4月1日、白衣はまだ着ない。研修医として病院に向かう朝、私が“合格の先”で見たリアル

研修医コラム

4月1日。
この日は多くの人にとって「新年度の始まり」ですが、研修医にとってはそれ以上の意味を持つ日です。国家試験に合格し、ついに医師になる。あれほど遠く感じていた「医者になる日」が、現実としてやってきます。

けれど、その朝の気持ちは、決して嬉しさ100%ではありません。わくわくと同じくらい、不安もある。今回は、研修医として迎える4月1日に私が感じたことを書いてみたいと思います。医学部合格の先にあったのは、受験生の頃に想像していたものとは少し違う景色でした。そこにあったのは、「肩書きが変わる日」ではなく、「責任が始まる日」だったのです。

4月1日の朝、白衣ではなくスーツで病院に行く

研修医の4月1日と聞くと、白衣を着て、いきなり病棟でテキパキ働く姿を想像する人もいるかもしれません。ですが実際には、最初から白衣ではないことも多いです。多くの病院では、4月1日はスーツで出勤します。

社会人1日目。
医師ではあるけれど、同時に“新入職員”でもあるからです。病院の講堂に集まり、辞令交付やオリエンテーション、いわば入社式のような行事が行われます。そこで初めて、学生の延長ではなく「組織の一員になる日」なのだと実感します。

ついこの前まで国試の自己採点で一喜一憂していたのに、もうスーツを着て病院にいる。その切り替わりの速さに、気持ちが追いつかない人も多いと思います。でも、その少しふわふわした感覚こそが、4月1日らしさなのかもしれません。

“医師になれた喜び”と“本当にやっていけるのか”は両立する

国家試験に合格した瞬間には、たしかに大きな達成感があります。長い受験、進級試験、実習、卒業試験、そして国試。やっとここまで来た、という気持ちは本物です。

ただ、その一方で、必ず出てくる感情があります。
「本当に自分が医師をやるのか」
「患者さんの前でちゃんと判断できるのか」
「迷惑をかけずにやっていけるのか」

これはネガティブというより、むしろ自然な感覚です。責任の重さをなんとなく理解しているからこそ、不安になる。医師という仕事は、資格を取った瞬間に完成するものではありません。むしろ、合格してからが本番です。

医学部受験では、「合格したらひとまずゴール」と思いがちです。でも実際には、合格はスタート地点に立つためのチケットにすぎません。その現実を、4月1日にかなりはっきり突きつけられます。

病院によっては、初日から“甘くない現実”もある

4月1日はオリエンテーション中心の病院も多いですが、病院によってはかなり空気が違います。いきなり現場に入るところもあれば、早い段階で当直が始まる病院もあります。中には、「本当に初期研修の最初からここまでやるのか」と驚くような環境もあります。

いわゆるブラック寄りの病院では、4月から一気に実戦モードです。もちろん、忙しいこと自体が悪いとは限りません。現場でしか学べないことも多く、経験が積める環境は大きな強みでもあります。

ただ、どんな病院でも共通しているのは、もう“守られるだけの学生”ではいられないということです。
自分で覚える。
自分で動く。
分からないことは自分で聞きに行く。

この当たり前が、一気に求められるようになります。

同期の存在が、想像以上に大きい

4月1日を迎えて印象に残ることのひとつが、「同期がいる安心感」です。研修医同期はもちろん、この日に初めてしっかり話す看護師さんやコメディカルの同期職員とも、独特の連帯感が生まれます。

みんな緊張している。
みんなまだ慣れていない。

だからこそ、少し話すだけでも距離が縮まるのです。研修医同期と「やばい、緊張するね」と話したり、看護師さんと「お互い今日からですね」と笑い合ったり、そういう小さな会話にかなり救われます。

そして夜には、研修医同期で飲みに行くこともあります。昼間はきっちりスーツを着ていたのに、夜になると少しだけ表情がゆるむ。
「あの説明長かったね」
「思ったよりちゃんとしてて怖い」
「明日から本当に始まるんだね」

そんな会話をしながら、少しずつ“同じ船に乗った仲間”になっていく。この関係は、これからの2年間をかなり支えてくれます。研修医生活は、能力だけで乗り切れるものではありません。一緒に踏ん張れる同期の存在は、本当に大きいです。

白衣に袖を通す前に、再確認したこと

4月1日、私は改めて思いました。白衣は、かっこいいから着るものではない。医師らしく見せるための服でもない。その服を着るということは、責任を引き受けるということです。

患者さんに名前を呼ばれること。
家族に説明を求められること。
上級医に報告すること。
分からないことを、分からないと言うこと。

どれも学生の頃とは重みが違います。

でも逆に言えば、ここから本当の意味で医師になっていくのだと思います。最初から完璧な人なんていません。不安があるのも、緊張するのも当たり前です。大事なのは、「合格した自分」に満足することではなく、「これからちゃんと成長する自分」でいようとすることなのだと思います。

医学部合格の先にあるのは、“肩書き”ではなく“始まり”

受験生の頃は、医学部合格がものすごく大きな目標に見えます。実際、それは間違いなく大きな通過点です。でも、研修医として4月1日を迎えると分かります。合格はゴールではなく、その先の人生の入口だったのだと。

スーツで病院に向かう朝。
フレッシャーズの空気に包まれながら、少し背筋が伸びる瞬間。
医師になれた嬉しさと、やっていけるのかという不安。
同期との出会い。
そして、これから始まる現実。

そのすべてを含めて、4月1日は特別です。

もし今、医学部を目指している人がいるなら伝えたいです。合格の先には、ちゃんと新しい景色があります。しかもそれは、想像よりずっとリアルで、ずっと重くて、でも思っていた以上に面白い景色です。

医師になる道は、合格発表で終わりません。
むしろそこから、ようやく始まります。

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