2024年度埼玉県立高校入試では、文学的文章・知識問題+スピーチ原稿・論理的文章・古文・作文の5題構成になっています。
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記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
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大問1(文学的文章)
辻村深月『この夏の星を見る』からの出題です。
問1 内容読解(選択肢)
傍線部の直後に、「だけど、何も確認できない」とあることに注目する。
問2 心情理解(選択肢)
ヒントが少ないので、答えをなかなか決めることができない問題。
直前で、真宙が柳くんに「『陸上部は?』」と「思わず聞い」たことを押さえたうえで、消去法で解くとよい。
アは、「少しずつ落ち着きを取り戻して」が不適。真宙は落ち着きを失っていたわけではない。
イは、「話題を変えることができて、ほっとしている」が不適。真宙は「思わず聞い」てしまったのであり、話題の転換を意図したものではない。
ウは、「天音にはわからない話を始めてしまったことを反省している」が不適。本文にそのような描写はない。
問3 理由説明(15字以上25字以内)
直前で天音が「物理って、得意な人は全問正解できるくらい理解できて~だから、皆さん、すごい」と言い、物理が得意な柳くんのことをほめたが、実際柳くんは「選択科目で物理」を取っていなかったのである。
問4 内容読解(30字以上40字以内)
これまでの真宙の様子を順に押さえていこう。
①柳くんが、サッカーで「レギュラーになれる見込みがまったくなかった」から「陸上に行った」ことに「ショックを受けている」。
②「柳くんが高校で文化系の部に所属していること」にショックを受けている。
③「楽しいから」物理部に所属していると言われ、「言葉に詰まっ」ている。
要するに、サッカーが上手く、憧れの存在であった柳くんがスポーツをあっさり捨てて、文化部で楽しくやっていることにショックを受けているのである。
あとは、設問の条件に従って「答え」「スポーツ」という言葉を適宜使って解答をまとめるとよい。
問5 内容読解・表現理解(選択肢)
ウは誤読している。柳くんが陸上部ではなく物理部に所属していることに衝撃を受けたのである。
オは、「真宙が小学校時代の自分を回想する『過去』の場面とで構成されており」が不適。
<h2>大問2(知識問題+スピーチ原稿)</h2>
問1 漢字の読み書き(記述)
「頒布(はんぷ)」・「懐柔(かいじゅう)」・「拭う(ぬぐう)」の読みと、「就任」・「危(うい)」の書きとりとが出題。
問2 文法(選択肢)
「読まない」の「ない」は、動詞「読む」についているので、助動詞である。
イは、形容詞「頼りない」の一部。ウ・エは、形容詞「ない」。
問3 熟語の成り立ち(選択肢)
ア・イ・エは似た意味の漢字の組み合わせ。ウのみ、上の字が下の字を修飾している。
問4
(1)文の並び替え(選択肢)
空欄の直前で、「地産地消とは、どのような意味でしょうか」とあるので、まずはそれに答えているエが入る。
次に、アの「次の二点」という表現に注目する。これは、イとウのことを指しているので、二番目に入るのはアである。
あとは、イの「次に」とウの「まず」に着目すれば、ウ→イの順番になることがわかる。
(2)スピーチの話し方(選択肢)
イの「最初から最後まで手元の原稿から目を離さずに」が不適。聴き手の方に顔をあげて話す方がよい。
(3)文のねじれ(記述)
「~のは、~ます」となっているのを、「~のは、~からです」に直す。
大問3(論理的文章)
小川さやか「手放すことで自己を打ち立てる――タンザニアのインフォーマル経済における所有・贈与・人格」からの出題です。
問1 内容読解(選択肢)
「こうした」とあるので、直前の段落を参照する。
「欧米諸国や日本の人びとが捨てた不用品は、タンザニアを含む発展途上国に輸出され、モノの寿命限界までリユースやリサイクルされ」て、「モノは『私のもの』『誰かのもの』~社会の中で循環してきた」ことを指す。
問2 内容読解(35~45字記述)
解答の中心は、「『ひとたび誰かのものとされたモノが再び商品化されるとき、そのモノは、そのモノの履歴に関係する人びとのアイデンティティを帯びることもあ』り、それによって価値が決まる」くらいであろう。
「そのモノの履歴に関係する人びと」は、次の文の「元の所有者や関係者」という言葉を使えばよい。
問3 理由説明(選択肢)
解答の中心は傍線部直後の、「そのマフラーにマフラーを編んだ恋人の思い、すなわち魂が込められているように感じられるから」である。
問4 内容読解(選択肢)
傍線部の直後で、「元の所有者は、その贈り物の所有権を放棄した」と言い換えられている。つまり、モノに対して所有権を有しているのは所有者だけだとする考え方のことである。
問5 理由説明(40~50字記述)
「損失」や「利他的な行為」という概念は、問4で確認した、モノに対して所有権を有しているのは所有者だけだとする考え方に基づいている。
だが、「元の所有者」が「贈り物をエージェントにして受け手に働きかけ続け」ていれば、「その贈り物の所有権を放棄した」ことにはならないと筆者は述べているのである。
大問4(古文)
『一休ばなし』からの出題です。
問1 内容読解(15字記述)
「かかる」は指示語なので、前を参照する。
「是をもちて近衛殿へ捧げよ」が解答の中心。「是」は一休が詠んだ歌を指す。
問2 内容読解(選択肢)
「村々の百姓」は、「かかる事にては、免おほく給はること思ひもよらず」と心配したが、それでも一休は「ひらさら此歌のみ捧げよ」としか言わなかったので、「せんぎし」たのである。
問3 現代かなづかいに(記述)
「興じ給ひて」を「きょうじたまいて」に直す。
問4 内容読解(選択肢)
「雲」は「月」を隠すものであり、「風」は「花」を散らすものである。いずれも、「邪魔なもの」だといえる。
したがって、左近は近衛殿にとって邪魔である、という内容の選択肢を選べばよい。
ただ、上記のことがよくわからなくとも、文章の最後に「おほくの免を下されけるとなり」とあることから、ウだと判断することは十分可能である。
大問5(作文)
資料を読み取ったうえで、「持続可能な社会を築くためにわたしたちができること」について述べる問題。
まずは、資料②のうち、どの項目について述べるかを決めよう。
可能なら、上位1・2位あたりから選ぶと書きやすい。
資料①から、およそ6割の人がSDGsに関心をもっていることを指摘しつつ、資料②で上位に入っていることを書いたうえで、自分の体験に触れながらまとめるとよい。