【推薦入試】都留文科大学 文学部 国文学科(小論文過去問題解説)

推薦入試

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

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都留文科大学 文学部 国文学科の小論文対策

[令和5年度学校推薦型選抜(一般) 90分

次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。

課題の要約文です。

国立国会図書館が明治百年記念事業として編纂した『国立国会図書館所蔵 明治◇期刊行図書目録』において、索引編の編纂者として参加した著者は、約二年間にわたり約十二万タイトルの書名にフリガナを付ける作業に携わりました。主題別の分類がないため、フリガナのない書名や群書類従の内容も補足する必要があり、スタッフの多くのエネルギーが費やされました。特に近代小説の題名は読みにくく、また、芝居の外題も理解が難しい場合があり、その難しさに苦しむ一方で、奇妙で楽しい書名やフリガナの振り方が楽しみでもあり、多様な文化に触れることができました。

この経験を通じて、フリガナ商売の魅力について著者は考察しています。漢字の硬い表現とフリガナの柔軟な読みの対比が新しい興味を生み出し、明治時代の奇妙で楽しい書名が日本の文化の深さを示していると論じています。また、フリガナは漠字を読みこなす能力を養い、その喪失は現代において漢字の理解力の低下をもたらすと指摘しています。戦中から戦後にかけてフリガナが「子供の目に悪い」とされて追放されたが、その結果、漢字の理解能力が低下したことに対し、この文化を深く追求していく必要性が感じられています。

出典:岩佐美代子「フリガナの文化」、同著『京極派と女房』所収による

問1 傍線部ア~オのカタカナは相当する漢字を、漢字は読みに相当するひらがなを解答欄に記しなさい

問2 波線部「物としてはかり難しなよわき水に重き舟しも浮かぶと思へば」から、形容詞をすべて抜き出し、それぞれの終止形を記しなさい。

問3 傍線部1「かえって問題を起こしやすい]とあるが、なぜか、理由を50字以内で説明しない。

問4 傍線部2「明治に引きつがれた江戸文化の懐の深さに、つくづく舌を巻いた」とあるが、そのように感じたのはなぜか70字以内で説明しなさい。

問5 傍線部3「フリガナの文化」について、あなたが考察したことを、具体例を挙げながら、600字以内で述べなさい。

ポイント

出題意図
問題文として、岩佐美代子「フリガナの文化」から一部中略しつつ全体を掲出した。筆者は、中世和歌文学を中心とする日本古典文学の研究者であるが、国立国会図書館の事業として索引作成に携わった経験をとおして、フリガナを「面白い言語の文化現象」と捉えたことを述べている。問一~問四は、古文の知識を含む、国語の基礎的な学力を確認する設題。問五の小論文では、筆者の感じている面白さ、「文化現象」の諸相を具体的に把握したうえで、「フリガナの文化」について考察したことを、具体例を示しながら筋の通ったわかりやすい文章で記述することを求めている。

【評価のポイント】
問一
漢字の読み、書きの問題。正確な完答に得点を与えた。
問二
品詞としての形容詞とその活用形について理解していることが前提となる。
問三
傍線部にある「かえって」がポイント。字面がむずかしくない方がむしろ問題になりやすいのはなぜなのかを答える。解答の要素として、容易に題名の読み方に思い至ることができるために、別の可能性を考えようとしない、あるいは思考を拘束されて疑いをもちにくい、といった説明が必要である。
問四
ここで言う「江戸文化の懐の深さ」とは、芝居の外題や書名に見られる「漢籍めかしたかたい字面としゃれのめしたよみとの不即不離、阿吽の呼吸の見事さ」である。筆者はそこに「かたい内容をやわらげて伝える啓蒙的役割」「やわらかい内容をかたい字面でカムフラージュするおかしみ」「なぞときやパロディの興趣」があると言い、「狂言作者の教養も大したもの」と感心している。これらを勘案して答案をまとめればよいであろう。 問五
筆者のいう「フリガナの文化」について的確に把握したうえで、適切な具体例を明示し、考察したことを、筋の通った文章構成により論理的にわかりやすく述べているかがポイント。漢字、仮名遣いなどについて、表記の正確性も求められる。

