は「実際に手伝ったりもして」おらず、「最近は、母と話すのもおっくう」になっている。
(3)心情説明(選択肢)
母に「お弁当やめる」と宣言されたものの、理名は「そんなふうには言っても、でも何か、かんたんなものは用意してあるだろうな」と思っていた。
ところが、朝起きてみると母の姿はなく、さらに「お弁当もなく、冷蔵庫を開けても作り置きのおかずもな」かった。
そして、その状況で時計を確認し、その後急いで家を飛び出していることから、二度目の「マジ か」は、お弁当などの準備ができていないのに登校の時間が近づいていることに対するものであると考えられる。
(4)表現技法(選択肢)
「ぽつり」は、擬態語。実際の音ではないが、このときの玲佳の態度をそれらしく言い表した言葉である。
(5)内容読解(20字記述+20字記述)
X、字数が短いのでどの要素を解答に入れるか迷う問題。
本文の、「アイディアを出し合いながら自作弁当を食べる。お昼休みが前よりだんぜんたのしく なった」と「仲良し三人でキャーキャー騒ぎながらお弁当を食べている今の時間」とを押さえる。 Y、「つけ麺」は、玲佳が作ってきた「おかしな弁当」の一例である。「おかしな」の言い換えとして、直前の「斬新」という言葉を使うとよい。
(6)表現理解(選択肢)
アについて、「あらためて萌衣の弁当を見」たのは、萌衣が自分で弁当を作っていたことに驚き、その出来を改めて見ようとしたからである。
イは、「お昼休みが前よりだんぜんたのしくなった」に合致しないので、誤り。 エは、「母との会話をきっかけにお弁当のおかずのヒントを得たことを喜び」が誤り。
大問2(漢文+論理的文章)
山田史生『哲学として読む老子 全訳』からの出題です。
〈解答〉
(1)恵み
(2)争わず
(3)ア
(4)①時間 ②イ
〈解説〉
(1)内容読解(抜き出し)
【書き下し文】において、「利」は「万物を利して」という形で使われている。該当箇所の現代語訳が「水はあらゆる生きものに恵みをほどこしながら」となっていることから考える。
(2)内容読解(抜き出し)
「空欄bという生き方をしていれば『尤め無し』だと老子は結論づける」と説明されていることに注目する。
【現代語訳】の「争うことがなければ」が、空欄bに該当するとわかる。
(3)内容読解(選択肢)
「いちいち先を争わず、わざわざ場所を選ばない」態度である例を選べばよい。
(4)
①内容読解(抜き出し)
【資料】の(説明)において、「この流れと同様、人も世も自然も不可逆的に推移する時間とともにあ」ると説明されている。
②内容読解(選択肢) 「一刻もとどまらない」および「不可逆的に推移する」の二点を押さえる。
大問3(論理的文章)
町田樹『若きアスリートへの手紙――(競技する身体)の哲学』からの出題です。
〈解答〉
(1)aみが cひんぱん
(2)C
(3)X、誰かの真後ろに隠れるようにして Y、科学的知識
(4)①イ
②競技との関連性に関係なく幅広く収集した知識や情報を分析して法則を導き出す
(5)エ
〈解説〉
(1)漢字の読み(記述)
「磨く」・「頻繁」の読みが出題。
(2)品詞(選択肢)
「おそらく」・「あえて」・「もし」はいずれも副詞。 Cの「そして」のみが接続詞である。
(3)内容読解(抜き出し)
筆者が紹介している具体例は、傍線部bの直後にある。
「マラソン選手は、集団で競争状態にあるとき、~誰かの真後ろに隠れるようにして走ろうとする傾向にある」が、それは「自分の身体にかかる空気抵抗を軽減する」ためである。
また、「この技術(=法則)は、空気抵抗や抗力に関する科学的知識がないと習得できない」と筆者は説明している。
(4)
①内容読解(選択肢)
「『体』の修練と役割」について、筆者は「まず法則をつかむためには、実際に何度もパフォーマンスを繰り返し行なって、法則につながりそうな情報を収集する必要があ」ると述べ、その「パフォーマンスを行うためには『体』が必要となる」と説明している。
アは、「心」の鍛錬について述べているので誤り。ウは、「各感覚器官を発達させるため」が誤り。
エは、「場所や時間に関係なく」および「肉体派になるため」が誤り。
②内容読解(40字記述)
「『心』の修練と役割」について記述すればよい。
筆者は「最終的に収集された情報を分析して法則を導き出すのは、『心』(知性)だ」と述べている。
さらに、「『心』(知性)の鍛錬で面白いことは、一見、競技に関係のなさそうな知識でも、いつどこでどのように役立つかわからない」と説明している。
(5)構成と内容(選択肢)
アについて、筆者は「実のところ、私はこの三つが同列に~」と、自分の意見を述べているので誤り。
イについて、「反対の立場」とまでは言えないので誤り。 ウは、「最も重要な要素が何かを明確にしている」が誤り。
大問4(実用的文章)
〈解答〉
(1)食べられない部分
(2)エ
(3)ウ
(4)
私は食品ロスの発生量が最も多い一般家庭に注目した。
食品ロスの発生要因である「期限切れ」を防ぐために、期限が短い食品をいつまでに 食べるかを書いたメモを冷蔵庫に貼っておくというのはどうだろうか。
〈解説〉
(1)内容読解(抜き出し)
「食品ロス」が「本来食べられるにもかかわらず捨てられる食品」を指すので、「『食品ロス』ではない」というのは、そもそも食べられないものを指すと推測できる。
(2)内容読解(選択肢)
空欄Yの直後で、「スーパーマーケットやレストランを利用する僕たち消費者の行動が食品ロスの問題に影響する」と言い換えられていることに注目する。
(3)話し合いの特徴(選択肢)
アについて、康太の最初の発言は「話し合いの目的や手順を示」すものではない。
イについて、理恵さんは「他の人の意見に反対」してはいない。
エについて、健司さんは「資料の内容」を重視している。
(4)作文(80字~100字記述)
【資料Ⅱ】の内容を踏まえて「最も多い」・「最も高い」を使わなくてはならないこと、および「消費者として」できることを述べなければならないことを考慮すると、以下の二点のいずれかで記述することになる。
①一般家庭の食品ロスが最も多い
②外食産業における食品ロスの発生割合が最も高い