記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴27年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。
2020年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となる。過去3年間で国公立大学合格85名。
高1から入会者は国公立大学合格率93%
高2から入会者は国公立大学合格率86%
高3の4月から入会者は国公立大学合格率73%。
スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
1. 【世界の飢餓の現状とその要因】
現在、地球上には十分な食料が生産されているにもかかわらず、多くの人々が栄養不足や飢餓状態に苦しんでいます。国連の報告によれば、数億人規模の人口が日常的に十分な食べ物を得られず、特にアフリカや南アジアなど経済的格差が大きい地域で深刻な状況が続いています。この背景には貧困、気候変動、紛争、そしてインフラ整備や農業技術の不足など、多岐にわたる要因が絡み合っています。農業生産が天候の変動に左右されやすい一方、経済格差によって国や地域間で食料の流通が偏りやすく、本来であればより多くの人々の食欲を満たすことができるはずの豊富な食料資源が、その恩恵を受けられない人たちへ行き渡らない構造が存在します。
また、紛争や政治的混乱が生産・輸送・販売を阻害するケースも多く、結果的に脆弱な社会階層の人々が十分な栄養を摂取できないまま成長期を迎えることになり、これは長期的な健康問題や教育機会の損失へと直結します。こうした複雑な課題を前に、単純な食料増産のみでは解決できず、より包括的なアプローチが求められています。
2. 【食料ロスとは何か、その定義と背景】
「食料ロス」とは、生産から流通、消費に至るあらゆる段階で本来食べられるはずだった食料が廃棄されたり利用されなかったりする現象を指します。たとえば農場で収穫されなかった農産物、出荷できず倉庫で腐敗する食材、スーパーで売れ残って賞味期限切れとなる商品、家庭で食べ切れずに捨てられる料理の残り物など、その形態は多岐にわたります。食料ロスは先進国・発展途上国の別を問わず発生しますが、その背景には消費者行動や価格競争、規格外品の扱い、生産段階での損失など、構造的かつ複合的な原因が存在しています。
また、世界的に見れば、低所得国では生産・流通段階でのインフラ不足による損失が多く、高所得国ではむしろ流通・販売・消費段階での過剰生産や販売戦略、過度な品質要求などによる廃棄が顕著です。これらのロスは単なる「もったいない」の問題にとどまらず、飢餓問題の解消を妨げ、環境負荷を増大させる要因ともなり、改善が急務とされています。
3. 【食料生産と分配の不均衡がもたらす歪み】
世界全体では、理論上すべての人々を十分養えるほどの食料を生産しています。それにも関わらず、なぜ飢餓が存在するのでしょうか。その根底には「分配の不均衡」があります。国際的な農産物市場は、利益率や市場原理、地政学的な駆け引き、企業同士の競争などによって複雑に動いており、それによって食料は必ずしも必要としている人々のもとへ流れません。
さらに、輸送網や冷蔵・冷凍などの保存技術が充分に整っていない地域では、せっかく収穫した作物が出荷前に腐敗するケースが多く発生します。また、先進国には豊富な食料が集まり、消費できずに余剰となる一方、低所得地域では購買力不足やインフラ欠如により、適正価格で良質な食料を手に入れられないまま飢餓に苦しむ人が後を絶ちません。こうした構造的な矛盾は、地球規模での協力や政策の見直しがなければ改善しにくく、貿易ルールや国際援助の枠組み、技術協力の強化など、あらゆるレベルでの取り組みが求められているのです。分配不均衡は単なる数字の問題ではなく、人間の生命と尊厳に直結する深刻な課題であり、これを解決するには政治的意思と社会的理解が不可欠です。
4. 【食料ロス削減に向けた世界各国・企業・NGOの取り組み】
近年、食料ロス軽減に向けた取り組みが世界的に拡大しています。欧州では「フードシェアリング」や「フードバンク」が一般化し、売れ残った食材や加工食品を必要な人々へ届ける活動が活発に行われています。また、政府が率先して法規制や税制優遇を行うことで、企業側がロス削減に動きやすい環境を整え、規格外品の流通促進、賞味期限表示の改善、流通システムの効率化を進めています。アメリカではテクノロジー企業がアプリを介して廃棄予定の食材を低価格で提供する仕組みを構築し、消費者も安価かつ環境に配慮した選択が可能となっています。
日本でも、コンビニやスーパーが値引き販売や在庫管理の最適化を行い、地方自治体は家庭での食品リサイクルや学校給食の食べ残し削減を促しています。NGOや市民団体の啓発活動により、消費者自身が「食べ切る」「捨てない」を意識する文化が醸成され、飲食店でも食べ残しを減らすキャンペーンや、持ち帰り容器の普及が進んでいます。こうした多面的な試みは徐々に成果を上げつつありますが、まだまだ道半ばです。それぞれの立場から、さらなる創意工夫と協力が求められています。
5. 【食習慣の変化と個人レベルでできるアクション】
食料ロス問題と飢餓問題は、決して他人事ではありません。私たち一人ひとりが日々の食習慣を少し変えるだけで、大きなインパクトを生む可能性があります。たとえば、必要な分だけ買い、余った食材は工夫して調理し、期限切れを起こさないようなストック管理を徹底することで、家庭内のフードロスを減らせます。
また、地元産の食材を選ぶことは流通段階でのロス軽減につながり、新鮮な食料を手に入れることで過剰な保存の必要性も減ります。外食時には注文量を調整し、食べ切れなかった場合はテイクアウトできる容器を活用するなど、小さな行動が積み重なれば、その効果は無視できません。さらに、国や地域のフードバンクに寄付をしたり、地元で行われている食品リサイクル活動に参加することで、余剰食料を必要な場所へ回すことができます。こうした個々の選択や行動が、やがて社会全体での意識改革へとつながり、食料の生産・消費サイクルをより持続可能な方向へシフトさせる力となります。
★私自身も、こうした社会的な潮流を後押しするために、日常生活の中でできる範囲から実践を始めていきたいと考えています。例えば、地元で開催されているフードバンクへの寄付活動に参加したり、家庭での調理では計画的な買い物と食材の使い切りを徹底し、廃棄を最小限に抑える工夫を取り入れてみるつもりです。また、身近な人たちとの会話の中で「もったいない」意識や適正消費の重要性を共有することで、少しずつ周囲の価値観を変えていくきっかけを作れればと思っています。こうした小さな一歩一歩が、将来的にはより多くの人々を巻き込み、持続可能な食料システム構築への原動力になると信じています。★
6. 【テクノロジー、政策、そして持続可能な未来へ向けた道筋】
グローバルな飢餓や食料ロス問題は、その複雑さゆえに一つの解決策で乗り越えられるものではありません。しかし、テクノロジーや政策面の進展によって、その解消へ向けた可能性は確実に広がっています。ドローンを用いた農地管理や、人工知能による生産予測、ブロックチェーン技術によるサプライチェーンの透明化など、先端技術が生産効率の向上や分配の公正化、在庫管理の最適化を後押しします。
また、国際的な協定や政策によって、食料ロス削減目標を明確化し、支援を必要とする国や地域への資金・技術移転を強化することで、不均衡を徐々に解消することが可能です。教育や啓発を通じて次世代の消費者や生産者が持続可能な食料システムの重要性を理解し、自ら行動する文化を育てることも鍵となります。こうした多方面からの取り組みが交差し、互いを補完することで、食料ロスと飢餓問題の緩和、ひいては解決へと近づいていくでしょう。今、この瞬間にも苦しむ人々がいる現状を直視し、私たちができることを模索し、行動に移すことが、より公正で豊かな未来への第一歩となるのです。