【講評】
問一
漢字を書く問題にはおおかた正答していた。ただし、「徴兵」の「徴」や「随一」の「随」に誤りが散見された。「巷間(コウカン)」の読みは正答率が低かった。日ごろ本や新聞を読む折にも、意識して漢字を読み書きする力を養ってほしい。
問二
全体として正しく答えられている答案が多かった。ただし、終止形でなく、連用形を書いた答案が散見された。基本的なことをきちんと理解しておくことが大切である。
問三
傍線部の前段の内容に引きずられて、内容を見ずに読んでしまうといった記述が散見されたが、ここでは近代小説に限らず字面が格別むずかしくない題名のことを話題にしているのであり、そのことを捉えられていない答案は減点した。また、点検の眼を免れてしまうこと自体が問題と捉えた答案が多くあった。点検の眼をも逃れてしまうほど誤りに気付きにくいことが問題だという文脈を押さえたい。
問四
フリガナの文化について、筆者が「日本以外にも果たしてあるか否か」と慎重に述べているにも関わらず、「日本独自の文化(だから)」と大雑把に捉えた答案が散見された。まず文章の内容を正確に捉えることが大切である。
問五
「フリガナの文化」についての論述を求めているところ、「フリガナ」についての考察になっている答案が散見された。「フリガナの文化」と「フリガナ」との間には三文字の違いしかないが、文学部国文学科を志す以上、こうした言葉の差異には敏感に反応してほしい。さらに言えば、「フリガナの文化」について論じるにあたって、「そもそもフリガナとは何なのか」という問い直しを含むような考察が展開されていると理想的である。大学に入学して文学を学んでいく上でも、「フリガナ=漢字の読み方を示すもの」といった「当たり前」を捉え直すような観点を持つことを大事にしてほしい。

関連して、例えば、以下のような理解は適切さを欠くと感じられ、適宜減点した。

・ 「フリガナ」の問題と漢字の読みの問題とを同一視している。
・ 「フリガナ」を専ら「当て字」のこととしている。

これらはそれぞれそのまま重なるものではないことに注意してほしかった。
日本文化の独自性をいうために、西洋文化、西洋語、アルファベットなどを、引き合いに出す際に、誤解を含む答案があった(例えば、日本語には遊びや解釈の幅があるが、西洋語には画一的な意味しかないなど)。西洋語にも、文字と文字と、もしくは文字と音との関係性による複合的な表現は存在しているので、そうした理解の十分でない記述は減点とした。
なお、具体例として、マンガ文化に触れる答案があった。マンガ文化をとりあげた教育にも意義があるであろうと感じた。

都留文科大学の公開内容からの引用>

小論文過去問題解説

問1: 傍線部分にカタカナが振られており、それぞれのカタカナに相当する漢字やひらがなを探します。文章の文脈や意味を考えながら、適切な漢字やひらがなを導き出す必要があります。

問2: 形容詞を見つけ、それぞれの終止形を求める問題です。文中で使われている形容詞を特定し、それぞれの終止形に変換します。文脈を考慮しながら正確な形容詞を選ぶことが重要です。

問3: 指示された文中の表現が「問題を起こしやすい」というニュアンスを持っている理由を説明する問題です。文章全体の流れや文脈を考慮し、「かえって問題を起こしやすい」表現がなぜ適切なのかを述べる必要があります。

問4: 「明治に引きつがれた江戸文化の懐の深さに、つくづく舌を巻いた」という表現が著者にどのような感情や印象を与えたかを説明する問題です。文章の中で言及されている江戸文化やその深さについて、著者がどのように感じたのかを考え、それを簡潔かつ明確に表現します。

問5: 「フリガナの文化」に関する考察を述べる問題です。具体例を挙げながら、フリガナが言語文化に与える影響や重要性、著者自身が感じた興味深い点などを論じます。著者の視点や具体例を交えつつ、考察を整理し説得力を持たせることが求められます。

都留文科大学の所在地・アクセス

所在地アクセス
山梨県都留市田原3-8-1富士急行線「都留文科大学前駅」下車、徒歩5分

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都留文科大学の入試傾向

都留文科大学の入試傾向は、以下のような特徴があります。

都留文科大学の入試は、各学科ごとに異なる傾向があります。それぞれの学科では、異なる能力や知識が求められるため、対策も適切に選択する必要があります。

例えば、英文学科では英文読解力や英語表現力が重視されます。これに対処するためには、様々なジャンルの英文に触れ、リーディングスキルを向上させることが重要です。また、比較文化学科では政治・経済・社会に関する問題が出題され、論理的思考が必要です。これに対しては幅広い知識を身につけ、論理的な思考力を高めることが有益です。

