監修者:五十嵐弓益(スカイ予備校校長・小論文専門講師)
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(後期)【筑波大学人間学群・心理学類】小論文・過去問題特集
筑波大学人間学群・心理学類とは
筑波大学人間学群・心理学類は、人間の心と行動を科学的・実証的に探求することを目的とした学類です。認知・知覚・発達・社会・臨床・神経科学など、心理学の幅広い領域をカバーしており、実験・調査・統計分析などの研究手法を重視する実践的な教育が特徴です。卒業後は大学院進学のほか、医療・福祉・教育・企業など多様なフィールドでの活躍が期待されています。
後期試験では、学力検査に加えて小論文が課されます。これは単なる知識の確認ではなく、受験生が心理学的視点をどれだけ持っているか、論理的思考力と文章表現力がどの程度あるかを評価するためのものです。心理学という学問の性質上、「人間とは何か」「行動や認知の背景にあるものは何か」という本質的な問いに向き合う姿勢が求められます。
入試傾向と特徴
筑波大学人間学群・心理学類の後期小論文は、心理学に直接関連するテーマだけでなく、一見すると異なる分野(社会現象・科学技術・哲学・教育など)から出題されることが大きな特徴です。しかし、よく読み解くと、どの問題にも「人間の認知・行動・感情・社会性」という心理学的共通軸が通っています。
出題形式は、課題文(論文・エッセイ・統計データなど)を読んだうえで設問に答える形式が多く見られます。設問は「筆者の主張を要約せよ」という読解問題と、「あなた自身の考えを述べよ」という意見論述問題の組み合わせが典型的です。文字数は合計600字〜1000字程度を求められることが多く、限られた字数の中でいかに的確に自分の論を展開できるかが問われます。
また、実験結果やグラフ・図表を含む資料型の出題もあり、データを正確に読み取り、心理学的な観点から解釈する能力も試されます。単なる「感想文」ではなく、科学的・論理的な思考に基づいた記述が求められるため、日ごろから論文・新書・科学雑誌などを読む習慣をつけておくことが非常に重要です。
さらに、近年の傾向として「テクノロジーと人間の関係」「多様性と社会」「コミュニケーション」「自己と他者の認知」などのテーマが繰り返し登場しています。これらのテーマを軸に、時事的な話題と心理学の知見を結びつける練習を積んでおくと、本番での対応力が大幅に高まります。
過去問題
過去問①(例年出題形式)
【課題文の概要】
人間の記憶は、客観的な事実をそのまま記録するものではなく、感情や文脈、事後情報によって再構成される性質を持つ。目撃証言の信頼性に関する研究では、記憶がいかに歪みやすいかが繰り返し示されてきた。ロフタスらの実験では、事後情報の提示によって被験者の記憶が変容することが明らかにされている。こうした知見は、司法・教育・医療など様々な場面で重大な示唆をもたらす。
【設問】
(1)課題文における筆者の主張を200字以内で要約しなさい。
(2)記憶の再構成的性質が私たちの日常生活や社会に与える影響について、あなたの考えを400字以内で述べなさい。
過去問②(例年出題形式)
【課題文の概要】
現代社会において、SNSの普及は人間関係のあり方を根本から変えつつある。対面コミュニケーションと比較したとき、テキストベースの交流では非言語情報(表情・声のトーン・身振り)が失われ、誤解や誤認が生じやすい。一方で、地理的距離を超えたつながりや、内向的な人にとっての自己表現の場としての可能性も指摘されている。テクノロジーが人間の社会的行動をどのように変容させるかは、現代心理学の重要な研究領域である。
【設問】
(1)課題文の内容を踏まえ、SNSが対人関係に与える影響を150字以内でまとめなさい。
(2)SNSと対面コミュニケーションを比較しながら、現代における「つながり」のあり方についてあなたの見解を500字以内で論じなさい。
小論文対策ポイント
①心理学の基礎知識を「使える知識」にする
心理学類の小論文では、心理学の専門用語や概念を正確に理解し、それを自分の言葉で論述に活かす力が必要です。認知バイアス・強化学習・アタッチメント理論・社会的比較理論など、主要な心理学的概念を一通り把握しておきましょう。ただし、知識を羅列するだけでは評価されません。「この概念が現実のどんな場面に当てはまるか」を常に意識することが大切です。
②「要約」と「意見論述」を明確に区別する
小論文でよくある失敗が、要約問題なのに自分の意見を混ぜてしまうこと、逆に意見論述で課題文の内容をそのまま繰り返してしまうことです。筑波大の設問は、この二つを明確に分けて問うことが多いため、「今、自分は何を求められているのか」を常に意識しながら答案を構成する練習をしましょう。
③抽象度を上げて「転用」する思考力を鍛える
過去問を分析すると、一見バラバラに見えるテーマにも共通する心理学的軸があることがわかります。「なぜこのテーマが心理学類の入試に出るのか?」という問いを常に意識し、表面的なテーマの背後にある本質的な問い(例:人間の認知の限界、自己と他者の関係、行動の動機)を探る習慣をつけてください。この「抽象化→応用」の思考回路こそが、心理学類が求める知的能力です。
