「第一志望に落ちた」で終わりにしない——補欠合格・後期試験で逆転した生徒たちの話

「第一志望に落ちた」で終わりにしない——補欠合格・後期試験で逆転した生徒たちの話 五十嵐校長コラム

「先生、もう終わりです。全部終わりました」

2月の夜、午後10時を過ぎた頃に私の携帯が鳴った。泣きじゃくりながらそう言ったのは、当時浪人生だったKくんだった。第一志望の私立大学の合格発表をスマートフォンで確認した直後の電話だった。画面には「不合格」の二文字。彼にとって、1年間のすべてが否定されたような瞬間だったのだと思う。

私はそのとき、受話器の向こうで静かにこう言った。「Kくん、今夜だけは泣いていい。でも明日の朝9時に校舎に来なさい。話がある」と。

「不合格=終わり」という思い込みが、本当の敗北を招く

27年間で見てきた現場だからこそ断言できます。第一志望の不合格通知を受け取った瞬間に「受験が終わった」と思い込んでしまう生徒が、毎年必ず一定数います。そしてその思い込みこそが、逆転のチャンスをみずから潰す最大の原因です。

補欠合格の繰り上がりを待たずに入学手続きを諦める。後期試験の出願を「どうせ受からない」と放棄する。第二志望の大学に気持ちが切り替わらないまま、ただ時間だけが過ぎていく。私はこの27年間で、そういう生徒を何人も見てきました。そしてそのたびに、胸が痛くなる思いをしてきました。

不合格は「終わり」ではありません。「次のステージへの切符を、まだ手に入れていない」というだけです。

補欠合格で逆転したKくんの話

翌朝、Kくんは目を腫らしたまま校舎に現れた。私は彼を自分の部屋に呼んで、まず一つ確認した。「補欠通知は来ているか」と。

彼はポケットから封筒を取り出した。前日に届いていた「補欠合格候補者」の通知だった。本人はそれを「落ちた通知と同じようなもの」と思って、ほとんど読んでいなかったのです。

私はその封筒を一緒に読み直した。繰り上がりの可能性は決してゼロではなかった。入学辞退者が出れば、順位によっては正規合格に切り替わる仕組みだった。私はKくんに言った。「今すぐ諦める理由はどこにもない。後期試験の準備をしながら、この結果を待ちなさい」と。

Kくんはその後、後期試験の対策も並行して続けた。毎日校舎に来て、過去問を解き、面接練習を重ねた。そして3月の半ば、補欠からの繰り上がり合格通知が届いた。彼から電話がかかってきたとき、今度は泣き声ではなく、叫び声だった。「先生!受かりました!」と。

私はこのとき、改めて思った。あの夜、彼が電話を切ったまま何もしなければ、この結果はなかった。「終わり」と決めるのは、自分自身なのだと。

後期試験で逆転したMさんの話

もう一人、忘れられない生徒がいます。現役生だったMさんは、第一志望の国公立大学の前期試験に不合格でした。自己採点の段階からボーダーラインぎりぎりだとわかっていて、発表日は泣きながら保護者と一緒に来校しました。

お母さんは「もう私立でいいんじゃないか」とおっしゃっていた。Mさん本人も「後期なんて受けても無駄」という顔をしていた。私はそのとき、正直に言いました。「後期は確かに倍率が高い。でもMさんの実力と志望校の後期の傾向を見ると、前期より相性がいいかもしれない」と。

後期試験は科目数が絞られることが多く、得意科目に特化できる生徒には有利に働くことがあります。Mさんは英語が飛び抜けて強かった。後期の配点を確認すると、英語の比重が前期より高かった。私はそのデータを二人の前に広げて、「やってみる価値はある」と伝えました。

Mさんは後期試験まで残り2週間、英語の長文読解と記述対策に集中しました。結果は合格。第一志望の国公立大学に、後期試験で滑り込んだのです。

お母さんから後日いただいたメッセージには、「あのとき先生が諦めないでと言ってくれなければ、娘は私立に進んでいました」と書いてありました。私はそのメッセージを今も大切に持っています。

「失敗するパターン」を知っておいてほしい

27年間、毎年この時期に同じような場面を見てきた私には、逆転できなかった生徒に共通するパターンがはっきりと見えています。注意喚起として、正直に書かせてください。

まず一つ目は、「情報収集をやめてしまう」パターンです。不合格の通知が来た瞬間に思考が止まり、補欠の繰り上がりスケジュールや後期試験の出願期限を確認しなくなる。感情的には当然の反応ですが、それが致命的なミスになることがあります。出願期限は容赦なく過ぎていきます。

二つ目は、「周囲の言葉に流される」パターンです。友人がすでに進路を決めていたり、親が「もういいじゃないか」と言い始めたりすると、本人の気持ちが折れてしまう。私はこれを「環境による敗北」と呼んでいます。本人の意志ではなく、周囲の空気に負けて諦めるのです。

三つ目は、「切り替えと諦めを混同する」パターンです。後期試験や補欠を追いながら、第二志望の手続きもきちんと進める。この「両立」ができない生徒が多い。「どうせ受からないなら手続きするのが嫌」という気持ちはわかりますが、保険を確保しながら戦うことは恥ずかしいことでも何でもありません。

逆転するために今すぐやるべきこと

私が受験生とその保護者に伝えたいのは、シンプルなことです。不合格通知が届いたその日のうちに、必ず三つのことを確認してください。

一つ、補欠合格の通知が来ているかどうか、そして繰り上がりの連絡はいつ・どのような方法で来るのかを確認する。二つ、後期試験の出願期限と試験日を確認する。三つ、自分が確保できている合格校(滑り止め)の入学手続き期限を確認する。

この三つを確認するだけで、「まだ戦える」という事実が見えてきます。感情は後でいい。まず事実を確認する。これが逆転の第一歩です。

私はこう考えます。受験は、最後の合格通知が届くまで終わらない。それが2月であっても3月であっても、戦える状況があるなら戦い続けることが、受験生としての正しい姿勢です。

Kくんは今、社会人として活躍しています。Mさんはあの後、大学院まで進み、研究者の道を歩んでいます。二人とも、「あの夜諦めなかったこと」が人生の分岐点だったと言います。

あなたの受験も、まだ終わっていない。そのことを、どうか忘れないでください。

スカイ予備校では、前期試験の結果が出たあとの後期対策・補欠フォローについても、個別に相談を受け付けています。「どうすればいいかわからない」という状態のまま時間を無駄にしないために、まず一度話しに来てください。話を聞くだけでも、見えてくるものがあります。

【五十嵐より追記】
(この記事を読んで思い出したこと、追加で伝えたいことをここに記入してください)
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