国文学科では、現代文、古文、漢文の3つの分野から出題され、文学の理解と解釈が求められます。これに対処するには、日常的な読書や文学作品の鑑賞を通じて、豊かな言葉の理解を深めることが有益です。

国際教育学科では現代の社会問題に関する英文を理解し、論理的な英語表現力が必要です。これに対する対策としては、国際情勢や社会問題に関する幅広い知識を得つつ、論理的な英語表現を養うことが挙げられます。

学校教育学科や地域社会学科では小論文試験があり、文章の分析力や論理的な考察が問われます。これに対処するためには、幅広い教養や社会問題について理解を深め、文章力と論理的構成力を向上させることが必要です。

総じて、入試対策は単なる試験勉強だけでなく、幅広い知識と論理的思考力を養うことが不可欠です。日頃から積極的に学び、自分の考えを明確に表現できる力を養っておくことが、都留文科大学の入試での成功につながります。

都留文科大学の募集コース

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入試情報はこちら

文学部(定員数:240人)

国文学科 (定員数:120人)

国文学第一演習IV(近世)で近世文学の多様性に触れる

近世文学とは基本的に江戸時代の文学を指します。国文学第一演習(近世)では、井原西鶴らによる連句『俳諧虎渓の橋』および竹田出雲等作の浄瑠璃『菅原伝授手習鑑』『寺子屋』の丁寧な注釈作業を通じて、近世文学作品研究のために必要な知識、調査の手順を身につけます。

英文学科 (定員数:120人)

World Englishes I・IIで各国独自の英語を理解する力を身につける

英語の歴史、現在の使用の状況、世界全体での変種の広がりなどについて知り、英語という言語を体系的に学びます。母国話者(英語を母国語とする人)を対象として書かれた資料を読み、「標準」英語とは何か、「母国話者」とは誰か、という根幹的な議論を行い、英語が主要な世界語とされる考えについても分析します。

教養学部(定員数:490人)

学校教育学科 (定員数:180人)

「教育原理」は学校教育学科の必修科目で、1年生全員が前期・後期にわかれて受講します。教育史に関する資料を自分で読み取り、解釈することを大切にしています。ロックやルソーなどの思想家がどう社会のあり方と関わり教育のあり方を構想したか、という視点で彼らの思想に改めて出会うことも授業の面白さのひとつです。

地域社会学科 (定員数:150人)

アクティブラーニングで4つの力を鍛錬する

さまざまな人々と一緒になって問題解決に向けて活動するためには、地域理解力、構想力、行動力、そして協働力が必要です。確かな力を育むため、1年次から実践的能力を重視し、グループディスカッションやディベートなど、アクティブラーニングも積極的に導入しています。

演習(自治体経営論)I~IVで地域の現状を自分の目で見て、課題と解決策を考え、実践につなげる

少子高齢化・人口減少が進む地方で持続可能な社会を築くためには、これまでの公と民のあり方を見直し、互いに連携し合って、私たち一人ひとりが社会へ主体的に参画していくことが必要です。「演習(自治体経営論)」では、対象となる地域を訪れ、自治体や市民と連携して実践していきます。

比較文化学科 (定員数:120人)

「共生社会論」では異なる文化の出会いの場を意味する「コンタクトゾーン」に着目し、異文化に属する人々が互いの存在を「了解」することがいかに可能かを、特に移民・外国人の視点から考えます。多文化共生がどのようなことを意味するのか、米国・ロサンゼルスの日系人移民社会や日本とブラジルの交流史などを学びます。

国際教育学科 (定員数:40人) 

「ATL」とは国際バカロレアの中で使われる用語であり、「21世紀スキル」と呼ばれるような、コンピテンシーや社会性スキルを、いかに教科教育の中にしみ込ませ、子どもたちに教えていくかというティーチングのノウハウを学ぶ授業です。アクティブラーニングを活用しながら様々なスキルを向上させるための授業を学びます。

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