新潟県立大学 国際経済学部 入試対策(小論文過去問題解説)

大学受験

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴25年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。
スカイ予備校を高崎市内に開校し、2021年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となり1年目から、国公立大学に27名の合格者を輩出。スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
☆知らないと損する「小論文やっていはいけないNG動画」を無料プレゼント中!

新潟県立大学の小論文対策

[令和4年度 国際経済学部 一般選抜A日程 60分]

課題文の要約です。間に 図1( 出生率と社会保障給付費)が入ります。

社会保障の存在と進化について、以下の主要なポイントが述べられています。

社会保障は、人間が疾病や失業、老後の稼得能力低下などのリスクに備えるための仕組みです。以前は家族や地域社会がリスク分散を担当し、産業化以前では家族や地域社会がリスク分散を担当していましたが、社会の産業化に伴い生産活動は個人中心となり、個人の経済的自立性が増加しました。この変化に伴い、社会全体でリスク分散の役割を果たすために、政府によって医療保険や公的年金、雇用保険などの社会保障制度が調整されるようになりました。

さらに、リスクはすべての年齢階層に均等に発生するわけではなく、特に高齢になるほど疾病や稼得能力の低下のリスクが高まることが指摘されています。このようなリスクに対処するため、社会保障は年齢層によって異なる確率で発生するリスクを考慮して設計されています。ただし、これに伴い現役世代は保険料や税を通じて高齢世代を支えることになります。このような所得移転により、社会保障は単なるリスク分散の装置以上の意味を持ち、現役世代が高齢世代を支える側面を強調する要素を持つことになります。

また、社会保障の充実が現役世代から高齢世代への所得移転を伴う場合、その結果として起こる問題についても言及されています。社会保障の充実は老後の不安を軽減し、子供に依存せずに老後を過ごせる利点を持つ一方で、人口再生産の問題が存在します。人口再生産が順調に進まない場合、社会保障がうまく機能しなくなる可能性があることが示唆されています。社会保障の継続性と人口再生産の関連性が強調されています。

出典:小塩隆士「18歳からの社会保障読本〜不安のなかの幸せをさがして〜」ミネルヴ書房 2015年(一部改変)

問1 社会保障制度に関わる歴史的な変化について、社会保障の仕組みができる以前の状況も含
   めて、本文の最初の3段落の記述を踏まえて160 字以内で説明しなさい。


問2 本文では「社会保障が充実しているのに、その財源を支えるべき子供たちが順調に再生産
   されないとすれば、社会保障がうまく機能しなくなる。社会保障が自分で自分の首を絞め
   る性格を持つという話は、けっこう現実的な性格を持っている」と書かれている。社会保
   障が自分で自分の首を絞める性格を持つとはどういう意味か、社会保障の充実で少子化が
   促進されるという前提に立って、以下の用語やフレーズを全て用いて、160 字以内で説明
   しなさい。
   ①子供の世話になる必要
   ②子供を持つという親の需要
   ③高齢層に対する現役層の割合


問3 本文中の「現役層が高齢層を扶養する」ことは、高齢層(65 歳以上の人口)の一人を支
   える現役層(15 歳から64 歳の生産年齢人口)の数、言い換えれば高齢層に対する現役層
   の倍率という形で表現されることが多く、その数の変化は、担ぐ人と担がれる人の関係か
   ら、おみこし型から騎馬戦型、さらには肩車型などと表現される。

問4  図1からは、社会保障給付費の対GDP 比が一貫して上昇している様子がみてとれる。社会
   保障給付費が大きく増えていく過程で、さまざまな問題が発生する。社会保障給付費は、年
   金、医療、福祉その他の3つに分類される注)。社会保障給付費の増加を抑制するためには色々
   な方策が考えられる。どのような方策があるか、具体的に述べよ。3つの分類のうち、年金
   と医療を取り上げ、年金の支給条件を変更することで年金費用の抑制を狙う方策を2つ、医
   療費用の抑制を狙う方策を1つ、それぞれ取り上げて述べること。

注) 年金には、厚生年金、国民年金等の公的年金等が含まれる。医療には、医療保険、後期高齢者医療の医療給付、生活保護の医療扶助等が含まれる。福祉その他には、社会福祉サービスや介護対策に係る費用等が含まれる。

小論文過去問題解説

問1
社会保障制度の歴史的変化に関する記述に基づく説明を求めています。以前は家族や地域社会がリスク分散を担っており、産業化以前では家族や地域社会が病気や老後に対処する仕組みを提供していました。産業化の進展と共に、生産活動の単位が個人に移行し、個人の経済的自立性が高まりました。この変化に伴い、社会全体でリスク分散の責任を担う必要が生じ、政府によって医療保険や年金などの社会保障制度が調整されるようになりました。

