模試や過去問を解いていて、「あと少しで解けそう…」そう思って1問に10分、15分、気づけば30分。
結果、他の問題に時間が足りず、点数が伸びない。
この悩みは、大学受験生が必ず一度はぶつかる“時間配分の落とし穴”です。
実は、この「あと少し」という感覚そのものが、受験生を大きく惑わせる心理トリック。
そして、難問にこだわり続ける姿勢こそが、合格を遠ざける最大の原因なのです。
この記事では、
・なぜ難問に時間を使いすぎてしまうのか
・合格に必要な“得点効率”の思考
・撤退判断の基準
・実戦で使える時間配分のトレーニング法
まで整理し、今日から点数が伸びる「時間の使い方」を身につけられるよう解説します。

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴27年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。
2020年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となる。過去3年間で国公立大学合格125名。
高1から入会者は国公立大学合格率93%
高2から入会者は国公立大学合格率86%
高3の4月から入会者は国公立大学合格率73%。
スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
「あと少しで解けそう」は脳の錯覚
難問に時間をかけすぎるのは、努力不足でも性格のせいでもありません。
背景には「サンクコスト効果」と呼ばれる心理が働いています。
- ここまで考えたからもったいない
- 今やめたら努力が無駄になる
こうした感情が撤退を遅らせ、10分、15分…と時間が溶けていきます。
しかし、本番で評価されるのは“何問解いたか”ではなく“何点取れたか”です。
難問を解くことそのものよりも、「どこに時間を投資すべきか」を判断する力こそが、合否を左右します。
合格を遠ざける「時間配分」の落とし穴
共通テストや私大入試では、1問に使える時間は平均3〜5分。
もし1問に15分使えば、それだけで3問分の得点機会を失う計算です。
例えば共通テスト英語では:
- 大問の1問に15分
↓ - 他の大問で時間切れ
↓ - 正答できたはずの3問以上を落とす
という逆転現象が起こります。
つまり、「解けたかどうか」より「どれだけ点数を積み上げたか」が勝負。
難問への執着は得点効率を下げ、合格から遠ざかる原因になります。
■3|受験生が難問にこだわってしまう3つの理由
①「難問が解ける=実力がある」という誤解
難問は達成感が大きいため、自分の価値をそこに置いてしまう受験生も多いもの。
しかし、合格者はみな
“落としていい問題”と“絶対に取る問題”の区別
が明確です。
難問にこだわるより、確実に取れる問題を積み上げる方が断然強い。
②「途中までできたのに、もったいない」
サンクコスト効果により、途中まで解くほど撤退しにくくなります。
しかし試験では、途中までの努力には点数はつかないという事実を忘れてはいけません。
復習で役に立てば十分です。
③「難問を飛ばす=逃げ」と感じる
真面目な人ほど抱きやすい誤解です。
ですが本番での“スルー”は逃げではありません。
むしろ、勝てる問題に集中するための戦略的撤退です。
合格者ほど、“飛ばす技術”が洗練されています。
“解けても落ちる”受験生の共通点
難問を解く力が高いのに落ちる受験生は、意外と多いものです。
彼らに共通するのは、得点設計ができていないこと。
- 解ける問題と取るべき問題の区別が曖昧
- 配点の低い難問に時間をかける
- 基礎問題を落とす
という悪循環に陥りやすいのです。
逆に合格者は、「この大問は8割取る」「この設問は飛ばす」といった戦略が明確。
だからこそ、限られた時間で最大の得点を効率的に稼ぐことができます。
時間配分を最適化する“点数効率”の思考
難問への執着を断ち切るために大切なのは、「1問の価値」=得点効率で考えること。
たとえば:
- 15分かけて5点の難問 → 1点あたり3分
- 3分で解ける基本問題 → 1点あたり0.6分
このように“費用対効果”で見ると、どこに時間を配分すべきかがハッキリします。
本番の時間は「予算」。
限られた80分をどこに投資するかという視点が、時間配分を劇的に改善します。
撤退ラインを決めておく
「どこで切り上げるか」が曖昧だと、ずるずる考え続けてしまいます。
おすすめは:
- 5分ルール:5分考えて手が動かないなら次へ
- 三段階ルール:①方針不明→飛ばす ②途中まで→後回し ③できる→即解く
こうしたルール化は、冷静な判断を助けてくれます。
さらに「復習すればいい」と割り切ることで、執着は驚くほど軽くなります。
合格者が必ず使う「後回し戦術」
合格者は、解けない問題を“後回しにする技術”が非常に上手です。
ポイントは:
- 飛ばす=諦めるではない
- 飛ばす段階で番号に印をつけておく
- 最後に時間が余ってから再挑戦
これだけで、得点チャンスを大幅に増やせます。
受験は「全部解く勝負」ではなく、“勝てる問題だけで合格点に届かせる”勝負なのです。
本番前にできる時間配分トレーニング
今日から実践できるおすすめ練習法はこちら。
- ストップウォッチ演習
→ 自分が1問に何分使っているかを可視化 - 過去問は制限時間の8割で解く
→ 余裕を持った思考ができる - 「1問の目標時間」を決める週1演習
→ 時間感覚が体に染み込む
こうしたトレーニングを積むことで、本番でも迷わず撤退・切り替えができるようになります。
まとめ
難問に時間をかけすぎる問題は、「集中力の問題」でも「性格の問題」でもありません。
それは、合格戦略における“得点設計”の課題です。
受験は、
・全部解く人
ではなく
・取れる問題を確実に取る人
が勝つ戦い。
1問に執着するのではなく、“時間を点数に変える力”を身につけることが、合格への最短ルートです。
今日から時間の使い方を変えて、あなたの得点力を一段上へ引き上げましょう!