④時事問題と心理学を結びつける
AI・SNS・格差社会・多様性・メンタルヘルスなど、現代の時事問題は心理学と深く結びついています。日頃からニュースや新書に触れ、「これを心理学的に説明するとどうなるか?」という視点を磨いておきましょう。朝日新聞・NHKのサイト、または『ニュートン』や心理学系の新書(『なぜ人は騙されるのか』など)が良い素材になります。
⑤制限字数に合わせた構成力を養う
600〜1000字という制限の中で、序論・本論・結論の構成を意識しながら、無駄なく論を展開する練習が必要です。特に結論が弱くなりがちな受験生が多いため、「自分は最終的に何を主張したいのか」を先に決めてから書き始める「結論先行型」の執筆練習を繰り返しましょう。
2026年度予想問題
予想問題
【課題文】
近年、「共感疲労(compassion fatigue)」という概念が注目されている。これは、他者の苦しみや悲しみに繰り返しさらされることで、共感能力そのものが低下したり、無力感・疲弊感を感じたりする状態を指す。元来、医療従事者・福祉職・支援者などの専門職に見られる現象として研究されてきたが、SNSの普及によって一般の人々にも広がりを見せている。
スクリーンを通じて世界中の悲惨な出来事を即時に知ることができる現代では、私たちは膨大な量の「他者の苦しみ」にさらされる。心理学者のポール・ブルームは著書の中で「共感」の持つ認知的偏りを指摘し、近接的・具体的な苦しみには強く反応する一方で、抽象的・遠距離の苦しみには鈍感になりやすいという人間の認知特性を論じた。これは、大規模な社会問題への対応や支援活動の持続性にも大きな影響を与えうる。
一方、共感疲労への対処として「コンパッション(慈悲)」という概念が近年注目されている。共感が相手の感情に同期することであるのに対し、コンパッションは相手の苦しみを認識しながらも感情的距離を保ちつつ支援しようとする態度である。この二つの概念の区別は、持続可能な支援のあり方を考えるうえで重要な示唆を与えている。
【設問】
(1)課題文における「共感疲労」と「コンパッション」の違いを、それぞれの概念の特徴を踏まえて200字以内で説明しなさい。
(2)SNSが普及した現代社会において、人々が他者への支援や関心を持続させていくためにはどのような姿勢や工夫が必要か、課題文の内容を踏まえながらあなた自身の考えを500字以内で論じなさい。
予想問題 解答例
設問(1)解答例
共感疲労とは、他者の苦しみに繰り返しさらされることで共感能力が低下し、無力感や精神的疲弊を生じさせる状態である。これに対しコンパッションは、他者の苦しみを認識しつつも感情的距離を保ちながら支援しようとする態度であり、共感のように感情的に同期するのではなく、冷静かつ持続的な関与を可能にする点で異なる。(148字)
設問(2)解答例
SNSが普及した現代において、私たちは以前では考えられないほど大量の悲惨な情報にさらされ続けている。課題文が指摘するように、人間の共感は近接的・具体的な苦しみには強く反応する一方で、大量・遠距離の苦しみには認知的に鈍感になるという特性を持つ。このことは、SNS上で次々と流れてくる世界各地の問題に漠然と反応し続けることが、むしろ共感疲労を招き、長期的には支援への関心そのものを失わせてしまうリスクを示唆している。
こうした状況を踏まえ、私は持続的な支援のためには「共感から、コンパッションへの意識的な転換」が重要だと考える。感情的に相手の苦しみに飲み込まれるのではなく、「何が起きているのか」を冷静に理解し、自分にできる具体的な行動を選択する姿勢を養うことが必要である。たとえば、複数の問題に漠然と反応するのではなく、自分が関心を持てる一つの社会課題を選び、そこに継続的に関わることで、感情的疲弊を防ぎながら実質的な支援の持続が可能になる。
また、SNSとの付き合い方そのものを見直すことも重要である。情報を「消費」するだけでなく、立ち止まって内省する時間を意識的に確保することが、心理的な安定と他者への真摯な関与を両立させる基盤となるだろう。(498字)
まとめ
過去問題における傾向を把握しながらも、それらの問題と関係性の深い事柄についても調べるのが良いでしょう。また、出題の題材として、一見、全く違う分野の問題だと思えるような題材が取り上げられることにも気づいたのではないでしょうか?他分野のことがらに関しても見聞を広げるのはもちろん意義がありますが、それよりも、共通のテーマや意味合いを見つけることに意識を注ぎましょう。「抽象度を上げて、応用する」という感覚です。志望の学部や学科が扱う分野に関わりの深いテーマはもちろん、時事情報なども関連させて考えを深めるとより良いでしょう。
スカイ予備校からのアドバイス
筑波大学心理学類の小論文は、「心理学の知識があるかどうか」よりも「心理学的に考えられるかどうか」を見る試験です。表面的なテーマに振り回されず、「この問いが問いかけている人間の本質は何か」を常に問い続けてください。スカイ予備校では、答案の個別添削から思考力トレーニングまで、心理学類の小論文対策を徹底的にサポートします。一緒に合格をつかみましょう!
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