問2
「社会保障が自分で自分の首を絞める性格を持つ」という表現は、社会保障の充実が高齢層への支援を強化する一方で、子供を持つ動機や需要を減少させる可能性を指しています。社会保障の充実により、高齢層に対する現役層の割合が増加し、高齢者への支出が増える一方で、子供の養育や子供を持つことに対する経済的なニーズが減少することから、少子化が促進される可能性があると解釈されます。

問3
表や文中から数字を拾って、計算をして答えを出す問題です。

問4
社会保障給付費の上昇に関して、以下のような方策が考えられます。

年金支給条件の変更: 年金支給の条件を見直し、支給開始年齢の引き上げや年金の額の調整を行うことで、年金費用の抑制を狙います。例えば、支給開始年齢を引き上げることで、支給期間が短縮され、年金費用の増加を抑える効果があります。

医療費用の削減: 医療費用の増加を抑制するために、医療の効率化や予防医療の推進を通じて、医療費の削減を図ることが考えられます。例えば、生活習慣病の予防や早期発見を奨励し、医療負担の軽減を目指します。

給付内容の見直し: 社会保障給付の内容を見直し、必要最低限の支援に絞ることで、費用の増加を防ぐ方策も考えられます。例えば、高額医療費の自己負担の割合を変更するなど、給付の適切なバランスを検討します。

このような方策によって、社会保障給付費の増加を抑制し、持続可能な社会保障制度の実現を目指すことができます。

新潟県立大学の所在地・アクセス

所在地アクセス
新潟県新潟市東区海老ケ瀬471JR白新線「大形」駅下車、徒歩約15分
JR「新潟」駅から新潟交通バス大形線約25分
「県立大学前」下車、徒歩3分

新潟県立大学】のHPはこちら

新潟県立大学の入試傾向

新潟県立大学の入試は一般入試と総合型選抜入試(AO入試)の2つの方式で行われます。以下にそれぞれの傾向を説明します。

  1. 一般入試: 一般入試では、共通テストと大学独自の選抜試験が行われます。学力試験の結果を基に、二次試験の成績や面接結果などの総合評価が行われ、合否が決定されます。
  2. 総合型選抜入試(AO入試): 総合型選抜入試は、学力試験の成績だけでなく、面接やエントリーシートなどの総合的な評価を行います。

新潟県立大学の募集コース

入試情報はこちら

国際地域学部 国際地域学科 (定員数:180人)

教養教育と専門科目を総合して学び、国際的に活躍でき、また地方におけるグローバル化への対応能力に優れた、地域づくりを担う中核的な人材を養成。

 300を超える科目を開設。バリエーションに富んだ科目群と魅力あふれる授業内容で、履修コースを越えた科目の選択も可能である。2020年度より以下の3コース制。

 国際関係コースでは、世界、そしてアジア地域の国際的・地理的課題に実践的な英語力を使って取り組む。比較文化コースでは、国際地域学の基礎の上にさらに文化や言語に特化した授業を展開する。露中韓コースでは、新潟県と交流の深いロシア・中国・韓国の歴史や情勢、言語を深く学ぶ。

人間生活学部(定員数:90人)

子ども学科 (定員数:50人)

健康栄養学科 (定員数:40人)

人間についての深い理解に基づいて、「育」と「食」を中心に豊かなヒューマンライフを創造し、地域社会の発展に貢献できる人材を育成する。

 子ども学科では、乳幼児保育・社会福祉の現場で中核として活躍できる人材の育成を目的に、教育・研究を行う。

 専門科目は、保育の本質と目標、子どもの心とからだ、子どもの文化、保育の内容・方法、地域社会と福祉、実践演習、実習に関する科目の7科目群に分かれている。

 健康栄養学科では、生活習慣病の予防や健康の維持・回復に食と栄養の面から総合的に対応できる人材を育成する。

 地域の食について深い理解を育むための科目もある。

国際経済学部 国際経済学科 (定員数:90人)

経済・産業・企業の仕組みを理解する経済学の最新の専門知識、データや情報の分析力、確かな語学力と国際感覚を備えた国際経済・地域経済のフィールドで活躍できる人材を育成する。

 グローバルな視点からの実践力を習得し、4年間の体系的・段階的なカリキュラムにより、(1)最新の経済学に基づく経済・産業・企業を理解・分析する能力、(2)データや情報を読み解き分析する力、(3)英語による専門科目の授業を交えて養う実践的な英語力と露中韓言語の基礎からなる確かな語学力を身につける。2年次以降は、国際経済への理解を深めることに重点を置く国際経済コース、地域経済への理解を深めることに重点を置く地域経済創生コースの2コースに分かれて学習する。

タイトルとURLをコピーしました